国鉄213系電車
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
国鉄213系電車 | |
---|---|
両数 | 2両 及び 3両 |
起動加速度 | 1.4(MT比1:2時)km/h/s 2.1(MT比1:1時)/km/h/s |
営業最高速度 | 110km/h |
設計最高速度 | 110km/h |
減速度 | 3.5km/h/s(常用最大)
|
車両定員 | 座席60・立席8(クモハ213形0番台原形車) 座席64・立席8(サハ213形0番台) |
全長 | 20000mm |
全幅 | 2966(クロ212形以外) 2950(クロ212形) 3004(クモハ213形5000番台)・(クハ212形5000番台)/mm |
全高 | 4090(クロ212形以外) 3670(クロ212形) 4079(クモハ213形5000番台) 3970(クハ212形5000番台)/mm |
車両重量 | 37.3t(クモハ213形0番台) 24.1t(サハ213形0番台) |
軌間 | 1067mm |
電気方式 | 直流1500V |
モーター出力 | 120kW×4 |
歯車比 | 16:83=1:5.19 |
駆動装置 | 中空軸平行カルダン駆動方式 |
制御装置 | 直並列組合せ抵抗制御・界磁添加励磁制御 |
ブレーキ方式 | 回生ブレーキ併用電気指令式空気ブレーキ・抑速ブレーキ・直通予備ブレーキ |
保安装置 | ATS-SW(西日本車)
ATS-ST(東海車) |
213系電車(213けいでんしゃ)は、日本国有鉄道(国鉄)、西日本旅客鉄道(JR西日本)、東海旅客鉄道(JR東海)が1987年から1991年まで製造した直流近郊形電車。国鉄として最後の新系列車両である。
目次 |
[編集] 概要
117系100番台と211系の折衷的な車体を持つ。117系と同様の全長20mの車体に片側2か所の両開扉と、戸袋部を除いて2枚1組の一段下降式ユニット窓が並ぶ(21D122221D12、Dはドア、1は戸袋窓・中間車の場合)という側面構成と、転換クロスシート(先頭車運転台後部戸袋窓部およびクハ212形3位側戸袋窓部は固定クロスシート)の内装で、211系と同様の軽量ステンレス車体とFRP製で窓周りが黒く縁取られた、いわゆる「額縁」形の前面とを合わせ持つ。前面は、客室からの展望に配慮して助士席側と貫通扉の窓が下方に拡大されている。列車種別表示窓は、415系1500番台と同様の天地寸法の小さいタイプである。
本系列の最初の投入先となる宇野線(瀬戸大橋線)では、211系のような長大基本編成での運行を考慮せず、基本編成を3両単位(Mc-T-Tc')としたため、走行機器は、国鉄新性能電車として一般的なMM'ユニット電動車方式ではなく、1両のみで完結する単独電動車(1M)方式が採用された。この組成であっても、25‰の勾配上で運行可能な性能は確保されている。制御方式には、211系と同様の界磁添加励磁制御が採用されており、回生ブレーキの使用が可能で、省エネルギーにも配慮されている。なお、当時の岡山鉄道管理局管内では初の回生ブレーキ搭載車であり、その習熟運転に苦労したという話が鉄道雑誌に掲載されていたが、この213系の投入によって岡山運転区所属の運転士は221系などの新型車両の運転も可能になった。
本系列のシステムは、もともと211系の横須賀・総武快速線投入が計画された際に、地下線(東京トンネル)を走行する関係で、編成の電動車比率を上げる(4M7T→5M6T)ために開発されていたものであり、ユニット方式の電動車を増結すると性能面で過剰になり、コスト面でメリットがなくなることが背景にある。そのため、211系との混結は可能であり、実際にJR西日本での団体臨時列車用に211系として製造された「スーパーサルーンゆめじ」と213系0番台との混結や、JR東海での213系5000番台と211系各番台との併結が見られる。また、JR東海では、後継車である313系各番台を本系列と併結可能な仕様で製造しているため、これらとの併結運転も日常的に行われている。電動機4個で直並列組合せ制御を行なうことから、主電動機は端子電圧750VのMT64形(211系(6000番台を除く)は端子電圧375VのMT61形)であるが、歯車比は211系と同一の5.19で、力行時の速度・引張力特性は極力211系に合わされている。
211系は横須賀・総武快速線には投入されなかったが、後年JR東海で3扉ロングシートの211系の車体に本系列の走行装置を組合わせた電車(クモハ211形6000番台。計画時の形式はクモハ213形6000番台)として実現している。
コストダウンのため、その他の機器も極力統一化が図られており、台車は当時標準的なボルスタレス方式のDT50B形(クモハ213形)、TR235B形(それ以外)である。ただし、ドア数が少なく、熱の出入りが比較的少ないことから、冷房装置は一般的なAU75形(42000kcal/h×1台)ではなく冷却能力を抑えたAU79A形(33000kcal/h×1台)を搭載する。
※ユニット電動車方式とは、別々の機器を搭載する複数の電動車で1つの機構として完成する方式のことである。
[編集] JR西日本所属車(0番台)
[編集] 形式
[編集] 新造車
[編集] クモハ213形(Mc)
本系列の制御電動車で、奇数(瀬戸大橋線で岡山)向。パンタグラフ、主電動機、主制御器、空気圧縮機、補助電源用として静止型インバータ(SIV)を搭載する。国鉄時代の製造車で補助電源装置に電動発電機(MG)ではなくSIVを採用したのは本系列のみである。
国鉄時代に8両、民営化後に4両の計12両が製造されている。2004年に8両(1~3,7~12)がワンマン運転対応化され、7~12は編成を組むクハ212形100番台と同様、車両前部の座席が撤去された。
[編集] クハ212形(Tc')
本系列の制御車で、偶数(瀬戸大橋線で高松)向。3位側車端部にトイレを有する。国鉄時代に8両が製造された。2004年に4両(1~3,8)がワンマン運転対応化された。
[編集] サハ213形(T)
本系列の付随車。JR東海車には存在しない。国鉄時代に8両、民営化後に3両の計11両が製造された。2003年の「マリンライナー」置換えにともなう編成組替えにより、5両が先頭車化改造を実施してクハ212形100番台となり、1が試験車「U@Tech」(サヤ213-1)に改造、2両(2,3)が廃車され、2006年現在、4~6の3両のみが在籍する。
[編集] クロ212形(Tsc')
JR西日本が1988年の瀬戸大橋線開通に合わせて独自に設計した、高松向のグリーン制御車である。瀬戸大橋走行時の客席からの眺望に配慮した設計となっており、側窓は屋根肩部にかかる大型の固定窓で、前面も流線型に大型の窓を備えた展望式である。車内も床面全体をハイデッキ構造として回転リクライニングシートを装備しており、座席を外側または内側に向けて固定することも可能であった。構造の関係上、車体は普通鋼で製作されており、重量が重いため、台車は強化型のWTR235形を履く。冷房装置は床置き形のWAU301形 (33000kcal/h) ×1台を搭載。
6両が製造されたが、そのうち1両は「スーパーサルーンゆめじ」用で最高速度120km/hに対応しており、1000番台(1001)を称する。他の5両は0番台(1~5)で、最高速度は110km/hである。塗装は0番台では白をベースにJR西日本のコーポレートカラーの青と番号順にピンク、黄色、淡緑、オレンジ色、黄緑の各車異なる色の帯を窓下に巻いていた。1000番台は青とピンクだが細帯となっている。
末期は、3,5の2両に岡山県の民話である「桃太郎」にちなんだラッピングが施されていた(ベースの色は番号順に青緑、ピンク)。
2003年の「マリンライナー」車両置換えにともなって、0番台5両全車が運用を退いた。1が試験車「U@Tech」クヤ212-1に改造され、その他は運転台機器が後述の先頭車化改造車クハ212形100番台に転用された。2006年4月現在、2のみが在籍し吹田工場に留置されているが、保留車になっている。1000番台は引続き「スーパーサルーンゆめじ」として運用されている。
[編集] 改造車
[編集] クハ212形100番台(Tc')
2003年の「マリンライナー」置換えにともなう編成替により、サハ213形から5両が改造された制御車である。当初は4両改造の予定であったが、計画変更で1両追加された。車体を切断して運転台(普通鋼製)を取付けたため、新造車と比べて側面の白塗りの部分が長い。また、ライト形状が新造車の「四角枠に丸灯」から「四角枠に四角灯」に、台車形式がTR235形からTR235B形にそれぞれ変更された。スカートは改造時より鉄板が太く厚い強化型を装備する。
全車がワンマン運転対応であり、同社のキハ47形ワンマン車のように運転台から前部客用扉までの座席が全て撤去されている。トイレは0番台のような車端部ではなく、前部客用扉の直後に車椅子対応の大型のものが設置され、向いのスペースも車椅子利用者のために座席が撤去されフリースペースとされた。これらのことから着席定員は著しく減少している。
番号の新旧対照は次のとおり。
- サハ213-7~11 → クハ212-101~105
[編集] クヤ212-1・サヤ213-1
2003年の「マリンライナー」置換えにともなう編成替により余剰となったクロ212-1およびサハ213-1を技術試験車(愛称「U@Tech」)に転用したものである。車体塗色は青系統のラッピングに変更され、室内は座席を一部撤去した上で各種測定用の機器が設置されている。
牽引車は、223系クモヤ223-9001が務める。223系の最高速度は130km/hである事、新型台車の試験を行う事、異なる形式との連結を行う事から、機器類は改造や交換がなされた。また、雨天時の走行を再現するための装備として、サヤ213形には室内に水槽が取付けられている。
現在は吹田工場に配置され、車体端には同工場の所属である事を示す「京スイ」の文字が描かれている。
[編集] 車歴
[編集] 登場
岡山電車区の115系老朽車両取替えのために、国鉄末期の1987年3月に3両編成(Mc-T-Tc')8本24両が導入された。製造会社は、国鉄時代の落成車は近畿車輛・川崎重工業・日本車輌製造・東急車輛製造・日立製作所。帯色は、新規に海をイメージした青と水色が設定された。これははからずも、直後に誕生するJR西日本と四国旅客鉄道(JR四国)のコーポレートカラーとなった(JR西日本は青、JR四国は水色)。
約1年後に開業が予定されていた本四備讃線(瀬戸大橋線)用車両の先行投入であり、瀬戸大橋が開通するまでは暫定的に宇野線の宇高航路連絡快速列車「備讃ライナー」に充当された。なお、灰皿は該当列車が当初から全車禁煙であったため取付けられていないが、これは当時としては思い切った施策であった。
[編集] 瀬戸大橋開業~2003年10月まで
1988年の瀬戸大橋線開業からは、快速「マリンライナー」に充当。このときからクロ212形が製造・連結されるようになった。それに先だって、クモハ213形2両、クロ212形3両、サハ213形1両(この他に「ゆめじ」用のクモロ211-1+モロ210-1+クロ212-1001)が近畿車輛で製造された。これにより、従来編成の組替えが実施され、Mc-T-Tsc×3、Mc-T-Tc'×6、Mc-Tc'-Tc'×1となった。
「マリンライナー」は当初から臨時列車が運転されるほど利用者が多かったため、同年内に「マリンライナー」の増発が実施され、Mc-T-Tsc'×2が増備された。こちらも近畿車輛で製造されている。
瀬戸大橋開業ブームの後は、15年間変わらず同区間内を走行していたが、年々瀬戸大橋を渡る利用者が減少傾向となってきたこと、鋼製の床下機器が塩害による腐食、故障が増えていたこと、JR四国が支払う車両使用料が負担になっていたことから、2003年10月1日のダイヤ改正で「マリンライナー」が新型車(JR四国5000系/JR西日本223系5000番台)に置き換えられたのに伴い、213系は同列車の運用から外れた。
これら新型車両はグリーン車を除き片側3扉だが、これは223系が当時のJR西日本で増備途中にあったという以外に、朝夕のラッシュ時を中心に岡山~茶屋町間は混雑率が200%を超え(特に妹尾までは全国でもトップレベル)、片側2扉の213系では乗降に時間がかかり、同区間は単線区間が多いことに加えて列車遅延が慢性化していたということも大きい。
瀬戸大橋線以外での定期運用としては、1998年10月まで山陽本線快速「サンライナー」の1往復で三原駅まで足を延ばす運用があった。これは21時台に岡山から三原まで走り、その後折り返し普通福山行きとなって福山駅で滞泊。翌朝「サンライナー」として岡山へ戻った後に「マリンライナー」の運用に入るというもので、グリーン車も締切扱いとせず自由席として営業運転された。
[編集] 現在
「マリンライナー」運用から外れた後は、クロ212形の編成からの取外しと、サハ213形の運転台取付改造、ワンマン運転対応改造と編成組替えが行われた。グリーン車組込み編成であった5本全てと全車普通車編成の3本が2両編成へ短縮となり、改造工事は、2003年10月から約1年かけて吹田工場(先頭車化改造+ワンマン改造)と網干総合車両所(ワンマン改造のみ)で順次対象となる編成に実施された。ワンマン改造車は戸袋窓上半分を塞ぎ、ワンマン表示機を設置している。
改造途中は暫定的にMc-T-Mc-Tc'の4両編成なども存在したが、対象車の改造が終了した現在は、3両編成×4本(Mc-T-Tc'×3(C4~6)、Mc-Tc'-Tc'×1(C12))、2両編成(Mc-Tc')×8本(C1~3,7~11。ワンマン改造併施)に組替えられ、クロ212形3両(1両は保留)とサハ213形2両が廃車となっている。また、クロ212-1とサハ213-1は在来線試験車両「U@tech」へ転用改造され、吹田工場へ転属した。このとき2004年10月22日付で「車両」籍を抹消している(モーターカーと同じ扱)ため、車両数には計上されていない。
現在は、岡山近郊の山陽本線姫路駅~三原駅間、伯備線新見駅以南、赤穂線播州赤穂駅以西、宇野線で普通列車として運用されているが、3両編成は原則として山陽本線のみで運用される。213系の転用により、岡山電車区電車センターの103系の全編成と105系の一部が運用を外れ、共に転属や廃車が発生している。
2007年2月に早島駅付近で踏切事故を起こした223系5000番代が修理に出され、その代走として2007年3月末まで元々指定席を連結せず、130km/h運転をしない「マリンライナー」77号(下り最終)と2号(上り始発)に213系の運用が復活した。
正面と側面の種別・行先表示幕は「マリンライナー」時代も含めて、白地に黒文字であったが、2006年になって全編成がJR西日本標準の黒地に白文字のものに変更された。また、「マリンライナー」では側面の表示に号車番号も併せて表記されていた。
[編集] 編成表(現在)
編成 番号 |
←岡山 | ワンマン 改造 |
備考 | ||
---|---|---|---|---|---|
C-1 | クモハ213-1 | クハ212-1 | ○ | この編成に組み込まれていたサハ213-1はサヤ213-1に改造。 | |
C-2 | クモハ213-2 | クハ212-2 | ○ | ||
C-3 | クモハ213-3 | クハ212-3 | ○ | ||
C-4 | クモハ213-4 | サハ213-4 | クハ212-4 | × | |
C-5 | クモハ213-5 | サハ213-5 | クハ212-5 | × | |
C-6 | クモハ213-6 | サハ213-6 | クハ212-6 | × | |
C-7 | クモハ213-7 | クハ212-101 | ○ | この編成に組み込まれていたクロ212-1はクヤ212-1に改造。 | |
C-8 | クモハ213-8 | クハ212-102 | ○ | ||
C-9 | クモハ213-9 | クハ212-103 | ○ | ||
C-10 | クモハ213-10 | クハ212-104 | ○ | ||
C-11 | クモハ213-11 | クハ212-105 | ○ | ||
C-12 | クモハ213-12 | クハ212-7 | クハ212-8 | ○ | 当初、クハ212-7はC11編成の制御車に転用される予定であったが、計画変更で見送られた。 |
[編集] JR東海所属車両(5000番台)
5000番台は、JR東海が関西本線の165系の老朽取替えのため、1989年から導入した車両である。
[編集] 概要
旧国鉄時代、いわゆる国電の設定がなかった名古屋地区では、近郊輸送は並行する私鉄がシェアの大半を占めていた。中でも、桑名・四日市方面は近畿日本鉄道の独壇場であり、単線の関西本線は利用客にほとんど見向きもされない状態であった。その後分割民営化して誕生したJR東海は、これらの競合私鉄路線に対抗すべく、ダイヤや車両の改善に着手した。本番台は、関西本線の輸送改善にあたり老朽化・陳腐化した165系の取替えに、JR東海が投入した車両である。
1989年から1991年にかけて2両編成14本計28両が投入され、関西本線の輸送改善を果たしたが、1999年にワンマン対応の313系が投入され、現在は大半がラッシュ時のみの運用となっている。
[編集] 特徴
JR東海のオリジナル車両であり、0番台を基本としながらも、同社の211系5000番台に準じた仕様の変更がなされている。また当初から2両編成(1M1T)であり、サハ213形は存在しない。同社では3両編成に2M1Tの211系を投入するなど、MT比を高い編成とする傾向にある。
5000番台における0番台との仕様の違いを以下に示す。
- 制御用電源が直流600Vに変更されたため、補助電源装置がDC-DCコンバータに変更された。
- 冷房装置がインバータ制御による集約分散型(C-AU711形×2台)に変更された。
- 主電動機がC-MT64A形(性能は不変)に変更された。
- ブレーキに応荷重装置が付加された。
- JR東海管内の全電化在来線に対応するため、クモハ211形5600番台と同様にパンタグラフは狭小限界トンネル対応のC-PS24A形とされ、取付部が20mm低くされた。
- クハ212形のトイレ設備は省略された。
- ドアから外側の車端部がロングシートとなり、転換クロスシートは扉間の8列のみとなった。ドア横には1両あたり4箇所8席分の補助席が設けられた。
- 前面列車種別(行先)窓は、211系5000番台と同様の天地寸法が大きいタイプとなった。側面行先表示幕は、211系5000番台2次車と同様の天地寸法の狭いタイプであったが、2次車以降は天地寸法が拡大された。
- その他仕様
- 編成出力 - 480kW
- 編成定員 - 266名(座席54 + 立席79 = 133名/両)
- 運転最高速度 - 110km/h
- 編成
- クモハ213-5000(Mc) - クハ212-5000(Tc')
- 左側が亀山方 全車神領車両区所属 H1~H14編成
[編集] 運用と課題
5000番台は1989年から関西本線(名古屋~亀山)の普通・快速列車に充当され、後に快速「みえ」に投入されたキハ75形気動車とともに、同線に転換クロスシートの快適な車内サービスを提供し、利用者増に貢献した。
しかし、2000年より関西本線でワンマン運転が行われることに先立ち、1999年に後継の313系3000番台が投入され、日中の列車の大半が置き換えられた。これ以後、同線においてラッシュ時の快速を中心に運用されるほかは、ほとんど運用がない状態が続いている。
このように、新造からわずか10年で持て余し気味となった背景には、
- 2扉車であり、混雑する路線に不向きであること。
- トイレを装備しておらず、改造もステンレス車体であり困難であること。
- JR東海は、東海道本線および中央本線(名古屋~中津川)以外の路線すべてでワンマン運転を実施するようになったこと。
- 側扉位置の関係でワンマン改造に不向きであること。
などがあげられ、JR東海においては転属も含めた本番台の運用が難しいものとなっている。
ステンレス車体へのトイレ取付改造やワンマン改造については、他社において実績はあるものの、JR東海では転用できる路線自体が少ないこともあり、リスクをともなった改造を選択せず、別途新車を投入することにより対応している。そのほか、同社の東海道本線(豊橋~岐阜間)では、普通列車においても高い最高速度や高加速性能が要求され、本番台では性能不足であることも運用の幅を狭める一因となっている。
最近では、主に休日の日中の中央西線において211系の増結編成として用いられるなどの運用も見られるが、2006年秋から開始されている313系の増備により、ますます運用の場は狭まっていくものと予想される。ただし、中央西線と関西本線を中心にラッシュ時と土休日の日中を中心に現在でもフル運用の状態が続いており、当面はこの運用が続く予定である。
[編集] 外部リンク
[編集] 関連項目
- 日本国有鉄道の直流用新性能電車 (■JRを含む全一覧 / ■カテゴリ) ■Template ■ノート
- JR東海の在来線電車 (■国鉄引継車を含む全一覧 / ■カテゴリ) ■Template ■ノート
- JR西日本の在来線電車 (■国鉄引継車を含む全一覧 / ■カテゴリ) ■Template ■ノート