埼京線
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埼京線(さいきょうせん)は、東京都品川区の大崎駅から埼玉県さいたま市大宮区の大宮駅を結ぶ東日本旅客鉄道(JR東日本)の近距離列車の運転系統としての鉄道路線の名称である。
目次 |
[編集] 路線データ
※括弧書きは直通運転を行う川越線大宮~川越間を合わせたデータ
- 区間:大崎~池袋~赤羽~武蔵浦和~大宮(~川越) 36.9km(53.0km)
- 大崎~池袋 13.4km(山手線)
- 池袋~赤羽 5.5km(赤羽線)
- 赤羽~武蔵浦和~大宮 18.0km(東北本線)
- (大宮~川越 16.1km)(川越線)
- 駅数:19(23)
- 軌間:1067mm
- 複線区間:大崎~大宮(~日進)
- (単線区間:日進~川越)
- 電化区間:全線(直流1500V・架空電車線方式)
- 運転方式:
- 保安装置:
- 最高速度:100km/h
[編集] 概要
狭義の「埼京線」を構成する鉄道路線の正式名称は、大崎駅から池袋駅までが山手線(山手貨物線)、池袋駅から赤羽駅までが赤羽線、赤羽駅から大宮駅までが東北本線(通称「通勤新線」または「東北別線」で、東北新幹線上野~大宮間建設の見返りとして新幹線に併設された東北本線の別線)である。この通勤新線開業と同時に電化開業した川越線の大宮駅~川越駅間と一体的に運用されている。しかし、埼京線の名称自体が正式なものではなく旅客案内上の愛称であるため、駅の案内や車内放送でも、駅員や車掌によって埼京線と川越線を区別する場合としない場合があるなど統一はされておらず、車両のLED表示も全て「埼京線」となっているなど、その定義は曖昧である。この現象は京浜東北線又は横浜線と根岸線についても同様である。
現在では、赤羽線の名称が旅客案内などで使われることはないが、JR貨物も運賃計算上使用することから正式名称として残っている。なお、赤羽線の貨物列車は1999年に廃止している。
大崎駅では、2002年から東京臨海高速鉄道りんかい線と相互直通運転を実施しており、新木場駅まで埼京線の車両が乗り入れている。
日中は20分サイクルで新木場~川越間の全区間を走る快速が1本、新宿~大宮(または赤羽)間の各駅停車が2本(うち上り新宿発・下り大宮発の時点で快速の前を走る各駅停車1本は新宿~大宮間の運用で武蔵浦和で快速の待ち合わせを行う。もう1本は通過待ちは行わないが、40分に1本が赤羽折り返しとなる)のパターンダイヤとなっている。
また、山手貨物線に乗り入れる大崎駅~池袋駅間では、線路を共用する湘南新宿ラインと共に、実質的に山手線の快速線として機能しており、同区間の輸送力増強に貢献している。
埼京線の輸送量は、首都圏では山手線に次いで2位の座にあり、ラッシュ時は非常に混雑する。過去には200%をゆうに超えていた池袋~新宿の乗車率は、湘南新宿ラインの開業により、2004年11月時点で170%程度にまで下がっているが、依然として、大宮方の車両、特に6扉車の組み込まれていない編成の列車を中心に、かなり混雑している(参照:[1])。
名称については埼玉県と東京都からそれぞれ1字ずつ取ったものである。本来ならば、「京葉線」のように起点側の「京」の方が先になるのが普通であるが、新幹線建設の見返りとして開業した区間(赤羽~大宮)のうちかなりを占める埼玉県側に配慮して「埼」の文字が頭に来ている。両者を合わせた地域を指す「京埼(けいき)」・「東埼(とうさい)」という用語も存在するが、これらは一部の橋梁名や広告で見られる程度である。また、「さいきょう」という読み方は湯桶読みである。国鉄においては長らく複数の地名から一文字ずつを取った路線名は実際の読み方にかかわらず音読みもしくは訓読みのいずれかに揃える習慣があったが、この時期には実際に地名に即した読み方を優先するようになった。
埼京線では各駅停車の他に快速と通勤快速が運行されている。快速運転区間(赤羽~大宮間)を過ぎると京浜東北線と同様に行先表示の快速表示を消している。以前は上り電車の場合赤羽以南の大崎・新宿駅まで快速・通勤快速の表示を行っていたが、2005年頃からこの表示を消すようになった。なお、大宮から先の川越線では路線が変わる上、川越線内は日中すべての列車が快速であり「日中は日進、指扇、南古谷には列車が1本も停車しないのではないか」と利用客が誤解するのを避けるため、下り快速、通勤快速の川越方面行は大宮駅到着前に各駅停車の表示に替えて入線している。しかし、通勤快速が武蔵浦和の出発直後に表示を替えてしまい、各駅停車表示の列車が中浦和や南与野などの駅を通過するというトラブルもあった。
首都圏の国鉄では初めて本格的に自動進路制御装置(PRC)が導入された路線であり、21世紀に入るまで長年「反転フラップ式発車標」(通称:パタパタ)を各駅で使い続けた路線である。この装置は大崎延長時にATOS対応のLED式発車標に置き換えられ、2005年7月31日にはPRCの装置自体もATOSに役目を譲って使用を終了した。
[編集] 沿線風景
赤羽駅付近から北与野駅~大宮駅間までの区間では東北新幹線と並走しており、高架上を走る。北与野駅のホーム北側から高架を下り始め、そのまま大宮駅の地下ホームに滑り込む。
車窓の風景は変化に富み、都心のショッピング街、オフィス街、住宅地、広大な荒川土手、高架から遠くに望む山々、さらに乗り入れ先のりんかい線と川越線も含めると海や田圃を見ることもできる。
[編集] 通勤新線
当初、通勤新線は赤羽~宮原間を建設し、混雑が甚だしい高崎線に乗り入れて新宿へ直通させる構想であった。しかし、埼京線の車両基地用地として候補に挙がっていた浦和市(現・さいたま市)のロッテ浦和工場の買収が難航し、急遽川越線を電化すると共に南古谷駅付近に車両基地を建設することになったため、こちらの工事を優先する必要性に迫られ、大宮~宮原間の建設は中止となった。
埼京線の赤羽~大宮間の各駅は15両編成に対応できるようにホームの準備工事が済ませてある。このうち南与野駅と戸田公園駅に設置されている快速の通過線は、本来は特急列車を運行する際に利用する目的であった。また、大宮~日進間の高崎・川越線並走区間で川越線側に4線分のトンネルや合流用地が確保されている他、高崎線の大宮~宮原間も立ち退きがほぼ完了し、複々線化用地がほぼ維持されている。しかし、高崎線の池袋・新宿直通はJR化後に貨物線を利用して実現し、現在では湘南新宿ラインへと発展している。これを受けて運輸政策審議会の答申からも計画が削除されたこともあり、大宮~宮原間の開業の可能性はほとんどないと思われる。但し、高崎線と川越線の並走区間に新駅を設置する構想がある。ただ、高崎線の幾つかの駅では、通勤新線または埼京線の乗り入れを求める看板が現在も残っている。また、上尾市は以前さいたま市と行っていた合併協議(破綻)でこの区間を利用した埼京線か京浜東北線の上尾駅延伸を見返りとして要求していた。
[編集] 問題点と課題
埼京線は、池袋駅~大崎駅間の線路を湘南新宿ラインと共用していること、乗り入れている川越線が日進駅以西が単線であることなどから、長所のみならず短所も様々なものがある。
[編集] ダイヤ設定・運行管理
- 現在、湘南新宿ラインは15分間隔で運転されているが、埼京線は20分間隔であるため、両者のダイヤパターンが合っていない。そのため、大崎駅~池袋駅間では湘南新宿ラインと埼京線快速の運転間隔にばらつきがある。原因は川越線の単線区間での列車行き違いの関係にあり、現状の設備で埼京線の運転間隔を15分にすることは困難である。
- 池袋駅~大崎駅間では湘南新宿ラインと線路を共有している。このため、ラッシュ時の線路容量はほぼいっぱいであり、この時間帯でのさらなる増発は困難であることから激しい混雑が続いている。また、同区間を通る列車の運転系統が複雑なために、埼京線のダイヤの乱れは首都圏の広範囲に波及することが多い。
- 新宿駅での赤羽・大宮方面の折り返し列車、赤羽駅での池袋・新宿方面の折り返し列車が多く設定されていることから、日中を中心に新宿駅以南及び赤羽駅以北の運行本数が少なくなっている。日中の運転間隔は川越線区間と新宿駅以南で約20分となっており、赤羽駅以北の快速通過駅でも赤羽折り返し列車(日中は40分に1本)をはさむと20分の間隔が空いてしまう。また、新宿駅~赤羽駅でも乗客数に比して運行本数が多いとはいえず、慢性的な混雑が発生している。
- 同じく東京から埼玉方面へ走る京浜東北線と比べ赤羽駅以北の終電が早く、これ以降の電車はすべて池袋駅~赤羽駅間の折り返し運転となる。これは、赤羽~大宮間での沿線住民への騒音対策とされている。
- 北与野駅はさいたま新都心への最寄駅の一つになっているが、快速が停車しない。自治体では埼京線快速の北与野駅停車を要望しているが、2000年4月1日にさいたま新都心駅が開業したため、JR側は今のところ消極的である。
- 川越線は日進駅から先が単線で、川越線発着の列車は単線区間で行き違いがあり、遅延がある場合、遅れが増大する。
- 埼京線の車両基地となっている川越車両センターは指扇駅~南古谷駅間の荒川橋梁を渡って西側に所在するが、その荒川橋梁が強風のために運行抑止になることがまま見られる。その際には同所への車両の入・出区が出できなくなるため、その影響で川越線・埼京線・りんかい線系統のみならず埼京線と池袋駅~大崎駅間で山手貨物線を共有して運行している湘南新宿ラインやその関連路線(横須賀線・東海道本線など)にまで連鎖的にダイヤの乱れが発生する事態に至る。
- 列車番号:各駅停車…K 快速…F 通勤快速…S
[編集] 設備
- 埼京線の駅は板橋・新宿・渋谷など利用者の多い出入口が大宮寄りにあり、大宮寄り車両に客が偏って乗っている。このため、ほとんどの編成において6扉車を2・3号車に連結して混雑緩和と乗降時分の短縮を図っている。
- 新宿駅や渋谷駅の埼京線等のホームが既設のホームから南寄りに離れた場所にあって、乗り換えに時間がかかる。これは、既存ホームと同位置に埼京線など山手貨物線を走行する列車向けホームを設置するスペースがなく、近接していた貨物駅の跡地にホームを建設したためである(ちなみに新宿駅の中央本線特急列車用の現5・6番線ホームも同様である)。
- 新宿駅の場合、特に3・4番線ホームは1・2番線よりさらに南寄りに位置する。さらに、10両編成である埼京線の車両の停車位置は中央東口・中央西口・東口・西口からの階段(副都心の高層ビル群・歌舞伎町などへ行き来する人々や、他線との乗り換えをする人々のほとんどが利用する階段)からさらに2両分先であるため、乗客が1号車に集中しがちである。
- 渋谷駅に関しては東急東横線の地下化に伴って現在の同線ホームが解体される跡地を利用して、山手線と同位置に移設する計画はある。
- 池袋駅の場合、湘南新宿ラインの列車が運転されていない早朝・深夜帯を除いて通常は同駅での折り返し運転ができない配線構造になっており(同じホームで湘南新宿ラインが内側、埼京線は外側を使用していることや、同駅の南側に折り返し線を設置する余地がほとんどないため)、同駅以北の列車増発も現状では困難である。
- 踏切問題
- 十条駅は赤羽方に仲原踏切、板橋方に十条道踏切をもっている。現状ではこれ以上の長編成化が不可能であり、踏切の閉塞時間を短くするため通過禁止駅となっている。また、十条道踏切は踏切警手が常駐する(通過列車がある場合、踏切までの到達時間が短くなるため、その分検知点を遠くに設置しなければならない。)。同駅周辺は、2004年には東京都により鉄道立体化の検討対象区間とされている。
- 板橋駅には赤羽方に中山道踏切がある。この踏切も渋滞が激しい。また池袋方には第二雲雀ヶ丘踏切がある。
- 板橋~池袋間には東武東上線北池袋駅付近に開かずの踏切(東上3号踏切・第一雲雀ヶ丘踏切と東上2号踏切・堀之内踏切。東武とJRで名称は異なっているが両社共用)が存在する。ここでは過去数回、死傷事故が発生している。
- 新宿~渋谷間では代々木駅付近の厩道踏切が問題となっている。新宿方に中央線の高架があるため、立体交差化が難しいとされる。また、厩道踏切の渋谷方に青山街道踏切がある。
- 京浜東北線のD-ATCに比べて古い型のATC-6型を使用しているため、ATCブレーキが常用最大ブレーキであり、待避線進入時等でのATC動作時にブレーキがきつく掛かる。このことや周辺路線との共通性を取るために、横須賀線・総武快速線品川駅~錦糸町駅間と同様にATCの更新時期の際にはATS-Pに切り替えるべきとの意見もある。
[編集] 沿革
当初、東北・上越新幹線計画では大宮~赤羽間を地下化・複々線とする予定であったが、反対する沿線住民・自治体(与野市・浦和市(共に現・さいたま市)・戸田市の住民が連携して工事用地内に侵入し居座るなど大規模な反対運動となった)へ見返りとして通勤新線を建設することとなった。上越新幹線用地を転用した訳ではなく、現在も大宮~荒川橋梁間の一部区間では2線分の用地が確保されたままとなっている。その後、東北新幹線大宮~東京間の建設開始と共に通勤新線赤羽~武蔵浦和~大宮~宮原間(22.0km)の建設も開始された。
- 1985年9月30日 通勤新線赤羽~武蔵浦和~大宮間(18.0km)開業、赤羽線と合わせて池袋~大宮間で埼京線運行開始、同時に川越線との直通運転開始。当時は全列車に103系が使用されていた。
- 1986年3月3日 山手貨物線に乗り入れ、新宿へ延長。
- 1987年4月1日 国鉄分割民営化により東日本旅客鉄道(JR東日本)に継承。
- 1989年7月1日 205系を投入。
- 1990年12月1日 103系が埼京線から撤退し、全列車が205系での運行に。
- 1996年3月16日 恵比寿へ延長。渋谷駅と恵比寿駅にホーム新設。但し、恵比寿駅には折り返し設備がなく、折り返しのために車両は一旦大崎駅構内の引き上げ線まで回送していた(当時大崎駅には埼京線ホームがなかった)。
- 2001年7月2日 新宿発深夜23時以降の下り列車について女性専用車両が設定される。女性専用車両の導入はJR東日本の路線で初めて。
- 2001年8月6日 6扉車(サハ204-902)を試験的に連結開始(205系ハエ第8編成の2号車)。
- 2002年12月1日 大崎へ延長。同時に東京臨海高速鉄道りんかい線と相互直通運転を開始。
- 2005年4月4日 女性専用車両を朝のラッシュ時にも設定。朝のラッシュ時の女性専用車両の運行もJR東日本では初めてとなる。
- 2005年7月31日 埼京線内全駅に東京圏輸送管理システム(ATOS)が導入される。
- 2005年10月2日 団体臨時列車だが、大宮(埼京線ホーム)~大崎~新木場~南船橋~大宮(高崎・宇都宮線ホーム)の経路で「埼京線開業20周年記念号」がハエ32編成で運転される。
- 2006年3月20日 女性専用車両をりんかい線からの直通下り列車にも設定。
[編集] 埼京線の使用車両
埼京線は現在、下記の2種類の車両で運用を行っている。
[編集] 自社車両
- 205系
- 川越車両センター所属。埼京・川越線の他、りんかい線へも乗り入れ、同線内のみの運用もある。1990年にそれまで使用されていた103系の置き換えのために新製投入された物で、後にも数編成が山手線、京浜東北線、中央・総武緩行線から転用された。2007年現在、10両編成(TcMM'MM'MM'T'T'Tc'またはTcMM'TMM'TMM'Tc')32本(320両)が在籍している。
- 山手線で使用していた205系のE231系への置き換えに伴い、同線で使われて来た6扉車(サハ204形、T')を埼京線に転用し、最も混雑の激しい1~3号車の混雑緩和を目的として、2001年に1両(2号車)を、翌2002年より2両(2・3号車)を連結することとした。これにより同数のサハ205形(T)が捻出され、山手線205系転用に伴う短編成化用先頭車の種車とされた。
- サハ204形が連結されるのはハエ1~25・31編成の計26本(ただし、ハエ1・2編成に関しては組込時期未定)で、先頭車の前面及び6扉車のドア上部に「6DOORS」のステッカーを貼付している。また、山手線時代にドア上部に搭載されていた液晶ディスプレイは取り外されている。なお、JR東日本の路線では珍しく優先席部分のつり革が黄緑色になっている(一部編成を除く)。
- 最近、他の首都圏各線と同様にデジタル無線の取り付けが行われている。
[編集] 乗り入れ車両
- 東京臨海高速70-000系
- 東臨運輸区所属。10両編成(TcMM'TMM'TMM'Tc')8本(80両。東臨1~10。)が在籍。2002年のりんかい線との相互直通運転開始により埼京・川越線でも使用されるようになった。
- りんかい線直通電車(川越・大宮・武蔵浦和・赤羽~大崎~新木場間)の各駅停車・快速・通勤快速で運用される他、埼京線の区間のみ(川越・大宮・赤羽~新宿間)の運用もあり(この文字の駅間での運転が主である)、運用番号が80・90番台のものがこれにあたる。
[編集] 過去の車両
- 103系
- 埼京線開業時に投入された車両で、6M4T(TcMM'TMM'TMM'Tc')の10両編成。山手線への205系投入に伴って捻出された物で、車体色は山手線時代と同じウグイス色(黄緑6号)。
- 元々並行する東北新幹線の大宮駅以南の開業が遅れたのは、新幹線の騒音問題による沿線住民の猛反対が原因だったのだが、いざ開業してみると、その東北新幹線より埼京線の103系の方が圧倒的に騒音が高いという滑稽な結果になった。そのため、民営化後に横浜線に続く205系新製車の投入により淘汰された。
- 1990年11月30日限りで定期運用が終了し、翌12月8日~10日にさよならヘッドマークを先頭車の前面に掲出して運転された。なお、廃止直前に一部編成の中間車8両が山手線で「TECH TRAIN」の運用に使用されたことがある。
[編集] 女性専用車
- 平日朝7時30分~9時30分に新宿駅に発着する大崎方面行全列車
- 平日深夜23時降に新宿駅を発着する下り全列車
- ※いずれも設定車両は大崎寄り先頭車両である10号車
[編集] 痴漢件数最多路線
埼京線は痴漢発生件数ナンバーワンの座を何年も不動のものにしていて、チカン電車の汚名を着せられている。埼京線を利用する女性の50%が被害を受けたという報告もある。この事は新聞やテレビの報道で採り上げられる程深刻な事態になっていて、それを受けてJR東日本の路線で最も早く女性専用車が設定された(10号車)。最初は平日夜の下り方面の一部電車のみだったが、後に平日朝上り方面(新宿到着7:30~9:30頃)の全電車でも設定されている。
警視庁によると、2004年の首都圏路線での痴漢件数は2,201件と過去最悪を記録した。そのうち埼京線は217件と最多(全体の約10%を占め、"3日に2件は埼京線での痴漢"として立件されている計算)で、2位の中央線(188件)、3位の中央・総武緩行線と京王線(121件)、5位の山手線(119件)を大きく離している。なお、総武線は中央緩行線区間も含まれている可能性があり、中央線全体と拮抗しているとも解釈できる。
埼京線が毎年ワーストワンな理由として、都心の主要繁華街である新宿、渋谷、池袋を通ること、駅間距離の長さ、島式ホームの駅が多く長時間進行方向左側のドアが開かない(常時進行方向左側の扉が開く駅は十条のみ、折り返しや快速との接続で大宮・武蔵浦和・新宿・大崎)ため奥に入った女性客が狙われ易い、などが挙げられている。なお、上で挙げた痴漢件数1~5位の路線はすべて新宿駅を通っている(ここで言う「中央線」は中央快速線の、「総武線」は中央・総武線各駅停車の意味)。
また、前述の通り埼京線は赤羽・板橋・新宿・渋谷など乗降客の多い駅で改札口や連絡階段直近の出口が1号車(大宮駅・川越駅方向先頭車)にあり、ここに乗客が集中するため、端の角(運転席側)に女性が追い詰められ発生してしまうなどもある。
なお、この調査で第2位にランクされた中央線にも2005年9月5日から平日朝の東京方面行きの列車に女性専用車が設定された。
しかしながら、女性専用車導入に伴う弊害や不満の声も出て来ている。平日朝の女性専用車の導入後、それまで10号車を利用していた男性客が締め出されてしまい、その大半が隣の9号車に移ったため、9号車の混雑は1号車以上に激しくなった。また女性専用車が導入されたにも関わらず、川越駅などの始発駅の駅員は女性客を女性専用車へ誘導する事を一切行っていない。一部の調査結果では痴漢件数が減少していないという報道もあり必ずしも好ましい効果を発揮しているとは言えないようである。
なお、一時期、205系の10号車には女性専用車両である事を認識させるために、車体広告がラッピングされているものもある(大正製薬の「リアップレディ」など)。同様の施策は大阪市営地下鉄御堂筋線でも行われている。
[編集] 駅一覧
- 各駅停車は各駅に停車のため省略。また、りんかい線・川越線内は快速・通勤快速とも各駅に停車。
正式路線名 | 駅名 | 駅間キロ | 快速 | 通勤快速 | 接続路線 | 所在地 | |
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東京臨海高速鉄道りんかい線新木場駅まで直通運転 | |||||||
山手線 | 大崎駅 | - | ● | ● | 東日本旅客鉄道:山手線、湘南新宿ライン 東京臨海高速鉄道:りんかい線(直通運転) |
東京都 | 品川区 |
恵比寿駅 | 3.6 | ● | ● | 東日本旅客鉄道:山手線、湘南新宿ライン 東京地下鉄:○日比谷線(H-02) |
渋谷区 | ||
渋谷駅 | 1.6 | ● | ● | 東日本旅客鉄道:山手線、湘南新宿ライン 東京急行電鉄:東横線、田園都市線 京王電鉄:井の頭線 東京地下鉄:○銀座線(G-01)、○半蔵門線(Z-01)、○副都心線(2008年6月開業予定) |
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新宿駅 | 3.4 | ● | ● | 東日本旅客鉄道:山手線、中央線(快速)、中央・総武線(各駅停車)、湘南新宿ライン 小田急電鉄:小田原線 京王電鉄:京王線、京王新線 東京地下鉄:○丸ノ内線(M-08) 都営地下鉄:○新宿線(S-01)、○大江戸線(E-27、新宿西口駅:E-01) 西武鉄道:新宿線(西武新宿駅) |
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新宿区 | |||||||
池袋駅 | 4.8 | ● | ● | 東日本旅客鉄道:山手線、湘南新宿ライン 東武鉄道:東上線 西武鉄道:池袋線 東京地下鉄:○丸ノ内線(M-25)、○有楽町線(Y-09)、○有楽町線新線(副都心線)(Y-09) |
豊島区 | ||
赤羽線 | |||||||
板橋駅 | 1.8 | ● | ● | 都営地下鉄:○三田線(新板橋駅:I-17) 東武鉄道:東上線(下板橋駅) ※但し、通常は連絡運輸なし |
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板橋区 | |||||||
北区 | |||||||
十条駅 | 1.7 | ● | ● | ||||
赤羽駅 | 2.0 | ● | ● | 東日本旅客鉄道:京浜東北線、宇都宮線、高崎線、湘南新宿ライン | |||
東北本線 | |||||||
北赤羽駅 | 1.5 | | | | | ||||
浮間舟渡駅 | 1.6 | | | | | ||||
北区・板橋区 | |||||||
戸田公園駅 | 2.4 | ● | | | 埼玉県 | 戸田市 | ||
戸田駅 | 1.5 | | | | | ||||
北戸田駅 | 1.4 | | | | | ||||
武蔵浦和駅 | 2.4 | ● | ● | 東日本旅客鉄道:武蔵野線 | さいたま市南区 | ||
中浦和駅 | 1.2 | | | | | ||||
南与野駅 | 1.7 | | | | | さいたま市中央区 | |||
与野本町駅 | 1.6 | ● | | | ||||
北与野駅 | 1.1 | | | | | ||||
大宮駅 | 1.8 | ● | ● | 東日本旅客鉄道:川越線(直通運転)、東北新幹線(山形新幹線、秋田新幹線)、上越新幹線(長野新幹線)、京浜東北線、宇都宮線、高崎線、湘南新宿ライン 東武鉄道:野田線 埼玉新都市交通:伊奈線(ニューシャトル) |
さいたま市大宮区 | ||
川越線川越駅まで直通運転 |
埼京線の東北本線別線区間は、国鉄末期に通勤新線として整備された路線であるため、接頭語及び接尾語がない駅は、新しく戸田市に鉄道が通った際にできた戸田駅と北区浮間と板橋区舟渡に挟まれている浮間舟渡駅だけである。また、建設時は両端の赤羽・大宮を除く中間各駅は北赤羽駅を「通勤新線第1駅」のように1から10までの番号で呼ばれていた。