国鉄ED27形電気機関車 (初代)
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ED27形は、かつて日本国有鉄道(国鉄)に在籍した直流用電気機関車である。1961年にED34形を改番した2代目(ED2711~14)もあるが、出自、構造等に共通点は一切なく、全く別の形式である。
[編集] 概要
本形式は、宮城電気鉄道(現在のJR東日本仙石線)が1924年(大正13年)にアメリカのウェスティングハウス・エレクトリック社(電気部分)及びボールドウィン社(機械部分)から輸入した小型電気機関車である。2両が輸入されたが、後天的な改造により両車の形態は著しく異なっていた。
当初は、キ1形(キ1,キ2)と称し、両車とも短い車体の前後にボンネットを有する凸型電気機関車である。運転台前面の向かって左側(助士席側)に出入口を設けた関係で、ボンネットは右側に寄せられているのも、同じウェスティングハウス社製の信濃鉄道1~3(後の国鉄ED22形)と同様である。キ1とキ2では細部が異なっており、キ1では台車がイコライザ式の軽快なものであるのに対し、キ2では板台枠の重厚なものを装備している。また、キ2では車体中央下部に通風口を2か所に設けている。
その後、キ2は1928年(昭和3年)7月に日本車輌製造で箱形切妻車体の側面に引戸を設けた電動貨車に改造され、番号もキワ2(後にデワ2に再改称)に改められた。時期は不明であるが、両車はさらに改番され、自重が約27tであったことからED27形(ED271,ED272)に改められた。両車とも、1944年(昭和19年)に宮城電気鉄道が戦時買収されたのにともない、国有鉄道に引き継がれたが、1961年(昭和31年)に廃車となるまで、この形式番号は変わらなかった。
太平洋戦争後の1950年(昭和25年)に、仙石線へED20形2両が転入したのにともない、2両とも同年に600Vから1500Vに昇圧された宇部西線(旧宇部電気鉄道)に転出し、廃車まで使用された。私鉄への譲渡機、保存機はない。
[編集] 主要諸元
- 全長:9194mm(ED271)、9180mm(ED272)
- 全幅:2489mm(ED271)、2646mm(ED272)
- 全高:3658mm
- 重量:26.79t(ED271)、28.2t(ED272)
- 電気方式:直流1500V(架空電車線方式)
- 軸配置:B-B
- 1時間定格出力:194kW(1350V定格)
- 1時間定格引張力:3120kg
- 主電動機:550-JE6形×4基
- 動力伝達装置:1段歯車減速、吊り掛け式
- 歯車比:16:73=1:4.56
- 制御方式:非重連、抵抗制御、2段組合せ制御
- 制御装置:電磁空気単位スイッチ式
- ブレーキ方式:EL14A空気ブレーキ、手ブレーキ
- 台車形式:イコライザ式(ED271)、板台枠(ED272)
[編集] 関連項目
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