水島
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水島(みずしま)
水島地域のデータ | |
面積 | km2 (-----) |
総人口 | 89,651人 男45,580人、女44,071人 (2006年12月現在) |
世帯数 | 36,046世帯 (2006年12月現在) |
倉敷市役所 水島支所 | |
所在地 | 〒712-8062 |
倉敷市水島北幸町 1番1号 | |
電話番号 | 086-446-1111(代表) |
外部リンク | 倉敷市公式サイト |
水島(みずしま)は、岡山県倉敷市の中南部に位置する倉敷市水島支所管内の地域のことで、岡山県南新産業都市の中核をなしてきた工業地帯に隣接する瀬戸内海の港湾都市でもある。
※倉敷市内には都市機能を備える倉敷・児島・玉島・水島の四つの地域がありそれぞれ項目もあるため本項ではこの四つのことを“地域”、その一部分を“地区”と区別・記載する事とする。
目次 |
[編集] 地理
水島が他の3地域と大きく異なるのは、工業地帯により発展してきたため国内外から移り住んできた市民および男性の割合が多いこと、市街地が計画的に整備され公園等の公共施設や直線的で幅員の広い道路が多いこと、また独立した“市”であった時期の無いことなどの点である。
[編集] 地形
北東部を連島(大平山など)と児島(種松山・鴨ヶ辻山など)の山々に囲まれた起伏の無い平野が広がり、その中央に碁盤の目状に整備された市街地、東西両側には整然とした農地が広がっている。また、山裾にはかつて港で栄えた西之浦や呼松(よびまつ)をはじめ歴史のある数々の集落がある。地域の河川は西を流れる高梁川を源流とする八間川などの農業用水が主で、上水道も同じ川から取水している。そして海を臨む南部の埋立地には重化学工業を中心とする工場群が林立し、中に亀島山と王島山の小高い山が含まれている。
隣接する地域
[編集] 歴史
水島の名前の由来になった水島灘とは現在の高梁川河口より沖に広がる遠浅の海のことを指すが、安土桃山時代以前は倉敷・水島・玉島の平野も水島灘の一部であった。中世は水島灘内にあった玉島地域の柏島・乙島にかけて源平合戦(治承・寿永の乱)・水島の戦いの舞台になったことがある。よって、現在の水島の平野の殆どが江戸時代に行われた福田・連島(つらじま)の新田開発と大正時代の東高梁川埋立工事によって人工的に作られたものである。
街の成り立ちは1941年に東高梁川の廃川地に建設された水島航空機製作所社宅のあった厚生地区に始まり、当時から地名としての“水島”が定着していったと言われている。太平洋戦争後、社宅が払い下げられ千鳥町から弥生町までの商店街が形成される。
市街地が浅口郡連島町と児島郡福田町にまたがっていたことから合併して水島市になる構想があったが鉄道と上水道が倉敷市に買収されたことで両町長が断念、1953年水島地域は2町が編入されることによって倉敷市になった。その後、1960年代の高度成長期に工場の立地や社会資本整備などが進むと同時に人口も急激に増加し、倉敷市内で最も都市的な市街地を形成するに至った。
- 1941年 三菱重工業水島航空機製作所(現三菱自動車水島製作所)と厚生地区の造成が始まる。
- 1943年 航空機製作所専用鉄道(現水島臨海鉄道)開業。
- 1945年 水島空襲。水島航空機製作所が米軍の空襲により破壊される。
- 1950年 警察予備隊(現自衛隊)駐屯地開設(1957年閉鎖)
- 1953年 水島地域(連島町・福田町)が倉敷市に編入。工業用地と港の建設が始まる。
- 1954年 倉敷警察署水島支所・倉敷警察署福田分署を統合し水島警察署が設置される。倉敷消防署水島分署(現水島消防署)が設置される。
- 1968年 霞橋(三代目)完成。
- 1969年 倉敷公害病認定患者の公害反対運動が活発化する。
- 1974年 三菱石油(現新日本石油)製油所で重油流出事故発生。
- 1977年 水玉ハイウェイ(1994年水玉ブリッジラインに改名)供用開始。
- 1980年 倉敷古城池高校開校。
- 1995年 倉敷芸術科学大学開学。
- 1996年 原告倉敷公害病認定患者と水島コンビナート被告企業との間で和解が成立。
[編集] 経済
[編集] 商業
水島の街は1960年代好景気に沸く工業地帯に支えられ商店街・映画館を含む歓楽街など倉敷の街を凌ぐ活気をみせたが、1970年代に入ると全国の地方都市と同様に衰退が始まった。1990年代後半以降ダイエーとサティの閉店が追い撃ちになり街全体が求心力を失ってゆき、現在の商店街に至っては人影が疎らで閉鎖された店舗も多く依然として衰退が止まっておらず、“水島砂漠”と揶揄されることもある。
一方、郊外の幹線道路沿いは中型スーパーマーケットの激戦地である。地元のニシナ百貨店をはじめ両備ストア・広島のイズミ・姫路のマックスバリュ西日本・香川県の山陽マルナカ、最近では24時間営業のディスカウントが売り物の大黒天物産(ディオ)と福山のハローズも加わりオーバーストアになりつつある。
いずれにしても、かつての様な活気のある商業集積地はできにくい状況にある。これは公共交通の拠点もしくは街の核になる施設が無く宅地化の進む郊外への人口流出等が要因であり、時代に応じての見直しが為されない都市計画が皮肉な結果をもたらしていると言えよう。
主な商業施設
[編集] 工業
岡山県の経済を支えている水島臨海工業地帯(玉島地域を含む)、高度成長期に4万人まで膨れ上がった従業者数は不況の度に合理化が進み最近では2万5千人を切っている。逆に製造品出荷額は平成不況の際に大型事業所の閉鎖等の機能低下を免れたこともあり2004年度には3兆円台(県全体 約6.5兆円)まで回復し全盛期に近づきつつある。
工業地帯(水島地区)の主な事業所
- JFEスチール西日本製鉄所倉敷地区
- 三菱自動車工業水島製作所
- 旭化成水島製造所
- サノヤス・ヒシノ明昌水島製造所(造船)
- ジャパンエナジー水島製油所
- 新日本石油水島製油所
- 東京製鐵岡山工場
- 三菱化学水島事業所
[編集] 農業
もともと農業干拓でつくられた水島の平野は現在でも倉敷市内有数の農産地で水田よりも畑作が盛んである。 中でも連島地区はゴボウとレンコンの名産地であり倉敷市が薦めている倉敷ブランドに指定されている。 その他では、ダイコン、福田地区のショウガなど、連島・大平山山腹ではミカンの生産もされている。
[編集] 水島を拠点にする主な企業
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[編集] 教育
大学・短期大学
専修学校
- 倉敷芸術科学大学専門学校
高等学校
- ※岡山県立水島工業高等学校は水島地域に含まれない
中学校
- 倉敷市立福田中学校
- 倉敷市立福田南中学校
- 倉敷市立水島中学校
- 倉敷市立連島中学校
- 倉敷市立連島南中学校
小学校
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各種学校
[編集] 行政
主な行政機関
[編集] 生活
公共施設
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医療機関
主な医療機関
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[編集] 文化・スポーツ
野球
- 倉敷オーシャンズ(野球クラブチーム、前三菱自動車水島野球部)
※川崎製鉄水島野球部はJFE西日本硬式野球部(福山市、前NKK野球部)へ統合された。
サッカー
- 三菱自動車水島FC(JFL、ホームスタジアムは岡山県笠岡陸上競技場)
※川崎製鉄水島サッカー部は神戸市へ移転、その後ヴィッセル神戸となった。
- また、現在Jリーグを目指しているファジアーノ岡山FCの元になったのは川鉄サッカー部OBで結成されたリバー・フリー・キッカーズである。
バレーボール
※Vリーグ旭化成スパーキッズは2006年廃部、主力選手の一部が大分三好ヴァイセアドラーに移籍。
[編集] 観光
歴史・文化
有名な観光地に恵まれないなかで、最近ではJFEや三菱自動車などの事業所を見学する産業観光が活発である。
隠れた観光スポットとしては連島(つらじま)の古い町並みがあげられる。“ヤットコ”や“ドンドン”といった不思議な地名が交差点に残り、町中に入ると酒蔵や問屋等であった旧家、山裾には海上交通の神様の箆取(へらとり)神社などの神社仏閣もあり港町として栄えた頃の往時を偲ばせている。残念なことに連島では町並み保存が行われず周辺の宅地開発の影響もあってその姿は年々消えつつある。また、呼松(よびまつ)は工業地帯ができる前まで漁港及び物資の集散地として賑わい、福田地区の商業の中心地でもあった。現在もその頃の町並みの面影が残っており、代表的な建物としては1935年に建てられた呼松郵便局等がある。
娯楽
ライフパーク倉敷科学センターのプラネタリウムを使った上映会やウェルサンピア倉敷のレジャープールとスケートリンクなど家族で楽しめる娯楽施設があり県内外から訪れる人も多い。また、水島ゼネラル(JFEスチールの関連会社)が運営する総合スポーツクラブのプレゴ、乗馬クラブのクレイン倉敷などは一般の人も利用できる。
イベント
- 箆取公園さくらまつり(箆取神社境内)
- 水島港まつり
- 福田公園夏祭り・花火大会(水島緑地福田公園内)
- JFE西日本フェスタinくらしき
宿泊
主な宿泊施設
水島市内
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[編集] 交通
公共交通は倉敷駅発着が主体になっており、水島市内が鉄道、西の連島地区が両備バス、東の福田地区が下電バス(倉敷駅~児島駅)などに住み分けができている。
問題はターミナル駅又はバスターミナルが無いため地域内の移動を自動車に頼らざるを得ないことにあり、水島駅前にごく一部の路線バスしか乗り入れていないのは倉敷駅で乗り換えが必要なことが大きな要因と考えられる。(鉄道が倉敷市交通局の頃、山陽本線に乗り入れる構想があったが実現には至らなかった。)
鉄道 水島臨海鉄道
路線バス 主なバス路線とバス停
- 倉敷駅~四十瀬球場前~江長十字路・ヤットコ・連島・ドンドン・霞橋車庫
- 倉敷駅~市役所~江長十字路・浦田・観音堂・栄町駅北・青葉町・ヤットコ・連島・ドンドン・霞橋車庫
- 倉敷駅~大高~浦田駅前・観音堂・松竹梅・福田運動公園前・呼松・塩生~児島駅
高速バス
- 下電児島営業所・児島駅・福田運動公園前・倉敷駅北口・岡山駅前(岡山高速バスセンター)・岡山インターチェンジ~京都駅八条口
道路
- 瀬戸中央自動車道
- 国道430号(市街地と工業地帯の境を東西に走り国道2号線と児島地域を結んでいる。)
- 水玉ブリッジライン(玉島地域を結ぶ県道水島港唐船線の一部、2006年4月1日無料化)
- 児島線(県道玉野福田線、岡山市を結ぶ。)
- 産業道路(県道水島港線、鉄道に並行して工業地帯のために整備された。)
- 大高街道(県道福田老松線、倉敷地域を結ぶ最も古い道路。)
- 五軒屋・海岸通線(一部分県道藤戸連島線、浦田・江長十字路を跨ぎ市街地の西側を通り工業地帯までを南北に貫く片側三車線の幹線道路。)
- 鷲羽山スカイライン(県道鷲羽山公園線1995年無料化。)
- 70m道路(県道倉敷西環状線の一部分、道路中央部が緑地帯になっている。)
- 古城池線(倉敷地域を結ぶ主要市道、開通当初トンネルが有料だった。)
港湾
- 旅客航路:定期航路無し(三洋汽船フェリー丸亀港ゆき1988年廃止)