学校生活
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学校生活(がっこうせいかつ、英 school life)とは、教育活動をはじめとする学校における生活全般のことである。初等教育から中等教育までの学校における生活を指していうことが多い。
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[編集] 概要
学校生活という概念は、学校で相当の時間を過ごすことから生じるといわれている。学校における諸活動は、教育課程に定められた正課活動と、教育課程に定められていない課外活動に大きく分けられ、学校生活は、通例、これらの諸活動に基づいて営まれる。
正課活動には、教科の時間(幼稚園では保育の時間)、道徳の時間(初等教育・前期中等教育のみ)、総合的な学習の時間、特別活動などがある。課外活動には、課外授業、部活動やクラブ活動などがある。また、在学生は、学校外においても日常的に学校生活から影響を受けることがある。学校における各種の活動は、基礎的な経験となることが期待されており、学校教育を受けた人の人格の形成に大きな影響があるといわれている。(隠れたカリキュラムも参照。)
日本の学校は、学習指導だけではなく、生活指導や安全指導にも力を入れるため、こどもにとっては、世界の各地域に比べて学校生活の比重がやや高いといわれている。日本の学園ドラマ・教育ドラマは、日本の特有の学校生活に基づいて製作されており、日本国内において一世を風靡する流行が起こった時期がある。
[編集] 各学校種ごとの概況
[編集] 幼稚園
私立の幼稚園に在学する幼児の大概は、通園バスで通う。
初歩的な学習指導をする幼稚園もあるが、ほとんどの時間を生活指導に割く形での保育が行われている。保育内容は、遊戯や折り紙など、動作的な能力を開発するものが多い。
帰宅するときには、保護者が出迎えることも多い。粗相をする幼児の為に、教室には替えの下着が用意されている。
[編集] 小学校
小学校では、生活指導や安全指導が重視される。
登校時に事件・事故にあわないよう、通学班で集団登校する学校もある。1990年代半ば以降、子供をめぐる犯罪の防止を目的とし、学校は校内外における「不審者」の対策の強化に乗り出している。ただし、犯罪や「不審者」の定義や実態が曖昧で、以前なら気にもされなかったようなことにまで過敏に反応している面もある。
大阪府の大阪市内と、奈良県、和歌山県、及び北陸地方・中国地方・四国地方では、公立の小学校でも制服や標準服が多いが、それ以外の地域の小学校では、自由服である場合が多い。男子の小学生の定番だった半ズボンも、1990年代後半にほとんど見られなくなった。また、通学帽や、名札着用義務付けを廃止した学校も多い。
2時間目終了時の休み時間(中休み)と、昼休みは長めに取ってあり、運動場(校庭)で遊ぶことが推奨されている。多くの学校では、給食があり、児童たちは、スモッグを着用して当番制で配膳にあたる。
アットホームな学級運営が行われ、頻繁な席替えによってさまざまな児童との交流が用意される。上級生と下級生の関係は、兄弟になぞらえられる。最近は、少子化によって一人っ子が増えたため、週1時間、異年齢交流の機会が用意されることが多い(兄弟学級)。ただ、異年齢交流の動機付けに欠けるため、同学年で固まってしまい、兄弟学級が機能しないこともある。
音楽の時間の主役はリコーダー、鍵盤ハーモニカで、運動会はもちろん、地域の行事にも鼓笛を出す学校も多い。鼓笛の盛んな学校、あるいは市町村にある学校に通う6年生は、夏休みにも練習に狩り出される。また、かつての運動会は、地域的な行事としても機能していたが、現在では、地域行事としての機能が低下し、体育の授業参観のような位置づけになっているともいわれている。
2001年度までは、土曜日が午前中のみ(半ドン)の授業であり、土曜日の下校時には開放感があったといわれているが、学校週5日制の実施により、その風物は今はない。
[編集] 中学校
中学校では、定期試験、部活動、生徒指導、高校受験などが学校生活な大きな要素でもある。
校則は、以前に比べれば緩やかになりつつあるが、一般的に厳しいといわれている。
多くの中学校では、部活動が行われている。かつては、正規の教育課程の1部であったクラブ活動を代替するために部活動への参加が義務づけられていた学校が多かった。校外実績のある部のように休業日も活動を行う部を選択した生徒は、時間を割いている。部活動以外の時間を多めに取りたい生徒は、活動時間が少なく、大会出場・展示会出展を義務づけられないような部に所属する傾向にある。かつての部活動は、生徒が多くの時間を学校内で過ごし活動を行うことで非行を防止する手段であるとささやかれもしたが、現在では、生徒にとって比較的自由な形態での部活動が行われている。また、部活動内の上級生と下級生の関係は、先輩・後輩関係とされ、かつて、実績のある運動部では、非常に上下関係が強かったといわれている。
中学校時代に比較的余裕を持って学校生活を送ることができるのは、第2学年の生徒だといわれている。第1学年の生徒は、小学校に比べ学習内容が高度化する授業に慣れることに忙殺され、第3学年の生徒は、高校受験に忙殺されるからである。少年非行をはじめとする事件に巻き込まれはじめやすくなるのは、第2学年の夏季休業中である場合が多いといわれている。第2学年はしばしば「中だるみの学年」といわれる。
[編集] 高等学校
高等学校での生活形態は、生徒が在学する各学校ごとに異なる。特に全日制の課程の進学校と底辺校で生活ぶりが大きく異なることがいわれるが、そのほかに定時制の課程や通信制の課程もある。また、学科も大きく分けると、普通科・専門学科・総合学科がある。
生徒のほぼ全員が4年制以上の大学に進学する進学校では、生徒のエリート意識が強いといわれる。自由時間は、学習に充てる時間と理解され、生徒同士でも大学合格のために切磋琢磨しようとする姿勢がある学校もある。
生徒の半分以上が大学や専修学校の専門課程(専門学校)などに進学する中堅校では、学習のほかにも部活動や趣味をはじめとする多様な活動も生徒は重視する。
学習が苦手とする生徒が集まる底辺校では、授業が成立しないこともあるといわれる。着席させるのに15分、教科書を開かせるのに15分かかり、授業ができるのは20分と噂されることもあり、友達と交流することを目的に学校に来る生徒も多い。腕力に訴えてしまう生徒もいるといわれ、強い生徒は恐喝の加害者になり、弱い生徒は被害者になりやすいというような噂がされることもある。学習を苦手とする生徒が多いこともあり、卒業するまでに、新入学者の1割以上が自主退学することもある。学校の取り組みとしては、1人1人の生徒自身の進路や学習を丁寧に支援すること努力が注がれている。
[編集] 高等専門学校
略して「高専」。おもに工業分野の学科を置き、高度経済成長期の頃の工業化により、ニーズが高まった技術者(いわゆるエンジニア)を育てるために1962年以降から開設された。中学校卒業後、5年(または5年6カ月)が修学年限。卒業すると準学士の学位が与えられる。何十年か前は、倍率何十倍を超える超難関校であったが、今では県の進学校に肩を並べる程度になったが、いずれも難関である。最近では大学に編入学する者も現れた。(また専攻科があり、卒業すると学士が与えられる。)主に国立の高専が大多数を占め、地区では公立高校とは入試日程がずれる。学科は多種多様だが、電気や電子が多い。学習内容としては、進学校理数科クラスの基礎科目と、専門科目で構成されている。一般的に学年が上がるごとに専門科目が増えていく。また、大学1、2年にあたる4、5年生では大学の教養科目にあたる教科もある。学校や学科にもよるが実験が沢山あり、レポート(報告書のようなもの)に追われる上に、5年間という長さから中だるみが生まれ、留年する生徒も毎年何人かはいる。しかし、大抵の生徒はちゃんと進級し卒業し、就職率は100パーセント(または大体)を誇っている。
[編集] 大学・短期大学
学業以外にも部活動・サークル活動やコンパを中心に活動を行う学生も存在する。かつては、政治や哲学に関心を抱く硬派学生と、芸能や恋愛に関心を抱く軟派学生に分けて考えることもできた。学園紛争の時代には、学生運動をしなければ大学生でないとも言われた。教育環境や就職環境の変化にともない、浅く深く多様な活動を行うという学生が多い。
大学生活を謳歌できるのは、2年次までとされており、その後は、卒業に向けて就職活動や卒業研究・ゼミナールなどに忙殺されることになる。
かつて大学は、学習能力があり、所得が比較的安定している家庭の子女が入学したといわれる。そのために、学歴と能力には相関関係があるという考え方も生まれたが、進学を希望すれば大学に入学できる現代では、卒業者の性質は多様である。学歴と実務能力には必ずしも相関関係はなく、中年期に達した高学歴のフリーアルバイターやニートを生み出している。
[編集] 専修学校
[編集] 各種学校
- ナショナルスクール(民族学校・外国人学校)
[編集] 盲学校
盲学校は、幼稚部から、高等部まである。 幼児・児童・生徒の障害の度合いは、明暗の識別も出来ない全盲から、杖がなくても歩ける弱視までさまざまである。 はり師、きゅう師は、伝統的な進路である。
[編集] 聾学校
聾学校は、幼稚部から、高等部まである。 幼児・児童・生徒の障害の度合いは、まったく音が聞こえない全聾から、難聴者までさまざまである。
[編集] 養護学校
養護学校は、幼稚部から、高等部まである。 知的障害児、肢体不自由児、病弱児、その重複障害児などが対象となっている。 1979年には義務教育化されたが、普通学校を選択する保護者も多い。 最近、障害と健常の境界にある発達障害が認識され、特殊教育の対応が注目される。 特別支援教育との言い換えもなされている。