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巨人の星の登場人物一覧 - Wikipedia

巨人の星の登場人物一覧

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

巨人の星の登場人物一覧(きょじんのほしのとうじょうじんぶついちらん)は、梶原一騎原作の漫画、または日本テレビ系列にて放映されていた『巨人の星』に登場する架空の人物の説明の一覧である。なお『新巨人の星』の登場人物についても本項で扱う。


注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。


  • キャラクター名の直下(あるいは横)の“声優:(名前)”は、アニメ版のキャストである。

目次

[編集] 星家の人々

  • 家長・一徹、長男・飛雄馬、長女・明子の3人家族。(妻・春江は他界)一徹の怨念じみた野球への思いに家族全員が巻き込まれる形で、この長きに渡る家族の物語は語られていく。

[編集] 星飛雄馬(ほし ひゅうま)

詳細は星飛雄馬を参照

声優:古谷徹

本作主人公。時に挫折しつつ、努力と根性で只ひたすらに“巨人の星”を目指す。

[編集] 星一徹(ほし いってつ)

詳細は星一徹を参照

声優:加藤精三

飛雄馬の父。飛雄馬に数々の試練を与えた“野球の鬼”。最終的には自身が敵と化し、飛雄馬の前に立ちはだかる。

[編集] 星明子(ほし あきこ)

詳細は星明子を参照

声優:白石冬美

心優しき飛雄馬の姉。母のいない星家唯一の女性でもあり、飛雄馬にとっては母親に限りなく近い存在。

[編集] ライバル

飛雄馬と長きに渡る戦いを繰り広げた強敵たちであり、同時に最大の親友でもある男たち。

[編集] 伴宙太(ばん ちゅうた)

詳細は伴宙太を参照

声優:八奈見乗児

飛雄馬とは青雲高校からの友人。義に篤く涙もろい。物語後半では中日に移籍。一徹と共に星の敵となる。

[編集] 花形満(はながた みつる)

詳細は花形満を参照

声優:井上真樹夫

伴自動車工業と並び称される自動車メーカー・花形モーターズほか数々の企業を統括する名門・花形財閥次期当主と目される美男子。物語の始まりから登場し、飛雄馬を“我が生涯のライバル”とみなし、挑み続ける。幼年期の英国留学時から高校球児、更にプロ野球選手となってからも決して切らなかった超ロングな前髪がトレードマーク。阪神を退団した後は前髪を切っている。

[編集] 左門豊作(さもん ほうさく)

詳細は左門豊作を参照

声優:兼本新吾

飛雄馬が高校時代より縁を持った、熊本出身の巨漢スラッガー。幼い妹弟達を育てる為に野球にかけるハングリーな精神が強さの秘訣。なぜか魔球の最初の餌食になる事が多い。流暢な熊本弁が特徴的。

[編集] アームストロング・オズマ

声優:小林清志

元アメリカ大リーグ・セントルイス・カージナルス選手。右投げ左打ち、右翼手(カージナルスでは中堅手)。アフリカ系。飛雄馬と自分を「野球ロボット」と呼び、同類嫌悪にも似たライバル心を抱く。

幼い頃にカージナルスのスタッフにスカウトされ、野球の英才教育を施される。飛雄馬と自己を重ね合せるのは、境遇が似ているせい。しかし、アナクロの極みとも言える特訓を受けた飛雄馬に対して、オズマは(当時の)最新スポーツ科学に則ったトレーニングの積み重ねでメジャーリーガーとなっており、プロ野球選手になった過程は正反対と言える。トレーニングの最終段階時、危篤に陥った母親を見捨てる形で人間の心を捨て去り、完全なる野球ロボットとして完成を見る。
飛雄馬との初対決は1968年オフに開催された日米野球大会にて。この際は大リーグボールに衝撃を受けるも、打席でバットを手放して落とすというトリッキーな方法で大リーグボール1号を一応破っている。バットを投げ捨てる策は内野フライに終わった。(限りなく反則に近い行為の為、正式な打倒とは見なされなかった)

オズマがこの魔球を完全に打破することになるのは、星一徹の熱望による招聘で中日に入団、「クレージー」な特訓の結果「見えないスイング」を完成させてからである。このスイングは日本人では恐らく成しえなかったと思われ、卓越した身体能力を有していたオズマだからこそ実現できた攻略法であろう。(同じように力任せで1号を攻略しようとした花形の上半身は一時ガタガタになった)この過程で当初は蔑みすら感じていた一徹を「ボス」と呼んで慕い(当時の中日の水原監督をどう呼んでいたかは不明)、飛雄馬にも同属嫌悪を超えて一種の友情を抱くなど、登場時よりも少し人間的な感情を見せる様になった。(あるいは一徹のスパルタな裏に潜む人間性にファーザーにも似た感情を抱いたのかもしれない)

2号(消える魔球)の登場後はスランプに陥り、攻略は果たせぬまま中日とカージナルスの契約上の都合により、このシーズン限りで帰米する。伴の移籍後、飛雄馬は打倒される直前の大リーグボール2号で大リーガーと対戦するが、オズマは登場せず、アメリカの打者たちも「消える魔球」について「予備知識ゼロ」のようだった。

その後の消息は原作では語られないが、アニメ版では以下の様な悲しい最期が描かれた。

帰国後カージナルズに復帰したオズマはメジャーリーグで三冠王を達成するほどの大活躍をする。だが、当時アメリカはベトナム戦争の時期にあった。オズマの三冠王のパーティー時に兵役カード(召集令状)が届く。黒人街の幼なじみや恋人は戦争に行くなと止めるが、「オレはアメリカ人だ。アメリカ人に与えられた義務は果たさなくてはならない」と聞き入れず従軍(ここで幼なじみや恋人はオズマを「黒人街の人々は、黒人の魂を売ってしまったあなたを許してはいない」と反論する)。戦地では常人離れの戦果を挙げるが仲間をかばい、爆弾の破片が背中に刺さり、名誉の負傷を負う。負傷兵として勲章も授与され、帰還を許されたオズマは日本経由(横田基地)で帰国し、軍服姿で飛雄馬と再会、祝いをする(ここで飛雄馬に前述の活躍を話す回想シーン)。その後、心残りであった大リーグボールとの対決(既に3号の時代になっていた)を遂に果たすが、突然傷が痛み出す。飛雄馬とは再勝負を約束し、再び無念を抱いて帰国の途についた。
帰国したオズマは英雄と持てはやされるが、そんな時期は長く続かなかった。戦場で負った背中の傷に爆弾の破片が残っており、背骨に達していた。戦場と球界のダブルヒーローを獲得する為、背中の激痛に耐えながらオズマは成績を上げる。しかし試合中、オズマのスイング姿勢が激痛で背中を向けたまま硬直状態になり、そこに投球が当たって、破片は背骨に食い込んでしまう。医師から摘出手術を行うと神経が切れて手術不可能と宣言された監督は、球団に報告。退院して喜ぶオズマに解雇通知が送られる。再起不能の事実を知らない(恋人も母親も黙っていた)オズマは解雇に納得いかず監督を尋ね、そこで事実を聞かされる。球団が再起を期待して車椅子を買ってくれたと思っていたが、じつは監督のポケットマネーだったと知り、全てを失った事を悟るのだった。そして最期は国からもらった勲章を握り締め「オレの得た栄冠はこれだけだ!」と叫び、さらに星飛雄馬の栄光を願いつつ、生まれ育った黒人街で非業の死を遂げるのだった。その悲報は星飛雄馬のマンションにも送られる。この時、手紙には星飛雄馬の事を『世界でただ1人の親友』と綴っている。

この話は一見荒唐無稽に思えるが、後年似た様な事例が”ベトナム帰還兵問題”と称されマスコミに取り上げられた事で注目され、ある程度事実に即している事が知れ渡った。(必要以上に悲惨な最期にしているのは、その後同じ様に悲惨な運命が待ち構えている飛雄馬の最期に重ねる為であろうか)

中日入団直後、星一徹がオズマの慢心を誡めるために数人の中日投手と対決させて討ち取らせるが、その1人が板東英二である事が密かに有名である。(板東は2006年10月8日のジャンクSPORTSで初めて知った)

ちなみに「アームストロング」は通常ファミリーネームであり、また近親者が「オズマ」と呼びかけているとこから見て、本来のフルネームは「オズマ・アームストロング」なのかもしれない。

[編集] その他のライバルたち

  • 上記4名程の強敵では無かったが、飛雄馬の人生の一時期において対峙した人々。
太刀川(たちかわ)声優:矢田耕司
甲子園の初戦で青雲高校と対戦した尾張高校(アニメでは三河高校=三河は尾張のとなり、いずれも現愛知県)のエース。魔球に近いドロップを誇る本格派投手で、アナウンサーから「速球の星対魔球の太刀川」と呼ばれる息詰る投手戦を繰り広げるが、当の太刀川は三振を奪いすぎてペース配分をあやまりスタミナ切れ。一方、飛雄馬は一徹の「へそ打法」にしごかれていたことから「打たせて取るピッチング」でスタミナを温存。最後は投手・太刀川と打者・飛雄馬の対決になるが、飛雄馬がドラッグバントでスクイズを敢行し、疲れていた太刀川は打球をうまくさばけず、結果は内野安打。奪った三振では星に勝りながらも最後にサヨナラ負けを喫した太刀川はマウンドで泣き崩れていた。
この試合、花形と左門がスタンドで観戦していたが、周囲のファンは試合後の花形、左門の詳細な勝因分析を聞くまでその存在に気づかなかった。ちなみに解説する花形の口調は高校球児とは程遠い横柄さであった。
負けたとはいえ、この太刀川もプロ入りして不思議はないが、星、伴、花形、左門がプロ入りした後、彼は一切登場しない。左門は飛雄馬に敗れながらも巨人と大洋ホエールズから誘われており、太刀川が評価されないのは不思議である。
高校野球漫画は虚構のチームと選手だけで何でも描けるが、プロ野球漫画になると重要なライバル以外は現実の球団と選手の話になる場合が多い。この作品でも舞台が高校野球からプロ球界になった段階で、「花形・左門」以外の対戦相手が作者によって忘れられた(または故意に除外された)可能性がある。
速水譲次(はやみ じょうじ)声優:羽佐間道夫
陸上競技メキシコオリンピック候補生だったが、「金メダルでは飯は喰えない」という理由で巨人入団テストを受けた。お忍びのつもりが、面が割れていた鈴木章介コーチに見破られる。口が達者で、ピッチャーの油断や動揺を誘い100m走10秒5の俊足で内野安打を狙う。飛雄馬との1対1の勝負が最終テストで、この場面でも飛雄馬の動揺を誘いバントヒットを決めたかに見えたが、とっさに投げた魔送球によってアウトとなった。結局その俊足を評価されて補欠合格ながらプロ入りを果たした。
飛雄馬の「バカ正直事件」のお陰で一軍に昇格し、主に代走で活躍する。飛雄馬とはことごとく手が合わず、台湾キャンプの際も「風吹飛小人投手」、「快足天狗走人」などと中国語でお互いを罵り合う。台湾キャンプで行われた障害物競走では柴田、高田、星と同じ組になるが、なんと大きく離されての最下位となり、川上監督からマイクを使って厳しくやりこめられるという屈辱を味わう。
一軍に上った飛雄馬が速球を左門に打たれて二軍落ちすると速水は喜び、影ながら左門に感謝している。しかし飛雄馬が大リーグボールで一軍復帰した後は速水も目立った活躍はほとんど無く、花形にネズミ呼ばわりされた挙句にトリックプレー(牽制球を返球したようにみせかけて上に放り投げるという一種の隠し球)でアウトになる等、散々なものだった。
その為、何とか花形と飛雄馬を陥れようと画策を試みる。前述のトリックプレーでオールスターに出られなくなった速水はオールスター観戦中、花形の異常に気づき試合後尾行する。鉄バットの異様な特訓を見て愕然とし、自分の空想としてこの特訓内容を川上監督に相談する。確実に大リーグボールを打ち込まれると言われた速見は、飛雄馬の二軍落ちを期待しあえて黙秘する。対阪神戦で花形は代打で起用され飛雄馬の大リーグボールを打ち込むが、無理な姿勢でのバッティングにより花形はホームベース直前で倒れこむ。速水の空想話が現実に起こり、全てを予測していた川上監督は、飛雄馬と花形を陥れる為にわざと花形の特訓を知らせなかった画策と分かり、速水を叱責する。苦しみながらホームベースにたどり着こうとする花形を見て、速見は事の重大さに震え上がる。
花形と飛雄馬のライバルとしての戦いのすさまじさ、互いの野球に掛ける闘志、そして担架で運ばれる花形に対し死力を尽くした同士のみが交わせる飛雄馬との友情、これらを見て速水は初めて自分の考え方の愚かさを悟り嗚咽する(速水が涙したのはこれが最初で最後)。花形の特訓を知りながら首脳陣に知らせなかったことが不信を買い、解雇も検討されたが、川上の情により二軍落ちにとどめられ、以後物語から姿を消した。
次に飛雄馬が日高美奈に惚れて二軍落ちして臨んだ紅白戦では速水はいない。それからは花形が「消える魔球の正体は魔送球だ」と言った場面で説明用に速水の絵が出ただけである。
大内山左右太郎(おおうちやま そうたろう)
直接のライバルではないが、二軍仲間ということで広義ではライバルといってよい人物。合宿所入りした飛雄馬の最初のルームメイト。最初は巨人二軍にあって浮きまくっていた飛雄馬に初めてやさしく接してくれた、救世主のような人物。体格には恵まれていてデビュー3連勝を飾るが、その為に同僚が解雇となり、そのショックで以降負け続ける。たちまち二軍に落とされ、1967年のシーズン限りで戦力外通告を受け、短いルームメイト関係は終わりを迎える。その後は中尾二軍監督の伝を頼って、野球チームのある町工場に就職、工員兼エースとなる。その後、草野球で活躍する様子を見てひそかにエールを送るが、傷だらけの野球を選んだ飛雄馬は「もう二度と来る事はないでしょう」と別れを告げる。なお、大内山のあと、速水が同じ部屋に越してくる。
(かじ)
飛雄馬の青雲高校時代の甲子園遠征先で出会ったライバル。雨天によりマネージャーが虹ヶ丘高校の体育館を借りたのだが、その学校の野球部は体育館を使わせてもらえなかった。練習できずに飛雄馬の投球を見ていた虹ヶ丘野球部キャプテン梶は、何とか勝負したいと飛雄馬を挑発。梶は自尊心が強く、自分は実力があり甲子園に行けなかったのは他の部員がダメだからとうぬぼれていた。台風も近づき、青雲高校野球部は練習を引き上げるが、飛雄馬はあえて梶からの勝負を受ける。しかし飛雄馬の投球はかすりもしない。初めてヒット級の打撃を放つが、これでは後は誰が俺を進めてくれるんだと気落ちする。ホームランでなくてはダメだとうぬぼれる梶に対し、生徒会長の一喝。帰ったはずの同僚達が戻ってきていてキャプテンの活躍を見ていた。さらに飛雄馬から『ヒットを放ったキャプテンに対してみんなが喜んでいる、後は任せてくださいという声が何故聞こえないんだ』と言われ、梶は初めてチームワークの大切さを理解する。ライバルというより向こうから勝手に勝負を挑んできて、逆に飛雄馬に助けられたという方が正しい。
黒松圭一(くろまつ けいいち)
伴とのトレードで、中日から来た投手。: 飛雄馬をライバル視し、大リーグボール二号の危機情報を新聞社に流す。カーブが十八番で紅白戦では飛雄馬と対等に投げ合う。しかし守備にエラーがあるとたちまちやる気をなくし、試合放棄をする悪い癖があった。今回のトレードもそれが原因で、中日から追い出されたようなもの。オープン戦で先発するが、九回表二死で味方のエラーにより再び悪い癖が出始める。立て続けにフォアーボールを3つも出して、押し出しの点数まで入れられ降板。飛雄馬がリリーフ。後方で悔しがる黒松に対して、金田が一喝。観客席まで連れて行かれて飛雄馬の活躍を見させられる。試合の結果は九回表は三振、その裏、ヒット二本が出てそのまま打席に立った飛雄馬がサヨナラヒットを飛ばし、黒松は敗戦投手にならずに済む。自分の愚かさに気づいた黒松は飛雄馬に詫びるのであった。

[編集] 『新・巨人の星』にのみ登場する人物

"ビッグ"・ビル・サンダー 声優:内海賢二
メジャーリーガーで、投手から打者に転向した経歴を持つ。昭和50年、広島が赤ヘル旋風を巻き起こし、巨人の史上初のセ・リーグ最下位が確定的となる中、伴の招きで来日する。サンダーは、外木場義郎松岡弘星野仙一江本孟紀平松政次ら(原作で名前が挙がったのは外木場義郎、星野仙一、阪神の古沢、ヤクルトの松岡の4名)、セ・リーグ各球団の主力投手の変化球の球筋を忠実に再現して打撃投手を務め、飛雄馬の現役復帰を手伝った(平松については下記も参照)。飛雄馬にバットの素振りを実演して見せるときは飛雄馬と同じ左打ち。投手を努めるときはもっぱら左で投げていたが、飛雄馬に右投げの投球フォームを教えるときは右投げの真似をしており、飛雄馬にグラブを渡す場面では反対側の手にもう1つのグラブを持っていたことがある。左右両投げができた可能性がある。
翌年、巨人に復帰した飛雄馬と対決するため、一徹の手引きで阪神にコーチとして入団し、進境著しい三塁手・掛布雅之を指導する。
サンダーの阪神入り計画は、当初、飛雄馬の復帰前に、一徹の提案で始まり、直接には花形満が動いた。このときはサンダーも、左腕で返球ができない飛雄馬より阪神の田淵幸一の方を評価し、阪神入りをOKしかけた。しかし、寸前で飛雄馬の「生来の右利き」に気づいたサンダーが個人コーチを継続することを決め、阪神入りは一度頓挫している。
サンダーは飛雄馬に「スクリュー・スピン・スライディング」を教え、飛雄馬が巨人に入団。
しかし、飛雄馬の打撃と走塁での活躍が予想以上に続き、伴宙太は本来の目的である「飛雄馬の右腕投手としての復帰」が遠のくことを恐れ、心を鬼にして「スクリュー・スピン・スライディング」を潰そうと決意。伴の会社が阪神の親会社と事業面で協力した時期も重なり、伴はサンダーを阪神に送り込んだ。伴は後にこの本心を銭湯で一徹に打ち明けている。
ロメオ南条(ロメオ なんじょう)声優:堀勝之祐
サンダーが帰国と引き換えに阪神に送り込んだ南米リーグ出身の選手。メキシコ系アメリカ人の父と日本人の母の間の混血児。「母から日本語を教わった」という設定で、オズマと違って「日本語の台詞」を話す理由がはっきりしている。荒々しい性格のせいか、試合中に飛雄馬に殴られ、その仕返しにピッチャー返しで飛雄馬を苦しめた。日本語に英語を混ぜるが、なぜかスペイン語を使う場面はなかった。
手品の種あかしに興味はない、と大リーグボール右1号の打倒には興味を示さないなど、ある種ビジネスに徹したライバルだった。飛雄馬と違い、「代打要員では給料(ペイ)に響かない」という理由でレギュラーにこだわったようだ。一方で鷹ノ羽圭子をめぐる鞘あても描かれたり、花形らの様な「野球人・飛雄馬」のでなく、「人間・飛雄馬」のライバルと呼べた人物である。飛雄馬は他のライバルたちにはけしてしなかったこと、球場での暴力を彼に対してふるい、野球人生で唯一の退場を経験する。
阪神が彼を獲得したことで花形は古巣への復帰は断念、ヤクルトに入団する。
丸目太(まるめ ふとし)声優:田中亮一
アニメ「新巨人の星II」のオリジナルキャラクター(原作では未登場)。レスリング部のワンマン部長だったが、右投手として復活した飛雄馬の球を捕球できなかったことから野球のキャッチャーに転向。エピソードで分かるとおり、雰囲気が不思議と(見た目も)伴に似通っており、現役を引退した伴の代役としては十分すぎる人物であった。飛雄馬の「蜃気楼ボール」を捕球できる唯一のキャッチャーとして、バッテリーを務めた。オープニングテーマのムービーで流れている巨人のキャッチャーはこの丸目であるが、遠くからの視点であったため「伴の復活か?」と思ったファンもいた模様。
鷹ノ羽圭子(たかのは けいこ)
アニメには登場せず 漫画版のみのキャラクター。復活後 押しも押されぬ大投手に成長した飛雄馬の前に突如現れた、第2の女性。日映女優というくらいで かつての日高美奈に 大人の風格と貫禄を付け足したような美人キャラクター。そういうわけで、やはりタレントだった橘ルミとはタイプが異なる。美奈の死後 もう女性は愛さぬと誓った飛雄馬であったが その決心も少しずつ揺らいでいく・・・・ところが その飛雄馬の前に 思わぬ恋のライバルが立ちはだかる。
新巨人の星が始まって以来 ずっと描かれ続けた男だけのドラマが、彼女の出現で違った味付けになる雲行きであったが これは1エピソードという位置づけで 元の野球ドラマに戻ってしまった。アニメにも描かれず ちょっと物足りなかった。
ちなみに彼女のキャラクターにはモデルがあったという。原作者の梶原氏が当時大ファンだった女優のTKさんが その人。養護施設を経営と言う点では宮城まり子さんもモデルの一部か?
河崎実によると、飛雄馬が鷹ノ羽圭子に惚れた展開になった当時、梶原一騎のもとに「飛雄馬は日高美奈を生涯愛すると誓ったはず」という読者からの抗議の手紙が殺到したらしい(『巨人の星の謎』)。
花形は明子との恋を一度は捨てながら、引退後に再接近して結婚しているので、飛雄馬も、現役を引退し、水木炎のコーチになった後で、人生の伴侶を見つける場合もありうるが、これを描くと一部ファンの怒りを買う可能性がある。
咲坂洋子(さきさか ようこ)声優:池田昌子
アニメ「新巨人の星II」のオリジナルキャラクター(原作では未登場)。原作における鷹ノ羽圭子に代わるキャラクター。ラジオの人気DJで、丸目も大ファンだったが、飛雄馬は全然知らなかった。彼女の番組のスポンサーが伴自動車工業だったと言う縁で、彼女が飛雄馬のインタビューに来るも、彼女の野球についての勉強不足に不快感を示し飛雄馬はインタビュー拒否。その後彼女が謝罪し再度インタビューの場を設定するも、リスナーの少年の自殺予告でまたもキャンセル。その際飛雄馬も少年探しに協力、無事見付ける。この時の彼女の態度に飛雄馬は好意を抱く。

[編集] 青雲高校進学以前

江見(えみ)
飛雄馬の小学校時代の同級生。裕福な家庭(造り酒屋とも言われている)の息子で、貧しさ故に修学旅行に行けない星の為に費用負担を得意げに申し出るが、これが飛雄馬の逆鱗にふれ鉄拳を食らう。飛雄馬はその後校長に呼び出されて叱責をされるが、具体的な処分は不明。
青島光彦(あおしまみつひこ)
飛雄馬の中学時代の同級生。優等生だが運動が苦手で、懸垂が一回も出来ず、鉄棒の得意な星にコンプレックスを抱く。英語の授業で指されて窮する飛雄馬に答えを耳打ちするが無視され、逆に女子生徒に「恩着せがましいことをするな!」と図星をつかれて語るに堕ちる。それを逆恨みして体育の授業の前に鉄棒に油を塗る。例によって模範演技に指名された飛雄馬は手を滑らせるが、手に砂をつけて再度美技を披露する。全て裏目に出た青島は逆上し、星の家庭のことを持ち出して罵詈讒謗を浴びせ、教師に叱られる。星は何を思ったか、鉄棒をやめて野球をやろうと提案。打席に立った青島のバットにボールを当てて内野安打を打たせる。青島はそれで自信をつけ、万能スポーツマンとなった。
秀才が授業中にすらすら答える一方で体育の時間に鉄棒で四苦八苦する場面は、空手漫画「虹を呼ぶ拳」に登場する。

[編集] 青雲高校関係者

伴大造(ばん だいぞう)声優:塩見竜介
宙太の父。伴自動車工業社長で青雲高校PTA会長。青雲高校ではかなり影響力を持っており、教員ではないが面接試験でも試験官を勤める。ライバル会社である花形モーターズの御曹司・花形満を打ち負かす事に闘志を燃やし、野球部にいちいち口を出すが、その殆どが有難迷惑なもの。特に東京都大会準決勝後の激励会での過食により、翌日の決勝戦では、星、伴を除くほぼ全部員が下痢によるスタミナ切れに悩まされた。準決勝までは星をべた褒めするが、甲子園決勝で花形の紅洋高校に青雲高校が敗れた事に怒り、野球部の解散を命じる。その夜に暴漢に襲われた。
伴宙太はこの暴漢を飛雄馬と疑い、結果、飛雄馬は退学となる。伴は真犯人の牧場春彦から真相を聞くが、学校は牧場を処分しておらず、飛雄馬の退学も取り消していない。真犯人の名が学校上層部の耳に入ったかどうか不明。作中、新聞では飛雄馬の退学は記事になったが闇討ち事件までは公表されていない。
牧場がプロの漫画家になったのち、『新・巨人の星』で伴宙太は会社の関係者が一人橫にいるのに、「牧場は俺の親父に闇討ちをした」と平気で話しており、この時期までには社内で真相が知られていたようだ。しかし、新旧全作を通じて、父・大造が牧場を批判する場面は全くない。
典型的なワンマン社長で十分に金持ちだが、多くのグループ企業を傘下におさめる花形財閥には財力では及ばないようだ。伴自動車工業は大造が裸一貫で一代で築き上げた会社のようである。
当初は息子、宙太の巨人入りに反対だったが、花形モーターズが花形満の名を冠した新車を出すのを知り、対抗意識で宙太の入団を許可。「一流選手になったら宙太の名をつけたダンプカーを出す」と言い、のちに「チュータストロング119」を出している。宙太の中日移籍には喜び、中日の客を招き入れている。
『新・巨人の星』では社名も伴重工業になり、大造は会長に就任。常務に就任しながら相変わらず野球に熱を入れる宙太に激怒し、親子喧嘩は相変わらず。
牧場春彦(まきば はるひこ)声優:野沢那智仲村秀生富山敬
常にスケッチブックを持ち歩いている漫画家志望の青雲高校生。体が弱く運動音痴な事から「ウンチ」と呼ばれた。裕福な家庭に生まれ育ったものの、父を交通事故で亡くしてからは生活に困窮し、立ち退きを迫られる。純粋な憤りから伴大造闇討ち事件を起こすが、牧場の境遇を察した飛雄馬の身代わり退学によって救われた。純粋に飛雄馬を応援しているが、甲子園では左門の身の上話をして飛雄馬の心を乱したり、巨人軍キャンプ見学中に会った左門に前年末のイースタン・リーグ東映戦のスコアを見た一徹が突然青ざめたことをばらすなど、人の良さが裏目に出て飛雄馬を苦しめる事も多い。高校卒業後も飛雄馬達と交流を続け、飛雄馬をモデルにした背番号61の投手が主人公の「球魂一路」で漫画家デビューを果たした。その担当記者にこともあろうに飛雄馬の尾行を依頼。担当記者も記者で、病院の診察室における医師と飛雄馬の会話を盗聴(録音)。結果として牧場は運命の中日戦の試合中に、飛雄馬が医師から投手生命の危機を宣告されたことを知る。
→アニメでは花形が会社の関係者に飛雄馬を尾行させ、医師と飛雄馬の会話を盗聴させており、最終的に花形、左門、一徹のライバル3人が飛雄馬の腕の秘密を知り、左腕投手としての飛雄馬の破滅を球場で見届けるという展開になった。なお最終回で牧場が出たのは、飛雄馬がパーフェクトを達成した直後、2秒間出ただけである。
原作の最終回で、牧場春彦は星一徹、星明子、花形満、伴宙太、そして左門の妹、弟たちと一緒に左門と京子の結婚式に参列しているが、アニメ『新・~』での左門による回想シーンでは上記参列者から牧場だけ除外されて描かれていた。
『新・~』では鷹ノ羽圭子を飛雄馬に引き合わせた。
天野部長兼監督(あまの ぶちょうけんかんとく)声優:明石一
めがねをかけたインテリ風の野球部長兼任監督。星の入学や伴親子に頭が上がらず、星監督就任の後は部長に専念するが、その処遇に不満を持ちことごとく対立。しかし紅白戦で実子・飛雄馬と相対する一徹の姿に自分の浅はかさを悟り、改心する。東京都大会準決勝の後に伴大造が開いた激励会では毅然とした態度を見せ、星一徹のまねをする振りをして「ばか者ども!勝ってかぶとの緒を締めよ!」と一喝、過食でスタミナがつくわけではないと調子に乗りかけた部員達をたしなめた。甲子園決勝の敗戦の責任を取って辞表を提出するが、受理されたかどうかは不明。
小宮(こみや)声優:原田一夫
飛雄馬入部前のエース。柔道部だった伴に対して反抗的だったが、伴の優れた運動神経により投球を打たれ自信を損失。紅白戦の後、エースナンバー「1」を飛雄馬に譲る。その泥だらけのユニフォームを指差し「泥にまみれた結果、みんなの心がひとつになった。」と一徹は叫んだ。甲子園では登板機会なかったが、地区予選では飛雄馬のデッドボール後、傷心した飛雄馬に代わりリリーフした。
しかしこの小宮の存在が 甲子園での飛雄馬を窮地に追い込む。
花形に「小宮など出て来てみろ。我が紅洋打線では軽く10点は取れるだろう」 と言わせたくらいで いわゆる平凡な高校球児に過ぎない。左門との対決で指に負傷した飛雄馬もこれをひたすら隠し通そうとしたが その理由は 「もし自分のケガがみんなに知れたら 代わりに小宮さんが出ることに。そうすると・・・小宮さんがとんでもない恥をかくことになる。」というものだった。しかしこれは小宮の実力を過小評価している節もある。甲子園大会前の紅洋との対抗試合で、初回に花形にスリーランを放たれているが、それ以後二度花形を敬遠しているとはいえ、七回裏までは点を許していない。この結果から花形さえ敬遠すれば決勝でも善戦した可能性がある。
このころの作品はいくつかのエピソードを駆使して 涙もろく他人の不幸をわが事のように同情してしまう 人間・飛雄馬を描こうとしている。
岡部(おかべ)声優:仲村秀生
小宮とのバッテリーを組んだキャッチャー。飛雄馬と伴がグランドで初対決した際、「やはりキャッチャーは正補手の俺でないと。とかく素人はこの構えが・・・」と 伴を見下しながらポジションに着く。しかし伴との真剣勝負に燃える飛雄馬は手加減などするはずもなく 飛雄馬の剛速球をたった1球も受けられず あえなくノックアウトに。しかしこのことが 飛雄馬に別の失望をもたらす。「正捕手の岡部さんも俺の球が取れない・・・父ちゃんはなんだって俺を青雲に入学させたんだ?」。小宮が飛雄馬にエースを譲った後はピンチヒッターに転向。都内予選の準決勝では頭脳プレイを見せる。それ以降は目立った活躍はない。巨人入りした飛雄馬に対してライバル意識を燃やし、復活した野球部を祝福しにいった飛雄馬を敵視する。
青木(あおき)声優:森直也
アニメにのみ登場する。青雲野球部にあって 唯一、飛雄馬を励まし、また励まされるという 友情ドラマの定番型キャラクター。人間性は良かったが野球能力はさほどでもなく チームでは目立たない存在だった。都内予選準決勝17回表でエラーをし決勝点を入れられてしまうが、その裏の回でエラーの名誉挽回の為、滑り込みを敢行。だが負傷して伴に背負われ退場。目立たないながらも根性を見せるシーンもあった。
船場(せんば)声優:井上弦太郎
アニメにのみ登場する。青雲野球部マネージャー。大阪弁を操るひょうきんキャラクター
川崎氏のもうひとつの代表作「いなかっぺ大将」の登場人物・西一(にしはじめ)にも通じる。船場は前の高校でエースであったが、練習のしすぎで甲子園で敗退し身体も壊してしまい野球のできない身体になってしまった。その失敗を繰り返さないようにとマネージャーに志願したのだった。最初、青雲野球部員はおせっかいだとして、船場に対して反抗的であった。だが船場の過去の経歴や経験談を聞き、初めて名コーチだと悟るのであった。「皆から信用されないマネージャーは資格がない」と出て行く振りをするが、実は練習用の硬球が足りない事を分かっていて、東京まで買出しに行ったのであった。
三島(みしま)声優:西川幾雄
アニメにのみ登場する。青雲高校新聞部部員。いつも特ダネをねらうカメラを持った正義感あふれる硬派青年として描かれている。エースを決める紅白戦で審判を任されるが、確実にアウトのホームスチールを飛雄馬が強引にセーフにしようとしたが、聞き入れなかった。原作での牧場春彦の野球部への関わりのエピソードの一部が、アニメではこの三島に変更されていた。当然牧場とは顔はまったく似ていなかった。

[編集] マドンナ

飛雄馬が愛し、もしくは愛された、容姿も心も美しい女性達。

鷹ノ羽圭子(たかのは けいこ)
#『新・巨人の星』にのみ登場する人物」参照。
咲坂洋子(さきさか ようこ)声優:池田昌子
#『新・巨人の星』にのみ登場する人物」参照。

[編集] 日高美奈

(ひだか みな)声優:松尾佳子

宮崎の山奥の沖診療所で働く。看護婦としての役割だが、基本的に看護婦の資格は無い。高校2年生のときに手の爪に生じた異変を、最初とげが刺さったものと勘違いしてとげ抜きでつついたが、実はそのとげは黒色肉腫(悪性黒色腫・メラノーマ)という悪性腫瘍であり、とげ抜きでつついたことで腫瘍細胞が全身に転移してしまった。その事実を看護婦(当時)たちの噂話で漏れ聞き、自分が余命いくばくもないことを知る。絶望感や死への恐怖にさいなまれていたときに、山村の沖診療所の沖所長と出会い、残り少ない命を恵まれない人々の為に燃やし尽くそうと決意して高校を中退する。

巨人ファンである足の不自由な少女を連れて宮崎キャンプを見学しに来たが、その際にキャッチボールを受け損なった飛雄馬のはじいたボールがその少女を直撃。常に死と直面している彼女にとって「よそに気を取られて、つい」という飛雄馬の弁解は許せず、平手打ちを見舞った。その少女を送って診療所に戻る道中、そして診療所で沖から聞いたエピソードなどから、飛雄馬は惚れてしまう。

やがて互いに惹かれあい恋人となるが、あるとき日南海岸で飛雄馬が「君はいつも二死満塁、ツースリーであるかのようだ」と何気なく発した言葉に、自らの体が癌という病に蝕まれ、残り少ない命だと告白する。飛雄馬は、「こんな素晴らしい人を愛したんだ! もう青春などいらん! 終われ!」と涙ながらに絶叫する。それが、元気な美奈と過ごした最後の日となったものと思われる。

星は美奈の側にいたいために故意に練習を怠けて二軍落ち。都城で二軍紅白戦に臨んだ飛雄馬は「この試合がなければ美奈さんの側にいてあげられるのに」という心境で「心ここにあらず」。最初は好投を続けた飛雄馬も観客の中に沖医師を発見すると美奈を心配して失投を重ね降板。沖医師より美奈危篤の報を告げられた飛雄馬は大勢の観客の前で「どうして、もっと早く知らせてくれなかったんですか」、「たとえ巨人をくびになろうと駆けつけたのに」と絶叫。

これに対し、沖医師が言うには、美奈は沖医師に「星さんを連れてきてほしいが、もし星さんがマウンドにいたら声をかけないでほしい」、「そこは星さんにとって美奈より大事な場所」と言ったらしい。飛雄馬は衝撃を受ける。

飛雄馬は試合中に二軍監督にも無断でグランドを抜け出し、沖医師とタクシーで診療所へ駆けつけるが、既に美奈は息絶えていた。

美奈の早過ぎるによってこの恋が成就する事は無かったが、限られた命を人の為に尽くしたいと最期まで懸命に生きたその人生は、その後の飛雄馬に多大な影響を与えた。飛雄馬と浜辺で寄り添いながらジャン・コクトーの詩(アニメでは山村暮鳥の「雲」)を口ずさむ美奈の姿、危篤となって苦しい息の下、星さんがマウンドにいたら絶対に声をかけないで欲しいと沖院長に懇願する心根は、あまりにもはかなく健気で美しい。

日高美奈は飛雄馬と同い年だが、上記のように飛雄馬を平手で殴ったり、コクトーの詩を知っていた点が飛雄馬の姉・明子と共通している。伴も「弟を叱る姉の如し」という感想を述べている。飛雄馬の初恋は姉に似た女性への感情だったかもしれない。

明子と美奈は梶原一騎にとって理想の女性らしいが、長嶋茂雄の妻・亜希子、次女・三奈と読みが同じなのは偶然であろう。

また、飛雄馬に「消える魔球」のヒントを与えた「マンション屋上でまりを突く少女」も美奈という名であった。その名を聞いた飛雄馬は、あふれる思いをぐっとこらえた。

[編集] 橘ルミ

(たちばな ルミ)声優:増山江威子

女性アイドルグループ「オーロラ三人娘」のメンバー。テレビ局主催の新春ボウリング大会で、飛雄馬・花形・左門と共演しメンバーと共に積極的にアプローチをかける。他のメンバーは花形にスポーツカーで送ってもらったものの、クールな花形に軽くかわされた。もう一人のメンバーは、左門に徒歩で送ってもらい焼き芋を「食わんですか?」と勧められたが断り、結局ルミと飛雄馬だけが付き合うようになった。

美奈と出会う前に付き合っており、飛雄馬が初めて付き合った女性である。

原作ではただのワガママ娘だったが、アニメではかなりの人徳を持っており、マスコミゴシップ記事として扱われるようになると、汚れ役としてルミの方から別れを告げた。

「オーロラ三人娘」のモデルは「三人娘」(ジャンケン娘)や「スパーク3人娘」と思われるが、これらは女性アイドルというより子役スターの一時的なユニットの色合いが強く、女性アイドルグループの草分け的存在の「キャンディーズ」(1973年9月デビュー)がデビュー前だった事を考えると、架空の存在とはいえ「オーロラ三人娘」は、画期的なグループだったと言える。ちなみに劇中で歌われる楽曲の原曲は、「ザ・ゴールデン・カップス」の「クールな恋」である。

[編集] 京子

(きょうこ)声優:武藤礼子、新・新Ⅱ:小山まみ(現・茉美)

新宿繁華街で名の知れた女愚連隊「竜巻グループ」の女番長で、金髪に長い睫毛が特徴の美人。通称「お京さん」(竜巻グループ内では「姉さん」→アニメ 「あねご」→原作 )。

  • 飛雄馬・左門との出会い
京子と竜巻グループは、花形に大リーグボール2号打倒の先を越された左門がヤケ酒代わりに成人映画を観ていたところへ誘いをかけて痴漢呼ばわりし、恐喝しようとした。偶然その場に居合わせた飛雄馬が左門の窮地を救ったが、その際に京子はプロ野球を八百長呼ばわりし、飛雄馬の逆鱗に触れて頬を張られた。これが効いたのか京子は飛雄馬にひとめぼれするが、同時に左門は京子にひとめぼれしてしまい、以後三角関係の様相を呈することとなった。
  • 小指の負傷
大リーグボール2号を花形に攻略され自棄になっていた飛雄馬は、自身の左手にナイフを突き立てようとした。これをかばった京子は、身代わりとなって怪我を負い小指が動かなくなってしまった(←アニメ版ストーリー: 原作では飛雄馬をかばった時のオトシマエでヤクザの組長から「指を詰めろ」と迫られ、組事務所に駆けつけた飛雄馬に助けられたが、その時のイザコザで小指の神経が切れたことになっている)。
  • 入院と恐喝
飛雄馬は京子を病院へ連れていったが、京子は新聞ダネになることを恐れ、入り口へ置き去りにするよう求めた。その意を汲んでいったんは逃げるように去った飛雄馬であったが、後日、拭いがたい責任感から病院を再訪、院長から京子の小指が動かなくなったと説明されショックを受ける。さらに京子たちが病室で乱痴気騒ぎをし、病院にゆすりをかけている状況を目の当たりにしてしまう。お互いに住む世界が違う、と思い知らされた飛雄馬は、治療費を全額補償するとともに、慰謝料としてマンションや預金その他全財産を自由に処分するように申し出、マンションの鍵を京子に渡して立ち去った。
  • 置き手紙
オールスターに出場した飛雄馬は、同じく出場していた左門が京子への恋慕に悶々とする様子を見るに忍びず、全て持ち去られ荒らされているであろう自室の惨状を左門に見せることで、京子に対する気持ちを晴らさせようと考えた。左門も、この苦しみから逃れられるのならばと、試合後飛雄馬に同道した。しかし、覚悟を決めてドアを開いた飛雄馬は驚いた。何の変化もなくきちんと片付いたままの自室、持ち去られた物は何ひとつない。ドアに鍵とともに挟まれていた置き手紙には「ワルぶることで星さんの前から消えようとしたが、失敗した」と京子の真情が綴られ、野球人としての再起を促す「オネガイ」で結ばれていた。この手紙に電撃的な衝撃を受けた飛雄馬は、再起への闘志を燃やすとともに、想いを諦めさせようとした左門には「女性に対する選球眼も確かなものだった」と、逆に背中を押すような言葉をかけるのであった。
  • リンゴ事件と大リーグボール3号
京子ら竜巻グループ一行はヤクザ組織の追及から逃れるため新幹線大阪へ向かい、オールスター出場のため偶然乗り合わせていた左門達に出会った。京子は「陣中見舞いに」とリンゴを左門に投げ渡そうとしたが、左門はなぜか取りそこなってしまう。小指の不自由な京子が下手投げしたためリンゴに微妙な回転が加わっていたことと、京子を前にした左門が極度に緊張し力んだことの相乗効果による偶然であったが、この様子を見ていた飛雄馬にとっては大リーグボール3号開発の大きなヒントになった。
  • 左門との結婚
小指の件を経て京子のもつ内面の美点を知った飛雄馬は、京子を熱愛する左門に「相手として相応しい」「男の愛を告白するよう」と、武士の諫死になぞらえ忠告した。原作中では直接描かれないが、左門はこれを受け京子にプロポーズ、受け入れた京子は左門と結婚することとなった。教会での結婚式には、左門の弟・妹たちとともに一徹・明子・伴・花形・牧場が出席。飛雄馬も窓の外から祝福していたが、竜巻グループの妹分たちがいたかどうかは不明である。
  • その後
『新・巨人の星』では、左門およびその弟妹たちとの幸福な暮らしぶりが描かれている。左門に「今でも星くんが好きか」と尋ねられた際には「あなたと同じくらい」と笑顔で返答、お互いに拘りなく思っている様子であった。また、竜巻グループ時代の乱暴なスケ番口調は影を潜めてお嬢様のような言葉遣いになり、金髪に近かった髪の毛も黒くなっていた。
  • 余談
京子を演じた声優の小山まみが飛雄馬役の声優古谷徹と結婚したことはアニメファンには有名で、作中で成就しなかった京子と飛雄馬の恋が現実社会では成就することとなった(ただしその後離婚している)。

[編集] その他

ター坊 声優:沢田和子
多摩川グラウンド近くに住む巨人ファンの少年。長嶋や王を打ち取った栄光を無視された飛雄馬の下心を鋭く見抜く。また自分の姉をさりげなく立てる所はなかなかにマセている。飛雄馬、伴と交流があり、大リーグボール1号の特訓の際には、脇を通る車から見つからないように声を枯らして「脇見運転は事故の元!」と叫んだ。常にハードトレーニングの飛雄馬を見つめ応援し、単なるファンというだけではなく、「ばか正直の飛雄馬」の時も、自分の正直さを悔やむ飛雄馬に対し、「自分のやったことを後悔しているのかい!馬鹿だい!」と飛雄馬の頬をピシャリとするなど、幼いながらも人間的善悪には厳しい面を持っている。「星飛雄馬が一番」との誇りを持ち、少年野球で打者や投手を「長嶋、金田」に見立てる中、ター坊だけは「星飛雄馬」と主張。他のメンバーから「そんな選手知らない」「まだ二軍じゃんか」と言われ、喧嘩になっても、その信念を曲げなかった。グローブを破いてしまったター坊が、飛雄馬に代わりのグローブを借りようとして木に登り、巨人軍宿舎に侵入。当時、飛雄馬と同室だった速水の額にボールをぶつけて壊してしまう。ター坊は逃げるが、破いたグローブを宿舎に忘れ、飛雄馬に悟られる。だがター坊の行為は、自分の速水に対する妬み(ばか正直の一件で速水に一軍行きの先を越された)が伝わってしまったと自負。最終的に川上監督に「ばか正直は尊い」と励まされ、飛雄馬はコンプレックスを解消する。ター坊のおかげで飛雄馬は、一軍行きのこだわりすぎを解消させ、自分の行動に自信を持つことが出来た。少年ファンというより、小さな親友といっても過言ではない。
番長・赤川 声優:肝付兼太
ブラックシャドウズ時代の花形の手下。飛雄馬より年上の6年生らしい(ただし、前後の設定から言えば赤川の方が花形より年上だったことになる)。この赤川こそが『巨人の星』が後世まで語り継がれるような大ヒット作品に変遷をとげるそのきっかけを作った名脇役である。また新約「巨人の星」花形では花形を紅洋高校に進学して野球部に誘うよう導く。
体操やその他の授業の時、飛雄馬が普段とまったくちがうことに疑問を抱き、飛雄馬を捕まえ「お前は貧乏人の子どもだから ろくなもの食べていないんだろう?」と馬鹿にする。これに反発した飛雄馬は父一徹から公表を禁じられている大リーグボール養成ギプスを赤川にはめさせて意気込む。「赤川さんよ。それで黒板に字を書いてみろ!鉄棒やってみろ!」
やがて このエピソードを花形が知ることとなり、彼は赤川を呼びつけ、ある作戦の指示をする。赤川はこの直後 夕食時の星家を訪れ「星君、君に付けられたあの変なギプスのことだけど・・・」と切り出す。飛雄馬が例のギプスを誰かに見せた、との疑惑から一徹が飛雄馬を問い正していた矢先のことである。
赤川のこの一言に激怒した一徹は、飛雄馬を激しく殴りつける。故意か、一徹の怒りの勢いのせいかはさだかでないが、この瞬間ちゃぶ台がひっくり返るシーンは「巨人の星」の最も象徴的なものの一つで、父一徹を語る上で不可欠な要素となっている。いまや「巨人の星」イコール「ちゃぶ台ひっくりかえしドラマ」とまで言われ、完全に一体化されている。しかしこの一体化は誤った認識であることはいまさら説明の必要もあるまい。
また、高校野球で成功した花形にブラックシャドウズを蔑ろにしたと邪推し喧嘩を売るが、飛雄馬に阻まれる。その仕返しをしようと、今度は飛雄馬を待ち伏せるが、花形の殺人ノックで逆襲される。
滝洋一
赤川と同じくブラックシャドウズ時代の花形の手下。但し、花形にとって彼は赤川とは違い、一番印象が残っていた。一時は不良から脱しようとするが抜け出せず、花形に助けられる。ジャズ歌手になると約束し、早い時期にデビューが決まる。連絡を受けた花形は地区予選の決勝前日だったが、デビューを祝福に「ジャズ喫茶オーキー」まで出かける。しかし「聖者が町にやってくる」を熱唱する滝に対し、客は野次を飛ばす。楽屋で落ち込む滝を慰めるが、滝はやけになり道路に飛び出し、花形に捻挫をさせてしまう。翌日、足を痛めながら決勝ホームランを打ち、滝に根性を見せる。なお滝は、32話の「一本足のホームラン」のみのキャラだが、星飛雄馬との交流や会話はない。
左門豊作の妹・弟たち
  • 妹(ちよ・みち)弟(二郎・まさひろ・三郎) 声優(84話以降順次確定、124話で全員確定)
生い立ちは兄豊作のページを参照されたし。飛雄馬との対面こそ描かれていなかったが、兄豊作と飛雄馬との関わりに重要な役割を果たす。 
  • 1つめは甲子園での対決前夜。牧場晴彦から左門兄弟の生い立ちを聞かされた飛雄馬はひどく動揺し、翌日の試合でその心理的圧力に押しつぶされてしまう・・・・・
  • 2つめは消える魔球誕生の時。兄豊作を助けようと兄に内緒で飛雄馬の動向をスパイし、図らずも魔球誕生の瞬間を見てしまう・・・・後でこれを知った兄豊作はそんな妹弟たちを激しく叱りつける。「我、渇しても盗泉の水は飲まぬ!」という名台詞が叫ばれたのはこの時である。
  • 3つめは、兄豊作が京子の事で頭が一杯になり、野球の成績が振るわず。兄弟たちは「草津の湯」(つまり恋の悩み)と疑う。ちよは洗濯物を片付けていた時にポケットからゴーゴーの店のマッチを見つける。ある夜深夜に出かける兄豊作に対し、ちよはマッチの店に探しに行く。店から既に帰ったあとであったが、酔っ払いに絡まれ逃げ出そうとし車にはねられそうになったちよを、京子が助ける。兄豊作はこの不思議なめぐり合わせに対し運命を感じている。左門が星飛雄馬に京子の美点を見出され、その後の結婚に結びついたのはいうまでもない。
左門の弟・妹たちのように両親を失った兄弟姉妹が力を合わせて生きる姿は、川崎のぼるの『てんとう虫の歌』に引き継がれる。『てんとう虫の歌』の長女・月美は少し幼い頃の星明子が左門ちよの立場に置かれたようなキャラクターである。
『新・巨人の星』に出てくる左門の弟・妹たちは、豊作の高校進学当時から10年たっているはずだがほとんど成長していない。一部の下馬評で飛雄馬の第2の恋人に妹の一人が浮上するのでは?・・・とかいう希望的憶測が流れたが、そのような展開にはならなかった。もし、左門の妹の1人と飛雄馬が結婚したら、飛雄馬、花形、左門が義兄弟になり、京子にとってはかつての片思いの相手だった飛雄馬が義理の弟になる。伴が鷹の羽圭子にアタックしたとすると1人だけ親戚でなくなる。それとも伴は左門のもう1人の妹と?そうなると4人兄弟になって余りに出来過ぎかもしれない。
沖竜太郎(おき りゅうたろう)声優:村瀬正彦
医師。宮崎県の山奥で診療所を営む。日高美奈の上司。現代の赤ひげのような人物で、診療報酬は受け取らず、その代わりに患者が持参する焼酎をこよなく愛する。美奈の危篤を知らせに都城まで駆けつけ、飛雄馬を伴って診療所に戻ったが、既に遅かった。
アニメではその一年後の宮崎キャンプで飛雄馬と再会、生前美奈が作ったというペナントを渡す役目を担った。
どういう訳か 漫画原作では痩せ型の、アニメではふっくら型の顔に描かれていた。
鬼怒川
新宿の暴力団「鬼怒川組」の組長。竜巻グループのバックボーン。一般社会よりも刑務所暮らしの方が長かった人物。目がすうっと細まると血煙が上がり命がひとつ消えるという逸話がある。アニメでは「鬼怒川」ではなく 誰かに差し障りがあったのかどうか判らないが 別の姓に変更されていた。
実況アナウンサー  声優:小林恭治、新・新Ⅱ:村山明
特に初回シリーズでは「星雲vs紅洋」の地元ラジオ放送から「飛雄馬vs一徹」の最後の試合までの、飛雄馬の出場する試合を 殆ど同じアナウンサー(顔は違っても声は同じ)が実況した。あるとき「自分は東都TVの田中です」と名乗ったことがある。花形が大リーグボール1号を予告ホームランした試合では、アナウンサーも声は同じながら途中で顔つきが一変。
野球アニメでは、1つの試合でテレビもラジオも同じアナウンサーですませるのが普通。もっとも、原作漫画の『巨人の星』で飛雄馬が3号を初めて投げたオールスター戦では、星のリリーフが告げられた時と飛雄馬が第1球を下手で投げた後では、アナウンサーと解説者が別になっている。後の方では解説者が2人になっており、1人は青田昇。実際はアナウンサーも解説者も同時に複数いて不思議はないので、ここだけ例外的に現実的だった。


花形満の父 声優:小林修
文字通り花形の父親で花形モータース社長。しかし作品では 一徹、伴大造(「青雲高校関係者」の欄参照)ほどにはドラマへの貢献度が多くない。名前すらもはっきりしない。息子への期待を込めて「ミツルハナガタ2000」という新車の製造・販売を画策する。
原作では、鉄球・鉄バット特訓で不振になった満に電話で注意を促した後、目立った出番がなく、「でた! 大リーグボール3号」の後半にある満と明子の会話シーンで父親の絵が出たくらいである。アニメでは、物語後半でも星飛雄馬がスランプに陥って恒例の「雲隠れ」をするたびに、花形社長が満に球界引退を勧めている。最後は「壊れたピッチングマシーン」のあたりまで父親が登場する。彼の妻(満の母)はアニメではすでに故人という設定になっている。
伴大造はこの花形モータースを最大のライバルと位置づけるが 花形社長は全く意に介していないようだ。伴大造のこの闘争心こそが 飛雄馬を青雲高校への入学を決定付け、一方で退学に追いやった、大きな力である。
伴大造と宙太の喧嘩は親子漫才のようで好評なのか、『新・巨人の星』でも引き継がれるが、真面目な花形の父親は『新・~』ではほとんど登場せず、一徹が明子の結婚式を回想する場面でそれらしき人物が描かれた程度である。

[編集] 実在野球選手・球界関係者

[編集] 読売ジャイアンツ

川上哲治(かわかみ てつはる)声優:中村正
星一徹とは戦前のチームメイトで同い年。戦地で故障した肩をカバーするため魔送球をあみだした彼に引退を勧告した。長嶋の入団会見の式場で彼に魔送球を投げつけた子供(飛雄馬)を追いかけ、一徹の現在の生活と彼が息子に野球の英才教育を施していることを知る。
 「一徹に本当にこの天才児を育てる資格があるかどうか」テストするため、飛雄馬が長屋の壁の穴から投げ出してきたボールを、弾丸ライナーで部屋の中へ打ち返してみせる。そんな業のできるのは(当時)日本中に川上哲治くらいのものと一徹からも評された。彼の方でも、思いがけぬ方向へ跳ね返ったボールに即座に反応した一徹の姿に、その資格ありと認め、「幻の史上最高の三塁手が今度こそ幻でない史上最高の投手を」育ててくれることを祈りながら、星一家の前には姿を見せずに立ち去った。
のち巨人監督として飛雄馬の指揮官となり、飛雄馬とライバルたちの数々の対決に立ち会った。不本意ながらスカウトせずにテストをして飛雄馬を入団させ、二軍で英才教育を施す。その真意を「鉢の木」にたとえて一徹に土下座する。飛雄馬に自身の永久欠番「16」を譲ってもいる。常勝巨人の監督として公正無私、冷徹に接しつつも、ここかしこに飛雄馬への慈愛を見せる。
飛雄馬を採った入団テストでは「補欠合格」として伴宙太と速水譲次を採用したが、試合でも「補欠」で通し、攻撃力としてレギュラーで採用する方向で両者を鍛えることはなかった。速水が飛雄馬より先に一軍入りした際、川上は二軍宿舎を訪れ、速水を「ポスト柴田」にする案を考えたらしい(あくまで速水自身の談)が、川上は多摩川グラウンドで飛雄馬を激励し、年明けに飛雄馬を台湾キャンプに誘って一軍に入れた(飛雄馬は開幕初登板で監督に背いてまた二軍にもどる)。巨人は選手層が厚く、打撃は王と長嶋、快足は柴田と高田がおり、伴も速水も2年前後で退団したのが響いた。
長嶋茂雄(ながしま しげお) 声優:朝戸鉄也(正明)、新・新Ⅱ:池水通洋
巨人入団会見の席上、飛雄馬から魔送球を投げつけられたが、偶然にも直前に川上から「幻の名三塁手」星一徹の逸話を聞いていたため、これを見破った。「巨人の星」のあまりに有名な第1話に登場した後、飛雄馬のプロ入り後はチームメイトとしてほぼ常時登場した。1970年のシーズンイン前の時点で、既に「大リーグボール2号をルールに則って打つ方法」を3つ(伴の行った地固め、花形の三塁走者の本塁直前での前受身、ヘルメット落とし)考えついていたが、事前にナインに教えるなどして防ぐことは一切せず、最後に花形に裏をかかれてグラブを叩きつけて悔しがる。
『新・巨人の星』では監督として右腕の星を指揮する立場にもなり背番号「3」を譲った。飛雄馬に対してコーチ就任要請という形の戦力外通告をする役回りもつとめた。ある意味『巨人の星』というストーリーは彼で始まり彼で終わった。
長嶋が飛雄馬の現役生活を終わらせたのは非情とも思われるが、一方で飛雄馬の右腕まで破壊されるのを未然に防いだ温情ある判断だともいえる。
不思議と実在の長嶋茂雄ほどエキセントリックな人物としては描かれていない。
『新・巨人の星』でのウォーリー与那嶺の評によると、直感で判断するように見える長嶋茂雄も、実は緻密なデータに基づいて考えているとのことで、そこは星一徹と意見が共通している。
長嶋茂雄の妻・亜希子夫人(1965年結婚)と次女・長嶋三奈1968年生まれ)は『巨人の星』に出てくる星明子、日高美奈(飛雄馬と出逢ったのは1969年になる)と同じ読みだが、偶然であろう。「明子」は星飛雄馬の名前の別の候補「星明(ほしあきら)」からである。長嶋三奈は『すすめ!!パイレーツ』では「美奈」になっている。
作中では「長(茂雄)」でなく「長(茂雄)」という表記になっている。これは60~70年代当時の慣用で、80年代後半の一般週刊誌でもそうだった。後に人名などで「異体字」や「旧字」を復活させるよう、日本の文字政策が変わったせいである。1995年の講談社漫画文庫では、右腕編『新・巨人の星』1巻の「泥濘の章」と「鳴動の章」の間で、1975年に伴宙太が長嶋邸を訪れる場面では表札が「長島茂雄」になっている。一方、アニメでは「大どんでん返しの正体 」の最後で伴が長嶋邸についた場面では表札の字が「長島茂雄」で、その次の「背番号90との再会」冒頭では「長嶋茂雄」になっている。また、左腕編『巨人の星』8巻の「あやうし!大リーグボール」で描かれた1969年の対中日戦では、川上監督が記入するメンバー表と球場のバックスクリーンでは「長嶋」になっている。長嶋三奈の場合も、「嶋」が常用漢字外なので「長島美奈」とも表記される。
王貞治(おう さだはる) 声優:石森達幸田中信夫、新・新Ⅱ:徳丸完
早稲田実業に在籍していた頃、少年時代の飛雄馬と草野球で対戦したが、グラウンドを離れたら自転車の荷台に載せて出前をしたりしているなど心温まるふれあいがあった。また飛雄馬の生涯初被弾となるホームランを放ったりもした。長嶋同様レギュラーキャラとなるのは飛雄馬の巨人入団後。大リーグボール1号の実験台にされたこともある。大リーグボール右1号の通称「蜃気楼の魔球」は彼の命名。
少年誌は漢字に全てフリガナを振る慣習があり、作中で青年宛てのてがみや新聞の見出しにもフリガナがあるなど不自然なのが常であるが、台湾キャンプで台湾人が王貞治に送った「王、おう」、「王先生」という声援の漢字には「おう」、「おうせんせい」と日本語の音読みが振られてあり、台湾人が北京語または台湾語を日本語読みで言ったことになる。「王先生」は北京語で Wáng xiān-shēng,台湾語で Ong sian-seng(または -sen,-sin)のようになる。また「先生」は現地で「~さん」の意味のはずだが、作中の王は「先生」に驚き、悪送球をしてしまった。巨人軍への歓迎を示す幕の漢字も日本の常用漢字の略字だった(「巨人の星→時代背景」参照)。
王貞治は日本生まれで、国籍は「中華民國」である。飛雄馬は「台湾が母国だけに王さんの人気は凄い」とコメントしている。
父に反抗し野球を嫌っていた(?)飛雄馬に 「野球ってすばらしいものなんだ!」と決意させた張本人は 父でも花形でもなく この王貞治であり、それが彼の相手チーム選手に対するさりげない心配りから来る凡プレー(飛雄馬が勝負を賭けた剛速球を、ブラックシャドウズの捕手では裁ききれず大怪我をするだろうと瞬時に判断し 彼をを守ろうと 勝負を捨て、バンドしてしまう)だったことは この1件から野球のすばらしさに心を開かれ 他人の痛みをわが事のように感じ涙する「人間・星飛雄馬」を描くにあたっての、重要なエッセンスであるにも関わらず「巨人の星」の名場面として語られることは殆どない。そういう意味では忘れられた名場面といえるだろう。
 これと似たようなケースがもうひとつある。巨人入団後の二軍で ぼろぼろに打ちのめされて雨の中に放り出された飛雄馬の横で 靴紐を締めながら わざと飛雄馬に聴こえるように野球の厳しさ、すばらしさを語り合う王貞治と長嶋茂雄の姿があった・・・これも王の優しさを表すピカイチのエピソードであるにも関わらず あまり話題にならなかった。
左門兄弟への思いやり、青雲退学事件、、不治の病と闘う美奈との悲恋、伴の中日移籍、左門と京子の縁結び・・・人間・星飛雄馬を描くエピソードは沢山あるが そういう観点では 王こそ飛雄馬の心の底に流れる「人間の優しさ」の師であったのだ。
星が復帰する際、王は元投手として制球力調整用の「ノー・ワインドアップ」を教えている。また、飛雄馬が投球フォームから左門に球種を読まれて打たれ、二軍落ちした際、星に助言したのも王である。ここで王が左門や花形より前に飛雄馬と対戦した打者であることが重要な鍵となっており、左門もそのことに気づいていた。
堀内恒夫(ほりうち つねお) 声優:矢田耕司
飛雄馬が巨人入団テストを受けた時、打撃投手として登板させられ対戦した。飛雄馬から三塁打を打たれる。投球後に帽子が横向きになる豪快な投球フォームが再現されているが、原作では先発を辞退した飛雄馬に代わってマウンドに立った堀内がオズマからの挑発に乗って「むきになって」勝負した印となっている。アニメ版『新・巨人の星』の第1話では、第1期長嶋G時代で、堀内が衣笠祥雄山本浩二を相手に苦戦する場面で始まる。
金田正一(かねだ まさいち) 声優:大宮悌二
その名がはじめて作中に出たのは、少年時代の飛雄馬が拾い読みした新聞の記事の中、巨人の黄金ルーキー長嶋をそのデビュー戦で4打席連続三振にきってとった快投を報じるものだった。当人の登場は飛雄馬のプロ入り後、その時には彼も巨人に移籍していた。台湾キャンプで飛雄馬に魔球開発を決意させるきっかけをつくった。「大リーグボール1号」の名前を最初にマスコミに発表したのは劇中の金田である。昭和44年末の引退会見は、飛雄馬に深い感銘をあたえた。引退後は解説者として飛雄馬の投球を見守り、甘辛まじったコメントをした。完全試合達成にも解説者として立ち会った。アニメの最終回での解説者は青田(青田昇か)。
現実の金田氏は ご自身が「巨人の星」でどう描かれていたかということを 後年になるまで知らなかったようだ。
懐かしのTV番組を見る、という趣旨のバラエティ番組にゲスト出演した彼は 『金田さんスペシャル』ということで 「巨人の星」でのご自身の登場シーンをいくつか見せられ「誰や! これ考えたのは。声優はなんちゅうやっちゃー!!(何という奴だ!)呼んで来い!!」と非常に興奮していた。怒っているようにも見えたが、喜んでいたようでもあった。
森昌彦(もり まさひこ)現在は森祇晶(もり まさあき)声優:仲村秀生
巨人の正捕手であり、飛雄馬も幾度となくバッテリーを組んだ。伴をのぞけば、もっとも多く大リーグボールを受けた捕手であろう。史実の彼は右投げ左打ちだが、「巨人の星」の原作漫画では右打席に入る姿が描かれている。大リークボール1号をオズマに打たれたときは、それをサインミスと誤解して激昂し、つかみかからんばかりの勢いで飛雄馬に詰め寄った。
『新・巨人の星』では解説者として登場。代打要員として現役復帰の飛雄馬のことを、その速球の手ごたえをよく知っているだけにやはりさびしい、と語っていた。
『巨人の星』最終回で、完全試合を達成し左腕を破壊した飛雄馬に巨人ナインが駆け寄ったとき、森の顔は伴宙太に似ていた。
柴田勲(しばた いさお)
巨人を代表する走塁王。攻撃陣では恐らくONに次ぐ出場回数であろう。台湾キャンプでのシートバッティング中、飛雄馬にバットにボールをぶつけられたことがあり、これがのちのち大リーグボール1号の誕生につながることにもなった。実は隠れた大リーグボールの最初の犠牲者なのである。ちなみに台中までの車中に配布された現地の新聞で「未婚女子、女学生的目標」と書かれ、車内は爆笑の渦となった。作中でも快足を生かした守備を見せ、飛雄馬を救っている。
高田繁(たかだ しげる)
巨人の外野手。背番号8。俊足巧打と甘いマスクで、女性ファンを中心に柴田と共にONに次ぐ人気選手であった。多摩川での自主トレ初日に照れながら自己紹介する様子を見て、飛雄馬は「こういう人には負けられん!」とライバル意識を燃やした。その後、台湾での障害物競走では、飛雄馬、柴田、速水と争い、二位に食い込んだ。
国松彰(くにまつ あきら)
巨人の外野手、後ヘッドコーチ。オープン戦で花形の大飛球を塀にしがみついて好捕。その後、ぴくぴくと痙攣するがその意味は不明。長嶋政権下でヘッドコーチ就任後はテスト生の飛雄馬にあえて辛く当たるが、牽制したときは「キャンプのときは監督の方針により心を鬼にして辛く当たったが今度は本気だ」という長い注釈付きで面罵するという、極めて珍しいスタイルのベースコーチを演じる。
白石勝巳(しらいし かつみ)
1968年度の巨人軍ヘッドコーチ。多摩川での自主トレ開始の日に星の粘りに着目し、台湾キャンプのメンバーに選抜する。台北から台中への列車の車内では退屈するナインに新聞を配った。その際になぜ「読めっ!」と気合の入った言い方をしたかは不明。
中尾碩志(なかお ひろし) 声優:村瀬正彦
巨人2軍監督、後に投手コーチ。2軍監督として飛雄馬を指導。というかあまり期待していなかったらしく、辛く当たっていた場面が多い。都城での2軍紅白戦でリリーフにたった飛雄馬が四球の後にストレートを投げ、痛打されたのを見て、思わず今では差別用語とされる単語を口走った。復刻版ではその部分は修正されている。
牧野茂(まきの しげる)
巨人の名参謀。漫画ではサングラスをかけている。大リーグボール披露直前に1軍のシートバッティングで登板した飛雄馬を「理想的バッティング投手」と表現し、一徹を激怒させた。1968年度の日本シリーズ前は厳しい門限を敷き、朝帰りした飛雄馬と伴に謹慎を命じた。
吉田孝司(よしだ たかし) 声優:たてかべ和也
2軍、1軍両方で飛雄馬とバッテリーを組んでいる。2軍戦ではサインを見落としてストライクを投げた飛雄馬を、差別用語も交えて激しく叱責した。その後に飛雄馬の投げたやはりサイン違いのボールを後逸。送球のタイミングはアウトだったが飛雄馬の落球で惜しくもセーフ。1軍では特に台詞なし。左門豊作が大リーグボール3号と対戦した試合では、捕手は吉田だったが、背番号は森の背番号だったり吉田の背番号だったりした。
山倉和博(やまくら かずひろ)
1977年の巨人のドラフト1位指名捕手。翌年の春季キャンプで大リーグボール右1号の初披露の場にキャッチャーとして立ち合わせた。星一徹から蜃気楼の魔球を捕球する術を授かり、飛雄馬専用捕手として起用されることになる。アニメ版「新II」ではオリジナルキャラクターの丸目太に役目を取られ、名前だけの登場だった。
沢村栄治(さわむら えいじ)声優:村瀬正彦
東京ジャイアンツ黎明期の速球投手。当然、飛雄馬との対面はない。原作では幾度か名前が登場しただけだったが、アニメ版のオリジナルストーリーでその生涯が描かれた。終戦記念特集として 放送された「沢村栄治物語」で、大リーグボール3号のため左腕を酷使し続ける飛雄馬を診察した医師が、たまたま生前の彼と面識があり、若くして戦火に散った悲劇の名投手と、栄光のため生き急ごうとする飛雄馬を重ね合わせたのだった。つま先が天をさすほど高々と脚をあげる投球フォームは、飛雄馬のモデルのひとつであるだろう。星一徹は、やはり「巨人の星」になれなかった一人に数えている。
嶋清一(しま せいいち) 声優:石原良
戦前の中等野球の速球投手。沢村同様 アニメ版のオリジナルストーリーでその生涯が描かれた。これまた沢村同様、終戦記念特集として放送されたもので、一徹の記憶物語として語られている。
戦地でめぐり合った一徹と清一はお互い野球を志すものとして、急速に親しくなり、以後の行動を共にし、事あるごとに、お互いの夢を語り合う。そんなある日、彼らの部隊は敵の攻撃に遭い、二人は命からがらとある洞穴に逃げ込む。長引く戦闘に情緒不安定になった清一は、そこに偶然飛んできたチョウチョに心を奪われる。一徹の制止も振り切って彼はチョウチョを追って洞穴の外へ飛び出してしまい、あえなく敵の銃弾に倒れる。死の間際、一徹に自分が大切に持っていたズック製のボールを渡し、息を引き取る。
その後、このズックのボールがきっかけで一徹は魔送球を開発した。
藤田元司(ふじた もとし)声優:宮田光
巨人軍投手コーチとして川上監督を支えた。青雲高校 対 紅洋高校の甲子園決勝戦を荒川博打撃コーチと視察した際、親指の爪を怪我していた為に不甲斐ないピッチングをした飛雄馬を観客は非難したが、藤田だけは「予想以上にすばらしかった。」と評価した。球界の紳士だが、宮崎キャンプでは寝坊をしていた星の枕を蹴飛ばすなどの荒っぽい面も見せている。(実際の藤田も「瞬間湯沸かし器」の異名を持つ癇癪持ちだった)
日高美奈の死の影響で飛雄馬の大リーグボール1号が自滅したとき、藤田コーチは大ショックを受けたと言っており、後に川上監督とともに1号の復活を見届け、非常に喜んでいた。
史実では2度巨人軍の監督に就任してリーグ優勝4回、日本シリーズ制覇2回というすばらしい結果を残したが、いずれも長嶋・王という二大スーパースター監督の解任・就任の橋渡し的存在として過小評価される悲運に見舞われた。
他の野球漫画では、東京ドームに時代になってから『ミラクルジャイアンツ童夢くん』で小学生を投手に採用し、『よみがえれ侍』では番場蛮の甥を対中日戦で起用している。
宮田征典(みやた ゆきのり)
日高美奈に惚れた飛雄馬が臨んだ宮崎キャンプで川上監督が都城に送り二軍で調整させる選手三名を発表。最初は金田正一、次がこの宮田。衝撃を受ける宮田の表情も描かれている。飛雄馬は「大投手」の金田と「八時半の男」と呼ばれた宮田が二軍落ちを言い渡される巨人の厳しさに絶句するが、その直後に星自身の名前が呼ばれ愕然。金田は心を入れ替え練習に身を入れ、川上監督も金田を見直すが、飛雄馬は余命少ない美奈の側にいるため、練習でもわざと怠けて二軍落ち。宮田がどうなったかは不明。
城之内邦雄(じょうのうち くにお)
オズマの「見えないスイング」の被害者第1号。シュートがかった豪速球でいどむが打たれ、見えない打球が観客の顔面を直撃する。その後も城之内は好調で、しばらく中日打線に二塁を踏ませず、解説の青田いわく「もともと強気な男ですからなジョーは」。しかし、2度目のオズマとの対決で場外を打たれ、さすがにここでKOされ、高橋一三と交替したようである。本塁打1本で挫折した左腕時代の星飛雄馬と比べれば、城之内のような実在の投手陣のほうが格段に打たれ強い。
与那嶺要(よなみね かなめ) 声優:鈴木泰明
劇中では「ウォーリー与那嶺」。巨人OBで、1970年から水原茂監督率いる中日ドラゴンズのヘッドコーチに就任したはずだが、『巨人の星』では星一徹コーチの2年目で出番はなかった。飛雄馬が球界を離れていた時期に水原茂のあとを継いで中日ドラゴンズの監督として巨人に立ちはだかり、『侍ジャイアンツ』では好敵手・大砲万作を使う名将だった。アニメ『新・巨人の星』では星のスライディングを破るため、中日の高木にアメリカ式ディフェンスを教えるが、それも通じなかった。1978年にコーチとして古巣・巨人に復帰。飛雄馬、一徹、伴のハワイでの特訓を目撃して長嶋茂雄に報告し、そこで亜希子夫人に「いつもビューティフルですね」とお世辞を言っていた。
馬場正平(ばば しょうへい)
#その他、実在の人物、ジャイアント馬場」の項目参照。
青田昇(あおた のぼる) 声優:矢田耕司
#他球団」の項目参照。
張本勲(はりもと いさお) 声優:まんがビデオ版:小形満
「他球団」の項目参照。
原辰徳(はら たつのり)
劇場公開用「巨人の星」のオープニングで、その生い立ちから厳しい父親の野球教育で成長し「巨人の若大将」(=現在の「巨人の星」か?)となるまでのエピソードが描かれた。原辰徳は『巨人の星』の第1話、飛雄馬がG入団当時の長嶋茂雄に魔送球を投げつけ、入団前年の王貞治と対戦した1958年に生まれた。
務台さん(グランドキーパー)声優:北川国彦
大リーグボール1号のころ、飛雄馬が練習中に、そばにあったトンボ(グランド整備具)を蹴飛ばした。このトンボにはある男のグランドに賭けた人生が込められていた。長年巨人軍のグランドを守り続けた務台氏であった・・・・彼の妹さんもまた、球場アナウンサーとしてグランドを守り続けた裏方さんだったのだ。
”鬼のグランドキーパー”のタイトルで放送されたアニメだけのオリジナル作品であるが、この務台さん兄・妹は実在されている人物である。

[編集] 参考

江川卓(えがわ すぐる)
1979年の巨人入団なので、プロ野球選手としては飛雄馬とは完全に入れ違いであり、原作での当人のの登場はなかった。作中の1978年の年始オフに、大リーグボール右1号の開発のためハワイにわたった飛雄馬の投球を見て、現地の人間が飛雄馬を江川卓と勘違いした。当時、江川は前年のクラウンライター・ライオンズからのドラフト指名を拒否して、渡米中であったためである。実話としては、江川の球速はアメリカでは打ち頃とされ、大リーグから誘われなかったのだが。
アニメ版『新・巨人の星2』では最終回に大リーグに移籍する飛雄馬に挨拶する形で登場する。
原作の続編『巨人のサムライ炎』では、水木炎が巨人軍の練習に乱入、入団直後の江川卓の球を打ち返し、長嶋が飛雄馬と水木を勝負させる展開になっている。
実際の江川でも、妄信的な巨人入団志望や、その内向的(と見える)性格、時に自己中心的ともとれる頑なな野球観のため、揶揄的な意味で星飛雄馬と比較して語られることが多かった。飛雄馬が宿命的な悲運に泣き続けたのと同様、彼もまた巨人入団にまつわる騒動でついた悪役のイメージを、現役を退くまで払拭しきれなかった。ここにもう一人、「巨人の星」になりたかった男がいる。

[編集] 他球団

藤本定義(ふじもと さだよし)声優:千葉耕市
阪神の監督。伊予ダヌキと異名を取る。ルーキーの花形に「星はお前のライバルとして力不足、器が小さい」と叱責。大リーグボール1号でスランプに陥り、ついにその特訓でずたずた状態の花形に代打を出す。代打を買って出た花形を一時は突き放すが、その両手を見て驚き、勝負どころで代打に指名。花形は見事に期待に応える。68年限りで勇退。後藤次男ヘッドコーチに後事を託す。
花形が入団した1967年の末、打撃練習で本塁打を連発する花形を見て藤本は当然、嬉しそうな顔で、それを見た記者が監督の心境を察して「哲(川上監督)よ、ことしはいただくぜ、それが本心だろう」と言っていた。しかし、年末という時期から言って「ことし」でなく「来年」と言うべきであった。花形も左門も「来年」つまり翌年の1968年に星と対戦するのをたのしみにしていた。
水原茂(みずはら しげる)声優:大木民夫
昭和44年から中日監督となり、星一徹をコーチとしてむかえる。一徹に全幅の信頼を置き、実質ヘッドコーチ的役割を与えていた。一徹考案の大リーグボール打倒法を早めに暴き出そうと、あえてワンサイドゲームの終盤にオズマの打席で飛雄馬を登板させてきた川上に対して、ペナントレースの全局を考えてそれを出し惜しみしようとするなど、勝負師ぶりが描かれた。結局一徹の意見を入れてオズマに大リーグボール1号を攻略させた結果、大リーグボール2号の登場を早めることにもなり、オズマが「消える魔球恐怖症」でスランプに陥ってしまったせいで監督として初めてのBクラスを経験する羽目にもなった。
藤村富美男(ふじむら ふみお)声優:内海賢二
花形以前に阪神で背番号「10」をつけていた大打者。東映二軍監督としてルーキー時代の飛雄馬を見て、その体格が小さいゆえ豪速球を投げても「球質が軽い」という弱点を最初に見破った。飛雄馬と一徹の台詞などで紹介された経歴では、藤村はかつて「物干し竿」と呼ばれた長いバットを使い、巨人の川上哲治と強打者の地位を競い合い、また、川上が変化球打ちを得意としていたのに対し、藤村は速球打ちにかけては日本一と呼ばれ、不世出の大投手・巨人の沢村栄治を打ち込んだ男とされていた。
別当薫(べっとう かおる)声優:真木恭介、新Ⅱ:北村弘一
大洋ホエールズの監督。ペナントレース開幕戦で、入団して間もない左門の「飛雄馬から必ずホームランを打つ!」という大胆な発言に対して、チャンスで左のアグリーを代打に送って飛雄馬をマウンドに引きずり出すと、すかさず左門を代打起用し、宣言通りのホームランを演出するという策士ぶりを見せつけた。左門豊作は新春ボーリング大会などでも、「別当監督さん、初めて星飛雄馬に隙ば見たとです」と、心で監督に語りかけていた。
西本幸雄(にしもと ゆきお)声優:矢田耕司
阪急ブレーブスの監督。1968年と翌1969年、パの優勝監督として巨人と日本シリーズを戦い、大リーグボールの前に苦杯をなめた。実際の西本も、もっとも多くV9巨人と対戦したパの優勝監督であり、8度のパ・リーグ優勝をしながらついに日本一にはなれなかった悲運の名将として知られる。
江夏豊(えなつ ゆたか)
阪神の投手。星が大リーグボール1号で左門を打ち取り、勝利投手になった夜、広島を完封する。翌々年、大リーグボール3号を擁する星と投げ合い、自ら安打を放つも敗戦投手となる。
田淵幸一(たぶち こういち) 声優 新:野島昭生
阪神の捕手。背番号22。花形が阪神に入った直後から名前が度々登場。
花形が飛雄馬の大リーグボール1号を「擬似オズマ打法」で打ってエラー出塁した試合では、田淵の打撃シーンが比較的、大きな絵で強調されていた。
食堂で金田と相席になり、尻つぼみのシーズンだったといわれて「金田さんからは何本か打ってますけど」と応酬、逆に「(自分・金田は引退寸前だから)自慢にならん」と一喝される。
飛雄馬と何度か対戦しているが、少なくとも2安打しており、うち1本は「俊足を飛ばした」ツーベース。魔球の合間の速球を叩くという現実的な攻撃で、その後三盗、更には本盗し、大リーグボール2号の土煙を防いだ。後年のイメージとは程遠いが、この時点の田淵はまだスリムであり、足も速かった。
どの場面でも丸顔に書かれているが、実際は面長。『新・巨人の星』では特にアニメ版で本塁打王に成長した姿が描かれ、かつてのチームメートだった花形や彼の紹介による“ビッグ”ビル・サンダーと会う場面も描かれた。右投手として復帰した飛雄馬との対戦では、ロメオ南条の勝手な本盗が飛雄馬に見抜かれて本塁アウトになり、打つチャンスを失った田淵はロメオに対して激怒していた。
ダリル・スペンサー
阪急の外国人選手。1968年の日本シリーズで飛雄馬と対戦。花形発案の大リーグボール1号打倒法を特訓して挑んだが、グリップヘッドにボールを命中させる「大リーグボール1号進化形」に敗れる。
長池徳二
阪急の主力打者。日本シリーズやオールスターで飛雄馬と対戦。日本シリーズでは大リーグボール1号に打ち取られるが、2年後のオールスターでは5番打者で登場、大リーグボール1号崩れのビーンボールを2球投げられ激怒、その後の直球をライトにはじき返すが、左門に捕球される。余談ながら、このライトフライでタッチアップした野村やアルトマンがホームをつくも、左門の好返球や花形の好判断でアウト。つまりトリプルプレーとなる。
ジョージ・アルトマン
ロッテの外国人選手。1970年のオールスターで2度対決。一度目は「暑イ暑イ」を連発しながら水をユニフォームのえりから身体にかけ、ずぶ濡れの状態で対戦。空振りしながら水を撒いて地面を濡らし、消えない魔球を2塁打。大阪での試合では野村に続いて対戦し、三振。その後の野村、張本との座談会では通訳抜きで率直な感想を語る。
漫画では丸顔でずんぐりだが、実際はスリムで面長。ニックネームは「足長おじさん」。
村山実(むらやま みのる)声優:井上弦太郎
1970年から阪神の監督(現役兼任)として花形を指揮した。花形が大リーグボール2号の原理をつきとめたのは、前年末に訪れた彼の自宅ででのことだった。はからずも、彼は花形に重要なヒントを与える発言をすることになる。
野村克也(のむら かつや) 声優:まんがビデオ版:平野正人
1970年の対中日のオープン戦で伴を打席に迎え、皆川に超スローボールを要求して三振に打ち取る。同年のオールスター戦で、全パのクリーンアップとして飛雄馬と対戦。第1戦では、消える魔球をヘルメット落とし打法で安打したが、続く第2戦で大リーグボール3号の実験台にされ三振、その犠牲者第1号となった。ちなみに、星飛雄馬と水原勇気、日本プロ野球史上に残る(架空の)ふたりの左下手投げの魔球投手の両方と対戦して、どちらからも三振を奪われた、ただ一人の選手でもある。
のち、1977年のオープン戦でロッテ捕手としてヤクルトで現役復帰した花形と対戦、高名な「ささやき戦術」をしかけたが軽くいなされていた。
大リーグボール3号を三振したときは、明らかに最後まで腹を立てていたが、後の座談会では「わしも最後の一球には気を静め、これはストライクと見極めたが…」などとコメントしている。
江藤慎一(えとう しんいち)
昭和30年代~40年代中盤にかけての中日の主砲。大リーグボール2号のデビューの際、2塁ランナーで出塁中であり、セリーグの5球団で最初にボールが消えたのを目撃することになる。その衝撃で牽制に刺されたが、牽制でアウトになったことなど忘れたように「ボールが消えた~」と叫びながらダッグアウトに戻った。
木俣達彦(きまた たつひこ)
中日の捕手。背番号23。伴がトレードで中日に入団した際はライバルとして意識したが、レギュラーは渡さなかった。星一徹が大リーグボール3号の打倒策として大根切り打法を考え出した際は、星がリリーフで登板した際に代打を出されたが、解説者が「いくら心境著しい伴とはいえ、木俣ほどの打者をなぜ代える必要があるのか」と疑問を呈した。
張本勲(はりもと いさお) 声優:まんがビデオ版:小形満
1970年のオールスター戦で飛雄馬と対戦、大リーグボール3号の実験台にされ、空振りの三振を喫している。その意趣返しでもないだろうが、1976年の巨人への移籍は、代打要員として現役復帰をはかる飛雄馬にとっては大きな障害ともなった。結果的には良き僚友となり、テスト生待遇でキャンプに参加している飛雄馬を気遣うなどしていた。
座談会では5年先輩の野村に床柱を勧めたが、敬語は使っていなかった。
太田幸司(おおた こうじ)声優:富山敬
1969年の夏の甲子園準優勝投手。決勝戦で延長18回引き分け再試合の死闘を一人で投げぬき、国民的人気を博して翌年近鉄入り。オープン戦での飛雄馬との投げあいは、「甲子園の星対巨人の星」と話題をさらった。飛雄馬は、花形と同じようにスターとなる星のもとに生まれた男、と評したが、史実の彼はプロ入り後は過剰人気につぶされた形で凡庸な成績に終わった。どちらかといえば、飛雄馬と同様悲壮が絵になるタイプだったかもしれない。飛雄馬にとっての「屈辱の"夢の球宴"」となった1970年後楽園球場のオールスターでは王貞治と対戦する場面もあったが、結果は不明。
平松政次(ひらまつ まさじ)
半ば開き直って大リーグボール3号を初安打した大洋の投手。しかし、その後は柴田、高田に打ち込まれて敗戦投手。3号をヒットした実在選手にはほかに阪神の江夏豊らがいる。後年、代打屋として現役復帰した飛雄馬と復帰後初打席で対戦、あわやホームランという大飛球を打たれるが、左門のファインプレーに救われた。
掛布雅之(かけふ まさゆき)声優:若本紀昭
阪神タイガースの三塁手。昭和51年、左の代打専門として巨人に復帰を果たした飛雄馬は、長打力のなさを補うため、スクリュー・スピン・スライディング(塁の手前で飛び上がり、体をきりもみ状に回転させながら、カバーに入った野手をスパイクする)という殺人スライディングを開発していた。これを打倒するため、コーチであるサンダーから特訓を受ける。掛布にスライディングを破られた飛雄馬は、代打要員の座を返上し、右投手への転向を目指すことになる。その飛雄馬の右投手としての初めての対戦打者となり、飛雄馬の豪速球の前に三振に倒れる。
実在の人物でありながら、作品中では花形、左門と並ぶ飛雄馬のライバルとして描かれていた。『新・~』の中盤で阪神・ロメオ南条の出現と花形のヤクルト入団が描かれる前は、花形に代わって左門と並ぶ飛雄馬のライバルとしての役割を果たしていた。当時の掛布人気の凄さがうかがえる。
上田利治(うえだ としはる)
1976年と翌77年、巨人と日本シリーズを戦った阪急ブレーブス監督。実際の上田はその前後の年もパを制し、4年連続優勝と阪急黄金期を築いていた。77年のシリーズでは、エース山田をたてた第1戦をあえて捨て試合にして、打撃陣の目を飛雄馬の速球になれさせるという戦略で、彼を攻略した。この結果、左腕時代同様、速球投手としての限界を感じた飛雄馬は大リーグボール右1号の開発に乗り出すことになる。
飛雄馬は不思議と日本シリーズでは阪急と縁があったが、左腕時代には西本阪急に2連勝、右腕時代には上田阪急に2連敗だった。
広岡達朗(ひろおか たつろう) 声優 新:筈見純、新Ⅱ:篠原大作
飛雄馬を追って現役復帰をはかった花形を迎え入れた、ヤクルトスワローズ監督。花形は、阪神時代には縁のなかったリーグ優勝と日本一を、彼の指揮下で初体験することになる(作中、明記はなし)。
福本豊(ふくもと ゆたか)
阪急ブレーブス黄金期を支えた俊足巧打の盗塁王。1976年のオールスター戦で、全パが1死3塁の好機を迎えたときの3塁走者だった。全セの監督古葉竹識はここで、左腕を壊してボールを投げられない飛雄馬を右翼手に入れる。打者門田博光はやすやすと右翼へフライを打ち上げ、飛雄馬が捕球するのを見た福本は、当然のようにタッチアップして本塁を狙ったが、右手にはめていたグラブをはずして右投げした飛雄馬の矢のような返球に、本塁上で刺された。不可解な飛雄馬の右翼手起用にブーイングを浴びせていた観衆は、あまりのことに黙り込んでしまった。これが飛雄馬の右投げ初披露である。それまで左の代打専門だった飛雄馬は、以後、右投手としての道を歩むことになる。
山田久志(やまだ ひさし)
福本と同様、阪急ブレーブス黄金期を支えた下手投げの名投手。1977年の日本シリーズ第1戦で飛雄馬と投げあい、飛雄馬の日本シリーズでは唯一のホームランを打たれ、敗戦投手となった。史実では阪急は巨人に対して○○●○○という勝敗で日本シリーズを制し、山田は2勝を挙げMVPに選ばれている。
青田昇(あおた のぼる) 声優:矢田耕司
解説者としてしばしば登場。花形が大リーグボール1号を予告ホームランした試合でも解説を務め、真剣勝負に涙した。アニメ版ではこの試合の解説はテレビで観ていた星一徹が行っており、代わりに最終回の解説は原作で金田正一であるのに対しアニメでは青田。だが、原作とは相当違った顔に描かれている。
星野仙一板東英二小川健太郎
TVアニメに登場。一徹の策で日本でプレーすることになった反抗的なアームストロング・オズマに対し 一徹は中日の現役3投手と勝負させる。結果はオズマの完敗・・・という一話完結のエピソード編として実在の投手を起用して、放送された。アニメでは左門豊作は「左門メモ」で阪神・中日戦での星野仙一について「サイン交換のときに球種の癖が出る」とメモしており、原作で"ビッグ"ビル・サンダーがメモをもとに再現した球種の中に「星野仙(一)のナックル」があった。

[編集] その他、実在の人物

大橋巨泉(おおはし きょせん)
司会者、タレント、後の参議院議員。飛雄馬、花形、左門とオーロラ三人娘の出演するボウリング大会を司会。「ウシシシ」という特徴のある笑い声も再現されている。
石坂浩二(いしざか こうじ)
スター千一夜」の司会者。飛雄馬、藤圭子、沢村忠の対談を司会。飛雄馬の座を白けさせる発言に冷や汗をかく。実社会でも縁が深い大橋巨泉と石坂浩二がそろって『巨人の星』に出演したことになる。
ジャイアント馬場(じゃいあんと ばば)
プロレスラー。当時の日本プロレスのエース。先輩の大内山が飛雄馬に「体格だけでは通用しない。」と説いたときの引き合いに出された。読者にわかりやすいようにリングで活躍する馬場の絵が出ただけで、キャラクターとしての登場ではなかった。言うまでもなく、馬場は梶原作品ではプロレス漫画の方で常連になっている。
藤圭子(ふじ けいこ)
演歌歌手。1970年にブレークした。宇多田ヒカルの実母。元夫は前川清 。「青春のぬけがら」の時期の飛雄馬がマンションの自室のテレビをつけると、某局で藤圭子が「夢は夜ひらく」を歌っていた。大リーグボール3号登場後、藤圭子は『演歌の星』としてスター千一夜で飛雄馬と対談する。「××の星」という日本語の発祥はこの「巨人の星」だと言われている。『演歌の星』藤圭子、というキャッチコピーはこの象徴となった。
沢村忠(さわむら ただし)
キックボクサー。得意技は真空飛び膝蹴り。『キックの星』としてスター千一夜で飛雄馬と対談する。歌手としても有名。梶原作品では『キックの鬼』の主役。
また、名前だけ出た実在の有名人として、大リーグボール3号のときに『週刊芸能』が「熱烈な星ファンである吉沢京子と星飛雄馬の対談」を依頼、某マスコミ(作中に名前の出た『毎朝新聞』か)が「奇術師・引田天功 (初代)氏による星投手へのインタビュー」を提案しているが、劇中では飛雄馬と吉沢京子引田天功の対談は実現していない。吉沢京子は当時、同じく梶原一騎原作の『柔道一直線』に出演中だった。

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