ムーンライト九州
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山陽本線区間を牽引するEF65形機関車(新大阪駅)
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鹿児島本線区間を牽引するEF81形機関車(小倉駅)
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ムーンライト九州( - きゅうしゅう)は、西日本旅客鉄道(JR西日本)が新大阪駅~博多駅間を東海道本線・山陽本線・鹿児島本線経由で運行している臨時夜行快速列車。
1990年の運転開始以来、京都駅発着で運転されていたが、2005年夏以降の運転では新大阪駅発着となった。
目次 |
[編集] 運行概要
主に学校の長期休暇の時期にあわせ、春・夏・年末年始に運行される(かつてはゴールデンウィークにも運転されたことがある)。関西~九州間を一晩で結ぶ。臨時列車ながら、夜行快速列車としては最長距離を走る。かつては自由席車が連結されていたが、始発駅ホームの自由席乗車位置に発車の何時間も前から長蛇の列ができて一般利用者の障害となる上に、荷物置き場や展望ラウンジを占領して寝る人が多かったので、2003年夏期以降、全車普通車指定席となっている。
運転時期は青春18きっぷの発売時期と重なっており、快速列車であるため同きっぷが使用可能(ただし別途指定席券の購入が必要)。青春18きっぷを使えば関西~九州間を高速バスよりも安上がりに移動できることから「ムーンライトながら」並みに人気が高い。なお本列車が0時を過ぎて最初に停車する駅は上り・下りともに岡山駅であり、岡山駅をまたいで乗車する場合は青春18きっぷ2回分(もしくは当該区間に有効な別のきっぷ)が必要である。
2007年春季青春18きっぷ通用期間内の運転期日は、下りが3月20日〜4月2日、上りが3月21日〜4月3日と発表されている。
客車であるが故に速度が上げられず、関西側では新快速のダイヤに少なからず影響を与え、九州側では「ソニック」などの特急を運転停車で待避するダイヤとなっている。現在のところ、客車から電車に置き換えられる計画はない。
[編集] 使用車両
- 14系客車(京都総合運転所・宮原総合運転所)を使用する。
- JR西日本がスキー列車「シュプール号」・団体用車両として改修した車両(「シュプール&リゾート」)で、座席のリクライニングはオリジナルの簡易リクライニングシートに比べて大きく倒すことができ、好きな角度で止められる。また、通常はいちばん京都寄りの1両の車端部には展望室が設けられているが、06~07年冬より連結されなくなっている。
- 2010年までの岡山駅改修工事による線路事情のため2005年夏シーズンより運行を中止している「ムーンライト山陽」で余剰となった客車(宮原総合運転所所属)が、本列車と運行区間が重複しかつ同仕様の車両を用いるという条件を満たすため本列車に連結され、6両編成から8両編成となった。その際、電源車は1編成あたり1両から2両へ増結された。
[編集] 停車駅
[編集] 車掌業務担当区
- 新大阪駅~下関駅:下関地域鉄道部下関乗務員センター(JR西日本)
- 下関駅~博多駅:門司車掌区(JR九州)
[編集] 沿革
京阪神~九州間には戦後長らく座席車両で組成された夜行急行列車が運行されていたが、「雲仙」・「西海」・「阿蘇」・「くにさき」を最後に1980年のダイヤ改正で全廃された。以降寝台列車としての臨時列車はあったが、座席の夜行列車は長らく設定がなされていなかった。
しかし、1980年代後半に、高速バスないしは長距離夜行バスの運行が行われるようになったことから、1986年のダイヤ改正において寝台特急「あかつき」に普通座席指定車1両を組み込んだのに続いて、臨時列車としてこの列車が運行を開始することとなった。
1989年12月にJR西日本は京都駅~博多駅間に「ふるさとライナー九州」の名で臨時夜行快速列車の運行を開始し、1990年4月に現行の「ムーンライト九州」の名で運行開始された。運行開始当初から暫くは、夏期のみ展望車連結の14系客車「シュプール&リゾート」仕様車で、年末年始・春期は一般の14系座席車を使用していた。これは、「シュプール&リゾート」がスキー客輸送用の列車である「シュプール号」での利用を目的として製作されたものの、夏期はスキー客輸送がないため、「シュプール&リゾート」は遊休状態となるからである。そのため、夏期はフリーストップリクライニングシートで、それ以外は簡易リクライニングシートであり、サービスに大きな差があったが、現在は「シュプール号」自体が運行されることが少なくなったため、全期とも「シュプール&リゾート」の14系を使用している。2001年夏期から2003年春期までは最繁忙期に限り自由席車を連結していたが、これは本来の「シュプール&リゾート」車両の編成を全車指定席とし、別に2両の一般の座席車を増結するものであった。この増結車両には12系客車が用いられた。
[編集] 年表
- 1989年12月 年末年始より「ふるさとライナー九州」として運行開始。
- 1990年4月 「ムーンライト九州」の名称で運行開始。
- 1991年7月 運転区間が京都駅~熊本駅間に延長される。
- 1993年7月 運転区間が京都駅~博多駅間に戻る。
- 2001年7月 お盆・年末年始の最繁忙期を除き、全車座席指定席に変更。
- 2003年7月 時期にかかわらず、全車座席指定席とする。
- 2005年7月 京都駅発着を新大阪駅発着に変更。
[編集] 関連項目
夜行快速「ムーンライト」 |
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定期列車 |
ムーンライトながら ムーンライトえちご |
臨時列車 |
ムーンライト信州 ムーンライト九州 |