大崎市
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大崎市(おおさきし)は、宮城県北西部の大崎地方に属する市である。
2006年3月31日、古川市、遠田郡田尻町、志田郡三本木町・松山町・鹿島台町、玉造郡岩出山町・鳴子町の1市6町が新設合併して誕生した。県内において人口は仙台市・石巻市に次ぎ3番目となり、面積も隣の栗原市に次ぎ2番目となった。
目次 |
[編集] 地理
南は松島町に接し、北は秋田県、西は山形県と境を接する。仙台平野(または仙北平野・大崎平野)において農業が盛んなほか、電子機器工場、精密機械工場、住宅建材工場が立地している。中心市街地の古川地区は宮城県北部地域の商業・サービス業の拠点であり、市内最北西部の鳴子地区は温泉観光地である。市内東南部の鹿島台地区・松山地区は、主に東北本線利用で仙台市への通勤圏になっており、旧町単位では仙台都市圏に含まれている(→古川都市圏)。古川-仙台間は、東北新幹線・高速バス(高速古川、特急古川)・自家用車等で通勤・通学する者も多い。
[編集] 山岳
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[編集] 河川
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[編集] 湖沼
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[編集] その他
[編集] 歴史
旧自治体の歴史は旧自治体のページを参照すること
- 2003年7月1日 - 大崎地方合併協議会が設立され、同年7月7日に第1回協議会が開催されたのを皮切りに2006年3月11日まで計43回の合併協議会が開催された。事務局は古川市旭(現大崎市古川旭)の宮城県古川合同庁舎(2006年4月1日宮城県大崎合同庁舎に改称)内に置かれた。
- 2005年
- 2006年(平成18年)3月31日 - 古川市および遠田郡田尻町、志田郡三本木町・松山町・鹿島台町、玉造郡岩出山町・鳴子町が合併し発足。
市名の由来である「大崎」とは大崎市・加美郡・遠田郡一帯の広域地名で、中世に関東よりこの一帯に移住した豪族・大崎氏に由来する。大崎氏は室町時代に奥州探題に任ぜられ大いに権勢を誇ったが、豊臣秀吉の奥州仕置により滅亡し、その後は伊達氏の領土となった。
[編集] 行政
- 市長:伊藤康志(いとう・やすし 1949年9月29日生まれ 小牛田農林高校卒 前県議会議長)
- 助役(呼称は副市長):高橋伸康(たかはし・のぶやす=第一副市長)、河合堯昭(かわい・たかあき=第二副市長)
- 教育長:伊東敬一郎(いとう・けいいちろう)
- 地域自治組織・市民協働アドバイザー:櫻井常矢(さくらい・つねや 高崎経済大学地域政策学部助教授)
- 市役所本庁舎は古川、市議会と東部農業委員会は三本木、教育委員会と西部農業委員会を岩出山の各総合庁舎に配置している。2010年代を目途に古川地区に新市役所庁舎の建設が予定されている。
- 合併後の選挙で市長が選出されるまでは佐々木謙次(前古川市長)が市長職務執行者を務めた。
[編集] 行政目標
新市長に当選した伊藤氏は新市の政策として以下の公約を公表している。病院建設については当選より5ヵ月後の9月議会において計画延期を表明した。
- 大崎市民病院の現在地での早期改築、在宅介護の充実、地域の治安向上、障害者自立支援
- 一万人雇用機会の創出(流通団地整備、企業誘致、アグリビジネス振興、観光湯巡り街道)
- 第二県都づくり(古川中心部の都市機能強化、24時間型保育所整備、近隣市町との政策連携)
- 行革(行政の効率向上、生産性向上、外部からの専門家登用、市財政健全化)
- 教育(「おおさき宝塾」の創立、中高一貫教育推進、大学誘致)
- 古川の都市機能強化、アクセス道路整備、都市改造
- 観光振興(アジアからの観光客誘致)
[編集] 合併及び新市成立に至る経緯
「大崎市」という市名は、一般公募で集まった2292種類(応募件数10151件)の中から、合併協議会が第1次選考で17点、第2次選考で10点、最終選考で6点(大崎、おおさき、北宮城、古川、ふるかわ、宮城)に絞り込み、最終的に委員57人の投票で決定した(決戦投票結果は、「大崎」45票、「古川」7票、無効1票、欠席4人)。
当初から「最終的には合併協委員の投票で決める」と住民にも知らせていたが、公募の有効件数9737件のうち4010件が「古川」であったため、「大崎」(1133件)という名称には古川市で反対運動が起こり、古川市の住民意向調査(18歳以上の市民1万人抽出)では「反対(どちらかといえば反対を含む)」が過半数にこそ達しなかったものの、「賛成(どちらかといえば賛成を含む)」を7.89%上回った。[1]
それでも1市6町は「将来を見据えた合併は必要」と主張し、合併期日を2005年4月1日として合併協定書に調印した。しかし、古川市議会は合併関連議案を否決(6町議会のうち5町議会は全議案可決、三本木町は廃置分合議案は可決したが議員定数議案のみ否決)。これを受け古川市の佐々木謙次市長(当時)は、市民の信を問うため一旦辞任して出直し市長選に再出馬、3度目の当選を果たした。結果、期日を1年遅らせ、市民病院建設の前倒し等を条件に古川市議会の逆転賛成多数を得て「大崎市」が実現するという経緯をたどった。
しかし、「新市名を『古川市』に変更する」という佐々木市長が出直し市長選で掲げた公約は、6町の反対で断念した。これにより古川市では、合併の是非を問う住民投票を求める声が上がったが、市議会で否決された。住民投票に反対した市議13名は合併に賛成、住民投票に賛成した市議11名は合併に反対と完全に一致している。
- 古川市以外の住民意向調査等の動き
- 鳴子町の住民意向調査(18歳以上の町民全員)では合併反対が過半数だったが、高橋勇次郎町長は「住民投票は参考資料。合併是非は議員が決めるべき」と合併を推進した。合併反対派の町民グループが、合併の是非を問う住民投票実施を求める直接請求を行ったが、町議会が否決した。
三本木町では合併の是非を問う住民投票が行われたが、佐藤武一郎町長は「いかなる投票結果になろうと合併を推進する」と表明した。結果、投票率は開票用件の50%以上に満たず、開票されなかった。
岩出山町の住民意向調査では、「時代の流れなので合併はやむを得ない」を含めた賛成多数が50%を超えた。しかし、「時代の流れ」以外の合併賛成票は、合併反対票を下回っている。岩出山町では、参考として岩出山中学校の生徒にもアンケート調査を行った。
田尻町では、住民意向調査で古川市中心の合併を望む声が、わずかに大崎地方東部6町の合併希望を上回った。その前に行われた町職員対象の意向調査では、古川市中心希望が圧倒的に多かった。
大崎市の合併の動き
当選に決定的に作用するほどの論点となった公約である「新市名称を古川市に(古川市長選)」と「市民病院を現在地に早期改築(大崎市長選)」の双方を旧古川・大崎の両市長が当選後に撤回したこと、古川市議会での可決の原動力となった市民病院建設の前倒しも実は財政上実現性に乏しいものであったこと、仙台都市圏にも含まれる町(松山、鹿島台)までを市域にした一体性の乏しさなど、全国にも類を見ない合併により誕生した大崎市の行方は予断を許さない。実際に大崎市になると合併協議会での試算を覆す財政難がマスコミによって報じられ、合併後間もない2006年9月には市民病院の本院と岩出山分院の建設も延期、建設(改築)時期は未定となっている。
また期日が遅れたと同時に、合併協定調印式の際に調印された内容も変更され、合併協定書の原本はホームページ上では公表されていない。なお、協定書の原本が公開されないのは全国では珍しいケースである。(協定書の中身は、ホームページ上で見ることは可能)
大崎市という名称に反対していた旧古川市民の一部が、「条例を改正して市名を古川市に変えよう」という運動を展開し、市役所近くに看板も掲げている。しかし、合併反対派だった議員や住民も、議論の中身を「大崎市でどのようなまちづくりをすべきか。財政健全化をどう進めるか」という方向に移しており、市名変更の可能性は低いとみられる。
[編集] 大崎市流地域自治組織
旧市町単位で地域自治組織「まちづくり協議会」が設置されている。地域自治組織とは、「地域のことは地域で考え、地域で解決していくための仕組み」のこと。(編集中) [2]
[編集] 警察
- 古川警察署(管轄:旧古川市、旧松山町、旧三本木町、旧鹿島台町及び旧田尻町)
- 合併翌日の2006年4月1日付で、それまで旧小牛田警察署が担当してきた旧田尻町も管轄となった。
- 鳴子警察署(管轄:旧鳴子町及び旧岩出山町)
[編集] 病院
[編集] 経済
[編集] 産業
[編集] 第一次産業
[編集] 第二次産業
[編集] 第三次産業
古川地区に集中的に立地。鳴子地区は温泉やスキーなどの観光業が盛ん。
[編集] 商工団体
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[編集] 教育
[編集] 大学・短期大学
[編集] 高校
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[編集] 中学校
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- ※岩出山中の校舎は建築家山本理顕氏の設計による現代建築で、「風の翼」が象徴的である。
[編集] 小学校
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- ※古川一小と三本木小は、文部科学省が推進する「学力向上フロンティア」指定校(フロンティアスクール)である。
[編集] 特別支援学校
[編集] 交通
[編集] 鉄道
- 東日本旅客鉄道(JR東日本)
[編集] 鉄道所要時間
- 東北新幹線 東京-古川間は所要時間約2時間 仙台-古川間は約15分である。古川駅には日中1時間に1本程度停車する。
- 陸羽東線 小牛田-鳴子温泉間は日中1時間に1本程度運行されている。古川-岩出山間は約20分、鳴子温泉までは約45分、古川-小牛田間は約15分。鹿島台・田尻方面へは小牛田駅で東北本線へ乗り換え。
- 東北本線 仙台-小牛田間は日中1時間に2本程度、小牛田-一ノ関間は日中1時間に1本程度運行されている。仙台-鹿島台間は約35分、小牛田までは約45分、田尻までは約55分。古川・鳴子温泉方面へは小牛田駅で陸羽東線へ乗り換え。
[編集] 高速バス
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[編集] 路線バス
ミヤコーバスが古川駅前を基点として市内各所(鹿島台地区を除く)や栗原市・加美郡・遠田郡・黒川郡などへ運行している。ほかに鹿島台駅前から遠田郡涌谷町への南郷線がある。また、鳴子・岩出山・田尻・鹿島台の各地域内において旧町営の路線を引き継いだ市民バスを運行しており、大郷町の住民バスも鹿島台駅前まで乗り入れている。
[編集] 道路
[編集] 高速道路
[編集] 一般国道
[編集] 県道
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[編集] 名所・旧跡・観光スポット
[編集] 観光・レジャー
鳴子地区は温泉を主とした観光地区で、ホテル・旅館が多く立地する。陸羽東線の駅名を温泉付きに改名するなど、温泉観光には力を入れている。冬はスキー場観光、秋の鳴子峡紅葉観光でも有名である。
岩出山地区は仙台移転前の伊達氏の居城である岩出山城があり、歴史的建造物や遺構が数多く残る。
田尻地区の蕪栗沼(かぶくりぬま)はラムサール条約登録の渡り鳥の飛来地で、野鳥観察が行える。
松山町地区は日本酒(一ノ蔵)の醸造工場がある関係で酒ミュージアムがあり、酒造りの工程や道具の展示のほか、酒の歴史や酒酔いのしくみ、酒器などの雑学も学べる。
三本木地区の「ひまわりの丘」は夏季には視界一面がひまわりの花で埋め尽くされる。
鹿島台地区では江戸期・明治期以来の排水施設(注・但し所在地は松島町である)や、「わらじ村長」と呼ばれ、水害克服と品井沼干拓事業に尽力した鎌田三之助の功績を称える施設が有り、鹿島台地区の水害の脅威と水害克服の歴史を学ぶことが出来る。
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[編集] 文化財
- 恵比須田遺跡(田尻)
- 木戸瓦窯跡(国の史跡、1976年指定、田尻)
- 中沢目貝塚(国の史跡、1988年指定、田尻)
- 祇劫寺(本堂は県指定文化財、田尻大貫字宿上屋敷)
- 山畑横穴古墳群(国の史跡、1973年指定、三本木)
- 石雲寺のコウヤマキ(県指定天然記念物、松山千石大欅):北緯38度30分18秒,東経141度2分56秒
- 茂庭家霊屋(県指定文化財、松山)
- 須江家住宅(県指定文化財、岩出山)
- 青塚古墳(市指定史跡、古川)
- 瑞川寺山門(市指定文化財、古川)
- 安国寺・木造阿弥陀如来坐像(県指定文化財、古川)
- 熊野神社・銅造阿弥陀如来像懸仏(県指定文化財、古川)
- 長久寺のマルミガヤ(県指定天然記念物、古川)
- 大吉山瓦窯跡(国の史跡、古川)
- 宮沢遺跡(国の史跡、古川)
- 名生館官衙遺跡(国の史跡、古川)
[編集] 祭事・催事
1月14日のどんと祭(裸参り)、4月下旬の桜まつり、8月の夏祭り、春と秋の互市は市内各地で催される。
[編集] 祭り
- 加護坊桜まつり(4月下旬~5月上旬、田尻)
- 大豆坂地蔵尊例大祭(4月24日、三本木)
- 菜の花まつり(5月、三本木)
- 藤まつり(5月、古川)
- 祗園八坂神社例大祭(7月13日~15日、古川)
- 古川まつり(8月2日~4日、古川)
- 内川夏まつり 有備館まつり(8月第2土曜日、岩出山)
- ひまわりまつり(8月、三本木)
- ザ・祭り IN さんぼんぎ(8月14日、三本木)
- 加茂神社例大祭(8月22日~23日、田尻)
- 全国こけし祭(9月上旬、鳴子)
- 政宗公まつり(9月第2土日曜日、岩出山)
- 米倉鹿嶋神社の献饌行事(県指定無形民俗文化財)(9月9日~10日、古川)
- 熊野神社例祭(9月18日~19日、田尻)
- コスモスまつり(9月下旬、松山)
- 正一位 斗瑩稲荷神社秋季例大祭(10月9日~10日古川荒谷)
- 古かわ里の秋まつり(10月第4週土日、古川)
[編集] イベント
- 互市
- 古川八百屋市(やおやまち)(4月~6月の三と七の日)※7月から11月までは毎週日曜日「日曜朝市」を開催
- 田尻互市(4月4日~5日、11月上旬)
- 鹿島台互市(4月、11月の10日~12日)
- 岩出山互市(4月、11月の15日・16日)
- 田尻クロスカントリー大会(2月第1日曜日、田尻)
- パークゴルフ全国交流大会「さくらカップ」(4月下旬(前夜祭、大会)、田尻)
- 鳴子牛COWニバル(7月下旬、鳴子)
- ジャンボ肉まつりinたじり(8月第4日曜日、田尻)
- 政宗公杯モトクロス大会(11月上旬、岩出山)
- 岩出山バルーンフェスティバル(11月下旬、岩出山)
[編集] 出身有名人
- 吉野作造(旧古川市出身、政治学者・思想家、吉野信次の兄)
- 吉野信次(旧古川市出身、商工大臣・運輸大臣等歴任、武蔵大学学長、吉野作造の弟)
- さとう宗幸(旧古川市出身、現在は仙台市在住、出生地は岐阜県可児市)
- フランク永井(旧松山町出身、歌手)
- 横山義則(旧古川市出身・東北放送記者←元岩手めんこいテレビアナウンサー)
- 名取春仲(江戸時代の天文暦学者、旧岩出山町出身)
- 佐左木俊郎(作家、旧岩出山町出身)
- 二階堂トクヨ(日本女子体育大学創始者、旧三本木町出身)
- 中鉢良治(SONY社長兼エレクトロニクスCEO、旧鳴子町出身)
- 只野直三郎(旧田尻町出身・昭和期の政治家、衆議院議員)
- 鎌田三之助(旧鹿島台村(後の旧鹿島台町)の「わらじ村長」、衆議院議員)
- 佐藤秀司(旧古川市出身、将棋棋士=第23期新人王、実際は旧栗原郡瀬峰町生まれ)
- 佐藤利三郎(旧古川市出身、工学者、東北大学名誉教授、東北学院大学名誉教授)
- 高泉淳子(旧古川市出身、女優・劇作家)
- 宍戸治一(旧岩出山町出身、プロバスケットボール選手=大阪エヴェッサ所属)
- 園部秀雄(岩出山出身、女性なぎなた範士)
- 高橋清治郎(鳴子出身、元衆議院議員、元旧鳴子町長)
- 鈴木直之進(旧大貫村(後の旧田尻町)出身、幕末期の剣客。)
[編集] 外部リンク
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