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日産・サニー - Wikipedia

日産・サニー

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

サニー (SUNNY) は、日産自動車が1966年から2004年まで製造・販売していた小型乗用車。90年代までは大衆車の代表格、日産の主力車種としてトヨタ・カローラと販売台数を争うほどであり、現在の団塊世代が最初に乗った車はサニーかカローラ、あるいはブルーバードコロナだった、という場合が多いといわれる。

目次

[編集] スタイル・機構

最終のB15型は4ドアセダンのみのボディタイプであったが、それ以前の型には2ドアセダン、2ドアクーペ、3ドアクーペ、トラック、2ドアライトバン、4ドアライトバン、ステーションワゴン(カリフォルニア)、3ドアハッチバックが存在した。

[編集] 歴史

[編集] B10型(初代、1966年-1970年)

  • ボディタイプは当初2ドアセダンのみだったが、順次追加されて4ドアセダン、2ドアクーペ、2ドア/4ドアライトバン、トラックの6種類まで増加した。
  • 1965年12月 日産自動車としては初の新型車名公募キャンペーン実施、ティザー/プレキャンペーンをマスコミで展開。翌1966年2月、約800万通の応募からサニーが決定された。
    車名の意味については車名の由来を参照。
  • 1966年4月 B10型2ドアセダン発売開始。発売当初は「ダットサンサニー」。エンジンはその後30年にわたって作り続けられた名機「A型」の直列4気筒 1,000cc ハイカムシャフトOHVA10型。
  • 1967年4月 4ドアセダン発売。4速マニュアル・フロアシフトのスポーツ・シリーズおよび3速オートマチック車を追加。ちなみに3速オートマチック車はクラス初。
  • 1967年7月 最初のマイナーチェンジ。
  • 1967年10月 オーストラリアのバサースト500マイルレースに出場、ワンツーフィニッシュを飾る。ロクスバーグル・ホワイトフォード組(共にオーストラリア)がクラス優勝(Aクラス:ベースモデルの現地での販売価格が1,800オーストラリアドル以下)、高橋国光・大石秀夫組が2位となる。これがB10型サニーのメジャーレースでの初陣である。
  • 1968年3月 ファストバックスタイルの2ドアクーペ(KB10型)を追加。
  • 1968年8月 全日本選手権、雨の鈴鹿サーキットで宿敵カローラを下す(ドライバーは北野元)。
  • 1968年10月 マイナーチェンジ
  • 1969年8月 上級グレード「GL」を設定。
  • 1970年 生産終了。B110型にバトンタッチ。


[編集] B110型(二代目、1970年-1973年)

B110型(海外仕様)
B110型(海外仕様)
  • 1970年1月 B110型にモデルチェンジ。ボディタイプは2ドア/4ドアセダン、2ドアクーペ、バン、トラック(トラックのみB120型)の5種類。エンジンは直列4気筒OHV A12型1200ccエンジン。CMコピーは「隣りのクルマが小さく見えます」と、当時のE10系カローラを意識したものだった。
  • 1970年4月 セダン、クーペにSU型ツインキャブを搭載するスポーティグレード「GX」追加。
  • 1970年11月23日 「全日本富士ストックカー200マイルレース」TS1300クラスでレースデビュー。カローラの独占状態だったこのクラスに日産ワークスからわずか1台の出場だったが、見事優勝。ドライバーは鈴木誠一
  • 1971年4月 4ドアセダン、クーペに「エクセレント・シリーズ」を追加。エンジンはロータリーエンジンは間に合わずレシプロのみでのデビューとなったが、サニーとしては初となる、SOHCエンジンである直列4気筒SOHC・L14型1400ccを搭載。オリジナルに対してフロントオーバーハングを130mm、ホイールベースを40mmそれぞれ延長した。CMコピーは「ハナがたか~い1400」。半球型の燃焼室を持ちクロスフローセンタープラグ式ながらOHVであったT型エンジン(メカニズム的にはクライスラーHEMIヘッドエンジンのコピー)搭載モデルのE20系カローラ1400モデルを意識したものだった。
  • 1972年1月 マイナーチェンジ。内外装の小変更、2ドアバンを追加設定。
  • 1972年8月 1200GXシリーズに5速MT搭載車「GX5」を追加。
  • 1973年5月 「'73日本グランプリ」Tsaクラスにて「エクセレントクーペ」が優勝を飾る。ドライバーは北野元。その後、B210型が登場後もB110型はレースで活動を続けた。

【B110型の主なレース戦歴】

  • 1974年5月 「74全日本選手権鈴鹿フォーミュラレース」SS1クラスにて「サニークーペ」優勝。
    1974年11月 「74 JAFグランプリ」SS1クラスにて「サニークーペ」1-2位獲得。
    1975年5月 「75日本グランプリ」TSクラスにて「サニークーペ」2位獲得。
    1977年6月 「JAF富士グランプリ」TSクラスにて「サニークーペ」2位獲得。
  • 1973年 生産終了。B210型にバトンタッチ。
  • B120型サニートラックは、B110型が生産終了後も細かいマイナーチェンジを受けつつ1994年まで、24年もの間生産が続けられた。


[編集] B210型(三代目、1973年-1977年)

  • 1973年5月 B210型にモデルチェンジ。ひと回り大きくなり、より豪華になった。ボディタイプは2ドア/4ドアセダンとクーペ、2ドア/4ドアバンの5種類。この型からクーペは大型のハッチバックを持つ形状になった。先代同様、1200ccのA12型エンジンとエクセレント用1400cc・L14型エンジンの2種の排気量を持ち、それぞれにシングルキャブ仕様とツインキャブ仕様を設定したが、ホイールベースは共通となり、エクセレントはフロントオーバーハングの延長にとどまる。
  • B210サニーの特徴はブレーキで、エクセレントにはサーボ付ディスクブレーキが全車に標準装備された。大衆車クラスでは豪華グレードとスポーツモデルにしか採用されなかったこの当時、デラックス級にもディスクブレーキを採用したモデルはサニーのほかはホンダ145のみだった。ただし、サニー1200ではデラックス以下はドラムブレーキだった。
  • 1976年2月 マイナーチェンジ。エクセレント用のエンジンが1400cc・SOHCのL14型から1600cc・SOHCのL16型に換装される。1400ccエンジン車には、かわりにF10型チェリー用のOHV・A14型エンジンが搭載された(1200ccのA12型は引き続き搭載)。7月にはツインキャブエンジンを搭載した1400GXツインが登場し、スポーティなサニーが戻ってきた。
  • 1977年 生産終了。B310型にバトンタッチ。


[編集] B310型(四代目、1977年-1981年)

B310サニー(海外仕様)
B310サニー(海外仕様)
  • 1977年10月 B310型にモデルチェンジ。SOHC・L型エンジン搭載のエクセレントシリーズは廃止され、全車OHV・A型エンジン搭載車(1200ccのA12型と1400ccのA14型)のみとなる。ボディタイプは2ドア/4ドアセダン、3ドアハッチバッククーペ、2ドア/4ドアバンの5種類。最後のFRサニーである(B120型を除く)。
  • 1977年11月 国内登録累計300万台達成。
  • 1978年8月 輸出累計200万台を突破。
  • 1979年10月 マイナーチェンジ。当時流行の角型ヘッドライトなどを採用。
  • 1980年11月 マイナーチェンジ。1200を1300(1300ccのA13型)に、1400を1500(1500ccのA15型)にそれぞれ変更。外装は、フロントグリル中央横方向に一本、カラーラインが入っていた。また、フロントグリルはファミリータイプには横バーグリルに青い「S」バッチ、スポーティタイプにはハニカムグリルに赤い「S」バッチが採用されていた。

イメージキャラクターとして松坂慶子を起用。「私の理想のタイプ、新型サニー」のキャッチコピーと共にCFやカタログに登場した。

  • 1981年 生産終了。B11型にバトンタッチ。


[編集] B11型(五代目、1981年-1985年)

B11サニー(写真は北米仕様車セントラ。日本向けとはフロントマスクが異なる。)
B11サニー(写真は北米仕様車セントラ。日本向けとはフロントマスクが異なる。)
  • 1981年10月 B11型にモデルチェンジ。時代の趨勢に合わせて駆動方式を後輪駆動から前輪駆動に改め、エンジンも旧態依然としたOHVのA型系から、N10型パルサーに先行投入されていたFF専用の新開発SOHC8バルブエンジン、E型系1300cc(E13S型)/1500cc(E15S型/E15E型)を搭載した。事実上サニー初のタイミングベルト駆動エンジン搭載である。デビュー当初のボディタイプは4ドアセダン、3ドアハッチバッククーペ、5ドアワゴン(カリフォルニア)。イメージキャラクターには先代末期から引き続いて松坂慶子を起用した。
  • 先代モデルまで存在した2ドアセダンは輸出仕様のセントラには継続して設定され、バンはB11型のコンポーネンツを流用したADバンとして独立している。
  • 1981年7月に当時の石原俊社長の方針で、国内外で展開していた「ダットサン」ブランドを廃止し「日産」ブランドへ統一する事が発表された(ダットサン・ピックアップを除く)。それまで日本国内で「ダットサン」ブランドで販売されていたサニーも、B11型へのフルモデルチェンジを機に、正式車名を「日産・ダットサン・サニー」から「日産・サニー」へと切り替えらる事となる。車検証に記載される車名も「ダットサン」から「ニッサン」に切り替えられた。
  • 1982年1月 姉妹車ローレルスピリット発売。サニーとの差異は車名、前後エンブレム、フロントグリル、リアコンビネーションランプなど。
  • 1982年2月 米環境保護庁より北米向けサニーである「セントラ」の1500cc 5速MT仕様が43mile/galでガソリン車No.1の燃費効率と発表される。
  • 1982年9月 4ドアセダン、3ドアハッチバッククーペに1487ccターボチャージャー付 E15ET型搭載の「ターボルプリ」を追加。鏡文字の「TURBO」が書かれたラジエタ-グリルを特徴とする。キャッチコピーは「電撃ルプリ」で、CMキャラクターに従来の松坂慶子に加え時任三郎を起用。黒い革ツナギ姿の2人がアクション映画をイメージしたCFや、拳銃や小銃を構えた姿でカタログに登場し、懸命にワイルドなイメージをアピールしている。(※後に時任は競合車種である1995年発売の5代目三菱・ランサーのCMに出演している)
  • 1982年10月 4ドアセダンおよびカリフォルニアにサニー初のディーゼルエンジン車を設定。直列4気筒OHC・1680ccのCD17型を採用。最高出力はグロス値で55馬力を発生した。
  • 1983年10月 マイナーチェンジを機に三代目B210型より続いてきた6ライトウィンドウ&ファストバックスタイルの3ドアハッチバッククーペを廃止。世界的に主流となり国内では1980年発売の五代目マツダ・ファミリアの登場で人気を得た、コンパクトな2BOXスタイルの3ドアハッチバックに差し替えられる。
  • 1984年10月 マイナーチェンジし、「4ドアセダン1300GLエクストラ」を追加。この年、国内販売がカローラに次いで2位となる。
  • 1985年 生産終了。B12型にバトンタッチ。


[編集] B12型(六代目、1985年-1990年)

B12サニー(写真は1987年~1990年までの後期型)
B12サニー(写真は1987年~1990年までの後期型)
  • 1985年9月 B12型にモデルチェンジ。通称「トラッドサニー」。ボディタイプは4ドアセダン、3ドアハッチバック(303,305)、5ドアワゴン(カリフォルニア)の4種類。4ドアセダンにはパートタイム式4WD車を設定。キャッチコピーは「なかなか、シブイんじゃない」。CMソングにザ・ビートルズの「Here, There and Everywhere」を起用していた。かつての傑作といわれた510型ブルーバードを髣髴とさせる直線的なボディーをまとい、保守的な内装であったが、先代と比べて飛躍的に質感が高められたこともあって好調な売れ行きを見せ、幅広いユーザー層に支持された。ちなみに、丸円にSの文字をモチーフにしたエンブレムはB12型で最初に用いられた。
  • 1986年2月 クーペ「RZ-1」(アール・ズィー・ワン)を追加。シャシーはセダン/ハッチバックと共通だが、外板の多くは専用設計されていた。鋭角的な独特のフロントマスクを与えられ、セダンとは異なる個性を放っていた。
  • 1986年7月 「4ドアセダン1500DX」を追加。
  • 1986年8月 サニー初のDOHCエンジン搭載グレード「セダン1600スーパーサルーン・ツインカム」(エンジンはCA16DE型)を追加。
  • 1986年9月 4ドアセダンおよびカリフォルニアに、フルオート・フルタイム式4WD車、および「セダン1500スーパーサルーンE」を追加し、「セダン1500SGX-E」廃止。CMソングにザ・ビートルズの「oh!darling」を起用 。
  • 1987年5月 「GL」をベースにカラードバンパーやパワーウィンドーを装備した特別仕様車「4ドアセダンエレガントサルーン」、および「4ドアセダンフルオート・フルタイム4WDエレガントサルーン」発売 。
  • 1987年9月 最初のマイナーチェンジ。外装ではフロントマスクと、特にリア周りのデザイン(コンビネーションランプやナンバー取付け位置など)が変更された。特筆すべきはエンジンで、1500ccガソリン車のエンジンが、直列4気筒SOHC・8バルブのE15型から直列4気筒SOHC・12バルブのGA15型(キャブレター仕様のGA15S・85psとインジェクション仕様のGA15E・97ps)に換装された。(1300cc車は従来どおりキャブレター仕様のE13S型のみ)。これに合わせてターボ車はモデル廃止された。グレードに関しては「1300GL / 1500GL」が「1300EXサルーン / 1500EXサルーン」に改名。また、「1500SGL」に代わって新たに「1500SXサルーン」を設定。セダン/カリフォルニアの「1500スーパーサルーン」系のフルオート・フルタイム4WD車にはメカニカル式ABSをメーカーオプションで設定。キャッチコピーは「トラッドは、クオリティの話をします」。
  • 1988年1月 セダンにモータースポーツ向けの「1600VRツインカム」(エンジンは5速クロスミッション付きのCA16DE型)を追加。同時に、マニュアルエアコンを標準装備した特別仕様車「1300 / 1500EXサルーンG」発売。
  • 1988年2月 セダンのスーパーサルーン系のグレードにツインエアロルーフを設定。
  • 1988年6月 トリプルビスカス式4WD車を追加。特別仕様車として「1500スーパーサルーン・TRAD」および「1500スーパーサルーンE・TRAD」を発売。この特別仕様車は、前後カラードマッドガードやプッシュ式オートエアコン等を装備しており、シート表皮やインテリアカラーは「1600スーパーサルーン・ツインカム」と共通。ボディカラーはクリスタルホワイト(#531)1色のみのお買い得車だった。
  • 1989年1月 2回目のマイナーチェンジ。セダンのEXサルーン系のグレード名をEXに変更。スーパーサルーン系のグレードに「スプレンド」シリーズを設定。セダン、ハッチバック、RZ-1に「NISMO」シリーズを設定。
  • 1989年5月 特別仕様車「4ドアセダンエレガントサルーン」発売およびRZ-1に「Type J」を追加 。
  • 1990年 生産終了。B13型にバトンタッチ。


[編集] セダン・B13型(七代目、1990年-1994年)、カリフォルニア・Y10型(四代目、1990年-1996年)

B13サニー(写真は1992年~1994年までの後期型)
B13サニー(写真は1992年~1994年までの後期型)
  • 1990年1月 B13型にモデルチェンジ。好評を得た先代のコンセプトをそのままに、ボディに丸みを持たせたのが特徴。ボディタイプは4ドアセダンのみ。
  • また、同年8月に5ドアワゴンのカリフォルニアがフルモデルチェンジを実施。こちらは2代目ADバン・ADワゴンとボディをほぼ共有するため車体形式がY10型となる。
  • エンジンはガソリンエンジン車を全車DOHC化。特にGA型ガソリンエンジンシリーズ(GA13DS、GA15DS、GA16DE)は、当時のトヨタのハイメカツインカムエンジンのコンセプトをかなり意識していた。前述のトヨタのハイメカツインカムエンジンがシザースギアを介しタイミングゴムベルトでカムシャフトを駆動しているのに対し、こちらはシングルチェーンを用いた上下2段のタイミングチェーンでカムシャフトを駆動している。1600ccのGA16DE型のみ、サニー初の可変バルブタイミング機構が装備されている。
  • また、サニー史上初の1800ccガソリンエンジンも設定された。グレードは1.8GT-Sで、DOHC16バルブ・プレミアムガソリン仕様・140PSのSR18DE型を搭載していた。
  • このモデルから多くのグレードに2WD、4WDに関わらず油圧式のABSがメーカーオプションで用意された。なお、1.8GT-S以外のグレードでABSをメーカーオプションで装着するとリアブレーキがリーディング・トレーリング式ドラムブレーキからディスクブレーキに変更となる。1.8GT-SはABS非装着車であっても最初から4輪ディスクブレーキを採用している。
  • ちなみにB13型のセダンの場合、ドアアウターハンドルは通常、下からの方向からノブを引くようにして開けるだけでなく、上からの方向からノブを下へ押すようにして外側からドアを開ける事が出来る。
  • 発売当初のCMは陣内孝則が出演し、「サニーの夢はひとつじゃない。スモールの革命がはじまった」キャッチフレーズでCM展開していた。後に伊丹十三が出演するCMに代わり、「わかった人が乗っている」、後の25周年記念車のCMでは「サニーは小さな高級車です」のキャッチフレーズでアピールしていた。そのためか車両価格が高くなり売れ行きは鈍った。発売直後にバブル崩壊が起きたため高級感をアピールする戦略は的外れなものとなってしまったのである(これは後発でありライバルのE100系カローラ【ただしE100系のワゴン、同E100系のバンは例外】も同様)。
  • クーペモデルはサニーの名を付けず、「NXクーペ」(海外では100NXとして発売) として先代B12型RZ-1に続き独立した意匠で登場。国内ではウーパールーパーの顔を彷彿とさせるその奇抜なフロントマスクで販売は低迷したようだが、北米市場では好評を得ていた。
  • 1992年 九州工場での生産を開始。同年のマイナーチェンジではフェイスリフト以外にフロントグリルのエンブレムがSマークから日産のCIエンブレムに変更になる。モデル末期には、一転して価格破壊的なお買い得車(創業60周年記念車)を連発して売れ行きを伸ばした。CMで女優の一色紗英が、「トクだね音頭」と名付けられたオリジナル曲を歌い「♪猫に小判をもらったよ そうりゃ得だね得したね 今度のサニーは立派だよ そうりゃ得だね得したね 60周年記念だよ そうりゃ得だね得したね 得した得した得したね・・・」と連呼しCMと共に好評を得ていたが、こうしたB13の宣伝・販売戦略の迷走ぶりは、バブル崩壊後の日産自動車の低迷を示しているようでもあった。
  • 1994年 生産終了。B14型にバトンタッチ。
  • B13セダンは現在でもメキシコ工場でTSURU の名称で現地生産されている。

[編集] B14型(八代目、1994年-1998年)

B14サニー(フロント。写真は1997年~1998年までの後期型)
B14サニー(フロント。写真は1997年~1998年までの後期型)
B14サニー(リア。写真は1997年~1998年までの後期型)
B14サニー(リア。写真は1997年~1998年までの後期型)
  • 1994年1月 B14型にモデルチェンジ。デビュー時のキャッチフレーズは、燃費の良さをアピールする「12マイルサニー」。ボディタイプは4ドアセダンのみ。
  • なお、1996年までは先代B13型ベースの5ドアワゴン「サニー・カリフォルニア」を併売していたが、1996年5月にY10型「ウイングロード」が登場したのを期に、ADバンと統合され、モデル廃止となっている。
  • ガソリンエンジン車は全てマルチポイントインジェクション化した。また、数ヵ月遅れで1500cc車にリーンバーン仕様である「1.5CX」を追加(装備は1.5EXサルーンと共通)し、更なる燃費向上をアピールした。
  • B14型では、FF車のリアサスペンションに新開発のマルチリンクビームサスペンションを採用した。
  • 販売のメインである1300ccと1500ccグレードには、B13型と同様、直列4気筒DOHCエンジンのGA13DE型とGA15DE型をそれぞれ改良して搭載。トップグレードのスーパーサルーンには1800ccプレミアムガソリン仕様のSR18DE型を搭載していた。ディーゼルエンジン車はこれまでの1700cc CD17型から2000ccのCD20E型に換装された。
  • B14の開発主管は深井吉男が担当し、モデルチェンジされたB14は、「ローレル並みの乗り心地(ただしC33型)」「プリメーラ並みの居住性」「マーチ並みの燃費」といった3つのセールスポイントと、ホイールベースを延長(B13型に対して105mm延長)させて、新開発の「リヤ・マルチリンク・ビームサスペンション」の採用により、居住性の向上及び走行性能が向上した事、時代の要請に合わせてリサイクル性を向上させた事など、B14の開発陣が胸を張るほどの日産の自信作であった。
    • しかし90年代に入ってからのバブル経済の失速&崩壊、また社会情勢的に自動車の環境&安全性能の向上が至上命令となったため、その開発や生産設備の整備等に巨額な費用を捻出しなければならない事態となり、日産に限らず、多くの自動車メーカーが史上空前の大幅なコスト削減の対応に追われる事となった。
    • 日産もその類に漏れず1990年から本格的に原価低減活動を活発化させる。そのため1991年に正式な開発がスタートしたB14型は、バブル期に開発された旧型のB13型と比較して大幅なコストダウンの影響が目に見えて表れ、他社の競合車種と比べて特に質感の面で見劣りする結果となった。
    • 当時サニーを保有するユーザーの平均年齢の高齢化に伴い、時代を先取りした感のあるエクステリアデザインを採用して若年層回帰を狙ったものの、質感の低さが災いして新規需要はもとより、既存のサニーユーザーの代替需要さえも獲得できなかった。1995年と1997年にマイナーチェンジを行うが、B14型の販売は終始不振に陥ったままだった。
  • 1994年5月、派生車種(事実上NXクーペの後継車)として2ドアクーペモデル「ルキノクーペ」を発売。セダン並みのトランクスペースと高い実用性を持っており、実質的には2ドアセダンと言えた(ちなみに、競合車種の三菱・ミラージュアスティスバル・インプレッサリトナ等の2ドアクーペモデルも同様の性格を持ち合わせていた)。
  • ルキノのCMキャラクターには、前期型では江口洋介大塚寧々、中期型で浅野忠信水野美紀、後期型では金城武が起用され、CM曲も前期型では江口洋介、後期型ではサザンオールスターズの曲が使用され好評を得ていた。
  • ルキノはB14型ベースのクーペとは別に、N15型パルサー・セリエをベースとした3ドア&5ドアのハッチバック「ルキノハッチ」及び「ルキノS-RV」も展開した。
  • CMキャラクターは、販売テコ入れ策として、ビックマイナーチェンジ後(1995年1月)から、B13型の日産創立60周年記念特別仕様車CMで好評を得ていた一色紗英が、再びCMキャラクターとして起用されるようになった(「クルマっぷりのいいサニー」篇(1995年9月)。後にCM中にランディ・バースと共演)。末期(1997年5月)には一色紗英に代わり柄本明風吹ジュンが出演した。

全日本ツーリングカー選手権(JTCC)への参戦】

  • 当時開催されていたカーレースイベントである、全日本ツーリングカー選手権(JTCC)には、P10/P11型プリメーラとともに、エンジンをSR20DEに換装したB14型サニーが1994年1995年のオールシーズンと1996年のシーズン途中まで参戦した(メンテナンスは東名エンジニアリング)。
  • 1995年にMINEサーキットで行なわれた全日本ツーリングカー選手権の第9戦(第2ヒート目)で、ザナヴィ・サニーを駆る飯田章が、ジャックス・シビックフェリオを駆る服部尚貴との雨の中の激闘を制して念願の1勝をあげている。
  • ちなみに、このB14型サニーのJTCCレースカーはその後、東南アジア・ツーリングカー・ゾーン・チャレンジ(SEATCZC)に地元チームの手で参戦した。のちに日本に戻り、現在は日産の座間事業所内にある座間記念車庫に保管されている。

NISMO 180Rの存在】
B14型サニーのJTCC参戦記念モデルとして、NISMOでは1800ccの4ドアセダンをベースにNISMO 180Rというロードコンプリートカーを企画した。車名は最大出力である180馬力に由来し、走行可能なプロトタイプが1台のみ製作されたが、残念ながら市販車は未発売。

  • エンジンは青いヘッドカバーのSR20DEファインチューニング版を搭載し、ニスモ製強化サスペンションと15インチのアルミホイールを装着。ニスモ製エアロパーツをフル装着していた。
  • 車両としては未発売に終わったが、搭載されていたエンジンとミッションは更に見直され、同年発売のB14型ルキノクーぺ及びN15型パルサーセリエ/ルキノハッチをベースとしたAUTECH VERSION(開発・販売はオーテックジャパン)に搭載されたSR20DE改良型として発売された。

[編集] B15型(九代目、1998年-2004年)

B15サニー(1998年~2002年までの前期型)
B15サニー(1998年~2002年までの前期型)
  • 1998年10月 B15型にモデルチェンジ。CMなどによる派手な広告展開は行われなかった。ボディタイプは4ドアセダンのみ。デビュー当初は、新開発のQG13DE型、QG15DE型リーンバーン/LEV、可変バルブリフト&タイミング機構付き「NEO VVL」を採用したSR16VE型、QG18DD型NEO Di直噴ガソリンの4機種6仕様のエンジンが用意されていた。駆動方式はFFと、一部のグレードでフルタイム4WDが存在した。
  • 搭載エンジンは全て直列4気筒で、新開発の1300cc・QG13DE型搭載車および1500cc・QG15DE型搭載車を販売のメインとして、1800ccの直噴ガソリンエンジンQG18DD型とハイパーCVTを組み合わせたモデルや、U30型プレサージュと同系列のYD22DD型直噴DOHC16バルブディーゼルエンジンを積んだモデルも存在した。
  • さらに、久しぶりに設定されたスポーツグレードである「1.6 VZ-R」には、B14ルキノやN15パルサー/ルキノハッチで採用された青いヘッドカバーの1600cc「NEO VVL」エンジンSR16VE型が搭載されていた。なお、「1.6 VZ-R」のみATやCVTの設定はなく、5速MTのみとなっている。
  • ちなみに、開発初期の段階ではB15型サニーにこのSR16VE型が搭載される予定はなかったが、当時同エンジンを搭載したN15パルサーで参戦していたスーパー耐久レース用の車両開発チームが、そのシャシー性能に惚れ込んで急遽設定されたという逸話がある。
  • しかし残念ながら、この「1.6 VZ-R」は中途半端な装備と相まって、当時全くと言っていいほど販売台数が伸びなかった。そのためか、B15型が発売されてその2年後にはカタログのリストからは一足先に消滅している。「1.6 VZ-R」の総生産台数は312台だった。
  • ちなみに、このB15型サニーの「1.6 VZ-R」は2007年現在、もし中古車市場に出ることがあれば、大衆向けのファミリーセダンとしては人気薄のMT車という事から、大変な希少車であるにもかかわらず良質車であってもかなりリーズナブルなプライスタグを付けられていることが多いようである。
  • なお「1.6 VZ-R」のインテリアの装備に関しては5速MTのみ・マニュアルエアコンのみの設定を除けば「スーパーサルーン」系とほぼ同等の装備となっている。
  • B15のヘッドランプのバルブは一般的なH4ではなく、特殊なIH01形を採用している。このため、市販の高効率バルブや後つけHIDバルブを取り付けることは不可能である。
  • B15の開発主管は、B14に引続き深井吉男が担当し、売れ行きの芳しくなかったB14型の反省を元に、サニーユーザー層の中心となる60歳台前後のユーザーの嗜好に合わせるためにB12型やB13型を彷彿とさせる非常にコンサバティブで王道的なキャラクターだが造りのよさをアピールするコンセプトに回帰している。派手なCM展開はされずに、4ドアセダンのみでグレード設定も少なかったため、一部評論家からは「売る気が無い」「まったくそそらない」「かなり古臭い」「魅力がない」とまで酷評されていたが、オーソドックスなスタイリングやパッケージング(実際、居住性は先代のB14型と比較するとだいぶ狭く、かつてのB12型もしくはB13型並みといわれている)を好むとされる既納先のサニーユーザーや、60歳台前後のユーザー層から支持され、販売は堅調だったという。
  • 案の定、その保守的なコンセプトは、2000年9月以降、ライバルのカローラセダンが9代目(E120系)に移行すると倍近い販売台数でカローラセダンに大きく水をあけられてしまう結果となった。
  • 2002年5月のマイナーチェンジ時に2200cc直噴ディーゼルエンジン(YD22DD)を含むラインナップの整理が行われ、最終的には1300ccおよび1500ccガソリンエンジン(QG13DE・QG15DE)のみの構成に落ち着いた。
  • 2006年まではB15型サニーをベースとする「セントラ」がメキシコ工場にて生産され、アメリカ合衆国を始め、各国へ輸出されていた。
  • また、中国でも「サニー」という車が販売されているが、実際は日本でいうところのブルーバードシルフィである。
  • 1999年9月 YD22DD型NEO Di直噴ディーゼル搭載車を追加。1999年11月 北米向けセントラCA(Clean Air)がCalifornia Air Resources Board(カリフォルニア大気資源委員会)の制定する排気基準値とエバポ排出ゼロ規制値をクリアし、またガソリン車として世界初の車載故障診断システムレベルII(OBDII)要件に合致している車として認定された。
  • 2000年2月 北米向けB15型「セントラCA」発売。
  • 2000年5月 35周年記念特別仕様車登場。
  • 2000年9月 内外装の一部を変更し、グレード体系を変更。SR16VE型搭載車が廃止された。
  • 2002年5月 マイナーチェンジ。外装の意匠変更、アクティブヘッドレストの採用および内装の仕様変更がなされたほか、ディーゼルエンジン搭載車が廃止された。車名ロゴが「Sunny」から「SUNNY」に変更された。
  • 2003年4月 上海モーターショーに中国向け「サニー(陽光)」を出展。ただし、この車はG10型ブルーバードシルフィをベースとし、直列4気筒2000ccエンジンに4速ATおよび5速MTを組合わせていた。
  • 2003年 日産自動車創業70周年記念車が発売。
  • 2004年 SCCAスピードワールドチャレンジ・ツーリングカーシリーズに北米向けB15型「セントラSE-R」が参戦。

【セントラSE-Rの主な戦歴】

6月 第3戦 オハイオ州レキシントン ミッドオハイオ・スポーツカー・コース 3位入賞
7月 第4戦 インフィネオン・グランプリ カリフォルニア州ソノマ インフィネオン・レースウェイ 3位入賞
7月 第5戦 インフィネオン・グランプリ 24位完走

2004年10月 生産終了。後継車は4ドアセダンのティーダラティオ

[編集] サニーの終焉(2004年)

2004年9月30日に「ティーダ」が登場し、同年10月末に正式な後継車種の「ティーダラティオ」が登場に伴い、サニーを国内向け生産終了。38年の歴史に幕を降ろした。


[編集] 車名の由来

「太陽がいっぱい」と言う意味。一般公募により、応募総数848万3,105通の中から名づけられた。尚、その時点で「サニー」はソニーにより商標登録されていたので、ソニーからの許諾をとった上で商標とした。

[編集] 取扱販売店

取り扱いは日産レッドステージとレッド&ブルー。 98年のフルモデルチェンジ以前はサニー店で取り扱っていた。 サニー店は以降、サティオ店に名称変更。

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

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