JR東西線
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JR東西線(ジェイアールとうざいせん)は、大阪府大阪市城東区・都島区の京橋駅から兵庫県尼崎市の尼崎駅に至る西日本旅客鉄道(JR西日本)の鉄道路線(幹線)である。JR西日本で初めての地下路線として1997年3月8日に開業した。全線が大阪近郊区間および電車特定区間に含まれる。
全ての駅でJスルーカード・ICOCA、及び東日本旅客鉄道(JR東日本)のSuica、またスルッとKANSAIのPiTaPaが使用できる。
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[編集] 路線データ
- 管轄(事業種別):西日本旅客鉄道(第二種鉄道事業者)・関西高速鉄道(第三種鉄道事業者)
- 路線距離(営業キロ):12.5km
- 軌間:1067mm
- 駅数:9駅(起終点駅含む)
- 複線区間:全線
- 電化区間:全線(直流1500V)
- 閉塞方式:自動閉塞式
- 保安装置:ATS-P
- 最高速度:90km/h
- 編成両数:7両(開業時から)
- ホーム最大編成両数:8両
- 運転指令所:新大阪総合指令所
※全区間とも西日本旅客鉄道大阪支社の直轄である。
[編集] 概要
「JR」も含めて正式名称である。JRグループ各社において、路線名の一般呼称でJRと付けられている事例はあるが、正式な路線名にJRと入るのは当路線が初めてであり、現状唯一のケースである。
京橋駅付近と神崎川から尼崎駅までの区間を除き全区間が地下線で、大阪城北詰~加島の各駅は地下駅となっている。京橋、尼崎以外の全ての地下駅は島式ホーム1面2線となっている。列車の運行・運営はJR西日本が行っているが、線路など鉄道施設は第三セクター会社の関西高速鉄道が保有している。なお、地下を走行することから剛体架線を使用している。
[編集] 運行形態
全列車が京橋駅から片町線(学研都市線)、ほぼ全列車が尼崎駅から福知山線(JR宝塚線)伊丹・宝塚・篠山口方面または東海道・山陽本線(JR神戸線)西明石方面と直通運転している。尼崎駅を始発・終着とする列車はあるが、JR東西線側から京橋駅で折り返す列車はない。また種別上は快速や区間快速が存在するが、通過駅があるのは直通する片町線・福知山線の区間内のみで、JR東西線・JR神戸線内では各駅に停車する。尼崎駅での東海道線(JR神戸線)・福知山線(JR宝塚線)との乗り換えは、同一ホームでできるようになっている。なお詳しい運行形態は片町線(学研都市線)に記述されているのでそちらを参照されたい。
[編集] 神戸シーサイドレジャー号
神戸シーサイドレジャー号(こうべシーサイドレジャーごう)とは、西日本旅客鉄道(JR西日本)が四条畷駅・放出駅~西明石駅間を片町線(学研都市線)・JR東西線・東海道本線・山陽本線(JR神戸線)経由で2000年と2001年の7月~9月の土曜・休日に運行した多客臨時快速列車である。
神戸市西部の須磨海水浴場・マリンピア神戸(ポルトバザール)・アジュール舞子、明石市東部の大蔵海岸への客をターゲットとし、それらの施設の最寄駅に着くたび特別に車内放送(案内)が流された。
宣伝不足のため、あまり利用されなかった。その後、大蔵海岸とアジュール舞子で続けて砂浜が陥没する事故が起き、両海水浴場が共に閉鎖。そのため、神戸シーサイドレジャー号は運行休止となった。
[編集] 停車駅
四条畷駅(2001年の上りは放出駅終着)~尼崎駅間各駅 - 芦屋駅 - 三ノ宮駅 - 神戸駅 - 須磨駅 - 垂水駅~西明石駅間各駅
[編集] 使用車両
- 207系電車 - 1997年の開業時から使用。4両+3両の7両編成で運行。
[編集] 利用状況
京橋駅から北新地駅までの東半分に比べ、北新地駅から尼崎駅までの西半分の利用者が少ない。北新地駅の至近にある大阪駅から東海道本線で尼崎駅に行くほうが、所要時間も短く優等列車の本数も多いことが原因であるとされる。
また、当線の北新地駅は大阪環状線・東海道本線の大阪駅、新福島駅は大阪環状線の福島駅の至近にそれぞれ存在するが、両駅は物理的に連絡しておらず、運賃も後述の大阪市内発着の乗車券を除き、通し計算にはならない。従って尼崎-天王寺間の乗車など、運賃的なメリットがないこともあり、両駅間の乗り換えはあまり見られない。ただし、尼崎以西・以北から天王寺方面へは新福島駅と福島駅で乗り換えるのが最短ルートになること、また運賃が両駅で分割されることから、大阪乗り換えにより通算運賃で割高となるケース(例えば、三ノ宮-天王寺間)にはわずかながら運賃的なメリットがある。
※但し北新地駅では、大阪環状線の京橋-大阪駅とJR神戸線の大阪-尼崎駅の区間で有効な定期券・回数券に関しては、大阪駅・北新地駅を同一駅と見なしているため、それらの場合は大阪駅・北新地駅のいずれからも乗り降りは出来る。また、大阪市内発着の乗車券に限り大阪駅との乗り換え入出場(例・東京-新大阪-大阪・北新地-放出)を認めている(本来は大阪市内で途中下車すると前途無効になる)。 なお、東海道本線の大阪駅あるいはJR東西線の北新地駅を含む区間で有効な定期券・回数券を利用して乗り越し清算する場合、それぞれ乗客に有利な扱いを行っている。例えば、「芦屋-北新地」の定期券を持っていて、芦屋駅から乗車し、新大阪駅で下車する場合、「北新地-新大阪」の運賃210円ではなく、「大阪-新大阪」の運賃160円を払えばよい。また、「芦屋-高槻」の定期券を持っていて、芦屋駅から乗車し、大阪天満宮駅で下車する場合は、「大阪-大阪天満宮」の運賃170円ではなく、「北新地-大阪天満宮」の運賃120円を払えばよい。
[編集] 建設の経緯
沿線の都市化が進んでいた片町線と福知山線を地下線で結ぶ片福連絡線として計画され、1971年(昭和46年)の都市交通審議会答申で緊急建設区間とされたが着工されず、のちに国鉄が運輸省から工事認可を受けたものの財政難から着工は見送られた。国鉄分割民営化後、片福連絡線の免許は西日本旅客鉄道に承継。1988年に鉄道施設の建設・保有を行う第三セクター会社の関西高速鉄道が設立され、西日本旅客鉄道が鉄道施設の貸付を受けて列車の運行を行うことになり、翌年ようやく着工された。
建設中の仮称駅名は、開通後すべて異なる駅名が採用された(建設時の仮称は、大阪城北詰:片町、大阪天満宮:南森町、北新地:桜橋、新福島:福島、海老江:野田阪神、御幣島:歌島橋、加島:竹島)。
[編集] 歴史
[編集] 駅一覧
- 快速・区間快速・普通列車:いずれもJR東西線内は各駅に停車。
駅名 | 駅間キロ | 営業キロ | 接続路線 | 所在地 | |
---|---|---|---|---|---|
片町線(学研都市線)直通運転 | |||||
京橋駅 | - | 0.0 | 西日本旅客鉄道:片町線(学研都市線)(直通運転)・大阪環状線 京阪電気鉄道:京阪本線 大阪市営地下鉄:■長堀鶴見緑地線(N22) |
大阪府 | 大阪市城東区 |
大阪城北詰駅 | 0.9 | 0.9 | 大阪市都島区 | ||
大阪天満宮駅 | 1.3 | 2.2 | 大阪市営地下鉄:■谷町線(南森町駅:T21)・■堺筋線(南森町駅:K13) | 大阪市北区 | |
北新地駅 | 1.4 | 3.6 | 西日本旅客鉄道:東海道本線(JR京都線・JR神戸線・JR宝塚線)・大阪環状線(大阪駅) 大阪市営地下鉄:■御堂筋線(梅田駅※:M16)・■谷町線(東梅田駅※:T20)・■四つ橋線(西梅田駅:Y11) 阪神電気鉄道:本線(梅田駅) 阪急電鉄:神戸本線・宝塚本線・京都本線(梅田駅※) |
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新福島駅 | 1.2 | 4.8 | 西日本旅客鉄道:大阪環状線(福島駅) 阪神電気鉄道:本線(福島駅) |
大阪市福島区 | |
海老江駅 | 1.2 | 6.0 | 阪神電気鉄道:本線(野田駅) 大阪市営地下鉄:■千日前線(野田阪神駅:S11) |
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御幣島駅 | 2.6 | 8.6 | 大阪市西淀川区 | ||
加島駅 | 1.7 | 10.3 | 大阪市淀川区 | ||
尼崎駅 | 2.2 | 12.5 | 西日本旅客鉄道:東海道本線(JR神戸線)(直通運転)・福知山線(JR宝塚線)(直通運転) | 兵庫県尼崎市 | |
東海道本線(JR神戸線)直通運転 福知山線(JR宝塚線)直通運転 |
※北新地駅では、阪急電鉄の神戸本線・宝塚本線・京都本線梅田駅との乗り換えには15分程度、大阪市営地下鉄御堂筋線梅田駅との乗り換えには10分程度、大阪市営地下鉄谷町線東梅田駅との乗り換えには12分程度かかる。