行列のできる法律相談所
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行列のできる法律相談所(ぎょうれつのできるほうりつそうだんじょ、または、~ほうりつそうだんしょ)は、2002年4月から日本テレビ系列で毎週日曜日の21:00~21:54(JST)に放送されている、法律をテーマにした人気バラエティ番組である。略称は、「行列」または「法律相談所」。司会は、島田紳助と松本志のぶアナウンサー。キャッチコピーは『絶対に訴えてやる!』。レギュラー化される前は『守ってあげたい』。再現ドラマで日常のトラブルを提示し、ここで損害賠償を請求できるのか? などといった課題についてゲストや弁護士陣がトークを繰り広げる。最高視聴率は、2005年8月28日放送の30.8%。なお日本テレビ系の局のない沖縄県では沖縄テレビで午前9:00-55に原則7日遅れで放送されているが、日曜朝にも関わらず常時20%を超える視聴率をたたき出している。 地上デジタル放送は16:9のハイビジョン放送。
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[編集] 概要
[編集] 特筆すべき特徴
弁護士は4人がレギュラー出演しているが、彼らの判断が一致することは稀である。同じ課題に対しても「これは離婚できます」「離婚はできません」などと正反対の判断が下されることが珍しくなく、たとえ結論が一致していたとしても、根拠が全く違うことも多い。
これまでの法律バラエティ番組は一人の弁護士が断定的に判断を示すというスタイルのものばかりで、「法律は明確な結論を出すものである」などという法律の実態とはかけ離れたイメージを視聴者に与えてしまいがちであるという問題があった(現実では裁判で毎度争われ、控訴審で判決がひっくり返ったりするように、法律の解釈や適用次第で大きく差異が出ることは全く珍しくない)。それらに対し、この番組の「複数の弁護士がそれぞれの見地と解釈から判断を示し、その判断がしばしば食い違うところを見せる」という構成は、法律の限界やむずかしさを提示する新しいスタイルであるといえよう。
ただし、バラエティ番組という性格上の制約から、法律解釈についてあまり突っ込んだ議論がなされるわけではない。個々の弁護士の(こうあるべきという)意見的解釈と、判例等に基づく法曹界の一般的解釈が、区別されずにトークされることも多い。また、バラエティ番組の性格上、個々の弁護士が次第にウケ狙いに走る傾向を見せていることなどから、法律解釈のバリエーションや法律論争の真髄からは離れ、当初鮮やかであったこの特異性は薄れつつあり、徐々に普通のトーク番組に移行して行っている、という指摘も少なくない。特に、これらの傾向は橋下徹、丸山和也のタレント化によるものが大きい。
番組の性格の変化などから、教養番組として見ようとするには難しいといえる。番組に「法律」という名前がついているが、実際には島田紳助とゲストのトークにほとんどの時間が割かれている。ただ、バラエティとしての評価は高く、「法律をネタ(枕)にしたトーク番組」と解釈するのが妥当で、法律番組及び教養番組としての範疇には該当しないかもしれない。紳助自身も番組のトークの中で「これは法律番組ではありません」と発言し、法律番組である事を否定している。 なお、ホームページにある「いいことをしようプロジェクト」ではトラブル(法律相談)以外の相談者の募集も行っている。
[編集] 番組の特徴やコーナーの紹介など
オープニングでは「誰もがはまる法律の落とし穴」というクイズコーナーが放送されており、ここではパネラーのうち1人が指名され法律クイズに挑戦する事になっている。指名される人は初登場のパネラーが指名される事が多い。
この番組のもう一つの目玉がゲスト達のトークである。島田紳助の盛り上げるトークタイムが番組の大半を占めている。磯野貴理、東野幸治、石田純一、円広志などといったレギュラー出演者のほか、ゲスト出演者も含めて紳助にとことんまでこき下ろされてしまい、出演者同士も互いに毒舌を浴びせあうというあたりまでは、最近のバラエティ番組ではよく見かける外見となっている。珍しいのは、それに弁護士陣の一部まで参加してしまうということであろうか。
さらに、同局でかつて放送されていた『謎を解け!まさかのミステリー』と同じチームが制作を担当している。
また、この番組はプライムタイム・レギュラー放送が始まったのは2002年4月7日だが、実際の放送開始は2000年3月26日の午後1時半から90分の特番で放送された『日テレ式法律バラエティ・守ってあげたい』であり(初回のキャッチコピーは「守ってあげたい」で弁護士軍団も北村・久保田・丸山の3人だった。)、不定期に特番として放送していたが(特番時のタイトルは『絶対に訴えてやるぞ!!芸能人VS弁護士軍団・大爆笑!法律バトル』だった)、好評だったためレギュラー番組に昇格した。スタジオのセットも白を基調としていた。弁護士人気の発端的番組。
2001年10月、4度目の特番の後にフジテレビの『ザ・ジャッジ!~得する法律ファイル』(後に『ザ・ジャッジEX』に改題されるが、2005年3月終了。)がレギュラー化したために同局との間で「パクリ論争」が勃発した。ただ、実際には『行列…』もNHKの『生活笑百科』からアイディアを得たものとする説もある。
ただし、それらはいずれも「一人の弁護士が断定的に結論を語る」スタイルであり、「複数の弁護士が異なる結論を述べる」というスタイルとは根本的に異なる。人数や結論に至るまでの展開に多少の差異があっても、基本的には「弁護士が一つの物事に関して法律的観点から結論を述べる」というスタイルの「法律バラエティ」という枠内で、パクリかどうかを論じること事態が失当という見方もある。
法律相談の再現VTRの最後には、要点や論点を振り返る「ポイント整理」がある。
「ポイント整理」は当初は4つの項目に分けてあったが、現在は、法律相談の再現VTRが短くコンパクトにまとめられていることや紳助ら出演者のトークの時間を増やす目的で2~3項目にまとめられている。(厳密には、2004年春頃から項目は3つになり、さらに2005年7月頃からは主に2つとなっている。なお、スペシャルでは2003年9月以降ポイント整理はなかったが、2005年10月から復活した。)
そして、“結論”という形で相談再現VTRの請求などが認められる可能性をパーセント表示することによって各コーナー(法律相談)を締めくくっている。
しかし、この“結論”のパーセント表示も結論を解りやすくするための目安でしか無いため、この番組に法律解釈は必要ないと考える人の中には「トーク番組である事を認め、かつ司会者も法律番組である事を否定している以上、法律問題は取り扱うべきではない」という厳しい見解をする者もいる。
たまに“「法律」のできる「行列」相談所”と間違う人もいる。また、他番組においても明石家さんまなどのように『行列のできる法律相談「事務」所』と誤って紹介する者も多い。
また2004年以降、特番では法律以外の企画も扱うようになった。(弁護士軍団の再現ドラマや弁護士が様々なことに挑戦する企画、紳助による『古畑任三郎』のパロディなど)
ちなみに、ゲスト席前列4席は紳助に近い側から順に「大物(オジさん)席」・「オバさん席」・「イケメン席」・「キレイ系席」とする暗黙の了解がある。過去に、岸本加世子が「キレイ系席」に座ることを希望したが、番組側から拒否され「オバさん席」に座らされたこともある。
また、紳助が司会を務める関西ローカル番組の『クイズ!紳助くん』を『行列』のスタッフが「スカイ・エー」を通じて視聴しており、(主にグラビアアイドルの)ゲスト人選をする際、『紳助くん』のゲストを参考に選出することもあるという。(『紳助くん』内での紳助の発言による)。そのためか、『行列』のゲストにたいぞう(関西の若手芸人)が出演したり(2005年1月30日放送)、番組中に『紳助くん』から借りてきたVTRが流れることもある。
[編集] 番組の歴史
- 2002年の番組開始当初はネットCMは前番組の「知ってるつもり?!」より1分少ない5分(そのうちの1分は「ザ!世界仰天ニュース」に移行)で後半にはローカル枠1分あったが、2004年4月に前番組終了時に戻し6分に拡大しローカル枠を廃止した。
- 2004年10月31日の放送では、司会の島田紳助が暴行事件による活動自粛のため出演できなくなり、番組は急遽生放送になり、東野幸治が代役として司会にまわった(生放送は字幕放送なし)。なお11月7日も同じく生放送で、14日の放送(収録)も引き続き東野幸治の単独司会。11月21日の放送分から2005年1月2日(ザンゲのコーナー除く)までは今田耕司が司会に加わり松本志のぶアナと3人で行っていた。なお、東野は単独司会の際、視聴者や共演者の想像以上の奮闘を見せた。
- 2004年12月19日・26日と2006年1月15日は、クイズ大会を開催。しかし第1回のクイズ大会には紳助は出られず、第2回は久保以明弁護士と分部悠介弁護士が弁護士チームの助っ人に加わった。負けたチームは屈辱のコントを行った。ちなみに、2004年5月16日にはこれらとは別に『ほぼ100回記念』として法律クイズ大会が開催され、磯野貴理が優勝し賞金200万円を獲得。
- なお、このクイズ大会のなぞなぞ問題で「脳内エステ IQサプリ」で出題された問題と同じ問題が数問出題されていた。
- 2005年1月2日の前番組の笑点スペシャルの後ステブレなしで2時間半のスペシャルの枠内で紳助が生放送で復帰のあいさつを行った。但しこの日は日曜日で、通常時間枠では通常のスポンサーがついていたため、この日から紳助のCMを再開した三浦工業CMが事実上の復帰となった。翌放送1月16日放送からレギュラー復帰。
- 1月16日放送分から三浦工業とチョーヤ梅酒、サンヨー食品(サッポロ一番)の3社が提供クレジットを出したが、概ねのスポンサーが提供クレジットを自粛、これまでスポンサーだったVISAがヒッチハイク扱いになった。(穴埋めとして筆頭スポンサーのLIONの提供枠が30秒増)また、提供紹介も一時期5秒で紹介されたこともあった。その後、2月中旬頃、その3社に加えタイガー魔法瓶、ニプロ、コカ・コーラが解禁。4月のスペシャル後にはNTT東日本・NTT西日本(NTTグループ)とダイハツ以外のスポンサーが解禁した(筆頭スポンサーのLIONも含む)。但し、サッポロ一番がこのとき撤退し、替わってミサワホーム(ミサワホームホールディングス)がスポンサーになった。また、VISAもスポンサーに復帰。その後、7月までには残りの2社も解禁し、全社解禁となった。
- 2005年3月20日には19:58~22:54に初の3時間スペシャルを実施。日テレの人気番組・新番組(「世界まる見え!テレビ特捜部」、「伊東家の食卓」、「エンタの神様」、「ザ!情報ツウ800」、「金のA様×銀のA様」)の出演者が集結し、紳助とビートたけし、所ジョージという夢の共演も実現した。
- 2005年6月26日に紳助が復帰後初の生放送。2005年の24時間テレビ 「愛は地球を救う」の番組パーソナリティー草彅剛、香取慎吾を迎え、24時間テレビ恒例のマラソンランナーを発表。8月27日・28日の両日かけて、丸山和也が59歳(当時)で、錦野旦の記録した50歳を軽く越える史上最高齢のマラソンランナーとして挑戦することが発表された。観客や草彅・香取はこの発表を聞き(あまりの驚きに)ア然だった。
- 2005年8月28日の放送は「24時間テレビ」の放送の後で紳助をはじめとする“行列メンバー”が丸山弁護士の応援に日本武道館に駆けつけた事もあり、日本武道館から生放送となっている。もし丸山弁護士が24時間テレビの放送時間内にゴールができなくても、生放送でカバーする予定だったが、実際には、丸山弁護士は24時間テレビ放送枠内でゴールができ、生放送は総集編と丸山弁護士の祝福番組となった。なお、この回の視聴率は番組最高の30.8%を記録した。(ビデオリサーチ「芸能・バラエティ」部門の史上最高視聴率番組・第9位に記録)
- 2005年9月27日には日本テレビの「踊る!さんま御殿!!」の特番に、紳助率いる行列メンバーが参加した(紳助と明石家さんまが共演するのはフジテレビ系列の「25時間テレビ」以来2ヶ月ぶり)。
- 2005年10月9日の秋の2時間SPは、弁護士軍団が、いろんな場所で相談にお答えする出張相談を行った。
- 2006年1月1日には20:00~23:30の3時間30分スペシャルが放送され、フジテレビ系の「新春かくし芸大会」、TBSテレビ系「スポーツマンNo.1決定戦」、テレビ朝日系「細木数子が緊急大予言アナタの将来を幸せにするSP」に真っ向勝負した。ダイエット宣言した住田裕子弁護士の体重測定が生放送で行われ、他にも、丸山和也弁護士が東野が司会を務めている「歌スタ!!」のステージで歌手デビュー決定し曲も披露したり、橋下徹弁護士主演の刑事ドラマを披露したり、北村晴男弁護士は高校野球部時代の同級生との再会&憧れの江川卓との野球対決が行われたり、新春恒例の出演者によるザンゲ大会などが行われた。また、大笑点の後ステブレなし、またその後の番組の繋ぎのステブレなしとなった。結果は「細木数子の緊急大予言」には勝てなかったが、TBSの「スポーツマンNo.1決定戦」に僅か0.3%差で勝利した。
- 2006年1月22日放送で法律相談件数1000件突破。北島三郎・森光子など大物芸能人からの花輪も届く。
- 2006年春に、同年4月3日より同局で放送開始した「NNN Newsリアルタイム」に本番組サブ司会の松本志のぶがメインキャスターに起用されるという誤報が一部マスコミで報道され、そのため松本は本番組を降板するのではという噂が流れた。
- 2006年6月18日放送では裏番組が「2006 FIFAワールドカップグループリーグ・日本-クロアチア戦」(テレビ朝日系列)に当たってしまった為、通常の構成から行列のメンバーの沖縄旅行へ変更された。但し、ネット局の中にテレビ朝日系のない地域の局(山梨放送・北日本放送・福井放送・高知放送・テレビ宮崎)がこの試合を放送する関係から翌週末に編成。ちなみに放送時間も、巨人戦の影響で30分遅い放送になったため、本当に後半30分は、日本戦の裏番組となった。また、当日の関東地区での視聴率は12.0%であり、W杯日本戦の裏番組としては、唯一の10%越えとなり、人気番組の実力を見せ付けた。
- 2006年10月29日にて放送200回突破。第1回の映像や東野の「チリチリカメラの歴史」などが紹介された。
- 2007年3月4日の放送は次番組「おしゃれイズム」のMC3人(上田晋也・藤木直人・森泉)が、番組に登場し、次番組の「おしゃれイズム」には丸山弁護士・北村弁護士・住田弁護士・貴理がゲスト出演した。(事実上のコラボレーション)
- 2007年3月18日放送分「紳助と行くとっておき裏京都の旅スペシャル」にて、京都市内の漬物店を紹介する際、別の漬物店のWebサイトに掲載された写真を無断使用していたことが後に判明し、法律を扱う番組なのにもかかわらず著作権への意識が低いと叱責を受けた。日本テレビは現在、「当事者間で交渉中の為コメントは控えさせていただく」としている。
[編集] パロディ
再現ドラマでは現実にあるものの名前をもじって登場するものがある。()内はその元ネタ。
- CLAY (GLAY)
- スマッチ (SMAP)
- ゴリンジャー (秘密戦隊ゴレンジャー)
- 古畑紳三郎 (古畑任三郎)
[編集] 史上最強の弁護士軍団
下記の4人の弁護士が各問題について解説する。理論・冷徹の北村、女性の味方の住田、若さとユーモアの橋下、情の丸山、というバランスのようである。かつて出演していた久保田も北村に似た理論派だった。
判断は特に北村と丸山が正反対になることが多く、橋下と丸山が同じことが多い。その掛け合いも見所としている。番組開始当初は丸山の判断が他の3人と違うことが多く、「人情論であって法律論ではない」と特に北村から批判されていたが、次第に他の弁護士もそれぞれ自分の判断が他の3人と違うことが多くなってきている。特に最近は橋下が1人だけ違う結論を出すケースが目立っており、紳助他から「目立ちたいから」などと揶揄されている。なお、男女関係の案件になった場合は、橋下は男女の性差を重視する結論を、住田は比較的ジェンダーフリー的な結論を出す傾向がある。
順は向かって左側から。席は固定。また、各弁護士にキャッチコピーが付けられている。また、紹介VTRには各弁護士のCGアニメーションが登場する(CGアニメーションが導入される前は、各人のモノクロの顔写真が入っていた)が、それぞれキャラクターに沿ったものとなっている(北村は笑わない、丸山は一升瓶を持っているなど)。時折、アニメーションが一定期間の間変更されることがある。丸山のマラソンの際は、一升瓶ではなく走っているアニメーション(服装も24時間テレビのTシャツに変わっていた)、丸山のCDデビューが決定したときは、マイクを持っていて、服装が着流しだった。住田がダイエットに挑戦したときは、服装がレオタードになっていた。2006年12月10日放送分からはCGアニメーションがリニューアルされた。(北村のCGは口から火を噴く、住田のCGは目からハートを放つ、橋下のCGは自身の子沢山ぶりにちなんで、6人の子供達に囲まれており、丸山のCGは「行列~」で派生した「エクアドルのバナナ商人」のネタにちなんで、バナナを食べてしまうアニメーションが追加された)
- 現在の出演弁護士
- 北村晴男(2000年3月~)「法廷に笑顔はいらぬ、冷静沈着」
- 住田裕子(2000年秋~)「東大出身のママさん弁護士、法律の母」
- 橋下徹(2003年4月~)「法廷に新しい風を吹き込む、茶髪の風雲児」
- 丸山和也(2000年3月~)「国際経験豊富(以前は“お酒には強いが涙には弱い”、“英語も喋る国際派”)、法に魂を込める男」
- 過去の出演弁護士
- 久保田紀昭(2000年3月~2003年3月・後任は橋下徹)「父から受け継ぐ弁護士魂、六法全書の申し子」
[編集] 主な出演者
[編集] 司会者
[編集] 準レギュラー
[編集] 芸人と同姓同名の相談者[編集] ナレーター
[編集] スタッフ
[編集] 歴代スタッフ
[編集] 裏番組
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
[編集] 番組の変遷
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