JR東日本E501系電車
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JR東日本E501系電車 | |
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基本編成+付属編成の15両編成で走行するE501系(2003年4月26日撮影) | |
起動加速度 | 2.0km/h/s |
営業最高速度 | 120km/h |
設計最高速度 | 120km/h |
編成定員 | 1,540(基本編成) 760(付属編成) |
全長 | 制御車:20,420mm 中間車:20,000mm |
全幅 | 2,800mm |
編成重量 | 274.5t(基本編成:4M6T) 140.1t(付属編成:2M3T) |
軌間 | 1,067mm |
電気方式 | 直流1,500V 交流20,000V (50Hz) |
モーター出力 | 120kW/h |
編成出力 | 1,920kW(基本編成:4M6T) 960kW(付属編成:2M3T) |
歯車比 | 1:6.06 |
駆動装置 | TD継手式平行カルダン駆動方式 |
制御装置 | VVVFインバータ制御 |
ブレーキ方式 | 回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ |
保安装置 | ATS-SN,ATS-P |
E501系電車(E501けいでんしゃ)は、東日本旅客鉄道(JR東日本)の交直流通勤形電車である。
1995年(平成7年)12月1日から2007年(平成19年)2月21日まで常磐線上野~土浦間で使用されていた。同年3月18日のダイヤ改正からは常磐線土浦~草野間および水戸線で使用されている(詳細は後述)。
209系を基本に設計した車両で、常磐線の交流電化区間では初の4扉通勤形電車である。
目次 |
[編集] 導入の経緯
常磐線では、東京への通勤圏が取手駅からさらに牛久、土浦方面に伸び、取手以北の利用者が増え続けてきたが、取手以北は石岡市にある気象庁地磁気観測所への観測障害を避けるために交流電化となっており、4扉ロングシートの103系は直流専用車両のため使用できなかった。直流電化区間を北に伸ばすことは前記した理由から不可能であり、既存の403系・415系は1982年(昭和57年)以降にロングシート車である415系500番台や1500番台(ステンレス車)を導入したものの、ともに3扉車であるため、混雑時の対応には限界があった。
さらに、土浦市や牛久市の商工会議所や選出国会議員などが中心となった「県南常磐線輸送力増強期成同盟会」が常磐線「快速電車」の延伸という要望を当時の運輸省などに継続的に行っていた。これは沿線のイメージアップのために近郊形電車ではなく4扉の通勤形電車を投入して欲しいという要望であった。これらの問題を総合的に解決するために、日本初の交直流通勤形電車として製造された。
1995年(平成7年)に基本10両編成と付属5両編成各1本が、また1997年(平成9年)に基本10両編成と付属5両編成各3本の計60両がそれぞれ川崎重工業と東急車輛製造で製造され、勝田電車区(現・勝田車両センター)に配置された。1997年に増備された車両の一部は老朽化した403系一部編成の置き換え用である。なお、1995年に川崎重工業で製造された基本10両編成は阪神・淡路大震災の影響で納車が遅れた。
[編集] 車両および運用状況について
[編集] 車両面
車体の基本設計は209系と同様であるが、使用線区の性格や直流・交流両用のため、装置などの違いがある。
- 内装は209系と変わらないが、座席表地の配色が異なり、一般席は常磐線の中距離電車と快速電車のラインカラーである青色を座面部分、緑色を背もたれ部分に採用している。また、川崎重工業製の編成では車端部の座席脇にドア部分にある仕切りと同様のくぼみがある。
- ドイツ・シーメンス社のGTOサイリスタ素子による主変換装置を採用しているが、発車・停車時に電動機および制御装置から発する磁励音は209系と異なり、発車時にはト短調(Gマイナー)の「(ハ長調基準の音階で)レ・♭ミ・ファ・ソ・ラ・♭シ・ド・レ・♭ミ・ファ・ソー」(D4・E♭4・F4・G4・A4・B♭4・C5・D5・E♭5・F5・G5-)という特有の音であり、停車時にはこの音階が逆順に鳴る。後にこのインバータ装置の後継型が京浜急行電鉄の2100形や新1000形の一部にも採用された[1]。5両の付属編成は2007年にVVVFインバータ装置を東芝製IGBT素子のものに交換された。
- 最高速度は209系の110km/hから120km/hに向上した。交流関連機器の搭載による自重増と、低速域での加速性能確保と最高120km/h運転に対応するために主電動機出力は209系の95kWから120kWとされた。歯車比はE217系と同一の6.06である。
- 直流区間と交流区間を隔てるデッドセクションでの主回路の切り替えは常磐線ではATS-P地上子により自動で行われるが、現行の運用区間である水戸線は専用地上子を設置していない関係で、切り替えボタンを操作しての手動切り替えになっている。手動切り替えは常磐線においても可能である。
- 車内照明は直流電源による。デッドセクション通過時には自動的に蓄電池供給に切り替わるため消灯しない。空調装置や車内ドア上部のLED案内表示器の電源は静止形インバータ (SIV) から供給される三相交流であり、デッドセクション通過時には停止する。
- 2003年(平成15年)10月より車内自動放送が導入された。ただし、E231系やE531系は出口案内、乗り換え案内、次の停車駅の順に流れるのに対し、本系列は出口案内放送がなく、乗り換え案内のみの放送となっている。
- 2006年(平成18年)9月まで全編成ともトイレは設置されていなかったが、後述する運用区間の変更に伴い、翌2007年2月にかけて基本編成の1・10号車および付属編成の11号車にバリアフリー対応トイレが設置された。
- 各車に片側4か所ある客用ドアのうち1か所を残して締め切ることが可能な「3/4扉閉」スイッチを装備する。1995年製の編成は営業開始後に後付け改造したが、1997年製の編成は落成時から装備している。
- 209系0・500・1000・3100番台と同様に車端部を除き固定窓を採用していたため、窓を開閉可能にする改造工事が施工された。
- ^ 「鉄道車両・船舶の俗称」も参照
[編集] 運用
- 2007年(平成19年)2月25日には、水戸~いわき間においてインバータ装置を交換した付属編成の試運転が行われ、同月27日からK-752編成が前記したトイレ設置工事などの関係で2006年8月26日から暫定的に水戸線で運用されていたE531系の一部を置き換え、水戸線および常磐線友部~勝田間での営業運転を開始した。行先表示器は、運用区間の変更に伴い従来前面が黒地白文字・側面は白地黒文字だったものから前面・側面とも青地白文字のものに交換された上、小山・下館・岩瀬・笠間・内原・高萩・日立・大津港・いわき・草野・四ツ倉・久ノ浜・富岡・原ノ町の表示が追加された(このうち、草野・四ツ倉・富岡・原ノ町終着の定期運用は、現在のところない)。
- ダイヤ改正前日の同年3月17日には、改正後の運用に移行する関係で基本10両編成が暫定的に上野発着列車の4往復に充当された。また、同月18日のダイヤ改正後は、上野駅を発着する常磐線中距離電車は全列車がグリーン車を連結したE531系で統一されたことに伴い、本系列は常磐線土浦~草野間および水戸線で使用されている。基本編成と付属編成は別個に運用され、水戸線には付属編成のみ入線する。また、停車駅案内図も415系1500番台やE531系と同じものに取り替えられた。
- ほぼすべての編成が運用に就いているため、検査等での代走は基本的にE531系の付属編成が担当する。基本編成の代走にはE531系の付属編成を2編成繋げた形で運用される。
[編集] 2007年2月21日まで
- 上野~土浦間の普通列車(取手~上野間は快速)のみに使用されていた。行先表示器には2006年(平成18年)3月17日まで運転されていた通勤快速の表示は用意されていたが、2005年(平成17年)7月9日から運転を開始した特別快速はE531系限定運用とされたこともあり、用意されなかった。また、快速の表示も用意していたが、定期列車としては取手以南の快速運転区間でも通常は終着駅名を表示していた。また、土浦以遠の駅名は神立、友部、水戸、勝田の表示が用意されていた。
- 停車駅案内図は、都市部の車両で採用されている形式のもので、上野~土浦間の普通列車の停車駅と、取手~北千住間の各駅停車の駅を掲示していた。この当時のものは、「■普通」と「■各駅停車」が並んで掲載されるという変わったものだった。2004年(平成16年)10月16日以降は、取手以南で「快速」と案内されることになったため、「■土浦~取手間 普通 取手~上野間 快速」としたものに取り替えられた。
- 朝ラッシュの最混雑時間帯である土浦駅発上り6~7時台の列車には、2005年7月9日のダイヤ改正から運用を開始した同じ4扉車であるE531系とともにほぼ集中的に投入され、取手駅から運用されているE231系とともに乗車位置の統一や収容力向上、および列車遅延の防止が図られた。
- 当初は415系の他に上野~取手間で運用されていた103系の置き換えも視野に入れて開発された。ラッシュ時は4扉ロングシート車の収容力を活かして概ね好評であったものの、本系列の本格投入を睨んだ1997年(平成9年)3月22日のダイヤ改正時に日中の土浦以北から上野への直通列車が大幅に削減されたこと(不評のために翌1998年のダイヤ改正で改善された)、座席数が減少したこと、トイレ設備がないことなどで長距離での運用に不向きであったことから、1997年で製造が打ち切られた。
- この当時は予備編成がないため、取手駅以北で120km/h運転可能な本系列の限定運用と403系・415系で代走可能な運用とに分けられていた。ただし、検査や整備などで403系・415系が入る場合、交流区間の各駅では代走期間と該当する時刻の4扉車が3扉車に変更される旨が表示されていたが、同じ4扉車で130km/h運転が可能なE531系の増備が進むと、E531系で代走されることもあった。*着席サービスの向上を図るため、10両+5両の分割編成であるにも拘らず、本系列の運用列車は検査時の415系・E531系による代走も含め終日15両編成で運転されていた。ただし、検査などで勝田車両センターに回送される際は、土浦~勝田間の構内有効長の関係から、10両編成と5両編成に分割して回送されていた。
[編集] 関連商品
- Nゲージ鉄道模型としてTOMIXから製品化されている。また、同社の鉄道模型用運転台型コントローラ「N-S2-CL」には本系列を始めとするシーメンス製VVVFインバータ装置を搭載する車両のモーターから発する磁励音が収録されている。
- プラレールでも「サウンドシリーズ」として商品化されている。