東急7200系電車
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7200系電車(7200けいでんしゃ)は、東京急行電鉄の通勤形電車。
なお、2000年(平成12年)8月4日で営業列車としては運転を終了し、2007年現在は事業用車のみが在籍している。
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[編集] 概要
- 18m級ステンレス車体(アルミ合金で製造された2両を除く)。
- 正面は「ダイヤモンドカット」と呼ばれる特徴的なデザイン。
- 抵抗制御方式、界磁調整器もしくは界磁制御器による回生ブレーキを使用している。
- 旧5000系と同じく1M方式で、M車とT車の組み合わせにより自在に経済的な編成が組める。起動加速度は2M1Tで2.8km/h/s。
- 車幅を地方鉄道車両定規に収め、当時の東急全線に入線可能だった。地上線専用として屋根・天井が高くなった車体断面は8000系へとつながる。
- 東急の鉄道線用車両で戦後初めて1段下降式窓を採用した(東急で戦後最初の1段下降式窓採用車両は軌道線用のデハ150形だった)。
- 目蒲線と池上線での活躍時は、両線で初の冷房車となった。
- 車両番号の下2桁が50番台の車両は東洋電機製造製の制御装置を搭載し、それ以外の車両は日立製作所製の制御装置を搭載する。なお、当初は東洋車についても0番台であったが、途中で変更・改番されており、併せて日立車にも改番が発生した。このようになったのは7000系が電装品による番台区分がされなかった事に対しての反省であると推定されるが、7000系が電装品による運用の違いがあったのに対し、7200系は共通運用であったため、あまり意味を成していない。
- 当初はデハ7200形(渋谷向き制御電動車)とクハ7500形(桜木町向き制御車)のみが製造されたが、後に中間電動車のデハ7300形とデハ7400形が製造された。なお、この2形式の相違は空気圧縮機の有無であったが、後年はデハ7400形にも搭載したことでその差がなくなった。
[編集] 運用
全盛期には田園都市線(現行の大井町線区間も含む)と東横線で使用された。そして1990年代以降は目蒲線(現・目黒線および東急多摩川線)と池上線で使用された。なお、東横線での急行運用時は7000系・6000系・8000系と同様に先頭車の前面に「急行」の種別札を装着して運用していた。
1972年(昭和47年)、目蒲線に7260編成(3両)が7200系唯一の新製冷房車として登場した。東横線などへの冷房車の投入などに比して、旧型車がほとんどの目蒲線・池上線との格差の発生に配慮したものといわれている。この編成は後々、両線での7200系さよなら運転に使用されることになる。
1987年(昭和62年)、目蒲線・池上線に7200系全車を集約させる際に、M車(電動車)が不足しTc車(制御車)が余剰となることから、クハ7500形6両が7600系に改造された。その後、断続的に改造が行われ、最終的には9両が7600系となる。
1988年(昭和63年)春から、7000系・7600系・7700系・8000系と共に先頭車の前面に赤帯が施された。
1989年(平成元年)3月18日からの目蒲線4両編成化に伴い、全編成が池上線に転属した。
1992年(平成4年)に1000系が池上線に配属されると10両が廃車となり、上田交通(現・上田電鉄)に譲渡されるとともに、20両が目蒲線に転属された。
1996年(平成8年)、7700系がワンマン運転対応改造の上で池上線に配属された際に、残りの12両も目蒲線に転属された。
2000年(平成12年)、8月6日の目蒲線の目黒線と東急多摩川線への分割に伴い、非ワンマン車両だった7200系はこれに先立ち、同月4日朝の運用をもって営業運転を終了した。その後行われたさよなら運転では赤帯を剥がした上で走行した。
[編集] アルミ試作車→事業用車
デハ7200-クハ7500は、アルミ車体の試作車両として製造された。これはメーカーであり東急グループである東急車輛製造のアルミ車製作技術習得の目的があったと言われている。当初は無塗装であったが、汚れが目立ちやすかったため後にメタリックグレーに塗装された。
当初は他の7200系編成とともに田園都市線、そして大井町線で運用されていたが、後にこどもの国線専用車となって1989年(平成元年)まで営業車として運用した。その後の田園都市線のATC化に伴い、先代の動力車デハ3499と架線検測車デヤ3001が同線を走行できなくなるのを受けて、デハ7200は両運転台・動力車化の改造を受けてデヤ7200に、クハ7500は両運転台・電動車(7600系への改造に伴い捻出されたデハ7402号の電装品を利用)・架線試験車化の改造を受けてデヤ7290とした。両車ともATC車上装置を搭載し、マスコンは他系列と共通のワンハンドル式としたが、ブレーキ方式は他系列の電気指令式とは異なり、新造時からの電磁直通式HSC-RをHRDに近い機構に改造して使用しているほか、サヤ7590はHRDとなっている。、また、HRDの他、9000系などのHRAブレーキの制御指令の読み替えをすることもできるが、新3000系などのHRDAには対応していない。
この2両と1998年(平成10年)に製造されたステンレス車体の軌道検測車・サヤ7590号の計3両が現在の東急の事業用車である。車体が黄・赤・青の派手な塗装であることから「派手車」という愛称もある。
奇数月に東急全線(横浜高速鉄道みなとみらい線・こどもの国線を含む。世田谷線は除く。)を3両で検測走行する他、不定期でサヤ7590を抜いた2両でATC車上装置を搭載しない池上線・東急多摩川線の車両の車輪転削や検査などでの回送牽引車として使用している。
界磁制御器を撤去しているため、回生ブレーキ機能を持たないほか、力行時の弱め界磁制御ができないため中速以上の加速性能も悪くなっている。
[編集] 他鉄道事業者への譲渡
- この他、伊豆急行の1960年代の夏季多客時輸送に3600・3670形や7000系などと同じく、同線に貸し出されたことがある。
[編集] 静岡鉄道1000系電車への波及
静岡鉄道の1000系電車は、本形式を基本として設計・製造されているが、本形式とは下記の相違点が見られる。
- 全長は7200系の18,000mmに対し、17,840mmと若干短い。
- 正面が非貫通構造である。
- 架線電圧600V用であり、7200系の回生ブレーキに対し発電ブレーキを採用している。
- 電気指令式ブレーキとワンハンドルマスコンを採用する。
- 非冷房車は、後に架線電圧の直流600Vを電源とする富士電機製直接駆動集中式冷房装置を搭載した。
- 新製冷房車は東急同様の東芝製集約分散式冷房装置を搭載するが、全長の違いからパンタグラフを折りたたんだ際の面積を確保できず、7200系の菱形から下枠交差式としている。
- 車体裾の突起(天秤梁)がない。
- 連結面窓や仕切り窓の支持方法はHゴムである。
- 座席袖仕切りや荷棚形状が違う。