JR東日本E233系電車
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JR東日本E233系電車 | |
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E233系(中央線仕様)(2006年9月21日撮影) | |
起動加速度 | 3.0km/h/s |
営業最高速度 | 100km/h |
設計最高速度 | 120km/h |
減速度 | 5.0km/h/s(常用最大)
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編成定員 | 1,582人(標準) |
全長 | 20,000mm |
全幅 | 2.950mm |
全高 | 3.980mm |
編成重量 | 318.8t(6+4両・中央線仕様) |
軌間 | 1,067(狭軌)mm |
電気方式 | 直流1,500V |
モーター出力 | 140kW |
編成出力 | 3,360kW (6M4T) |
歯車比 | 1:6.06 |
制御装置 | VVVFインバータ制御 |
ブレーキ方式 | 回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ |
保安装置 | ATS-P・ATS-SN(中央・青梅・五日市線用) |
E233系電車(E233けいでんしゃ)は、東日本旅客鉄道(JR東日本)の直流一般形電車。
目次 |
概要
中央快速線・青梅線・五日市線・八高線で使用している201系の置き換えを主な目的として開発・製造された車両で、2006年(平成18年)12月26日に営業を開始した。また、青梅線の青梅以西・五日市線・八高線・富士急行線でも2007年3月より運行を開始した。
また、中央快速線系統以外の投入予定もJR東日本から発表されており、(外部リンク参照)
- 京浜東北線・根岸線用は、209系置き換え用として、2007年(平成19年)秋頃からの運用開始予定。
- 常磐緩行線用は、203系と207系900番台の置き換え用として、2008年(平成20年)夏頃からの運用開始予定。
となっている。
また、小田急電鉄では当系列をベースにした4000形を導入することを発表している。
首都圏に大量投入された、E231系の技術をベースとした車両である。
車体および機器
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
E233系は、JR東日本のユーザーアンケートを反映し、従来の同社の通勤・近郊形車両と比べると全体的に「ゆとり」を持たせた設計として、利用者が快適に乗車できるように配慮されている。
外観および内装は、E531系に共通する部分が多く、車外スピーカーも設置されている。この車外スピーカーは既に利用されており、発車メロディが鳴り終わると「扉が閉まります。ご注意下さい」の放送が流れる。車体は軽量ステンレス車体を採用した。
車内は、優先席および女性専用車両では利用者に配慮してつり革の位置を各50mm下げた。また車両床面とホームとの段差を201系・209系の80mmから30mmに縮小し、1人当たりの座席幅もE531系と同一の460mm(201系は約430mm、209系は約450mm)に拡幅された。また車内の臭気対策のためにJR東日本の一般形電車で初めて空気清浄機を搭載した。
山手線用のE231系500番台と同様に自動放送装置や車内の扉上部に液晶ディスプレイ(LCD・トレインチャンネル)を2基搭載している。行先表示器はJR東日本の車両で初めてフルカラーLED式が採用された。車体側面の表示器は2段表示も可能で、始発駅では停車駅を、途中駅では次の停車駅を下段に表示させる。
E531系と同様に、つり革が細長い三角形になっている他、各ドアには黄色のテープが高さいっぱいに貼付されており、またドアチャイムとドアランプも装備されている。優先席付近はつり革が黄色、床材が赤色格子模様とされた。
JR東日本では、これまでの車両について客用ドア外側にカラー帯を配していなかったが、E233系ではオレンジ色の帯(中央快速線仕様車の場合)を配した。また客室側は従来のJR東日本の通勤・近郊形電車の標準であったステンレス無地から白色化粧板仕上げとされた。また、客用ドアの窓ガラスは結露対策として四隅が角ばった複層構造とされた。
車両の性能についても改良を加えた。また故障や事故などに備えて、同一機器を2基以上搭載(パンタグラフ・空気圧縮機・MT比を上げることでの主回路機器の個数増など)したり、二重化(モニタ装置の伝送・演算部や保安装置・補助電源装置など)を施し、万が一片方が故障しても(パンタグラフの場合は使用中のもの全てが破損した際に待機中の一基を使用)自力走行が可能なように、他の鉄道事業者でも一般的となりつつある二重化設計思想がJR東日本の車両としては初めて採用された。
主電動機は、出力140kWのMT75形を採用した。歯車比はE531系と同一の1:6.06である。
台車は制御車 (Tc) ・付随車 (T) がTR255形およびTR255A形で、電動車 (M) はDT71形を装着する。最高速度は120km/hであることからヨーダンパは省略されたが、軸バネオイルダンパを装備し縦方向の揺れであるピッチングを緩衝している。
中央快速線仕様車
現在落成されている車両は、すべて豊田電車区に所属している。
中央快速線の場合は列車種別が6種類と他の路線に比べて多く、右側の液晶画面に映る停車駅案内は、立川以西における最遠直通先である~大月、~青梅に加えて、青梅線経由で武蔵五日市(五日市線)、高麗川(八高線)まで中央快速線の路線色であるオレンジ色のラインで描かれていて、201系にある停車駅案内より枝分かれが多い。また、車椅子スペースは、クハE233形0番台・クハE232形0番台に設置されている。
また、「快速」の種別で運行される列車については、201系では行先表示器は終着駅名だけが表示されているが、E233系では「快速」の種別名も表示(オレンジバックに白文字)されるようになった。この表示がされるのは上り線の全区間と下り線の快速運転区間(平日:東京~中野、土曜・休日:東京~吉祥寺)のみで、これ以外の区間は終着駅名と次の停車駅のみが表示されている。また、中央特快・青梅特快以下の列車はこれらが各駅停車になる立川ですべて上記と同じようになるが、設定により "中央特快" などの表示を出したまま運転するケースも見られる。
客用ドアは青梅線の青梅~奥多摩間・五日市線・八高線・中央本線の高尾以西の冬季の室内保温を目的として半自動ドアが採用された。
なお、201系の前面にあった列車種別表示器はE233系では装備していない。
青梅線・五日市線・八高線・富士急行線での分割・併合の関係で、201系と同一の10両固定編成(T編成・T1~)と分割可能な6+4両編成(H編成・H43~)の2種類の10両編成で製造される。6+4両編成の場合、中央快速線運用の201系では東京方に4両編成を連結していたが、E233系では高尾方に4両編成を連結する。高頻度運転を行う中央快速線の性格から、MT比はE231系の基本構成となっている4M6Tから6M4Tとして加減速性能を向上させ、従来の201系より数分程所要時間を短縮させる予定である。また、4・6両の短編成で運転の際の着席人数確保のため、6ドア車は導入しない。
E233系導入完了後の中央快速線について
- 最高速度:120km/h(201系は100km/h、209系は110km/h)
- 加減速度向上により東京~高尾・大月間の到達時間を短縮する。『鉄道ジャーナル』2006年3月号43pの記述によると、現行の東京~八王子間の営業最高速度は信号設備などの関係により95km/hであるが、E233系導入完了後は100km/hに向上させる計画である。
第1号編成(H43編成)
- 2006年9月21日に逗子から豊田電車区へ試9732M~試9433M~試9651Mのダイヤで公式試運転を兼ねて回送された。
- 6両編成はクハE233形+モハE233形+モハE232形+モハE233形+モハE232形+クハE232形500番台で構成され、高尾寄りのクハE232形500番台には分割・併合用に電気連結器と自動解結装置を搭載し、運転台にも関連機器が搭載される。
- 4両編成はクハE233形500番台+モハE233形600番台+モハE232形600番台+クハE232形で構成され、クハE233形500番台にはクハE232形500番台と同様に分割・併合用の機器が搭載されている。
- 車両番号は下記の通り。左側が1号車(東京方)である。
- 表記中のTc及びTc'は制御車(クハ)を、MおよびM'は電動車(モハ)を表す。
- TcE233-43+ME233-43+M'E232-43+ME233-243+M'E232-243+Tc'E232-501+TcE233-501+ME233-601+M'E232-601+Tc'E232-43
- 2006年11月11日の豊田電車区40周年記念イベントに展示車両として初めて一般に公開された。また、翌12月2日には試乗会を開催し、八王子~相模湖間を運転した。試乗会にはE233系にちなんで233人が乗車していた。
- 出場後同線内での試運転を開始し、2006年12月26日に、豊田5:10発の上り各駅停車東京行(列車番号528H)から営業運転を開始した。
京浜東北線仕様車
京浜東北線・根岸線向けは、浦和電車区配属予定。車両については、MT比6M4Tの10両固定編成のみを製造し、現行の209系0番台と同様に6号車に6ドア車を連結する計画である。
常磐緩行線仕様車
常磐緩行線・東京地下鉄(東京メトロ)千代田線向けの車両は、2008年夏頃から松戸車両センターに配属される予定である。
車両限界の狭い千代田線との直通運転用のため、既に同線で運行されている209系1000番台のような裾絞りのない車体となる。先頭車の前面には非常用貫通扉を設置する。現時点での運用範囲は取手駅~綾瀬駅~代々木上原駅間の常磐線・千代田線内のみで、小田急線への乗り入れの可否については未発表である。
また、概要でも前述したが、同じく千代田線に直通する小田急電鉄でも、直通対応車両として本系列をベースにした4000形を導入することを発表している。
その他
E233系1,698両の導入によって201系710両(観光用電車「四季彩」以外の全編成)、209系830両、203系170両、207系900番台10両がそれぞれ置き換えられる。内訳は10両固定編成143本(1,430両・中央快速線用が420両、京浜東北線用が830両、常磐緩行線用が180両)と6+4両編成15本(150両)および青梅線・五日市線区間運用の6両編成13本(78両)と4両編成10本(40両)となっている。
中央快速系統では、201系と比較してE233系の投入車両数は減少している。
現在のところトイレが設置されている、または設置が発表されている車両はない。
2007年4月2日より、車内の液晶ディスプレイで日テレNEWS24のヘッドラインニュースが視聴できるようになった。1分程度のものが放送され、1日4回ほど更新される。
関連項目
- JR東日本の在来線電車 (■国鉄引継車を含む全一覧 / ■カテゴリ) ■Template ■ノート
- 中央快速線
- 青梅線
- 八高線
- 五日市線
- 京浜東北線
- 根岸線
- 常磐緩行線
- トレインチャンネル
- 通勤・近郊電車の標準仕様ガイドライン