天王寺駅
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天王寺駅(てんのうじえき)は、大阪府大阪市天王寺区・阿倍野区にある西日本旅客鉄道(JR西日本)・大阪市営地下鉄の駅。JR駅はアーバンネットワークエリアに入っている。
阪堺電気軌道の駅である天王寺駅前駅(てんのうじえきまええき)についてもここで記す。
大阪から奈良、関西国際空港、紀伊半島方面への路線のターミナル駅として著名な駅である。駅の役割や構造が東京都の上野駅とよく似ており、天王寺駅を始発・終着駅としていた阪和線・紀勢本線列車が大阪環状線に直通運転してからターミナルとしての機能が以前よりも弱体化していることも、東北新幹線東京駅乗り入れで途中駅化した上野駅と似通っているとされる。
目次 |
[編集] 利用可能な鉄道路線
- 天王寺駅前駅
- 阪堺電気軌道
近鉄南大阪線(大阪阿部野橋駅)との乗換駅でもある(但し、近鉄けいはんな線と大阪市営地下鉄中央線の乗り継ぎ切符を購入した場合でも、長田駅経由と指定されているため、当駅では近鉄と大阪市営地下鉄の乗り継ぎは出来ない)。
[編集] 駅構造
JR西日本の駅は、地平と地下の2層構造になっている。 もとは、阪和電気鉄道であった阪和線及びこれを経由するエル特急「くろしお」の頭端式ホームと中央コンコースが一体となっている。 阪和線ホームの下には、大阪環状線・大和路線(関西本線)ホームがある。 この構造により長らく大阪駅方面より、阪和線・紀勢本線を経由する列車が運行できなかったが、東方に構内短絡線を設けたことにより、この直通運転が可能になった(ただしこの短絡線は単線で、かつ大和路線と平面交差することから、ダイヤ上のボトルネックとなっている。2008年に大阪外環状線が開通することで大和路線の大阪環状線直通が減る為、阪和線からの大阪環状線直通列車の増発を見込んで、短絡線を複線化する工事が現在行われている。現在の工事状況は下の外部リンク『天王寺駅配線工事ウォッチング』を参照)。
地下通路で大阪市営地下鉄御堂筋線と大阪市営地下鉄谷町線連絡している。また、近畿日本鉄道大阪阿部野橋駅、阪堺電気軌道上町線天王寺駅前駅とは、駅前の歩道橋で連絡している。
[編集] 概要
[編集] JR西日本
- 1~9番線(阪和線・きのくに線)は櫛形5面5線の高架ホーム(地上2階)。2・3番線、4・5番線、6・7番線、8・9番線それぞれが1本の線路を共有していて、4・7・8番のりばは乗車専用ホーム、5・6・9番のりばは降車専用ホームになっている。かつて1番線は特急専用ホームで中間改札が設けられていたが、のちに撤去され主に紀勢本線和歌山以南も直通する列車を中心に使用されていた。現在はほとんどの定期特急列車が関西本線ホームから発着し(毎週土曜に運行される1本の南紀方面行きの列車のみ、1番線から発車)、紀勢本線直通臨時列車のみ発着。現在でも、いちいち平日などに、「次のくろしお**号は大和路線ホーム16番乗り場から発車いたします。」などの放送が流される。2番線は2007年度よりはんわライナー専用ホームとなっているが、その反対側の3番線は2007年度以降のダイヤでは使われていない。また阪和線の快速列車も阪和線ホーム(始発列車)と大和路線ホーム(主に大阪環状線直通の関空快速、紀州路快速)からの発車に分かれるため利用の際は駅の構内放送に注意が必要である。
- 11~14番線(大阪環状線)は島式2面3線の地上ホーム。12・13番線で1本の線路を共有する。11・12番線の電車は、京橋から関空快速・紀州路快速になるものがある。12番線は天王寺始発専用(但し一部は引上げ線で折り返すため11番線発着もある)。なお関空快速・紀州路快速や大和路快速を含めた阪和線・大和路線方面から直通してくる環状線外回り電車は大和路線17・18番線から発車する。
- 14番線と15番線の間に、留置線が1本存在する。
- 15~18番線(大和路線、大阪環状線直通の阪和線・関西空港線・きのくに線)は島式2面4線の地上ホーム。一つのホームに大和路線と阪和線直通の電車が発着することから、2003年頃までは自動放送が全くなく、案内は全て肉声で行われていた。2006年現在、大阪環状線のホームと同様にJR京都線・JR神戸線などで使われているものと同じシステム(通称「東海道型」。ただしJR京都線・JR神戸線のものと文言は多少異なっている)が使われている。配線の構造上、15番線から阪和線、阪和線から17番線には入れない。また16番線からも大和路線電車が発着するときもあり、この場合は「この電車は大和路線、***、+++行きです。阪和線方面へは参りませんのでご注意ください」という車内アナウンスが流れる。なお大和路線電車と阪和線電車の相互接続はあまり考慮されていないために、JR難波発着の大和路線の区間快速と環状線直通の関空紀州路快速の接続がきわめて悪い。
ちなみに、発車案内表示は、阪和線のりば(ゴシック体)と環状線・大和路線のりば(明朝体?フォント名不明)で異なる。また、自動放送のフォーマット等も両者で完全に異なっており(前者は阪和線型、後者は東海道型)、前者では「●番線」「普通列車」などと表現されるものが、後者ではそれぞれ「●番のりば」「普通」などと表現される。
1・2 | ■きのくに線特急(天王寺始発の「くろしお」など) | 白浜・新宮方面 |
■阪和線(一部の快速) | 鳳・日根野・和歌山方面 | |
■関西空港線(一部の関空快速) | 関西空港方面 | |
2 | ■はんわライナー | 和歌山方面 |
3 | (2番のりばと線路を共有しているが現在未使用) | |
4 | ■阪和線(快速、区間快速) | 鳳・日根野・和歌山・御坊・紀伊田辺方面 |
■関西空港線(関空快速) | 関西空港方面 | |
5・6 | (4・7番のりばの列車の降車専用) | |
7・8 | ■阪和線(普通、ラッシュ時の快速・区間快速) | 鳳・日根野・和歌山方面 |
9 | (8番のりばの列車の降車専用) | |
11・12 | ■大阪環状線内回り(12番のりばは天王寺始発) | 鶴橋・京橋・大阪方面 |
13 | (12番のりばの列車の降車専用) | |
14 | ■大阪環状線外回り | 新今宮・西九条・大阪方面 |
15 | ■大和路線 | 王寺・奈良・加茂方面 |
16 | ■大和路線 | 王寺・奈良・加茂方面(一部列車) |
■関空快速・■紀州路快速 (大阪環状線からの直通列車) |
鳳・関西空港・和歌山方面 | |
■関空特急「はるか」 | 関西空港方面 | |
■きのくに線特急(「くろしお」など) | 白浜・新宮方面 | |
■新大阪始発のきのくに線快速電車 | 御坊・紀伊田辺方面 | |
17 | ■大和路線 | JR難波方面 |
■大和路線から大阪環状線外回り直通列車 (大和路快速、区間快速(大阪環状線内各駅停車)) |
新今宮・西九条・大阪方面 | |
18 | ■大和路線 | JR難波方面 |
■大和路線から大阪環状線外回り直通列車 (大和路快速、区間快速(大阪環状線内各駅停車)) |
新今宮・西九条・大阪方面 | |
■関空快速・■紀州路快速 (大阪環状線外回り) |
新今宮・西九条・大阪方面 (一部JR難波方面) | |
■特急「くろしお」「はるか」 ■B快速 |
新大阪・京都方面 (大阪駅を経由しない) |
[編集] 大阪市営地下鉄
- 御堂筋線M23は単式と島式の複合型で2面3線。当駅を出発・終着とする列車があるためなかもず寄りに引上げ線がある。
- ■ あびこ・なかもず方面
- ■ なんば・梅田・中津・新大阪方面(天王寺始発)
- ■ なんば・梅田・新大阪・千里中央方面(なかもず・あびこ方面から)
- 谷町線T27は相対式2面2線。
- ■ 八尾南方面
- ■ 東梅田・大日方面
なお、御堂筋線と谷町線ののりばの間は約200mの距離があるので注意が必要である。
[編集] 阪堺電気軌道
- 上町線(天王寺駅前駅)は相対式2面1線で、東側のホームを乗車用、西側のホームを降車用として使用する。ホーム長は2両分(普段は車止めから1両分を空けて停車し、そこで客扱いを行うが、稀に貸切の臨時列車を運転する場合は、臨時列車を車止めぎりぎりの位置に停め、その手前に定期便の列車が入って客扱いを行う)。住吉公園駅行き・我孫子道駅行きの電車が発着。(初発・最終電車は我孫子道駅行き)。窓口が設けられており、一日乗車券等の購入が可能。
[編集] かつての接続路線
[編集] 南海電気鉄道
[編集] 利用状況
- JR西日本
2004年度の1日あたりの平均利用者数(乗車人員)は145,135人である。これはJR西日本の駅では第3位である。
[編集] 駅周辺
当駅周辺は難波駅周辺に次いで大型商業施設が多く、歓楽街、ショッピング街であり、「第2のミナミ」と呼ばれることも稀にある。
[編集] 商業施設
- ステーションプラザてんのうじ 公式HP
- くまざわ書店天王寺店
- ソフマップギガストア天王寺店
- ナカヌキヤJR天王寺店
- スカイトロピカルビアガーデン
- 天王寺MIO(ミオ) 公式HP
- 近鉄百貨店阿倍野本店
- 近鉄ファッションビル「Hoop」
- あべのロフト
- 無印良品あべのHoop店
- スーパーマーケット成城石井あべの店
- あべのアポロ(きんえいアポロビル)、あべのルシアス 公式HP
- セガワールドアポロ
- 喜久屋書店
- アポロシネマ8
- 新宿ごちそうビル
- あべのマルシェ商店街
- あべのベルタ
- 関西スーパーマーケットあべのベルタ店
- アニメイト天王寺店
- TSUTAYAあべの橋店
- コーナン天王寺店
- 湯処あべの橋
[編集] 公園
[編集] 宿泊施設
[編集] 学校
- 大阪市立大学医学部
- 大阪市立大学看護短期大学部
- 大阪教育大学天王寺キャンパス
- LEC大学
- 大阪教育大学附属高等学校天王寺校舎
- 大阪教育大学附属天王寺中学校
- 大阪教育大学附属天王寺小学校
- 大阪府立天王寺高等学校
- 四天王寺中学校・高等学校
- 天王寺学館高等学校
- YMCA学院高等学校
- 辻調理師専門学校
[編集] 金融機関
- 日本郵政公社(郵便局)
- 天王寺ミオ郵便局
- 天王寺茶臼山郵便局
- 大阪四天王寺郵便局
- 阿倍野旭町郵便局
- 阿倍野松崎郵便局
- 阿倍野ベルタ内郵便局
- 阿倍野郵便局阿部野橋分室
- 銀行
- 信金・信組・その他
[編集] 医療機関
[編集] その他
[編集] バス
大阪市営バス(あべの橋停留所)
- JR天王寺駅北側のりば
- 11号系統 北巽バスターミナル 行
- あべの橋 - 南河堀町 - 寺田町 - 林寺一丁目 - 鶴橋二丁目 - 地下鉄小路 - 北巽バスターミナル
- 12号系統 布施三ノ瀬 行
- あべの橋 - 南河堀町 - 寺田町 - 大池橋 - 中川西公園前 - 布施三ノ瀬
- 13号系統 地下鉄今里 行
- あべの橋 - 南河堀町 - 寺田町 - 百済 - 舎利寺 - 大池橋 - 地下鉄今里
- 30号系統 北巽バスターミナル 行
- 32号系統 北巽バスターミナル 行
- あべの橋 - 南河堀町 - 四天王寺東大門前 - 勝山三丁目 - 大池橋 - 北巽バスターミナル
- 赤バス 天王寺ループ
- あべの橋 - 玉造 - 生玉寺町 - あべの橋(循環)
- 11号系統 北巽バスターミナル 行
- ステーションプラザてんのうじ西側のりば
- JR天王寺駅南側・東行のりば
- JR天王寺駅南側・西行のりば
- 天王寺公園東側のりば
- 天王寺公園南側・西行のりば
- 高速バス・天王寺公園東側のりば
- ドリーム大阪号 東京駅八重洲口・東京ディズニーランド 行
- 青春ドリーム大阪号 東京駅八重洲口 行
以下の路線は、大阪阿部野橋駅を参照。
[編集] 歴史
- JR西日本(共同使用していた南海天王寺支線もここに記す)
- 1889年(明治22年)5月14日 大阪鉄道(関西鉄道を経て現在の関西本線)柏原~湊町間延伸時に同線の駅として開業。
- 1895年(明治28年)5月28日 大阪鉄道天王寺~玉造間が開業。
- 1900年(明治33年)6月6日 関西鉄道が大阪鉄道を合併、同社の駅となる。
- 1900年(明治33年)10月26日 南海天王寺支線が開業。
- 1907年(明治40年)10月1日 関西鉄道が国有化。官設鉄道の駅となる。
- 1929年(昭和4年)7月18日 阪和電気鉄道の阪和天王寺駅(はんわてんのうじえき)が開業。
- 1940年(昭和15年)12月1日 阪和電気鉄道が南海鉄道に吸収合併、同社の山手線となる。同時に阪和天王寺駅を南海天王寺駅(なんかいてんのうじえき)に改称。
- 1944年(昭和19年)5月1日 南海山手線(もとの阪和電気鉄道)が国有化され阪和線に。
- 1962年(昭和37年)9月21日 天王寺駅ビル完成。
- 1982年(昭和57年)1月29日 阪和線ホームで当駅終着の区間快速電車が車止めに衝突。
- 1987年(昭和62年)4月1日 国鉄分割民営化により、国鉄駅がJR西日本に移管。
- 1989年(平成元年)8月27日 阪和線ホームで当駅終着の快速電車が車止めに衝突。
- 1993年(平成5年)4月1日 南海天王寺支線が全線廃止。
- 1995年(平成7年)9月14日 駅ビルリニューアル工事完成。「天王寺MIO」オープン。
- 大阪市営地下鉄
- 1938年(昭和13年)4月21日 1号線(現在の御堂筋線)の難波~天王寺間延伸時に開業(開業当初は終着駅)。
- 1951年(昭和26年)12月20日 1号線が当駅から昭和町まで延伸、途中駅となる(現在は中百舌鳥まで延伸済)。
- 1968年(昭和43年)12月17日 2号線(現在の谷町線)が谷町四丁目から当駅まで延伸。乗換駅となる。
- 1980年(昭和55年)11月27日 谷町線が当駅から八尾南まで延伸、途中駅となる。
- 阪堺電気軌道
- 1910年(明治43年)10月1日 南海鉄道上町線の天王寺西門前~住吉神社前間延伸時に天王寺駅前駅開業。
- 1921年(大正10年)12月24日 天王寺西門~天王寺駅前間を大阪市へ譲渡。上町線としては終着となる。
- 1944年(昭和19年)6月1日 関西急行鉄道と南海鉄道が合併、近畿日本鉄道の駅となる。
- 1947年(昭和22年)6月1日 路線譲渡により南海電気鉄道の駅となる。
- 1980年(昭和55年)12月1日 路線譲渡により阪堺電気軌道の駅となる。
[編集] その他
- 天王寺駅は第3回近畿の駅百選、天王寺駅前駅は第4回近畿の駅百選に選定されている。
- 阪和線・紀勢本線の特急くろしお号が天王寺駅到着時に流す車内チャイムは「鉄道唱歌」である。
- 駅構内の2箇所に「天王寺うどん」がある。1箇所は阪和線1番ホームの付け根で、もう1箇所は阪和線・環状線連絡通路にある。
- 駅弁は大阪駅と同じ「水了軒」が販売している。かつては別の業者(芦の家)であったが、販売不振から破産してしまった。
- 南海電気鉄道は当駅の駅ビル会社2社の株式を現在も保有しており、JR西日本に次ぐ第2位の株主となっている。天王寺MIOの真下に南海天王寺支線の駅があった名残でもある。天王寺ステーションプラザにテナントとして入居しているサンマルクカフェ南海天王寺店は南海電鉄の系列会社である南海商事がフランチャイジーとなっている。
[編集] 隣の駅
- 西日本旅客鉄道
- ■阪和線
- ■大阪環状線
- ■関西本線(大和路線)
- 大阪市営地下鉄
- ■御堂筋線
- ■谷町線
- 四天王寺前夕陽ヶ丘駅T26 - 天王寺駅T27 - 阿倍野駅T28
- 阪堺電気軌道
- ■上町線
- 天王寺駅前駅 - 阿倍野駅