怪物くん
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『怪物くん』(かいぶつくん)は、藤子不二雄Aによる少年漫画、およびそれを原作にしたテレビアニメ、また劇中に登場する主人公の一人の通称。アニメ映画も公開された。
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[編集] 概要
怪物ランドから人間界へやって来た不思議な少年、怪物くんとそのお供のドラキュラ、オオカミ男、フランケンが、様々な怪物達と出会い騒動を引き起こすというギャグ漫画である。登場する怪物達はほとんど気は優しいが、時々悪魔組織デモーニッシュの刺客達や、宇宙怪物軍といった敵役も登場して戦うこともあり、アクションシーンも満載である。
1965年1月 - 1969年4月迄、少年画報社の少年画報にて連載。そして1967年6月 - 1969年5月に週刊少年キングで連載。さらに1980年 - 1982年迄の間リバイバル版が小学館のコロコロコミック、学習雑誌、てれびくん等で連載。
少年画報での新連載予告では、怪物くんは後ろ姿のみの登場で、お供の怪物達がそれを見て恐れおののくというものであった。そして、掲載ギリギリまで主人公である怪物くんの顔が決まらなかったとされる。そして第1回目のネーム、大まかな下書きと主人公の顔のイメージは作者が手掛けたが、大半のペン入れはしのだひでおによって描かれたという。
2005年に大一商会からパチンコ機化(「CR怪物くん」)され、全国にパチンコ店に設置された。因みにオオカミ男の声は、緒方賢一が担当している。
藤子・F・不二雄の漫画『ドラえもん』に、「怪物くんぼうし」(単行本未収録)という道具が出て来た事がある。これを被ると、手足が自由に伸び縮むことが出来るという代物。また「なんでも空港」(てんとう虫コミックス32巻)という回に怪物くん本人が登場したこともある。「ドラえもん」には藤子Fの他作品のキャラクターが越境することが多くあったが、藤子不二雄Aのキャラクターが登場するのは非常に珍しい。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] 登場人物
[編集] 怪物屋敷の住人
- 怪物太郎
- 通称:怪物くん。「怪物ランド」という、どこにあるのか分からない、怪物ばかりが住んでいる国の王子。王家を継ぐために人間界へと修業の為にやってきた。普通の小柄な少年にしか見えないが、手足を自由に伸ばしたり、様々な顔や姿に変身したりするなど、様々な超能力を持つ。最大の技は「1、2、3!」と3つ数えて念力で起こす爆発で、映画『怪物ランドへの招待』で使用した際は怪物城を半壊させるほどの威力だった。人間界へ来て初めてヒロシと出会い、半ば強引に友人となった。そしてヒロシ姉弟が住んでいるアパートの部屋のすぐ隣の一室を借りた。太郎の借りた部屋には冷蔵庫しかないが、冷蔵庫を開けるとそこは通路になっており、怪物屋敷の厨房へと繋がっている。常識外れでプライドが高く、短気でわがままだが情にはあつい。わがままを咎める者には「うるさーい!」と一喝する。雷が苦手で、雷鳴を聞いただけで塞ぎ込んで何も出来なくなる。怪物大王の実子であるため、お供の3人からは「坊ちゃん」と呼ばれている。頬に付いてる3本線はヒゲ。帽子は寝ている時にも外さないが、最終話でその秘密が読者(視聴者)のみに明かされる。
- ドラキュラ
- 怪物くんのお供の一人。由緒正しい伯爵家の出身で、潔癖でプライドが高い。博識で、特に怪物や妖怪には詳しい。名の通り吸血鬼だが吸血を禁じられ、トマトジュースを代替に飲んでいる。空を飛ぶ事が出来、しもべに吸血コウモリを従えている。もちろんニンニクと十字架と日光に弱い(怪物ランドでは昼間でも平気)。昼間は地下室の棺桶で眠り、夜起きて散歩に繰り出すという生活スタイルなので、昼間での活動はどうしてもお荷物になることが多い。語尾に「ざます」が付く。
- オオカミ男
- 怪物くんのお供の一人。怪物ランドのガンス地方出身。普段は坊主頭で小太りの中年男性にしか見えないが、満月や丸い物を見ると狼に変身し(怪物ランドでは常に狼の姿)、鋭い嗅覚と噛み付き攻撃で応戦する。本人曰く普段の人間体が真の姿との事で作中でも怪物界の中では人間に近いという意味の発言が時折登場し、先祖に人間や人間から狼男に転換した者もいると思われる。実際変身してない時の能力はほとんど人間並みで、嗅覚等も狼に変身しないと発揮できない。怪物ランドでは著名な料理人で、怪物屋敷の食卓を担っている。気さくで人がよく、世話好き。大好物はバームクーヘン。語尾に「がんす」が付く(「がんす」とは、広島弁で、「~ございます」という意味)。
- フランケン
- 怪物くんのお供の一人。名の通りフランケンシュタイン博士の作った人造人間。大柄で強面だが、のんびり屋で心優しく泣き虫。頭が弱いが、怪力と手先の器用さで主に屋敷の手入れや買い物の荷物持ちをしている。「フンガー(ドイツ語で「空腹」の意)」としか喋れないが怪物同士では話が通じている。悪魔組織デモーニッシュの刺客、アーシュランの魔力でほんの一時期だけ喋っていた事もある。グレンケンという弟が後にフランケンシュタイン博士によって作られるが、兄と違い冷酷非情な性格(アニメ版ではベラボー星人ベムの仕業となっている)。また、フランケンは『ドラえもん』、『ミス・ドラキュラ』にも登場している。
[編集] 近所の住人達
- 市川ヒロシ
- 怪物くん達が住む屋敷の近所にあるアパート『アラマ荘』の1室に姉の歌子と2人で住んでいる小学生。弱虫で余り冴えないが、気のいい少年。ふとした切っ掛けで怪物くん達と仲良くなった。そのために様々な事件や騒動に巻き込まれることになる。初めて見る怪物によく驚いて気絶するが、一度知り合った怪物達とは結構仲良くやっている。
- 市川歌子
- ヒロシの姉。18歳。両親を早いうちに亡くしたので、会社勤めをしつつ弟の面倒を見ている。うっかり怪物を見ては、弟のヒロシ以上によく気絶している。
- アコ
- ヒロシの同級生。優しくてしっかり者の女の子。からかわれるヒロシをいつも味方してくれている。
- みっちゃん
- ヒロシの同級生。本名:不詳。癖毛っぽいおさげ髪で、ほんの少々おてんばっ気のある女の子。『パーマン』のみっちゃんとは無関係。
- キザオ
- ヒロシの同級生。番野といつもつるんでいる。裕福な家庭らしく、キザでいつも自慢している。『オバケのQ太郎』のキザオとは無関係。
- 番野
- ヒロシの同級生。学校のガキ大将。通称:番長。3人の手下的存在の男子がいる。いつもキザオと共にヒロシに意地悪をしているが、基本的に小心者である。怪物絡みでしばしば騒動を引き起こす。『エスパー魔美』の番野とは無関係。
[編集] 怪物・悪魔達
- 怪子姫
- 通称:怪子ちゃん。怪物ランドの一級貴族、ゴーリキの一人娘。怪物くんのガールフレンドでお妃候補。金髪ショートヘアの美少女だが、怒ると髪の毛を自由自在に伸ばして振り乱し、どんな重いものでも巻きつける。怪物くん同様裕福な家庭に育ったせいか、わがままで嫉妬深く短気。
- クローばあや
- ゴーリキ家に仕える女中さん。カラスに化けて空を飛べる。怪子のわがままにはいつも頭を抱えている。
- ドクター・ノオ
- 怪物ランドから人間界へやってきた怪物専門の医師。小柄でグロテスクな顔の持ち主だが、気さくで心優しい。首から第三の手が生えた姿で描かれることもある。主に整形外科が得意らしく、事故で顔がぐしゃぐしゃになった人の手術をした事もある。
- 怪物大王
- 太郎の父で怪物ランドの最高権力者。巨大な体格と怖い顔の持ち主だが、怪物平和戦争を終結させ、長らく自由と平和を守り国民からの信頼は厚く揺ぎ無いものとなっている。息子同様頑固で短気だが、寂しがり屋で子煩悩な所があり、時々太郎を呼び戻すために仮病を使う。太郎と同じく様々な超能力を持ち、眼光で物を溶かし、人間を石化させる(怪物ランドでは人間の入国を禁じられているため、太郎がヒロシを連れて帰って来た際にヒロシは石にされた。なお大王の涙で元に戻る)。他にも瞬間移動が出来る。息子とはまったく違う怪物形態だが、身体のある一部分のみが同じ代物である(最終回で判明する)。
- プリンス・デモキン
- 悪魔ランドの王子。本来怪物族と悪魔族は敵対していたが、デモキンは怪物大王に呪いをかけた父の悪魔王デーモン(悪魔組織デモーニッシュの首謀者でもある)に一人反発し、悪魔ランドへ乗り込んで来た太郎を案内し呪いを解かせ、怪物大王を憎む父を改心させる。それが切っ掛けとなり時々人間界に遊びに来るようになるが、太郎以上の世間知らずのためによく騒動を起こす。また、学研発行の『トップラーン』に掲載された『プリンスデモキン』という作品に主人公として登場している。
- ハニワくん
- ヒロシの通う小学校へ転校生としてやって来た同級生。埴輪そっくりの少年だが、その正体は日本の怪神の化身。生真面目で正義感が強く、融通が利かない。怒ると巨大な怪神(特撮映画の「大魔神」に酷似している)に変身する。初め太郎らとは対立関係にあったが、一騎討ちで太郎に敗れたのちに和解。
- ベム
- 太郎にとっては最大のライバル。地球を征服しにベラボー星から一つ目の円盤にやって来た宇宙怪物。太郎にいつもやられっぱなしだが、懲りずに何度も地球にやってくる。
- ノウルス
- 食いしん坊で頭が悪い(脳が留守ゆえにノウルス)が気のいい、恐竜型の怪物。コロコロ版以降および新作アニメでは「ノンビラス」に改名された。
[編集] アニメ
[編集] 白黒アニメ
TBS系にて、1968年4月21日 - 1969年3月23日に放送。全48話(15分2話)。映画評論家の淀川長治が、登場した怪物の解説をしていた。エンディングでもナレーションをしている。
[編集] スタッフ
- 製作:東京ムービー、スタジオ・ゼロ、TBS
- 監督:大隅正秋
- 演出:鈴木伸一、大隅正秋、秦泉寺博、岡部英二 他
- 作画:鈴木伸一、富永貞義、秦泉寺博、甲藤征史 他
- 音楽:岡本道夫
- 主題歌(OP・ED):『おれは怪物くんだ』
- 作詞:藤子不二雄
- 作曲:筒美京平
- 歌:白石冬美、大竹宏、兼本新吾、今西正男
- 主題歌(ED2):『怪物くん音頭』
[編集] 声の出演
[編集] ネット局
TBS(キー局)-北海道放送、青森放送※、岩手放送(現・IBC岩手放送)、東北放送、秋田放送※、山形放送※、福島テレビ※、新潟放送、信越放送、山梨放送※、北日本放送※、北陸放送、福井放送※、静岡放送、中部日本放送、朝日放送(当時はTBS系列)、山陽放送、中国放送、山陰放送※、山口放送※、西日本放送※、四国放送※、南海放送※、高知放送※、RKB毎日放送、長崎放送、熊本放送、大分放送、宮崎放送、南日本放送、琉球放送
無印=同時ネット局 ※=時差ネット局
[編集] カラーアニメ
テレビ朝日系にて、1980年9月2日 - 1982年9月28日に放送。94回放送、全188話(15分2話)。シンエイ動画の藤子アニメ第2弾。設定は淀川の解説が無い以外、原作やモノクロ版をほぼ踏襲している。放送中盤より、キャラクターデザインに若干の変更が加えられた。モノクロ版の怪物くんを演じた白石冬美が、このリメイクで再びやらせて欲しいと作者にまで懇願していたが、放送局や製作会社、スポンサーなどの違いなどの理由から、結局は野沢雅子に決まってしまったというエピソードがある。また、フランケン役の相模太郎が急逝したため兼本新吾に交代したが、兼本はかつてモノクロ版でオオカミ男を演じていた声優でもある。そしてキャストの中でただ1人、増山江威子がモノクロ版から一貫して怪子姫を演じ続けているのも特徴。2006年現在、テレ朝チャンネルで視聴が可能である。
[編集] スタッフ
- 製作:シンエイ動画、旭通信社(現ADK)、テレビ朝日
- 監督:福富博
- 演出:福富博、山田みちしろ、やすみ哲夫、井内秀治
- 作画監督:本多敏行、鈴木信一
- 美術設定:川本征平
- 美術監督:川井憲
- 撮影監督:小山信夫
- 録音監督:浦上靖夫
- 基本設定:芝山努
- 効果:松田昭彦
- 音楽:筒井広志
- 主題歌:
※新・旧主題歌、挿入歌共にCD「怪物くん全曲集」で全て聴く事が出来る。旧作BGMや主題歌・挿入歌を収録したCD「懐かしのミュージッククリップ40 怪物くん」もあるが、現在は廃盤。旧作はongen.netでも有料ダウンロード可能。
[編集] 声の出演
- 怪物くん:野沢雅子
- ドラキュラ:肝付兼太
- オオカミ男:神山卓三
- フランケン:相模太郎→兼本新吾
- 市川ヒロシ:三輪勝恵
- 市川歌子:川島千代子
- 怪子ちゃん:増山江威子
- 怪物大王:金井大
- ドクター・ノオ:野本礼三
- プリンス・デモキン:山田栄子
- アコちゃん:潘恵子
- キザオ:はせさん治
- 番野:鈴木清信
- 先生:津村隆
[編集] ネット局
テレビ朝日 - 北海道テレビ放送、青森放送※、東日本放送、秋田放送※、山形放送※、福島中央テレビ※(~1981年9月)→福島放送(1981年10月~)、新潟総合テレビ、信越放送※(1980年9月のみ)→テレビ信州(1980年10月~)、テレビ山梨※、北日本放送※、石川テレビ放送※、福井テレビジョン放送※、静岡けんみんテレビ(現・静岡朝日テレビ)、名古屋テレビ放送、朝日放送、山陰放送※、瀬戸内海放送、広島ホームテレビ、山口放送※、四国放送※、南海放送※、高知放送※、九州朝日放送、長崎放送※、テレビ熊本※、テレビ大分※、宮崎放送※、鹿児島テレビ放送※、琉球放送※
無印=同時ネット局 ※=時差ネット局
[編集] 映画
[編集] 怪物くん・怪物ランドへの招待
[編集] 怪物くん・デーモンの剣
[編集] 書籍情報
- 怪物くん 少年画報社 キングコミックス 全10巻(絶版)
- 新 怪物くん 双葉社 パワァコミックス 全3巻(絶版)
- 怪物くん 小学館 てんとう虫コミックス 全13巻(絶版)
- 怪物くん 小学館 カラーコミックス 怪物ランドへの招待 全1巻(絶版)
- 怪物くん 小学館 カラーコミックス 全3巻(絶版)
- 怪物くん 小学館 カラーコミックス デーモンの剣 全1巻(絶版)
- 怪物くん 中央公論社 藤子不二雄ランド 新編集 全21巻(絶版)
- 怪物くん 中央公論社 愛蔵版 全2巻(絶版)
- 怪物くん ブッキング 藤子不二雄Aランド 全21巻
- 怪物くん 小学館 ぴっかぴかコミックス
- 第1巻 2005年4月発行 ISBN 409148171X
- 第2巻 2005年6月1日発行 ISBN 4091481728
- 第3巻 2005年7月1日発行 ISBN 4091481736
- 怪物くん 小学館 ぴっかぴかコミックススペシャル
- 怪物ランドへの招待 ISBN 4091480543(上記のカラーコミックスの復刻)
- デーモンの剣 ISBN 978 4091480576(上記のカラーコミックスの復刻)
[編集] 外部リンク
- 怪物くんの思い出 ※カラー版アニメ作品や、脇役の怪物に詳しい
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