つくば科学万博の交通
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つくば科学万博の交通(つくばかがくばんぱくのこうつう)では、1985年3月17日~9月16日に茨城県筑波郡谷田部町(現、つくば市御幸が丘)で開催された国際科学技術博覧会(つくば博・科学万博)において、会場へのアクセス、ないしは会場内相互間の移動のための役割を果たした交通機関について記す。
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[編集] 会場アクセス
[編集] 万博中央駅
国鉄常磐線の牛久駅~荒川沖駅間(牛久駅から4.0キロ・荒川沖駅から2.6キロ)に、開催直前の3月14日(国鉄のダイヤ改正が、同日であったため)から閉幕日の9月16日まで、万博中央駅(ばんぱくちゅうおうえき、英語表記:BAMPAKU-CHUO STATION)という臨時駅を設置し、ここから会場まで「スーパーシャトルバス」という連接バスを3~10分毎に運行してアクセス拠点とした。駅から会場までの所要時間は約20分であった。ちなみに、駅のホームは相対式2面で、構内には旅行センターや国鉄直営の売店が設置されていた。
なお、地元民が閉幕後も「万博中央駅」の恒久的存続を請願したものの、当時の国鉄は設備が仮のものであるといった理由などで拒否し、実現しなかった。そこで地元民は、せめて駅があったしるしにと上下線間連絡のために使用されていた跨線橋を残すことを承諾させ、更に「飛翔」と題された記念碑を設置した。
しかし13年後の1998年3月14日に、万博中央駅が置かれていた場所に新たにひたち野うしく駅が開設された。これに伴い跨線橋は撤去され、碑はひたち野西公園に移設された。
[編集] エキスポライナー号
常磐線・武蔵野線の上野駅・我孫子駅・取手駅・大宮駅~万博中央駅・土浦駅間に、下りは7時~16時台、上りは12時~22時台にかけて、「エキスポライナー」という臨時快速列車が設定された。
運転区間の途中にある取手駅~藤代駅間には、直流電化と交流電化の接点であるデッドセクションが存在し、そのため同列車に使用できる電車はさほど数の多くない交直流電車の401系・403系・415系に限られた。そのため国鉄では我孫子駅・取手駅で国電と「エキスポライナー」を接続させる形にして車両の回転を早くさせたり、開催直前の1985年3月のダイヤ改正で、急行列車・寝台列車が削減されたことによって余剰となった車両を各所からかき集めるなどして、苦心の末輸送を確保した。中には、20系客車・583系電車のような寝台車を座席車扱いとして使用したものや、キハ58形気動車のように運転区間が全線電化されているにもかかわらず気動車を用いた列車もあった。寝台車については、座席になっている寝台の組み立てを行うことが横行し、車内アナウンスで「寝台を組み立てないでください」と再三放送された。
[編集] エキスポドリーム号
万博会場付近は元々人口が少ない地域であったため、宿泊施設が不足していた。そのため国鉄では6月1日~9月15日にかけ、「エキスポライナー」に使用していた寝台車の583系電車・20系客車を用い、土浦駅でホテル代わりに客を乗せて翌朝万博会場駅まで運ぶ「エキスポドリーム」という寝台列車を運行することにした。
同年8月の事例の場合、どの車両を使用した場合でも、土浦駅で21時37分~47分の間客扱いを行い、その後留置線に車両を送って翌朝まで待機させ、翌日7時43分~7時53分の間再び土浦駅で停車して発車し、万博中央駅に8時3分到着するという運用であった。
寝台券は、全国の駅・旅行代理店で土浦駅~万博会場駅間に有効な乗車券を持っている者に対してのみ販売されたが、当時国鉄のB寝台料金は20系客車の上中下段と583系電車の上中段が5,000円、583系電車の下段が6,000円であったのに対し、「エキスポドリーム」の場合はサービスとして均一3,000円とされた。
なお20系客車を使用した列車は、土浦駅での入替による機回しの煩雑さを省くため、廃車が近いEF80形機関車を客車両端に連結したプッシュプル運行としていた。
[編集] 割引乗車券やサービス
- 科学万博往復割引きっぷ
- 東北から九州にかけての全国各駅より、牛久駅・万博中央駅・土浦駅のいずれかの区間までの往復特別企画乗車券。発駅により運賃のみのものから、新幹線・特急列車の特急料金や寝台列車の寝台料金を含んだものまで、様々な種類があった。
- 科学万博キャリーサービス
- 駅に荷物を預けて宿まで運んでもらうか、逆に宿から駅まで荷物を送り、万博会場は荷物を持たずに見物できるようにしたシステム。東京駅・上野駅・土浦駅で取り扱った。
[編集] その他バス
万博中央駅以外にも、下記のような駅から連絡バスが会場まで運行されていた。
- 国鉄常磐線土浦駅 - 3~10分間隔・所要約30分
- 国鉄常磐線牛久駅 - 30~60分間隔・所要約30分
- 関東鉄道常総線水海道駅 - 10~40分間隔(多客期3~7分間隔)・所要約30分
- 国鉄東北本線古河駅 - 座席定員制「エキスポ号」を日4往復・所要1時間20分
国鉄バス土浦自動車営業所、関東鉄道谷田部営業所、土浦営業所、茨城観光自動車下高津営業所、東武バス境営業所が輸送を担当し、各社とも新車を投入して捌いていた。
[編集] ヘリコプター
東亜国内航空・朝日航洋・新日本国内航空により、東京国際空港(羽田空港)・東京ヘリポート・新東京国際空港(成田空港)などから万博会場へヘリコプター便が運行されていた。
[編集] 会場内交通機関
[編集] HSST
2005年開催の2005年日本国際博覧会(愛知万博)に先立って開通した愛知高速交通東部丘陵線で実用化されたHSST方式のリニモ(磁気浮上式鉄道)が、つくば博で試験車両のHSST-03を使用してデモ運行を行っていた。つくば博閉幕後は翌年のバンクーバー国際交通博に出展(カーブが設置された)、その後、岡崎葵博で展示、走行後,しばらく動態保存されていたが現在では愛知県岡崎市南公園で展示されている。
[編集] ビスタライナー
コンピュータ制御のミニモノレール。泉陽興業が製作し、Cブロック北ゲートとDブロックエキスポプラザの間を連絡していた。4人乗りの観覧車のようなかご形車両が、17両連なった編成であった。つくば博終了後、大阪万博跡地の万博記念公園にある「エキスポランド」へ移設された。
[編集] スカイライド
Dブロック内で使用されていたロープウェイ。つくば博後、東武動物公園で2003年まで使用された。
[編集] ポレポレバス
トヨタ自動車のマイクロバスコースターをベースに会場内を走った巡回バス。「ポレポレ」はスワヒリ語で「ゆっくり」と言う意味がある。会場内、通常は自動車の走行がなかったので、注意を促す意味で童謡「かっこう」のメロディーを流して走行した。運転台は左ハンドル。これはワンマン運転で、乗務員が停留所で運賃収受や車椅子の乗降補助を容易にするためであった。8台中4台は車椅子乗降リフト付き車両で、フロント部分を除き窓ガラスがなかったため、雨天・荒天時は運休することもあった。
[編集] 関連項目
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