埼玉県立伊奈学園総合高等学校
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埼玉県立伊奈学園総合高等学校 | |
国公私立の別 | 公立学校(県立) |
設置者 | 埼玉県 |
設立年月日 | 1984年(昭和59年) |
開校記念日 | 6月8日 |
共学・別学 | 男女共学 |
中高一貫教育 | 併設(埼玉県立伊奈学園中学校) |
分校 | なし |
課程 | 全日制の課程 |
単位制・学年制 | 単位制 |
学科 | 普通科 |
所在地・連絡先 | |
所在地 | 〒362-0802 |
埼玉県北足立郡伊奈町大字羽貫1300-1 | |
電話番号 | 048-728-2510(代表) |
FAX番号 | 048-729-1003 |
テレフォンサービス | 048-728-1772 |
外部リンク | 学校公式ページ |
伊奈学園総合高等学校(いながくえんそうごうこうとうがっこう)は、1984年に創設された、全国で初めての総合選択制の普通高校。所在地は埼玉県北足立郡伊奈町。名称に「学園」が使われているが埼玉県立である。スーパーイングリッシュランゲージハイスクール(SELHi)に指定された。テレフォンサービスでは、伊奈学園の近況をテープの音声で聞くことができる。通称「伊奈学」。
目次 |
[編集] 特徴
普通科の進学校であり、全国初の総合選択制高校である。学内には埼玉県立伊奈学園中学校を併設し、6年間の中高一貫教育となっている。学校の規模が大きく、標準の高校の約3校分の生徒(約2400人)が在籍している(かつては3000人を超えていた時期もあり、「3000」という数字が文化祭テーマなどに象徴的に用いられていた)。そのため、「ハウス」と呼ばれる6つの校舎と教科棟により構成される。この6つのハウスと教科棟はモールと呼ばれる大きな渡り廊下によって繋がれている。モールには、購買部、弁当・パン・飲料を売りにくる店などもある。
また、校内には「文字情報システム」というテレビ放送モニターがハウス・モール・職員室などに設置されていて、常に学校の最新情報、生徒への連絡、部活動等の最新の成績などが放送されている。最近ブラウン管テレビから、コンピュータ付きの液晶テレビに交換された。年に数回、放送部による番組も放映される。この文字情報システムは2005年から2006年にかけてシステムが大幅に更新された。
さらに、東京ドーム3倍以上の広大なキャンパス(15万5千平方メートル)に充実した施設・設備が広がっていて、サッカー場、ラグビー場、野球場、ハンドボール場、弓道場、テニスコートなど、各部活ごとに、グラウンドが備えられている。その広さから、伊奈町の「いなまつり」での花火の打ち上げは伊奈学園のラグビー場から行われる。
2006年には、すべての教室にクーラーが設置された。また、教育面でも日本初の総合選択制の導入や7つの学系の導入など、ユニークなシステムをとっている。学系とは、系統的な学習をするためのコース制である。
伊奈学園は、公立の学校にも関わらず、ユニークで先進的な教育を行っているため、連日、国内外から視察団が訪れている。1984年には松永光文部大臣、1993年には森山真弓文部大臣、今上天皇・皇后が視察している。
[編集] 総合選択制
総合選択制とは、時間割を生徒自身で決定し組み立てる事ができるシステムの事である。伊奈学園には約190種類もの講座(科目)があり、生徒ひとり一人が自分にあった時間割を作ることができる。講座の人数が不足すると不開講になることもあり、必ずしも自分の作った時間割通りという訳でもない。
[編集] 学系
学系とは、系統的な学習をするためのコース制である。 伊奈学園には人文系・理数系・語学系・芸術系・体育系・情報経営系・生活科学系の7つがある。定員などはなく、自分の好きな学系を選べる(ただし、前期入試に合格したものはそのときに選んだ学系となる。)
- 人文系
- 理数系
- 語学系
- 体育系
- 芸術系
- 生活科学系
- 情報経営系
[編集] ハウス制
伊奈学園総合高等学校には、以下の「ハウス」とよばれる6つの校舎があり、生徒は学系に関係なくいずれかのハウスに所属する。各ハウスそれぞれに職員室(ハウスセンター)があり、それぞれに教頭(ハウス長)がいる。体育祭などの行事は、ハウスごとに競う。各ハウスにはそれぞれハウスカラーがあり、ハウスカラーの校章・上履きがある。自転車に貼る鑑札もハウスごとに色が異なる。
- 第1ハウス(国語棟)
- 平成15年から埼玉県立伊奈学園中学校となり、平成16年を最後に現在では高校生は在籍していない。3階には国語科の教科教室がある。ハウスカラーは赤色。
- 第2ハウス(外国語棟)
- 第3ハウス(社会棟)
- 第4ハウス(数学棟)
- 3階には数学科の教科教室がある。ハウスカラーは緑色。モールに出てすぐに購買コーナー・進路センター(1階は保健センター)がある。
- 第5ハウス(理科棟)
- 第6ハウスと向かい合わせにある。3階には理科の教科教室がある。ハウスカラーは水色。
- 第6ハウス(理科棟)
- 第5ハウスと向かい合わせにある。平成18年度体育祭優勝(19年ぶり)。3階には理科の教科教室がある。ハウスカラーは紺色(5ハウスと区別するため、たまに紫色などで代用)。
- ※芸術・家庭・商業棟
- 校内で唯一4階建ての建物である。1階が工芸教科教室・中央図書館・開放棟、2階が美術教科教室・商業教科教室、3階が家庭教科教室・書道教科教室、4階が音楽教科教室という配置になっている。ハウスカラーは茶色。
- ※体育棟
- 大体育館、第1体育館、第2体育館、第3体育館、剣道場、柔道場、保健体育教科教室がある。ハウスカラーは橙色。
- ※管理棟
- 事務局、校長室、会議室などがある。ハウスカラーは黒色。
通常の高校では自分の所属するクラス(ホームルーム、HRと略す)で授業を受けるが、伊奈学園は一人ひとりによって時間割が違うため、特に選択科目では自分のHRで授業を受けることが出来ず、講座が開かれる教室へ移動して授業を受ける。たとえば化学の授業を受けるには理科棟に移動して授業を受けることになる。
[編集] 部活動
約50の部活・同好会があり、とても盛ん。 高校では珍しいラクロス部などがあるほか、サッカー部などの大きなクラブでは部員が100名以上に達し、二軍、三軍が設置されている。
主な成績
- 吹奏楽部
- 全日本吹奏楽コンクールで金賞を受賞
- 全日本マーチングコンテストで金賞を受賞
- 管楽合奏コンテスト全国大会で最優秀賞を受賞
- 第15回環太平洋音楽祭に出場、同グランプリを受賞
- 第27回ウィーン国際青少年音楽祭に招待出場、同ウィーン大賞(グランプリ)受賞
- 男子バレーボール部
- 平成18年度全国高等学校総合体育大会(インターハイ)出場決定
- 第38回全国高等学校バレーボール選抜優勝大会出場(2年連続3度目)
- 弓道部
- 女子:平成18年度全国高等学校総合体育大会(インターハイ)出場決定
- 陸上競技部
- 毎年インターハイ・ジュニアオリンピックに多数出場
- 平成18年度インターハイ女子400m8位入賞、その他走り高跳び2名、走り幅跳び、4×100mリレー、マイルリレー、七種競技などが出場
- 400mトラック・ウェイトルーム(短距離)及び1kmタータントラック(長距離)完備
その他にも水泳部・バスケットボール部・硬式テニス部などが平成18年度全国高等学校総合体育大会(インターハイ)に出場した。
[編集] 進学実績
- 例年、国公立大学には30名以上。早稲田大学・慶應義塾大学・上智大学にも30名前後の合格者を出す。また法政大学・明治大学・立教大学・中央大学には各大学25名以上の合格者を出し、日本大学や東洋大学・獨協大学の大学合格者は県内トップになる年もある。
[編集] 文化祭
通称「いなほ祭」毎年9月初旬の土曜日と日曜日に開催される。全クラスが参加する出し物では各教室や校舎敷地の一部を利用したさまざまな催し物、模擬店が競うように出される。また各ハウスにはそれぞれのハウスの独自色を出したモニュメントや飾りつけが施される。また、HR毎にオリジナルのシャツ(クラスTシャツ)を作ることなどもする。そして体育館においては応援部の演技や先生方、学生の手によるライブなどが行われる。学園祭の閉祭式にその年のハウスモニュメントのベスト3・クラスごとの催し物のベスト3・クラスTシャツのNo.1の発表がある。また、中庭で行われる一般非公開の後夜祭では、自由参加ではあるが、打ち上げ花火などもあるため、多くの生徒が参加する。 一般来場者は毎年約15000人にものぼり、高校としては非常に大規模であり、校舎の広さと相まって要所に道案内人が配される他、迷子放送が流れることもある。同祭の来場者のために、路線バスや同校の最寄り駅である羽貫駅を擁する埼玉新都市交通伊奈線(ニューシャトル)ではこの時期にあわせて臨時ダイヤが組まれ、大幅に増発される。2006年は9月9日・9月10日に行われ、来場者は約12000人だった。
[編集] 校風・学校生活
- 校則は他の高校と比べると比較的緩い。
理由としては全生徒2400人を管理するのが難しいという理由もあるが生徒一人一人がきちんとした考えなどを持っているため校則が緩くても生徒は規則正しい学校生活を送れているから。
- 各ハウスごとに独特の雰囲気などがあり生徒同士でも他ハウスへ行くことに抵抗がある生徒も暫し見受ける。
- 文武両道の流れから、スポーツにも非常に力を入れている。準備体操として「伊奈体操」と呼ばれる独自の体操が行われている。体育は、春はスポーツテスト系、夏は水泳、秋及び冬はマラソン・柔道・ラグビー・バレーボール・サッカーが行われる。なお、ラグビーは県内でもごく一部の高校でしか行われていない。
- 近頃、学校周辺に大型ショッピングセンターが開発され住宅街も多く出来てきた。また最近ではマンションも建設中であり学校周辺の開発も進んでいる。
- 合格目安偏差値は62前後。
- 男子の制服は全国的にも珍しい紺色の学ランである。
- 生徒の男女の割合は女子の方が多く1学年で120名前後女子のほうが多い。(1学年800名の伊奈学園は約、男子340名・女子460名の生徒数)
[編集] 図書館
正式名称「伊奈学園中央図書館」。伊奈学園の図書館は、蔵書数8万冊を超える大規模なものである。そのため、図書室ではなく図書館と呼ばれている。本の種類も多種多様で、辞典・六法全書に始まり、電撃文庫や富士見ファンタジア文庫まである。海外留学生や、ALT(Assistant Language Teacher)などもいるため、ハリー・ポッターの英語版など、外国語の本も多々ある。ここにも「文字情報システム」のテレビモニターが設置されている。
[編集] 著名人出身者
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