愛知県立旭丘高等学校
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愛知県立旭丘高等学校 | |
国公私立の別 | 公立(県立) |
設立年月日 | 1870年(明治3年) |
過去の名称 | 洋学校 愛知県尋常中学校 愛知県立第一中学校 愛知県第一中学校 愛知県立第一高等学校 |
モットー ・校訓 ・校風 |
全人的教育 「正義を重んぜよ」 「運動を愛せよ」 「徹底を期せよ」 |
共学・別学 | 男女共学 |
課程 | 全日制・定時制 |
学科 | 普通科・美術科 |
所在地 | 〒461-0032 |
名古屋市東区出来町3-6-15 | |
電話番号 | 052-721-5351 |
FAX番号 | 052-723-6825 |
外部リンク |
愛知県立 旭丘高等学校(あいちけんりつ あさひがおかこうとうがっこう)は、日本の愛知県名古屋市東区にある県立高等学校。男女共学。
目次 |
[編集] 沿革
- 1870年 - 洋学校開校
- 1896年 - 愛知県尋常中学校に改称
- 1899年 - 学制施行により愛知県第一中学校(通称:愛知一中)に改称
- 1916年8月 - 第3回全国中等学校優勝野球大会(現:夏の高校野球)優勝
- 1948年4月 - 学制改革により愛知県立第一高等学校となる
- 1948年10月 - 高校統合により名古屋市立第三高等学校(旧:第三高等女学校。1924年開校)と合併、愛知県立旭丘高等学校となる
- 1949年 - 愛知県東郷町に東郷分校開設
- 1952年 - 春日井市立高等学校を合併、春日井分校とする
- 1963年 - 春日井分校を春日井高等学校として独立
- 1970年 - 東郷分校を閉校
- 1971年 - 通信制課程を旭陵高等学校として独立
- 2003年 - 建て替えて新校舎になる
[編集] 学科
- 全日制
- 普通科
- 愛知県公立高等学校入学試験一般入試では、普通科尾張学区第1群Aグループに属する。
- 美術科
- 愛知県公立高等学校入学試験一般入試では、専門学科Aグループに属する。
- 普通科
- 定時制
- 普通科
[編集] 概要
[編集] 歴史
かつて、1899年(明治32年)に愛知一中と改称されて以降は、東京府立一中(現:東京都立日比谷高等学校)、神戸一中(現:兵庫県立神戸高等学校)と並び、全国の一中ビッグスリー 「一中御三家」と称されていた全国屈指の名門校だった。
しかしながら、1973年から学校群制度が導入されたことにより、千種高と組んだ名古屋第2群は県下一の難関となったが、市立北高校と組んだ名古屋第3群は北高へ回されるのを敬遠したため、学校全体としては勢いがなくなってしまった。だが、1989年に複合選抜制度が導入されてからは復活し、愛知県の公立高校入試において最難関の公立高校になった。
[編集] 教育方針
多くの有名進学校が受験に特化した科目のみを勉強させるのに対して、旭丘高校では全人教育を行っており、文系・理系を問わずに大学受験での選択科目(日本史、世界史、地理、倫理、政経、生物、地学、化学、物理)までもをすべて必修にしている。これは、幅広い知識を身につけていた方が大学入学後に伸びるという考えによるものである。
だが生徒や保護者の間では、そうした教育が大学受験において他の学校よりも不利になるのではないかという不満の声もしばしば聞かれることもある。
[編集] 校風
生徒の自主性を尊重しているため、服装なども含めて自由な校風が特徴的である。
そのため、進学校にしては規律がなく、闊達な校風といえる。
また、入学試験の制度上内申点がオール5に近い成績でないと合格が難しいので、生徒は勉強のみならず実技科目である体育や美術、音楽などの科目もできる文武両道の学生が多いのも特徴的である。
[編集] 校則
旭丘高校では表向きは校則で制服着用を義務づけているが、実際はほぼ全員の生徒は私服で登校している。また、髪型、化粧などについても生徒個人の判断に任されている。
このように旭丘高校はほとんど校則がないといっていいが、唯一下駄を学校に履いてくることだけは禁止されている。これは下駄によって床が傷つけられたり、歩く音が授業の妨げになるといった理由によるものである。
以前は私服自由化闘争など生徒会活動が非常に盛んだったが、今は沈静化している。しかし、例えば多くの学校では教員主体で行われる掃除を生徒会主体で行っているなど、自由度の高い活動が行われている。生徒会活動に積極的に取り組む生徒とそうでない生徒の温度差が毎年問題になっている。
[編集] 進学実績
今まで非公開にしていた大学合格実績を2006年から公表したが、サンデー毎日の発表した難関大学合格力(東京大学+京都大学+国公立大学医学部の合格者数を総学生数で割ったもの)は全国の公立高校で第1位であった。
現役進学率は約5割で進学校としては普通だが、管理教育の盛んな愛知県では東海高校と並んで低い数字である。
[編集] 主な学校行事
春の小文化祭
- 毎年新入生歓迎のために行われる、文化部の発表。入学式の後に行われる。多くの文化部は新入生獲得のために熱を上げる。
Sping Festival
- 始業式の後に行われる、お祭。主な内容は軽音楽部によるバンド、ダンス部によるダンス、有志によるコントや音楽演奏など。
春の遠足
- 二、三年生はクラスで好きなところに遠足に行く。行き先や内容は自由で、クラスごとに自分達で決める。
林間学舎集団訓練
- 一年生の6月頃に財団法人旭丘会が管理している林間学舎に班ごとに分かれて行く。3泊4日。内容は野外炊事、班別活動、ホームルーム自主、キャンプファイヤーなど。
ホームルーム対抗
学校祭
- 6日間の長丁場で行われる。毎年、初日が火曜日で最終日が日曜日と決まっている。
- 前夜祭
- 初日に行われる。主にバンドやコント、音楽発表や文化祭の宣伝など。夜やるわけではなく、午前中で終わって午後からは体育祭の準備にとりかかる。
- 体育祭
- 二日目に行われる。大まかに真面目に運動する種目と適当に楽しむ種目がある。
- 全校企画
- 三日目と四日目に行われる。主な内容は映画・演劇鑑賞、分科会、舞台発表、討論会など。
- 文化祭
- 五日目と六日目に行われる。文化部の発表やクラスで露店や出し物をする。三年生は演劇をやることが慣例となっており、夏休み前から準備をして当日は相当の盛り上がりを見せる。
- 後夜祭
- 最終日の夜に行われる。主な内容はキャンプファイヤーやトーチ。
[編集] トピックス
毎年10人ほどが在学中に海外に留学する。1992年、留学中の服部剛丈(当時16歳)がバトンルージュで射殺されるという事件が起きた。追悼の意味をこめて校内に木が植えてある。
2000年から2002年まで校舎立て替えの際、卒業生で政治家の河村たかし氏を筆頭に「伝統のある文化的意義の高い校舎を壊すな」という座り込み運動が起きた。結局運動は挫折し、校舎は建て替えられたが、配慮があったのか新しい校舎は非常に趣のある景観をしている。
帽子が黒の二本線で胸の真ん中に校章のある野球部のユニフォームは珍しいため有名である。
[編集] 著名な卒業生
- 学者
- 野津憲治 - 東京大学大学院理学系研究科教授
- 伊藤正男 - 生理学者、理化学研究所脳科学総合研究センター所長
- 新堂幸司 - 法学者、東京大学名誉教授
- 神戸正雄 - 財政学者、京都大学名誉教授、関西大学学長、京都市長 / 文化功労者
- 高橋利忠 - 愛知県がんセンター研究所所長
- 加藤順吉郎 - 元愛知県医師会会長、内科医
- 山寺秀雄 - 名古屋大学名誉教授、大同工業大学名誉教授
- 幅勇雪 - 日本公認会計士協会副会長
- 吉田光邦 - 京都大学名誉教授、京都文化博物館館長
- 宮田聡 - 元理化学研究所理事長
- 二村雄次 - 元名古屋大学附属病院長
- 大島伸一 - 元名古屋大学附属病院長
- 三輪芳朗 - 経済学者、東京大学大学院経済学研究科教授
- 文化人
- 二葉亭四迷 - 小説家
- 坪内逍遥 - 小説家
- 佐々木味津三 - 中退。小説家
- 浅井慎平 - 写真家
- 荒川修作 - 美術家
- 赤瀬川原平 - 小説家・画家
- 祖父江慎 - ブックデザイナー
- 連城三紀彦 - 小説家(直木賞)
- 岡井隆 - 歌人
- 新実徳英 - 作曲家
- 青葉かおり - 囲碁棋士
- 和田義彦 - 洋画家
- 赤座美代子 - 女優
- 小堀四郎 - 洋画家
- 経済界
- 土川元夫 -元 名古屋鉄道社長・会長、元名古屋商工会議所会頭
- 岩田弐夫 - 元東芝社長、元日本たばこ産業会長
- 豊田英二 - トヨタ自動車最高顧問
- 竹田弘太郎 - 元名古屋鉄道社長・会長、元名古屋商工会議所会頭
- 盛田昭夫 - 元ソニー会長
- 倉田陽一郎 - シンワアートオークション社長
- 河合恒人 - 学校法人河合塾学長
- 山口直樹 - 愛知トヨタ自動車取締役社長
- 米倉功 - 伊藤忠商事社長・会長・相談役、経済団体連合会副会長
- 佐伯進 - (株)ノリタケカンパニー代表取締役社長・会長、名古屋商工会議所貿易部会会長
- 前田竹虎 - (株)エポック社創業代表取締役社長
- 安部浩平 - 中部電力(株)取締役社長・会長
- 山路敬三 - キヤノン(株)代表取締役社長・副会長
- 長戸啓太郎 - 中央信託銀行会長・相談役
- 土方武 - 住友化学工業(株)会長
- 加藤巳一郎 - 中日新聞社会長
- 伊藤次郎左衞門 - 元名古屋商工会議所会頭
- 長尾芳郎 - 名鉄百貨店会長
- 堀田庄三 - 住友銀行名誉会長、日本航空会長
- 政治
- 加藤高明 - 元内閣総理大臣
- 河村たかし - 衆議院議員(民主党)
- 古川元久 - 衆議院議員(民主党)
- 田嶋要 - 衆議院議員(民主党)
- 長谷百合子 - 元衆議院議員、お茶の水女子大学全共闘
- 山本保 - 参議院議員(公明党)
- 大塚耕平 - 参議院議員(民主党)
- 佐藤泰介 - 参議院議員(民主党)
- 宮田光雄 - 警視総監(1927年)、貴族院議員、内閣書記官長(1922年)、衆議院議員 / 貴族院官僚出身
- 伊藤延吉 - 文部次官
- 金森徳次郎 - 国務大臣、法制局長官
- 瀧正雄 - 企画院総裁、法制局長官
- 伊藤栄樹 - 検事総長、法務事務次官
- 貞家克己 - 元最高裁判所判事
- 小栗孝夫 - 元名古屋弁護士会会長
- 加藤義則 - 日本弁護士連合会副会長
- 福岡宗也 - 前名古屋弁護士会会長
- 真野毅 - 元最高裁判事
- 尾之内由紀夫 - 元建設省次官、元本州四国連絡橋総裁
- その他
- 谷川貞治 - K-1プロデューサー
- 中野雷太 - アナウンサー、ラジオNIKKEI
- 進藤潤耶 - テレビ朝日アナウンサー
- 槇徳子 - テレビ東京株式キャスター(元中部日本放送ほかアナウンサー)
- 大角岑生 - 海相、海軍大将
- 三輪茂義 - 海軍中将、第6艦隊長官
- 横井俊之 - 海軍少将、第25航空戦隊司令官、第5艦隊参謀長
[編集] 関連書籍
- 「消された校舎 旭丘高校校舎建て替えてんまつ記」(旭丘高校校舎の再生を考える会編、風媒社 ISBN 4-8331-1068-7)