湘南新宿ライン
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湘南新宿ライン(しょうなんしんじゅくライン)は、神奈川県鎌倉市の大船駅と埼玉県さいたま市大宮区の大宮駅を渋谷・新宿・池袋経由で結び、高崎線・宇都宮線(東北本線)・東海道本線(以下本稿では運転系統を指す場合は「東海道線」と表記)・横須賀線の各線を直通運転する東日本旅客鉄道(JR東日本)の中距離電車の列車愛称および運転系統名である。
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[編集] 概要
湘南新宿ラインは、主に東京駅・上野駅をターミナルとして南北に折り返し運転していた首都圏の中距離電車を、池袋駅・新宿駅・渋谷駅の各副都心を経由して相互に直通運転させた新系統の列車であり、2001年(平成13年)12月1日のダイヤ改正より運行が開始された。一般的に「湘南新宿ライン」は普通列車(快速・特別快速含む)の列車愛称および運転系統の名称として使用され、同じ区間を走行する特急列車・急行列車・通勤ライナー列車、臨時列車などに「湘南新宿ライン」の呼称は用いられない。
運行開始当初は日中のみ25往復の設定で、そのうち宇都宮線・高崎線からの直通列車は18往復であり、東海道線・横須賀線方面~新宿駅折り返しの列車が存在するなど、東京駅および上野駅発着列車に対する補助的な役割に過ぎなかった。その後の利用者数増加とともに増発が行われ、池袋駅構内配線改良の完成により大幅な増発が可能となった2004年10月16日のダイヤ改正では、湘南新宿ラインの全列車が南北直通運転となり、運転本数も64往復となり現在に至っている。宇都宮線~横須賀線の系統と東海道線~高崎線の系統がほぼ交互に運行されており、大宮駅~大船駅間の運行数は日中が概ね毎時4本、朝が毎時6本である。停車駅は停車駅の項を参照されたい。全列車がE231系電車で運転されており、2階建てグリーン車2両を連結している。
湘南新宿ラインの登場は、競合する私鉄各社にも影響を与え、特に横浜駅~渋谷駅間で競合する東京急行電鉄と新宿駅~藤沢駅・小田原駅間で競合する小田急電鉄には大きな脅威となった。このため、各社は新たな対抗策を打ち出している。東急は、湘南新宿ライン運転開始に先立つ2001年3月のダイヤ改正から東横線で特急の運転を開始し、渋谷駅~横浜駅(~元町・中華街駅)間の速達輸送を強化した。さらに2012年度からは東京地下鉄副都心線(池袋駅~渋谷駅間:建設中)との相互直通運転が開始される予定である。これにより、競合区間が、横浜駅~池袋駅間とさらに延びることになる。また小田急も、2002年3月のダイヤ改正で藤沢駅~新宿駅間に「湘南急行」を新設、2004年12月のダイヤ改正ではこれらを廃止する代わりに江ノ島線と小田原線に「快速急行」を新設するなど、速達性の向上に取り組んでいる。
[編集] 運転開始の背景
湘南新宿ライン運転開始の背景として、次の点があげられる。
- 民間鉄道会社との競合対策(参考記事)。
近年、JR東日本の首都圏における在来線輸送量が下落傾向にあった。これは少子・高齢化などの社会的変化に加え、東急目黒線・東京メトロ南北線・埼玉高速鉄道線が相互直通運転を開始するなど、競合する他の鉄道会社が神奈川・東京・埼玉を結ぶネットワークを形成したことも理由の一つであった。こうした競合への対策として、新たに神奈川方面・東京・埼玉方面を新宿経由で直通する列車の設定に至った。
下表に示すように、北関東(ここでは栃木県・群馬県)から東京都・神奈川県への旅客需要は大きく、直通運転の実施により、これらの需要に応え、また新たな利用を開拓することが期待されたと考えられる。
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- 各都県間鉄道旅客流動状況(2000年)
出発地\目的地 | 栃木県 | 群馬県 | 合計 | - | - |
埼玉県 | 642 | 471 | 1,113 | - | - |
東京都 | 3,075 | 1,869 | 4,944 | - | - |
神奈川県 | 765 | 243 | 1,008 | - | - |
千葉県 | 336 | 292 | 628 | - | - |
合計 | 4,818 | 2,875 | - | - | - |
出発地\目的地 | 埼玉県 | 東京都 | 神奈川県 | 千葉県 | 合計 |
栃木県 | 1,252 | 2,963 | 939 | 595 | 5,749 |
群馬県 | 935 | 2,027 | 415 | 485 | 3,862 |
合計 | 2,187 | 4,990 | 1,354 | 1,080 | - |
- (単位:千人/年)
- 運輸省調べ
- 車両運用の合理化と都心車両基地の活用
JR東日本の経営上の観点からも、湘南新宿ラインを含む南北直通運転は(1)車両の共通運用化による所要運用数・車両数の削減、(2)車両基地の共通化による整備コストの削減、(3)都心に立地する車両基地の郊外移転と再開発を可能とする、などの点で大きなメリットがある。すでにJR東日本は、東北縦貫線開業後に田町車両センターの廃止と品川車両基地の整理・再開発を計画している。
[編集] 経由路線
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湘南新宿ラインは、東海道本線(大船駅~大崎駅間)、山手線(大崎駅~田端駅間)、東北本線(田端駅~大宮駅間)を経て運転されており、大船以西では東海道線あるいは横須賀線に直通し、大宮駅以北では宇都宮線(東北本線)あるいは高崎線に直通する。大船~大宮間(東海道本線、山手線、東北本線)の走行区間の多くは、国鉄時代に貨物列車専用線として整備されたもので、1980年代の貨物輸送合理化と武蔵野線の開通により、旅客輸送に転用された路線である。
[編集] 東海道本線(大船駅~鶴見駅~旧蛇窪信号場間)
大船駅~新鶴見信号場間は東海道本線の旧貨物線(現在は横須賀線専用線、線籍上は東海道本線)を、また新鶴見信号場~旧蛇窪信号場間は東海道本線の貨物線を走行する。この区間は東海道貨物線(通称品鶴線)として利用されていたが、大船駅から新鶴見信号場までの区間は1980年のSM分離により東海道貨物線から横須賀線列車の専用路線に転用されたものである。東海道線直通列車は大船駅を出ると戸塚駅構内南端の渡り線を通り東海道旅客線から横須賀線専用路線に転線する。戸塚駅~旧蛇窪信号場間には横須賀線のすべての列車が停車する東戸塚駅・保土ヶ谷駅・横浜駅・新川崎駅・西大井駅があり、湘南新宿ラインも宇都宮線~横須賀線系統の列車(大船行を含む)はこれと同様に全駅に停車するが、東海道線~高崎線系統の列車は横浜駅のみ停車する(詳しくは運行形態の項を参照)。
[編集] 大崎駅構内(旧蛇窪信号場駅~大崎駅間)
西大井駅の先、旧蛇窪信号場(大崎駅構内)にて品鶴線から東側に分岐し、「通称・大崎支線(蛇窪線)」と呼ばれる短絡線に入る。この線は大きくカーブしながら高架を進み横須賀線列車の走る品鶴線線路と立体交差した後、上下線の間に埼京線と相互直通運転する東京臨海高速鉄道りんかい線を挟む形で大崎駅ホームに至る。大崎支線はかつては山手貨物線(線籍上は山手線)であったが、現在は旧蛇窪信号場も含めて大崎駅構内の扱いである。
[編集] 山手線(大崎駅~田端駅間)
大崎駅から田端駅までは山手線の貨物線(通称・山手貨物線、線籍上は山手線)を走行する。大崎駅~田端駅(構内通過)間では山手線電車と並走し、うち大崎駅~池袋駅間は埼京線と線路を共有する。この区間には、埼京線のすべての列車が停車する恵比寿駅・渋谷駅・新宿駅があり、湘南新宿ラインも宇都宮線~横須賀線系統の列車はこれと同様に全駅に停車するが、東海道線~高崎線系統の列車は特別快速が恵比寿駅を通過する。途中、原宿駅に山手貨物線ホームは無いが、本線北東側にはお召し列車発着専用の線路およびホームがある。
[編集] 東北本線(田端駅~大宮駅間)
田端駅から大宮駅までは東北本線の貨物線(通称・東北貨物線、線籍上は東北本線)を走行する。田端駅手前で大きくカーブし、北側を並走していた山手線をくぐり田端駅から真っ直ぐ北上する京浜東北線(線籍上は東北本線)の東側に出る。東京新幹線車両センター沿いを京浜東北線と並走し、王子駅付近で尾久車両センター方面(尾久駅)から来る東北本線旅客線と合流して赤羽駅に至る。ここから大宮駅までは東北本線旅客線(上野発着の宇都宮線・高崎線列車が走る線路)および京浜東北線と並走するが、貨物線にはホームがないため、旅客線の列車が停車する浦和駅とさいたま新都心駅には停車しない。浦和駅については現在工事中の駅全面高架化に合わせ、ホームが新設され停車駅となる予定である。
[編集] 歴史
- ※上野・東京駅経由の南北直通運転の歴史については東北縦貫線計画を参照。
[編集] 東北貨物線・山手貨物線の旅客化
- 山手貨物線を利用した旅客列車の運転は、1980年代半ばまでは不定期列車・臨時列車に限られていた。
- 1959年9月から1964年9月まで新宿駅~日光駅間運行の不定期準急「中禅寺」が運行された。また、東北・上越新幹線開業以前、年末年始などの帰省ラッシュの時期には、上野駅の発着列車の不足を補うため、東北本線・奥羽本線・上越線・信越本線方面の下り臨時列車の一部が品川駅始発・山手貨物線~東北貨物線経由で運行された。また、横浜方面から日光方面へ向かう修学旅行列車(集約臨)なども品川駅で方向転換し山手貨物線・東北貨物線経由で運転されている。
- 1984年3月:東北貨物線の大宮駅~赤羽駅間が旅客化され、平日朝ラッシュ時の東北本線(宇都宮線の愛称は1990年から)・高崎線の中距離列車の一部を貨物線経由で赤羽駅まで運転。
- 1985年9月30日:赤羽線の赤羽駅~池袋駅間を埼京線として運行開始。
- 1986年3月3日:前年に開業した埼京線(大宮駅~池袋駅)が新宿駅まで延長、山手貨物線の池袋駅~新宿駅間が旅客化。
- 1988年3月13日:東北本線・高崎線中距離列車に東北貨物線から山手貨物線を経由して池袋駅に発着する列車を設定、終日毎時1本程度の運行を開始。
- 1990年代:高崎線・宇都宮線方面から山手貨物線を経由して横須賀線・東海道線へ直通する臨時列車「ホリデー快速」が運行開始。
- 1991年3月19日:「成田エクスプレス」運行開始。新宿・池袋行列車が設定され、横須賀線品川駅から品鶴線~山手貨物線経由で運転。
- 1995年12月1日:池袋駅止まりだった宇都宮線・高崎線列車の一部列車が(主に夜間)を新宿駅発着に延長。池袋駅~新宿駅間は埼京線と同じく山手貨物線を走行。
- 1996年3月16日:埼京線が恵比寿駅へ延伸。山手貨物線に渋谷駅と恵比寿駅が新たに設置された。
- 1998年3月14日:ホリデー快速「ビュー湘南」・「ビュー鎌倉」が運行開始。
- 「ビュー湘南」は新宿駅~平塚駅・小田原駅間、「ビュー鎌倉」は新宿駅~鎌倉駅間で、共に1日1往復が215系による運転。新宿駅からの経路は山手貨物線~大崎支線~横須賀線である。「ビュー湘南」は横浜駅では東海道線ホームに発着、東京方で転線していた。湘南新宿ラインの開業により運行を終了。
[編集] 「湘南新宿ライン」の登場から現在まで
- 2001年9月21日:横須賀線・東海道線から新宿駅を経由して宇都宮線・高崎線へと直通する新ルート開業を発表。この系統愛称を「湘南新宿ライン」とする事が決定。
- 2001年12月1日:ダイヤ改正から運転開始。日中のみの運転で1日あたり25往復の設定。将来の増発を見込み、池袋駅北側の山手貨物線と埼京線の立体交差化工事も既に着工している。
- 2002年5月:池袋駅北側の山手貨物線と埼京線の立体交差化工事の影響で、工事完了までの間、山手貨物線大塚~池袋間の池袋寄り一部区間が単線となる。当時の湘南新宿ラインのダイヤは、この工事による単線化を想定して編成された為、ダイヤへの影響はなかった。
- 2002年12月1日:東京臨海高速鉄道りんかい線の全線開通と大崎駅の埼京線・りんかい線用ホームの供用開始に伴い全列車が大崎駅に停車。同時に夕方→夜間を中心に湘南新宿ラインを増発(計38往復)。また誤乗防止のために「湘南新宿ライナー」の朝上り列車が「おはようライナー新宿」、夕方下り列車が「ホームライナー小田原」と列車名を変更。
- 2004年6月6日:池袋駅北側の山手貨物線と埼京線の立体交差化工事が完了。そして池袋駅南側での埼京線との平面交差が解消され、湘南新宿ライン列車を大幅に増やすことが可能になる。
- 2004年10月16日:ダイヤ改正
- 湘南新宿ライン増発(38→64往復)及び全列車の南北直通運転開始。運転時間帯を全日に拡大。
- データイムの東海道線~高崎線系統の列車に「特別快速」が登場。高崎線側は、停車駅も含め高崎線上野発着列車のうち、データイムの快速列車「アーバン」を置き換えている。東海道線側は東京発着電車の現状運転本数6本(3本熱海発着普通電車・2本小田原発着普通電車・1本熱海発着快速「アクティー」)を確保するため東京発着列車に追加する形で湘南新宿ラインが増発となった。
- これまでは、大船発で大宮止まりとなり宇都宮線に直通しない普通列車が一便あったが、同時に廃止された。
- 特別快速登場に伴い、一部快速電車の高崎線内快速運転も廃止された。
- 全列車E231系グリーン車2両連結の15両編成または10両編成に統一。一部区間で120km/h運転を開始。
- 2004年12月31日から2005年1月1日にかけての年末年始終夜運転限定で、高崎線~横須賀線直通の系統を運行した。大崎駅~大船駅間を含めて全区間各駅停車である。これは以後の終夜運転では実施しておらず、実験的意味合いが強かったと思われる。以後からは、通常の系統である宇都宮線~横須賀線系統の普通列車のみ運行されている。
[編集] 運行形態
[編集] 運行系統と列車種別
- 宇都宮線~横須賀線系統
- 湘南新宿ライン普通(横須賀線普通-≪大船-大宮:普通≫-宇都宮線普通)
- 湘南新宿ライン普通(横須賀線普通-≪大船-大宮:普通≫-宇都宮線快速)※1
- 東海道線~高崎線系統
- 湘南新宿ライン快速(東海道線普通-≪大船-大宮:快速≫-高崎線普通)※2
- 湘南新宿ライン特別快速(東海道線特別快速-≪大船-大宮:特別快速≫-高崎線特別快速)
- ※1:南行きの大宮以北、北行きの大崎以北で「湘南新宿ライン快速」と案内
- ※2:北行きは大崎以北で「湘南新宿ライン普通」と案内
[編集] 停車駅
- 直通先の区間内の停車駅は各路線の記事を参照。
直通先・種別 | 路線名 | 東海道本線 | 山手線 | 東北本線 | 直通先・種別 | |||||||||||||||||
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湘南新宿ライン内種別 | 大船駅 | 戸塚駅 | 東戸塚駅 | 保土ヶ谷駅 | 横浜駅 | 新川崎駅 | 武蔵小杉駅※1 | 西大井駅 | 大崎駅 | 恵比寿駅 | 渋谷駅 | 新宿駅 | 池袋駅 | 田端駅 | 赤羽駅 | 浦和駅※2 | 大宮駅 | |||||
横須賀線 ※3 |
普通 | 普通 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | - | ● | ● | ● | ● | ● | ● | - | ● | - | ● | 宇都宮線 | 普通 | |
普通 | 普通※4 | ● | ● | ● | ● | ● | ● | - | ● | ● | ● | ● | ● | ● | - | ● | - | ● | 快速 | |||
東海道線 | 普通 | 快速※5 | ● | ● | - | - | ● | - | - | - | ● | ● | ● | ● | ● | - | ● | - | ● | 高崎線 | 普通 | |
特別快速 | 特別快速 | ● | ● | - | - | ● | - | - | - | ● | - | ● | ● | ● | - | ● | - | ● | 特別快速 |
東海道線は小田原駅、横須賀線は逗子駅、宇都宮線は宇都宮駅、高崎線は高崎駅(一部は前橋駅)まで直通。 なお、観光シーズンなどには、高崎線~東海道線系統の特別快速が1往復小田原~熱海間を延長運転することがある。
- ※1:2009年度開業予定
- ※2:2012年度ホーム使用開始予定
- ※3:一部電車は大船駅で折り返し。
- ※4:北行は、大崎~大宮間で「湘南新宿ライン宇都宮線直通快速」と案内・表示
- ※5:北行は、大崎~大宮間で「湘南新宿ライン高崎線直通普通」と案内・表示
[編集] 列車番号
湘南新宿ラインの列車の列車番号は、4桁の数字と英字1字からなる(例:2100Y)。この列車番号は、以下の規則に従って決められている。
- 千の位
- 運転系統と種別を表す。
- 1: 湘南新宿ライン 普通(横須賀線:普通~宇都宮線:普通)
- 2: 湘南新宿ライン 快速(東海道線:普通~高崎線:普通)
- 3: 湘南新宿ライン 特別快速(東海道線:特別快速~高崎線:特別快速)
- 4: 湘南新宿ライン 普通(横須賀線:普通~宇都宮線:快速)
- 百の位・十の位
- 上記の運転系統それぞれについて、発車時刻順に番号が振られる。なお、南行(大船方面)は10から、北行(大宮方面)は60から始まる。ただし、一部に欠番もある。
- 一の位
- 全ての列車の列車番号の一の位は0である。
- 末尾の英字
- 進行方向を表す。
- Y: 大船方面(東海道線方面・横須賀線方面)
- E: 大宮方面(高崎線方面・宇都宮線方面)
[編集] その他
- 湘南新宿ライン東海道線直通列車は、横浜駅・戸塚駅では横須賀線ホームに発着する。そのため横浜駅では、東海道線下り方面に向かう場合、時間により先発列車が東海道線ホームと横須賀線ホームに分かれるため、乗車の際に注意が必要である。戸塚駅も同様であるが、東海道線と横須賀線が方向別同一ホームとなっているため、大きな問題は生じない。
- 大船駅より湘南新宿ライン北行列車に乗車する場合、横須賀線系統と東海道線系統の列車は別ホームより発着するため、先発列車の乗車ホームに注意が必要である。
- 戸塚駅では、東海道線と横須賀線(湘南新宿ライン)が方向別ホームとなっており、横須賀線と東海道線、また東京方面への列車と新宿方面への列車が相互に同一ホームで乗り換えができるため、利便性が高い。また2007年3月18日ダイヤ改正より東海道線の快速「アクティー」が戸塚駅に停車することになり、同列車と湘南新宿ライン列車の接続も利便性が向上した。
- 首都圏では、年末年始終夜運転を実施しているが、湘南新宿ラインは、鎌倉市の鶴岡八幡宮への初詣客を対象として、宇都宮線~横須賀線系統の普通列車が運行される。
- 2001年の運転開始より2004年3月ダイヤ改正まで、高崎線~東海道線系統に高崎線内は快速運転をし東海道線内は各駅に停車する「湘南新宿ライン快速」が運行されていた。高崎線内(大宮以北)の停車駅は現在の特別快速と同じであった。また、現在の特別快速が通過する恵比寿に停車していた。
[編集] 放送や表示などによる案内方法
[編集] 放送での案内
車内の自動案内放送では、駅発車後に「湘南新宿ライン(直通路線名)直通」「(種別)」「(行き先)」の順序で列車案内を行っている。
また、東京圏輸送管理システム(ATOS)による駅構内の自動放送においても、同様の順序で「まもなく 1番線に 湘南新宿ライン 東海道線直通 特別快速 小田原行きがまいります。危ないですから黄色い線までお下がり下さい。」(新宿駅の例)と案内が行われる。しかし、放送内容が煩雑なことから「湘南新宿ライン」「直通路線名」の案内を省略している駅もある。
[編集] 駅構内での表示案内
運行開始当初の案内表示では「東海道線 横浜・大船・小田原方面(湘南新宿ライン)」(新宿駅の例)などのように直通先の路線が主となり、「湘南新宿ライン」の語句は補足的な使用に止まっていたが、2004年の増発後は主要駅の案内板が更新され「湘南新宿ライン 横浜・大船・小田原・逗子方面」の様に「湘南新宿ライン」が主となり、直通先の路線名はLED部分に表示させるようになった。また、改札口付近の発車時刻案内表示器にも湘南新宿ライン専用のものが設置されている。さらに近年では、池袋・新宿で湘南新宿ラインと同じホームを発着する特急列車の行先も「湘南新宿ライン」の行先案内に含めて表示される場合もある。
- 例:
[編集] 路線図案内
車内に掲示する停車駅案内は、小山車両センター車が「湘南新宿ライン(宇都宮線系統、高崎線系統)・宇都宮線・高崎線」、国府津車両センター車が「東海道線・伊東線・湘南新宿ライン(東海道線系統)・高崎線」を掲示している。前者は東海道・横須賀線東京口の帯は無く西端は小田原までである。
「東京近郊路線図」では、従来は東海道線の路線色と同色(オレンジ色)の帯で、新川崎方面から横浜方面に伸びるオレンジ色の帯が、東京発着のオレンジ色の帯に合流するような描き方だった。そして、そのオレンジ色の帯は大船から逗子方面へも伸びており、これでは東京方面からのオレンジ色の帯(東海道線)も横須賀線へ直通しているかのように見受けられ誤解を生んだ。その後2004年10月16日のダイヤ改正から一新された「東京近郊路線図」では、湘南新宿ライン専用の帯(赤色)を設定し、東京方面発着の東海道・横須賀線や上野発着の高崎・宇都宮線と並行しているかのような描き方に修正された。
[編集] 「湘南新宿ライン」案内の省略
新宿駅を経由した後、直通先の路線に乗り入れる北行列車の大宮駅以北、南行列車の戸塚駅以南では、利用者にとって湘南新宿ラインからの列車と東京口・上野口の列車を区別する必要がない。そのため、上記区間においては駅の案内表示、列車内の行先表示から「湘南新宿ライン」が省略される場合がある。
また、湘南新宿ラインの運行開始以前より宇都宮線・高崎線からの乗り入れ列車があった新宿・池袋・赤羽の各駅においても、北行列車について「湘南新宿ライン」の案内が省略される場合がある。
大宮~大船間の区間を通過した後は、駅構内および車内の案内では「湘南新宿ライン」の表示がなくなることもある(例:北行き車内表示、赤羽出発時後までは「この電車は、湘南新宿ライン 宇都宮(高崎)線直通です。」・大宮到着直前より「この電車は、宇都宮(高崎)線です。」に変わる)。一方、車外LED式行先表示器は通常全区間で「湘南新宿ライン ○○線直通」で表示する。加えて以下のようなパターンもある。
- 南行快速は戸塚~小田原の区間、北行快速は大崎~前橋の区間で各駅停車となるため、通常この区間では「快速」の表示は消される。ただし、乗務員によっては「快速」の表示を消さなかったり、通常の東京・上野方面からの普通列車と同じ表示(「東海道線」または「高崎線」⇔「○○(行先駅名)」の交互)に切り替えている場合がある。「特別快速」は湘南新宿ラインにしかないため、途中で表示が変わることはない。快速においては、南行では、宮原発車時までは「快速」の表示はなく、大宮到着直前より横浜発車時まで「快速」が表示され、戸塚到着直前で再び「快速」の表示が消える。北行では、横浜発車時までは「快速」が表示され、大崎到着直前より「快速」の表示が消える。このパターンは、宇都宮線内快速運転の普通でも同じタイミングで切り替わる(南行きは、大宮到着直前で「快速」が消える。北行きは大崎到着直前より「快速」の表示になる)。
- 南行普通は西大井からも「湘南新宿ライン 横須賀線直通」を表示して終点に向かうが、乗務員の判断などによって行先駅名(「大船」または「逗子」)だけを表示することも多い。「横須賀線」はE231系の行先表示器設定ROMに入っていない。
- E231系で運行される新宿方面からの15両編成とE217系で運行される東京・千葉方面からの15両編成とでは、グリーン車の停車位置が異なるため、西大井~鎌倉までの各駅下りホームでは、湘南新宿ラインの列車のみホーム時刻表の文字色を変えて区別している。ホーム上のLEDによる列車案内にもわずかな違いがあり、「10両 4ドア」あるいは「15両 4ドア」と表示されるものが湘南新宿ラインの列車である。
[編集] 車両
[編集] 現在の使用車両
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- 2001年の運転開始時は小山車両センター(当時は小山電車区)所属のE231系が使用された(当時はまだ国府津車両センターへのE231系配置が無かったため)。2004年10月16日のダイヤ改正からは湘南新宿ラインの全列車がE231系での運転となり、全列車の4・5号車にグリーン車が導入された。同時に最高速度の120km/hへの引き上げも行われ、所要時間の短縮が図られている。
- 2006年9月現在、東海道線~高崎線直通列車は国府津車両センター所属車両が、宇都宮線~横須賀線直通列車は小山車両センター所属車両がそれぞれ運用を担当している。2006年7月までは、小山車両センター所属編成の一部が国府津車両センターに貸し出されており、東海道線~高崎線運用においても小山所属車両を見る事ができた。
- 基本編成10両又は基本編成+付属編成(宇都宮・高崎方に連結)15両で運用されている。ただし、付属編成は高崎線籠原・宇都宮線小金井で増解結される。ただし、宇都宮線直通の大半の列車は、小金井で増解結せず宇都宮まで15両で運転する。
- 運行開始当初は「湘南新宿ライン」の愛称表示がなかったが、2004年10月16日のダイヤ改正でE231系に統一されると、「湘南新宿ライン」の愛称表示を開始した。
[編集] 過去の使用車両
- 小山電車区(現・小山車両センター)所属の車両が宇都宮線~横須賀線直通の列車で使用されたが、115系のE231系電車への置き換えに伴い、2002年6月に撤退した。こちらも211系同様に字幕式の行先表示器を使用していた事から、先頭車前面上部のみの「○○線直通」と側面のみの「新宿経由」の表示がなされていた。
- 2001年の運行開始から2004年10月16日のダイヤ改正まで新宿駅~横須賀線(土休日は東海道線も)の折り返し列車に使用された。この列車では、田町電車区(現・田町車両センター)所属の215系は10両編成、鎌倉総合車両センター(現・鎌倉車両センター)所属のE217系は11両編成で運転され、グリーン車も連結されていた。先頭車前面の種別表示器は215系が「普通」(横須賀線系統)または「快速」(土休日限定の東海道線系統)、E217系は横須賀線行きが「横須賀線‐総武線」、新宿行きは「普通」と表示した。
- 工事などの理由で大宮駅~大船駅間の直通運転が中止された際、国府津電車区(現・国府津車両センター)所属の113系電車11両編成が新宿駅~東海道線の運用に就いた事がある。東海旅客鉄道(JR東海)・静岡車両区所属の113系4両編成(2007年3月17日で営業運転終了)も新宿まで乗り入れたことがある。この時、JR東海所属の車両には「新宿」の表示がなかったため「国府津」と間違って表示されていた。
[編集] 問題点
[編集] 列車遅延関連
- 湘南新宿ラインは多くの線区にまたがって運行されているため、関連する他の線区のダイヤの乱れの影響を受けやすく、特に横須賀線・埼京線の影響を受けやすい。(さらに埼京線列車の車両基地がある川越線の影響も受けることが多い。川越車両センターの項を参照)。
- 湘南新宿ライン自身のダイヤの乱れが関連他線のダイヤに影響を与えるケースも多い事から、関連線区の遅延発生時には直通運転の中止(大宮駅・新宿駅・大崎駅・品川駅止まりなどへの変更又は一時運転見合わせ)や終着駅の変更がなされる。
- 朝のラッシュ時に遅延が発生すると、埼京線と線路を共有している山手貨物線内では列車本数が多く他の線区に逃がすことのできない埼京線の運行を優先するため、駅または駅間(特に赤羽駅~池袋駅~新宿駅間)で長時間停車となる場合があり、特に通勤・通学利用者にとって少なからぬリスクとなっている。
[編集] 輸送増強関連
- 朝夕のラッシュ時、埼京線と共有する山手貨物線の池袋~新宿間の線路容量が既に限界に達しており、埼京線の運行本数を確保する必要上湘南新宿ラインの増発は困難である。この結果、平日深夜の南行列車は、新宿発で21時49分の後22時42分発まで1時間ほど運転間隔が開くなど、昼間と比較して利便性が低下する。
- 長編成化による混雑緩和策も奏功しているが、現在も10両編成で運行される列車があり、混雑が激しい場面が見受けられる。
- 山手線と並行する池袋駅~大崎駅間は、10両から15両編成対応ホームへの延伸の際に、用地の問題から横浜方面に延ばされた。結果的にもともと横浜寄りにホームがある新宿駅・渋谷駅を始め、他の駅も階段が大宮寄りに集中したため大宮寄りの混雑度が高くなり、既存ホームの路線との乗り換えにも時間がかかる。
- 品鶴線と大崎支線が合流する旧蛇窪信号場は平面交差となっており、湘南新宿ラインの北行列車通過時には品鶴線(横須賀線)の下り列車が通過できないため、ダイヤ上のネックとなっている。この問題を解消するため、品鶴線上り線と大崎駅8番線を直接結ぶ短絡線の敷設計画がある。
- 新宿駅~渋谷駅間の代々木駅付近にある厩道・青山街道踏切は、近年の列車増発に伴い開かずの踏切となっており地元住民から苦情が出ている。立体交差化は周囲を中央線や首都高速道路4号新宿線に挟まれる形で困難な状況で、踏切を地下道化する案も地元住民側から難色を示されていて解決に至っていない。
- 東海道線内の開かずの踏み切りはこちらを参照のこと。
[編集] 運行種別関連
- 埼京線列車と湘南新宿ライン列車、あるいは横須賀線列車と湘南新宿ライン列車が同じ線路・ホームを共用する戸塚駅から新宿駅においては、1.埼京線りんかい線直通各駅停車、2.埼京線通勤快速、3.同快速、4.同各駅停車、5.横須賀線普通、6.湘南新宿ライン東海道線直通特別快速、7.同快速、8.同横須賀線直通普通、9.同宇都宮線直通快速、10.同普通、11.同高崎線直通特別快速、12.同快速、13.同普通など、種々の列車が同一ホームから発車するため利用者の混乱を招きやすい。特に、6・7・11・12(・13)は既存の列車(横須賀線列車、埼京線列車)と停車パターン・運転系統ともに異なるため、混乱をより複雑化している。
- 東海道線戸塚駅以南では、東海道線「快速アクティー」・湘南新宿ライン「特別快速」・同「快速」の3種類の速達列車が存在するが、「快速アクティー」と「特別快速」の停車駅は同一だが、湘南新宿ライン「快速」はこの区間は各駅に停車する。このため、列車種別と停車駅の関係が複雑であり、利用者の混乱を招きやすい。
[編集] 運行区間関連
- 日中の東海道線系統は、「特別快速」が小田原駅まで、「快速」が平塚駅までの運行であり、両駅の間にあり、特別快速が通過する大磯駅・二宮駅・鴨宮駅では直接の乗車機会が少ない。
- 横須賀線と宇都宮線は、2004年10月ダイヤ改正以後は運転区間が宇都宮駅以南・逗子駅以北に縮小された(それまでは、黒磯駅以南、久里浜駅以北)。
[編集] その他
- 大崎支線を経由する事で、新川崎駅・西大井駅~大崎駅間の実走行キロは短縮されたが、運賃の改定は行われていない。これについてJR東日本では「この経路(最短経路)は元々貨物線の線路で、旅客線ではないため、旅客運賃計算は品川駅経由としている。当面運賃の変更は考えていない」とした。なお、横浜駅~大崎駅間については、もともと湘南新宿ラインの実経由距離より短い東海道線経由の運賃で計算されているため、このような問題は生じない。
- 15両か10両での運転であるために、ただでさえ停車位置に気を使う必要があるが、さらに横須賀線停車駅では、湘南新宿ラインと横須賀線の車両では、付属編成の組み込み方が異なるので(こちらを参照)、特にグリーン車に乗車する場合は、停車位置を間違えやすい。
- 一般乗客の間や報道などで「湘南新宿ライナー」、「新宿湘南ライン」と呼称したり、「湘南ライン」「新宿ライン」「湘新線」などと省略するケースがみられる。
[編集] 将来
[編集] 東京地下鉄副都心線の開業
- 2008年6月に東京地下鉄副都心線(建設中の区間は渋谷駅~池袋駅)が開業する予定である。これにより、並行する山手線・埼京線・湘南新宿ラインの乗客の流動に大きな変化(新宿駅・池袋駅での乗り換え客の減少)が予想される。ただし、埼京線や山手線も含めた利用者にとっては、通勤ラッシュ時における混雑の緩和といったメリットにもなる。
- さらに、2012年度には東京地下鉄副都心線と東急東横線・横浜高速鉄道みなとみらい線(渋谷駅~横浜駅~元町・中華街駅)の相互直通運転が開始される予定であり、湘南新宿ラインとは横浜駅~新宿駅~池袋駅間で直接競合するため、乗客の利用動向がさらに流動化する事も予想される。
[編集] 東北縦貫線の完成と南北直通運転
2011年度までに東海道本線東京駅~東北本線上野駅間の東北縦貫線が完成し、東海道本線と宇都宮線・高崎線(並びに常磐線)が直通運転を開始する予定である。これにより大宮方面~大船方面間を直通する中距離電車が東京駅経由と新宿駅経由の2種類となる事から、現在の湘南新宿ラインの運転系統にも大きな変化が予想される。
[編集] 相模鉄道との直通運転
相模鉄道は、西谷駅からJR東海道貨物線横浜羽沢駅まで連絡線を建設し、これを利用して相鉄線とJR線が相互直通運転を行うと発表した。東海道貨物線から湘南新宿ラインが通る品鶴線を経由し、二俣川・鶴ヶ峰方面と渋谷・新宿方面を結ぶものである。ただし、乗り入れは新宿駅までとなる予定である。朝最混雑時間帯に毎時4本、それ以外の時間に毎時2~3本運行する計画である。
[編集] 参考文献
- 鉄道ジャーナル社『鉄道ジャーナル』2005年1月号 No.459 特集・湘南新宿ラインVSアーバンネットワーク
- 交友社『鉄道ファン』2006年11月号 No.547 特集・湘南新宿ライン
- 交通新聞社『鉄道ダイヤ情報』2005年2・3月号 No.250・251 特集・湘南新宿ライン
- 鶴 通孝「JR東日本 巨人の挑戦 すべてのレールは新宿へ」
- 鉄道ジャーナル社『鉄道ジャーナル』2003年4月号 No.438 p26~p39
- 佐藤信之「鉄道・軌道プロジェクトの事例研究 34 山手貨物線の旅客化 湘南新宿ライン」
- 鉄道ジャーナル社『鉄道ジャーナル』2004年9月号 No.455 p98~p101
- 伏田忠広「JR東日本東京圏電車区間の設備改良 湘南新宿ラインをはじめとした東京圏輸送ネットワークの拡大について」
- 電気車研究会『鉄道ピクトリアル』2005年1月号 No.756 p78~p83