JR東海373系電車
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JR東海373系電車 | |
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JR東海373系電車(2006年2月11日 豊川駅) | |
起動加速度 | 2.1km/h/s |
営業最高速度 | 120km/h |
設計最高速度 | 130km/h |
編成定員 | 179人 |
全長 | 21,300mm |
全幅 | 2,946mm |
全高 | 3,630mm |
編成重量 | 新製時97t |
軌間 | 1,067mm |
電気方式 | 直流1,500V(架空電車線方式) |
編成出力 | 185kW×4=740kW |
駆動装置 | 中実軸平行カルダン方式 |
制御装置 | VVVFインバータ制御(定速運転制御機能付) |
ブレーキ方式 | 電気指令式ブレーキ |
保安装置 | ATS-ST, ATS-P |
373系電車(373けいでんしゃ)は、東海旅客鉄道(JR東海)の直流特急形車両。
1995年(平成7年)から1996年(平成8年)にかけて、3両編成14本(42両)が日本車輌製造(F1~F12)と日立製作所(F13,F14)で製造された。JR東海の在来線電車としては、1994年(平成6年)に製造された383系量産先行車に次ぐVVVFインバータ制御車両である。保安装置はATS-ST形、ATS-P形を搭載。
目次 |
[編集] 車体構造
165系急行形電車の置換えを目的として設計された。普通列車から特急列車まで幅広く運用可能な汎用性の高い車両である。この設計コンセプトは特急「踊り子」などに使われる185系に近い。
車体は最大長21.3m の軽量ステンレス製(先頭部分は鋼鉄製)で、片側2か所の両開扉が設置されている。特急形車両であるがデッキと客室の間が完全に仕切られておらず扉がないため、近郊形電車と同様に車内保温のための半自動ドアを採用し、ドア開閉用の押ボタンが設けられている(通常は快速「ムーンライトながら」下りの静岡駅、浜松駅、豊橋駅での長時間停車時のみ使用)。JRグループの特急車両で唯一両開き扉とドア開閉ボタンを装備する。
東京方から制御電動車クモハ373形、付随車サハ373形、制御車クハ372形の各形式で3両編成を組成する。編成単位で増結を行い、「ふじかわ」「伊那路」「ホームライナー」の一部は3両編成、それ以外のホームライナーは6両編成、「ムーンライトながら」は9両(下り名古屋→大垣間は6両)編成で運用される(2007年3月17日に廃止された「東海」は6両編成だった)。
[編集] 車内設備
座席は扉間に2列+2列のインアームテーブル付回転式リクライニングシート(シートピッチ970mm)を装備するほか、クモハ373形とサハ373形の連結部寄りに4人掛で固定テーブル付きのセミコンパートメント席が設置されている。クハ372形には車椅子対応洋式トイレ、男性専用トイレ、洗面所、テレホンカード式の公衆電話が設けられているが、2007年(平成19年)3月18日より使用中止となった。編成が短く身延線、飯田線などローカル線での運用が主体のため、グリーン車は設けられていない。2007年(平成19年)3月18日から全席禁煙となった。また313系と同じドアチャイムを設置した車両もある。
運転室正面窓はキハ82形の設計を参考としたパノラミックウィンドウとし、客室照明が窓ガラスに写り込まない設計としたため、夜間でも客室との仕切窓にあるカーテンを閉める必要はなく、JR東海の運転士はカーテンを閉めずに運転する。そのため、JR東海管内では終日にわたり運転室越しに前方を展望できるが、東日本旅客鉄道(JR東日本)管内の東海道線東京~熱海間では、トンネル連続区間や早朝、夜間帯はカーテンの全部、または一部を閉めて運転されることがほとんどである。
車内:デッキ・客室間に扉が無い(奥の扉は連結部のもの)。座席のリネンは特急と一部のホームライナーに限り装着。 |
[編集] 形式
- クモハ373形
- 東京方に連結される制御電動車。屋根上には集電装置としてシングルアーム式パンタグラフ、床下にはVVVFインバータ制御装置、補助電源用静止形インバータ (SIV) を搭載する。
- サハ373形
- 中間に連結される付随車で、両車端部にセミコンパートメントを持つ。床下には発電ブレーキ用抵抗器などを搭載する。
- クハ372形
- 甲府・大垣方に連結される制御車で、電動空気圧縮機 (CP) を搭載する。車端部にトイレがある。
[編集] 運用
1995年10月1日、静岡運転所(現・静岡車両区)に配置され、身延線の特急「ふじかわ」で運用を開始した。次いで1996年3月16日には東海道本線特急「東海」(廃止)・飯田線特急「伊那路」、夜行快速「ムーンライトながら」での運用を開始し、同所の165系を淘汰した。
また、一部の普通列車にも使用されている。現在「ムーンライトながら」の間合い運用として東海道本線の東京~静岡間で1日1往復(9両編成)、大垣~米原間で平日午前中に2往復(全て3両編成)運用されている。さらに、特急列車の間合い運用として東海道本線の「ホームライナー」にも使用される。
以前は身延線でも普通列車として運用されていた時期があったが、こちらは313系の投入に伴い消滅している。2000年(平成12年)には予想以上の好評により車両不足となった「セントラルライナー」にも313系増備車落成までの間、一時的に運用されたことがある。
全14編成(編成番号:F1~F14)のうち、最初に登場したF1~5編成は「ふじかわ」専用とされ、JR東日本管内への乗入れに必要なATS-P形は設置準備のみであった。1996年3月のダイヤ改正用に製造されたF6編成以降は当初からATS-P形を搭載しており、運用が分けられていたが、後にF1~F5編成についてもATS-P形を搭載し共通運用となった。
[編集] 特急列車運用
[編集] 快速・ホームライナー運用
- ムーンライトながら:東京~大垣 1日1往復 1996年3月16日~
- ホームライナー(大垣・豊橋・浜松・静岡・沼津)
[編集] 普通運用
[編集] 過去の運用
[編集] 関連商品
Nゲージ鉄道模型がトミーテック (TOMIX) から、またHOゲージ鉄道模型がハセガワ (MODEMO) から販売されている。