列車の俗称
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列車の俗称(れっしゃのぞくしょう)は、列車の非公式な俗称・愛称について記す。
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[編集] あ行
- あおさぎ - 485系のグレードアップ車両を用いた特急「しらさぎ」は、「白鷺」の名前に反して青色系の塗装であったことから、「アオサギ」に引っ掛けてこう呼ばれた。同車両に置き換えられる前の国鉄特急色485系に対して、区別する意味合いもある。
- 赤いみどり - 1990年前後にJR九州の485系は外装が赤一色の車両にリニューアルしたが、佐世保線特急「みどり」でもその名前に反して赤一色となったことから。なお、JR九州は885系電車投入時に「白いかもめ」「白いソニック」との愛称をつけたが、「みどり」にも短期間であるが885系が充当された時期があり、一部からは「白いみどり」と呼ばれた。
- あさまずさ - 1997年の北陸新幹線開業後、余剰となった長野総合車両所所属の「あさま」用189系は、一部が中央東線の「あずさ」・「かいじ」用に転用されたほかは、廃車予定となっていた。同じ時期に、大月駅で衝突事故が発生し、E351系は予備編成が不足する事態となった。そこで廃車予定の189系で11両編成を組み、「スーパーあずさ」運用の一部を「あずさ」として代走させた。これらは廃車予定車のため本格的な転用整備はされず、深緑色のあさま色のまま運用についたことから、「あさま色のあずさ」を略してこう呼ばれた。「よもぎあずさ」との別称もある。
- アルピコあずさ - 「あずさ」に使われているE257系の塗装が、その目的地である長野県中部を地盤とするアルピコグループのバスのボディーカラーに類似する事からそう呼ばれる。
- ウソニック - JR九州の特急列車、ソニック (列車)がJR九州883系電車・JR九州885系電車以外の車両で運行された際に呼ばれるもの。詳細は、な行を参照。
- うばざくら - 特急「さくら」に用いていた20系客車の一部が事故によって使用不可能となり、代わりに10系客車を用いたことから。うばざくらも参照。
- エラー電 - JR東日本が国電に代わる愛称として名付けた「E電」に対して、常磐線などで当時遅延が多く発生していたことから皮肉ったもの。なお「E電」の呼称は定着せず、まもなく死語となった。
- オソーツク - JR北海道が札幌駅~網走駅間に運行する特急列車「オホーツク」の蔑称。室蘭本線(「スーパー北斗」)や根室本線(「スーパーおおぞら」・「スーパーとかち」)、宗谷本線(「スーパー宗谷」)に比べて、使用車輌の古さや石北本線の路盤改良などが極めて遅れており、所要時間が非常に長くかかっていることを皮肉ったもの。「ノローツク」とも呼ばれる。
[編集] か行
- かえだま - 151系電車を用いて運行されていた特急「こだま」号において、151系の故障・事故の際に急行列車用の153系電車を代わりに用いたことから付けられた。特急料金は割引となったが、「こだま」への乗車を楽しみにしていた子供を大きく落胆させたともいわれている。なお、157系を代替で用いた場合にも使用されていた。
- 隔駅停車 - 渋谷駅 - 元町・中華街駅間のうち、菊名駅 - 横浜駅間を除きほぼ1駅おきに停車する東急東横線・みなとみらい線の急行や、寝屋川市駅 - 京橋駅を除き停車回数が多い京阪本線の急行(約2駅に1駅停車)を皮肉って、「各駅停車」をもじったもの。
- カゴメ・エクスプレス - 1990年代にJR九州では485系電車を赤一色の塗装としていた。博多と長崎の間を結ぶ「かもめ」専用編成では、先頭車にKAMOME EXPRESSとロゴを入れていたが、色からカゴメの「トマトジュース」を連想した鉄道ファンがKAGOME EXPRESSと読み間違え、これが世に広まったもの。
- カニ族 - 1970年代に流行した若者の長期低予算旅行、ないしは登山家のスタイルのこと。横長のリュックサックを背負っており、長距離列車の通路を横向きでないと通る事が出来なかったため、背負った姿と歩く姿がまるで「カニ」のようだということから。尚、リュックが縦型の場合はエビ族と呼ばれる場合がある。
- からす - 山陽本線で戦後初めて運転された特急列車の「かもめ」号が、「カモメ」の見えない山中ばかり走ることと、蒸気機関車の牽引であったことから客車が黒く汚れていたため、鳥の「カラス」にかけた。内田百閒が、処女列車の乗車記「春光山陽特別阿房列車」で書いたのが始め。
- 緩行 - 各駅停車の電車を、「急行」をもじって呼んだもの。速度別の複々線を、「急行線(快速線)」・「緩行線」と呼び分けることもある(例: 中央快速線、中央・総武緩行線)。
- キセル編成 - 1970~80年代に通勤電車でも冷房化が進展したが、山手線や京浜東北線の103系の中には両先端に近い車両だけが冷房化されていて、中間車は非冷房の編成が数多く見られた。中間車の乗客にとってはだまされた感じになった為、両端だけが金具で不正乗車の代名詞でもある「キセル」に引っ掛けて「キセル編成」と呼ばれた。
- 空気輸送 - 列車が空気だけを運んでいる、すなわち利用者の極端に少ない列車のことを指す表現。
- ゲタ電 - 国電が、「列車」・「汽車」に対して「下駄」のように気軽に乗れるものであることから。なお、近年では旧型国電のことを指す用法もあった。
- ケバあいづ - 磐越西線の特急「ビバあいづ」が、シルバーメタリックを配した派手な色の専用車で運行されたことから、愛称と、厚化粧を意味する「ケバい」とかけられ、こう揶揄された。
- ゲロしお - 紀勢本線で運行される特急列車の「くろしお」・「スーパーくろしお」が、自然振り子式の381系で運行されており、乗り物酔いを起こす乗客の続出を揶揄した表現。関連して、同じく381系で運用に当たる伯備線の特急列車「やくも」も同様な意味合いで「はくも」と言われることがある。
- 酷電 - 国電の混雑が殺人的に酷いものであったことから、こう揶揄された。
- こだまレールスター - 山陽新幹線で運行されているこだまのうち、ひかりレールスター用車両(700系7000番)を使用して広島駅-博多駅間で運行されているこだま(上り夜1本(博多駅21時46分発こだま732号)、下り朝1本(広島駅6時48分発こだま723号))の事を指す。指定席車両・自由席車両などの配分についてはひかりレールスターの運用に順ずるが、サイレンスカー設定は無い(ただし、旅指南はきちんと機能する)。
[編集] さ行
- 最悪の特急 - 別名「C特急」(特急料金のA特急・B特急分類をもじったもの)・「ぼったくり特急」・「117系1850番台」。関東地区で特急「踊り子」号や「新特急」に投入された185系電車が、関西地区で一足早く登場した近郊形の117系電車と同等の座席(おまけに外観も走行性能も似ている)なのに、特急料金が必要な特急列車に使用されたため。なお現在は、185系全車がリニューアル工事を受け、座席が回転リクライニングシートに交換されたため、こう呼ばれることはない。
- さぎ - 80系電車を用いて運行が開始された急行「佐渡」・「弥彦」が、当時の急行としては相応しくない設備であったため、同じ上越線で運行されていた特急「とき」(朱鷺、鳥の名)に引っかけ、「鷺」と「詐欺」を掛けて皮肉ったもの。ただし、表定速度が高かったため、実際には急行用として一般的なスハ43系客車を用いた列車よりも乗車率は高かったという。
- サンリョーバード - 特急「サンダーバード」のうち、富山駅に発着するものは付属編成の3両だけだったことから。なお現在は富山発着の列車が基本編成で、七尾線乗り入れの列車が「サンリョーバード」である(多客時は付属編成2連の6両編成となる)。
- C寝台 - 列車の座席をベッド代わりに寝そべる行為の事。B寝台以下である事からこう呼ばれた。また、「ムーンライト九州」の展望室のテーブルをベッド代わりにする時も、こう呼ばれる。床に寝そべることを「D寝台下段」、網棚に寝ることを「D寝台上段」などとも言う。
- 準快速 - JR京都線・JR神戸線におけるものなど、昔に比べて停車駅が増えた快速列車を皮肉ったもの。なお、鹿児島本線では実際に「準快速」の種別を名乗る列車が運行されている。
- 湘南特急 - 湘南電車(80系電車)を用いて運行を開始した準急列車「あまぎ」が、東海道本線の特急列車「はと」と、東京~熱海間において同じ所要時間で走破する俊足を見せたことから。
- 食パン - 583系の中間車を改造して作られた419系・715系の先頭車が食パンに似た形状であることから。詳細は当該記事を参照のこと。
- 空(スカ)ライナー - 京成電鉄スカイライナーが運行開始後しばらくの間乗車率低迷に喘いでいた事を揶揄して。
- 銭取られるライナー - 313系電車8000番台を用いて運行される「セントラルライナー」のこと。「定員制快速」とうたわれているものの、立ち席になると実質特別料金を取らない快速列車と変わらなくなることや、専用車両の313系8500番台自体も東海道線名古屋地区の特別快速・新快速で使われる313系0・300・5000番台とあまり変わらない(外装と、車内はドア簡易仕切りの有無、カーテンなどが違うだけで、座席もほぼ同じ)こと、当列車の設定で快速列車の本数が減少し不便になった上、早朝・深夜は普通・快速運用にも入ることから、中央西線沿線の人などからこう揶揄されている。「銭トラレライナー」・「銭取(ぜにとる・ぜにとり)」・「銭」とも呼ばれる。
- ソニックかもめ - 885系で運行される白いかもめとソニックの専用車両がそれぞれ逆の運用(かもめ用編成がソニックとしての運行に付いたりソニック編成がかもめとしての運行に付く事)になった事を指して呼ばれる。車両運用の都合で起こることが多い。
- 遜色急行 - 近郊形電車や一般形車両などのロングシート部の多い車輌や格下げ車を用いて運行された急行列車を皮肉ったもの。なお、国鉄711系電車などのように近郊型車両であっても急行としても十二分に通用する設備の車両の場合には「遜色急行」には含めないことが多い。逆に、昔は優等列車として通用していたが、80系電車のように、後継車と比較されて「遜色急行」と揶揄されたケースもある。
[編集] た行
- 太公望列車 - 紀勢本線(西線)で運行されていた夜行普通列車が、主に沿線での釣り人に使われたため、釣り人のことを周代に釣り人から政治家になったと伝えられる呂尚の別名である「太公望」と呼ぶことに因んでつけられた。
- 第3文型踊り子 - 「スーパービュー踊り子」の省略形が「SVO」で、英語の第3文型(S=主語・V=動詞・O=目的語)と同じことから。
- タンコロ - 江ノ島電鉄100形など、機関車や電車・気動車が1両編成(単行)で走る列車のこと。「単独で転がる」ということから。
- 千鳥停車 - ダイヤグラムにおいて、列車種別ごとに停車駅を分散させることにより、本数の増発を図る手法のこと(阪神本線や西武池袋線などで実施)。列車が酔客の「千鳥足」のように、あちこちで停まったり通過したりすることから付けられた。提唱者は川島令三とされる。
- チョン行 - ごく短距離(2駅間など)を走る列車のこと。「ちょっと」という意味がある。
- 特別鈍行 - 普通列車に特急形車両が使用された場合、普通列車としては豪華な車両設備であることから、こう呼ばれた。ただし、185系電車や373系電車の場合は、元々これらの形式が普通列車での使用を考慮したものであったことから、こう呼ばれることは少ない。
- 特急トンヘ - 「日本海呼称問題」から、日本海を東海に改称した場合、特急「日本海」と「東海」の両者がまぎらわしくなるとして、韓国語で「東海」を読み韓国側の主張を皮肉ったもの。また同様に、「JR東海」を「JRトンヘ」と呼ぶ場合がある。
- 殿様あさかぜ - 特急あさかぜの博多発着の1往復が、1972年に個室寝台車2両を含む5両のA寝台車にグリーン車1両を連ねた編成となったことから付けられた。1975年の山陽新幹線博多開業の際にA寝台車とグリーン車が減らされてこのあだ名は消えたが、20系客車の中では最も豪華な編成として語り継がれている。
- 鈍行 - 普通列車(快速列車を除く、多くは各駅停車のもの)のことを指し、特急や急行などの優等列車に比べて「鈍足」であると言う意味が含まれている。
[編集] な行
- 偽ソニック(ウソニックとも) - 通常は883系電車を使用するJR九州の特急列車、『ソニック』が1997年から2000年まで一部便が485系レッドエクスプレス車で運行されていた際に、『883系は振り子式である事に対し485系はそうでなかったため、883系運行便よりもかなり所要時間が長い』という事で、『偽り(ニセ)のソニック、嘘のソニック』から付いた蔑称。その他、同列車が特別に、JR885系電車、883系電車以外の車両で運行される運用に対してもそう呼ばれる。
[編集] は行
- ひぞみ - 東京 - 名古屋間で、途中新横浜・小田原もしくは豊橋(一部列車は新横浜のみ)にしか停車しない岡山行き「ひかり」のことを指す。新大阪行きの「ひかり」と違って途中「のぞみ」の待避がないため、東京 - 名古屋間を早く、安く、座って移動したい利用者がよく利用している。しかし、名古屋から先は終点の岡山まで(上りは当然逆で岡山から名古屋まで)各駅に停車し、「のぞみ」3本(臨時含む)に追い抜かれるため、早朝の上りや夕方~夜間の下りを除けば名古屋~岡山間の利用者はほとんどいない。
- ひだま - 1980年のダイヤ改正で、東海道新幹線において従来各駅停車の「こだま」しか停車していなかった一部の途中駅に、何本か速達列車の「ひかり」が新たに停車するようになったため、その「ひかり」を「こだま」に準ずる列車ということでこう呼ぶようになった。なお、現在の東海道新幹線における「ひかり」はすべてこの「ひだま」タイプの列車になっており、さらに山陽新幹線では「こだま」を日中に設定せず、各駅停車の「ひかり」でその代用をしていた時期があった(中には、京都駅~博多駅間各駅停車という列車もあった)。
- ヒルネ - 寝台券を購入せずに、寝台列車の寝台車を立席特急券などで昼行列車代わりに使用できる区間のことを、寝台車の表記記号「ネ(寝床の略)」と「昼行」を掛け、「昼寝」としたもの。または、朝夕のラッシュ時に輸送力増強のために運転し、昼間は車庫にいる車両のこともさす。
- ブランド種別 - JR中央快速線の中央特快や京阪電鉄のK特急、小田急電鉄の特急ロマンスカーなど、種別の前後に路線名や社名が入る列車種別のこと。
- フレートナイナー - コンテナ貨物列車「フレートライナー」にコンテナが僅かしか載ってない状態のもじり。コンテナ車のフレームが連なる様からフレームライナーとも呼ばれる。
[編集] ま行
現在該当なし。
[編集] や行
[編集] ら行
- 離婚・再婚列車 - 米子駅~博多駅を結んでいた急行列車「さんべ」のうち1往復が、長門市駅で美祢線経由・山陰本線経由の編成に分割した後、また下関駅で併結(上り列車は下関駅で分割して長門市駅で併結)していたので、「別れてまた会う」ことから離婚と再婚にかけたもの。なお、西村京太郎のトラベルミステリーにも使用された。
[編集] わ行
現在該当なし。
[編集] 関連項目
- 愛称
- 鉄道の車両愛称
- 列車愛称
- 鉄道関係の俗称
- 鉄道車両・船舶の俗称
- 鉄道路線や駅・施設に関する俗称
- おんぷちゃんねる(鉄道画像・音声・動画などの投稿掲示板。ここから生まれたものも多い)
- ジョーク(日本国内外の多種多様なジョークが記述されている)
[編集] 参考文献
- 『鉄道なるほど雑学事典』(川島令三、PHP研究所)
- 『国鉄の戦後がわかる本(上・下)』(所澤秀樹、山海堂)
- 『列車愛称の謎』(同上)
- 『私鉄史探訪60年』(和久田康雄、ジェイティービー)
- 『新幹線がなかったら』(山之内秀一郎、東京新聞出版局)