国鉄EF80形電気機関車
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EF80形電気機関車(EF80がたでんききかんしゃ)は、日本国有鉄道(国鉄)が製造した交流直流両用電気機関車である。
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[編集] 概要
直流電化区間・交流電化区間のどちらでも走れる交直両用の電気機関車としてはEF30形が製作された。しかし、EF30形の交流性能は門司駅構内を走行できればいいという限定仕様のために交流区間の本格的な営業運転は考慮されていなかった(直流出力:1800kW/交流出力:450kW)。
しかし、常磐線の場合はデッドセクションが駅外(取手駅-藤代駅間)であること、交流区間が長いことから無停車での直流/交流切替が可能であること、交流、直流どちらでも性能が変わることなく走行できる汎用性の高い交直流電気機関車が必要であった。
停車中に交流と直流を切り替えるのではなく走りながら切り替えることができる車上切り替え方式を装備している(これは当時としては最新鋭の装備だった)。また、交直流両用機関車であり重量がかさみかねないということから、1台車1モーター2軸駆動、電気機関車には珍しいカルダン駆動方式採用などの、日本の鉄道車両としては新しい試みもなされており、車輪1軸あたりの荷重(軸重)16トン以下を実現している。細かく見ると、電気暖房用の電動発電機(EG)を搭載した旅客貨物両用機と、それを持たない貨物専用機の2タイプがある。
1962年に量産開始し、1967年までに63両が製造された。常磐線上野駅・田端操駅-平駅間及び水戸線に投入された。その後、1968年に交流電化区間50/60Hz双方に対応した後継形式のEF81形電気機関車が製造されたことにより徐々に運用を減らしていき、1987年までに全車が廃車され形式が消滅した。現在、36号機が大宮工場で、63号機が碓氷峠鉄道文化むらで静態保存されている。
[編集] 製造年次による変化
[編集] 1~30号機
1962年より製造されたグループ。全車EGを搭載している。50号機まで動力伝達方式は心皿方式。
[編集] 31~50号機
1963年より1966年までに製造されたグループ。全車EGを搭載していない。50号機までの車両は、後に前面窓上に庇が設置された。(これは交流機関車等に見られるツララ切りとしてではなく、埋め込み式になった前照灯部分に車体前面から上がってきた雨水が溜まり腐食することへの対策であるといわれている)
[編集] 51~63号機
1967年より製造されたグループ。側面エアフィルタ上の明り取り窓がHゴム支持になる、前照灯が埋め込み式から張り出し式に変更になる、等外観が変化している。心皿式の台車はピッチングが問題となったため、動力伝達方式が引っ張り棒方式になった。59号機から63号機までEGを搭載している。
[編集] 主要諸元
(1~30号機)
- 全長:17500mm
- 全幅:2805mm
- 全高:4240mm
- 重量:96t
- 軸配置:B-B-B
- 1時間定格出力:1950kW(直流・交流)
[編集] 関連項目
- 旧型機関車
- B・D型機(貨物用) - EB10 / AB10 - ED10 - ED11 - ED12 - ED13 - ED14 - ED15 - ED16 - ED17 - ED18 - ED19 - ED23 - ED24
- D型機(旅客用)- ED50 - ED51 - ED52 - ED53 - ED54 - ED55(計画のみ) - ED56 - ED57
- F型機(貨物用)- EF10 - EF11 - EF12 - EF13 - EF14 - EF15 - EF16 - EF18
- F型機(旅客用)- EF50 - EF51 - EF52 - EF53 - EF54 - EF55 - EF56 - EF57 - EF58 - EF59
- H型機 - EH10
- アプト式 - EC40 - ED40 - ED41 - ED42
- 私鉄買収機
- ED20 - ED21 - ED22 - ED25 - ED26 - ED27 - ED28 - ED29 - ED30 / ED25II - ED31 - ED32- ED33 / ED26II - ED34 / ED27II - ED35 / ED28II - ED36 - ED37 / ED29II - ED38 - ケED10 - デキ1(旧宇部) - ロコ1(旧富山地鉄) - デキ501(旧三信) - ロコ1100(旧南海)
- 開発史 - 日本の電気機関車史
[編集] 関連商品
EF80形電気機関車はNゲージ鉄道模型としてマイクロエースから製品化されている。
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