ムーンライト信州
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ムーンライト信州( - しんしゅう)とは、東日本旅客鉄道(JR東日本)が主に新宿駅 - 松本駅・信濃大町駅・白馬駅間を中央本線・篠ノ井線・大糸線経由で運転する臨時夜行快速列車の名称である。
なお、本稿では東京駅→穂高駅間を京葉線・武蔵野線・中央本線・篠ノ井線・大糸線経由で運転される臨時夜行(上りは昼行)快速列車である、ファンタジー舞浜( - まいはま)についても記載する。
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[編集] 運転概況
- 臨時列車であることから主に多客期に運転されるが、下り新宿駅→信濃大町駅間運行の「ムーンライト信州83号」は2006年夏期においては金曜日運行となっている。
- 上り列車については、元々定期列車であった急行「アルプス」時代から需要が低いため、混雑が事前に予測できる日に限り運行されており、夏季であってもお盆でさえ運行されていない。夏季で運行されているのは、上諏訪駅近くで開催される花火大会の実施当日深夜(帰宅時)の2日間のみである。
- 「ファンタジー舞浜」は下りのみ夜行列車として運行される。
[編集] 使用車両
- 183系・189系
- 夜行列車であることから(上り「ファンタジー舞浜」は昼行列車)着席サービスの一環として全車両座席指定席を採用している。
- 時期により車両が異なり、冬季、春季は普通車のみの6両が多いが、夏季はグリーン車も連結される9両が多い。但し、年によっては春季も9両編成で運行される。
- 6両編成の場合は長野総合車両センター所属車両、9両編成の場合は幕張車両センター所属車両が使用される。なお、長野車が検査やその他の列車に使用されるなどで車両不足が出たときには豊田電車区の旧「あずさ」色6両編成が代走するほか、車両運用の都合で大宮総合車両センター車両検査科東大宮センター常駐(幕張区所属)の旧「あずさ」色である、マリ31・32編成が代走したことがある。さらに2006年3月24日・31日の運行に限り、長野車の検査と他区の臨時列車運行が重なったため、車両が不足し国鉄色塗装の田町車両センター所属車が初めて運用に使用された。
- 旧「あさま」色編成(緑色の帯)の場合は6両、全車普通車。6号車が簡易リクライニングである他はグレードアップ車と同じ座席に交換された車両である(ただし、N101編成は1号車も簡易リクライニングのまま)。
- 国鉄色の「中央ライナー」編成の場合は9両、1号車(普通車)と6号車(グリーン車)がグレードアップ車。2005年12月以降順次編成が組み替えられ、現在は9号車以外は全てグレードアップ車に組みかえられている。また9号車は4本中1本のみ(C1編成が該当)座席改良車である。
- その他の配置車は、田町所属車の6号車を除き簡易リクライニング装備の非デラックス車であるが、豊田所属車は1号車~3号車が長野車と同じく座席改良車、その他が簡易リクライニングシートとなる。
- なお、前述の9両編成及び「ファンタジー舞浜」については、女性専用車両である「レディースカー」も1号車に設定されている。
[編集] 停車駅
2006年夏現在
- 新宿駅 - 立川駅 - 八王子駅 - +高尾駅 - 大月駅 - 塩山駅 - *山梨市駅 - *石和温泉駅 - 甲府駅 - *韮崎駅 - 小淵沢駅 - 富士見駅 - 茅野駅 - 上諏訪駅 - 下諏訪駅 - 岡谷駅 - +辰野駅 - 塩尻駅 - 松本駅 - ○豊科駅 - ○穂高駅 - ○信濃大町駅 - #神城駅 - #白馬駅
- 81号(下り)・92号(上り)はみどり湖駅経由、83号(下り)は辰野駅経由。
- 特に印のない駅は全列車が停車。
- #の駅は81号のみ停車。+の駅は83号のみ停車。○の駅は81号および83号が停車。
- *の駅は92号のみ停車。
[編集] 担当車掌区
[編集] 中央東線夜行快速・普通列車沿革
中央東線では、1993年(平成5年)12月のダイヤ改正で廃止されるまで主に登山客向けの夜行普通列車が設定されており、「山男列車」・「中央夜行」・「山岳夜行」などの愛称で親しまれた。「ムーンライト信州」が運転を開始した際、“それらの復活だ”と言われたこともあったという。ここでは、その沿革についても記す。
[編集] 中央本線の全通
- 1906年(明治39年)6月 中央本線の昌平橋駅(神田駅~御茶ノ水駅間にあった仮駅)~塩尻駅間(中央東線)が全通。
- 1911年(明治44年)5月 中央本線の昌平橋駅~名古屋駅間が全通し、飯田町駅(現在の飯田橋駅近くにあった長距離列車用のターミナル駅)~名古屋駅間に直通夜行列車の705・706列車を設定する(東西直通運転の始まり)。
[編集] 戦前
- 1913年(大正2年)4月 飯田町駅-長野駅間に夜行列車1往復を新設。
- 1921年(大正10年)6月 二等寝台車を連結開始。
- 1922年(大正11年)3月 飯田町駅-長野駅間の夜行列車を2往復に増発(寝台車なし)。
- 1923年(大正12年)7月 3往復に増発。
- 1927年(昭和2年)1月 2往復に削減。
- 1931年(昭和6年)7月 飯田町駅-甲府駅間に臨時の夜行列車を下り1本新設。
- 1933年(昭和8年)9月 飯田町駅の旅客営業扱いを廃止し、長距離列車は新宿駅始発となる。
- 1934年(昭和9年) 甲府駅-名古屋駅間の長距離列車が新設される。
- 1938年(昭和13年)2月 中央本線経由の名古屋駅-新宿駅間直通列車は一旦消滅する(東京-名古屋間は東海道本線経由が一般的であった)。
- 1944年(昭和19年)4月 寝台車の連結を廃止。
- 1945年(昭和20年)6月 戦時体制の悪化により、1往復に削減。また、名古屋駅-新宿駅間の直通列車が復活する。新宿駅-長野駅間の列車は下り夜行・上り昼行、新宿駅-名古屋駅間の列車は下り昼行・上り夜行であった(後に再び塩尻駅を境に中央本線の直通列車は系統分割される)。なお、廃止された夜行1往復は以後も復活・廃止を繰り返した。
[編集] 戦後
- 1950年(昭和25年)10月 中央東線の夜行普通列車が新宿駅-長野駅間の1往復(407・408列車)で落ち着く。その他にも準急列車が設定されており、以後比較的長距離のものは準急列車・急行列車の形で増発されるようになった。
- 1972年(昭和47年)3月~11月 この頃が中央東線夜行列車の最盛期で、下りは定期普通列車425列車(419列車を改番)の他に、臨時の夜行普通列車は新宿駅から甲府駅・上諏訪駅・河口湖駅などへゴールデンウィーク中に3~5本、更に急行列車「アルプス」・「たてしな」が定期2本・臨時7本程度設定されていた。なお上りは、定期普通列車である426列車(418列車を改番)の他に、急行「アルプス」が定期1本・臨時1本のみ運行されていた。
- 1975年(昭和50年)3月 425・426列車は電車化されて441M・442Mとなるが、これに伴い貨物駅となっていた飯田町駅に併設する飯田町客貨車区が合理化で廃止されることになった。そのため国鉄労働組合(国労)が反発し、「425列車を愛する会」という客車列車にある郷愁を残そうという登山愛好会とともに反対運動も繰り広げた。
- この運動を巡っては「愛する会」と国労は表向きには協同で存続運動をしていたが、実際には仲が悪く、愛する会側は「哀愁を求めて活動している我々に便乗して労使闘争をされるのは気分が悪い」と新聞にコメントしていた。事実、飯田町客貨車区が受け持っていた列車はこの当時425・426列車だけ(同時に電車化された昼間の客車列車は甲府客貨車区が担当していた)となっており、国労が参加したのは反対運動が始まってから少し時間が経ってからということもあるが、一般人には反対運動自体が国鉄の労使闘争と思われていた。
- 1975年(昭和50年)7月 新宿駅~岡谷駅間に、「425列車を愛する会」などの客車郷愁派の運動に応える形で、客車での9431列車を設定。以後1984年(昭和59年)9月まで、臨時列車として列車番号は何回か変更されながらも運行した。
- 1986年(昭和61年)11月 上りの442M列車を廃止し、下りの441M列車も上諏訪駅行きとする。
- 1992年(平成4年)3月 441M列車は列車番号を1521Mに改め、甲府駅止まりとなる。しかし実際には、同じ車両が甲府駅発松本駅行きの普通列車となり、客は乗りとおす事が可能であった。
- 運行体裁としては、甲府駅で1時間ほど停車し、その間に列車番号を替えて直通運行していた。甲府駅停車中は、列車ではなく発車待ちの留置車両と同じ扱いだった訳である。
- 1993年(平成5年)12月 1521M列車を廃止。同時に115系が新宿駅から撤収。(大月までの終電としての役割は同時刻に東京発大月行の通勤電車を新設して代替)以後、臨時快速松本駅行き(8421M)などが運行されたこともあったが、それも1998年(平成10年)5月を最後に運行を終了した。
[編集] 臨時夜行快速の復活
- 2002年(平成14年)7月 東京駅~穂高駅間で快速「ルンルン舞浜」の運行を開始。
- 2002年(平成14年)夏季 115系を使用し、新宿駅~松本駅・白馬駅間で臨時快速列車を運転。
- 2002年(平成14年)秋期 夏季に運転された臨時夜行快速を183系(松本電車区所属の「あずさ」用編成)に置換えて全車指定席とし(新宿駅~長野駅・白馬駅間)、行き先によってそれぞれ「しらかば白馬」・「しらかば長野」・「しらかば新宿」の愛称で運転。
- 2002年(平成14年)12月1日 急行「アルプス」廃止の代替として、同年12月6日に「ムーンライト信州」が運転を開始。この時点で「しらかば○○」は「アルプス」と統合される。また、「ルンルン舞浜」の名称を「ファンタジー舞浜」に変更。
[編集] 関連項目
夜行快速「ムーンライト」 |
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定期列車 |
ムーンライトながら ムーンライトえちご |
臨時列車 |
ムーンライト信州 ムーンライト九州 |
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