緒方耕一
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緒方 耕一(おがた こういち、1968年9月2日- )は、熊本県熊本市出身のプロ野球選手。ポジションは外野および二塁手で右投げ両打ち。1987年から1998年まで読売ジャイアンツに選手として所属した。現役時代は甘いマスクで女性に人気があり、引退後も根強い人気を誇った。愛称は「熊本のプリンス」。
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[編集] 来歴・人物
熊本県立熊本工業高等学校時代の2年先輩である井上真二とは、「熊工コンビ」と呼ばれるほど、メディアから大きく取り上げられ、とりわけ若い女性から人気があった。熊本工高では1番・遊撃手を務め、3年生の春夏に連続で甲子園に出場、チームメイトに永野吉成(ロッテ)がいた。1987年にドラフト6位で巨人に入団し、スイッチヒッターに転向した。
1988年にイースタン・リーグのタイ記録となる1試合6盗塁を記録し盗塁王となり、将来の正遊撃手として期待される。1989年には後の正遊撃手となる川相昌弘とのポジション争いには敗れるが、内外野を兼任し1番打者を死守、プロ入り初ホームランをランニングホームランで飾り、打席数は少ないながらこの年、打率3割8厘、13盗塁を記録した。
1990年には33盗塁で初の盗塁王を獲得した。1990年の日本シリーズで、牽制球の帰塁の際にアキレス腱を故障し、以後盗塁が激減した。
1993年に復活し24盗塁で2度目の盗塁王となった。24盗塁という数字は2リーグ制開始以降、盗塁王としては最も少ない盗塁数である。1994年の日本シリーズでは満塁本塁打を放った(この年はシーズンでの本塁打数は0だったので、この満塁本塁打がこの年の初本塁打となった)。しかしその後もアキレス腱や腰痛など故障により満足なプレーができず1998年に30歳の若さで現役を引退した。
その後は「マイクを持った盗塁王」のキャッチコピーでTBSラジオのベンチレポート解説を務めた後、2002年に就任した原辰徳監督に請われ巨人の二軍コーチを歴任、鈴木尚広などに自己のノウハウを伝授した。2006年から巨人二軍外野守備・走塁コーチとして復帰した。
なお、緒方を最後に、巨人から盗塁王は生まれていない(2006年現在)。
[編集] エピソード
- 広島東洋カープの緒方孝市とは名前の読み、年齢(ともに1968年生まれ)、出身地(ともに九州)、さらには俊足(ともに盗塁王獲得)、内外野両方守れるという特徴まで同じことからよく混同されているが、緒方孝市は広島の高卒選手としては比較的遅咲きで、長打力を比較的備えた右バッターであり、タイプが異なる。
- 藤田元司には特に可愛がられていた。緒方が故障でまともに出場できない状況であったがあと少しで規定打席に到達するというシーズンがあった。藤田監督はビジターの試合で1番・遊撃手で先発させ、1回の表に打席を完了すると回の裏から他の選手を守備に就かせて打席数を稼ぎついに規定打席に達したのである。
- 選手生活の晩年は入団前からの持病であった腰痛でファームの試合の移動もままならない状態だった。現役最後のシーズンは公式戦の出場が1試合もなかった。
- 緒方が引退を決意した時に球団から公式戦での引退試合を行うという話があった。だが、2度の盗塁王に輝き1989年、1994年と2度巨人の日本一に大きく貢献した功労者でありながら緒方は「他の選手に迷惑がかかるから」という理由で引退試合を断っている。
- 緒方は以前から、現役を引退したらファームのコーチになることを希望していた(2002年に2軍コーチ就任して念願がかなう)。
- 自身を一軍に導いた藤田を人生の師と仰いでおり、コーチとしては藤田の監督時代の背番号でもある73番を背負っている。
[編集] 通算成績
- 685試合 486安打 17本塁打 130打点 268三振 168四死球 96盗塁 打率.263
[編集] 年度別打撃成績
年度 | チーム | 背番 号 |
試合 | 打数 | 得点 | 安打 | 二塁 打 |
三塁 打 |
本塁 打 |
塁打 | 打点 | 盗塁 | 盗塁 刺 |
犠打 | 犠飛 | 四死 球 |
三振 | 併殺 打 |
打率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1987年 | 巨人 | 44 | 1軍出場なし | ||||||||||||||||
1988年 | |||||||||||||||||||
1989年 | 76 | 221 | 31 | 68 | 8 | 2 | 3 | 89 | 22 | 13 | 6 | 12 | 1 | 13 | 30 | 1 | .308 | ||
1990年 | 119 | 401 | 70 | 104 | 20 | 6 | 3 | 145 | 27 | 33 | 12 | 12 | 2 | 32 | 72 | 2 | .259 | ||
1991年 | 80 | 242 | 33 | 67 | 10 | 5 | 2 | 93 | 22 | 4 | 6 | 3 | 0 | 24 | 39 | 0 | .277 | ||
1992年 | 98 | 357 | 47 | 102 | 16 | 1 | 6 | 138 | 30 | 7 | 9 | 6 | 0 | 48 | 42 | 7 | .286 | ||
1993年 | 108 | 338 | 40 | 79 | 11 | 2 | 2 | 100 | 17 | 24 | 5 | 8 | 1 | 25 | 44 | 3 | .234 | ||
1994年 | 113 | 174 | 22 | 40 | 4 | 4 | 0 | 52 | 7 | 9 | 2 | 5 | 2 | 14 | 26 | 0 | .230 | ||
1995年 | 17 | 32 | 6 | 8 | 1 | 0 | 0 | 9 | 1 | 1 | 0 | 0 | 0 | 3 | 5 | 2 | .250 | ||
1996年 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | .000 | ||
1997年 | 73 | 86 | 15 | 18 | 3 | 0 | 1 | 24 | 4 | 5 | 1 | 3 | 0 | 9 | 10 | 0 | .208 | ||
1998年 | 1軍出場なし | ||||||||||||||||||
通算 | 685 | 1851 | 265 | 486 | 73 | 20 | 17 | 650 | 130 | 96 | 41 | 49 | 6 | 168 | 268 | 15 | .263 |
太字はリーグ最高
[編集] 獲得タイトル・記録
- 盗塁王 2回(1990年、1993年)
[編集] 背番号
- 44(1987年~1998年)
- 73(2002年~2003年、2006年~)
[編集] 関連項目
00 川中基嗣 | 0 木村拓也 | 2 小笠原道大 | 5 ルイス・ゴンザレス | 6 小坂誠 | 7 二岡智宏 | 8 谷佳知 | 9 清水隆行 | 10 阿部慎之助 | 11 久保裕也 | 12 鈴木尚広 | 13 林昌範 | 15 辻内崇伸 | 17 姜建銘 | 19 上原浩治 | 20 豊田清 | 21 高橋尚成 | 22 福田聡志 | 23 脇谷亮太 | 24 高橋由伸 | 25 李承燁 | 26 内海哲也 | 27 門倉健 | 28 金刃憲人 | 29 前田幸長 | 30 西村健太朗 | 31 小関竜也 | 32 円谷英俊 | 33 野間口貴彦 | 35 亀井義行 | 36 岩舘学 | 37 斉藤宜之 | 38 上野貴久 | 39 吉武真太郎 | 40 村田善則 | 41 木佐貫洋 | 42 ジェレミー・パウエル | 43 真田裕貴 | 44 大道典嘉 | 45 小田嶋正邦 | 46 野口茂樹 | 47 松本哲也 | 48 矢野謙次 | 49 デーモン・ホリンズ | 50 吉川元浩 | 51 古城茂幸 | 52 十川孝富 | 53 實松一成 | 54 三浦貴 | 56 加藤健 | 57 三木均 | 58 星孝典 | 59 深沢和帆 | 60 深田拓也 | 61 坂本勇人 | 62 越智大祐 | 63 会田有志 | 64 酒井順也 | 65 梅田浩 | 66 田中大二郎 | 67 加登脇卓真 | 68 栂野雅史 | 69 寺内崇幸 | 90 深町亮介 | 92 木村正太 | 93 東野峻 | 96 伊集院峰弘 | 100(育成選手) 佐藤弘祐 | 101(育成選手) 山本光将 | 102(育成選手) 山口鉄也 | 103(育成選手) 芦沢明 | 104(育成選手) 下山学 | 106(育成選手) 林羿豪 | 107(育成選手) 隠善智也 | 108(育成選手) 作田啓一 | 109(育成選手) 鈴木誠 | 110(育成選手) 大抜亮祐 | 129(育成選手) ウィルフィン・オビスポ
88 監督 原辰徳 | 87 尾花高夫 | 78 伊原春樹 | 85 斎藤雅樹 | 81 篠塚和典 | 84 内田順三 | 71 伊勢孝夫 | 89 村田真一 | 83 西岡良洋 | 76 白坂契 | 82 木村龍治 | 77 二軍監督 吉村禎章 | 70 小谷正勝 | 72 香田勲男 | 98 玉木重雄 | 75 岡崎郁 | 86 岸川勝也 | 79 福王昭仁 | 73 緒方耕一 | 74 西山秀二 | 94 木樽正明 | 95 宮本英治 | 97 伊藤博 | 99 内藤重人 | 111 藤田浩雅 | 130 金杞泰 |