誠のサイキック青年団
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誠のサイキック青年団(まことの-せいねんだん)は、大阪府の朝日放送(ABCラジオ)で日曜深夜に放送されているトークを中心としたラジオ番組。1988年4月3日より放送開始。
幾度かの放送時間変更や番組編成を乗り越え、現在は日曜深夜の25:00 - 26:45で落ち着いている。以前は生放送だったのに対し、現在は録音したテープを流している(金曜に収録する場合が多い)。そのため最新の時事ネタに若干対応しきれないケースも見受けられるようになった。とくに選挙結果については、放送曜日によるところが大きい。最近はブロードバンドによる有料放送が開始され、聴取可能エリア外でもクリアな音声で楽しめるようになった(携帯電話によるパスワード取得が必要。また著作権の関係上、CMとコーナー間のジングル及び「今週の一曲」はカットされる)。
この番組の好意的、熱狂的なリスナーのことをサイキッカーと呼ぶ。また、朝日放送が学生向けに配布する会社案内では「ABCラジオの『裏』看板番組」と紹介されている。とはいえ、かつて番組でグッズを作る際に寄せられた複数の投稿によると、番組で取り上げる話題が濃いため、また番組の指向に反感を持つに至った元サイキッカーも存在するため、自身がサイキッカーであることを積極的に公言する者は少ない。しかしレギュラー出演者は、仕事上の機会に、有名人やテレビの番組スタッフなどからサイキッカーであることを告白されると言う。
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[編集] 出演者
[編集] レギュラー
- 松竹芸能所属のタレント。竹内からは「まこっちゃん」と呼ばれる。
- 作家。北野からは「竹内さん」または「アニキ」と呼ばれる。
[編集] 準レギュラー・番組スタッフ
- ディレクターとして番組創立に携る。本来であれば裏方にも関わらず、当初はレギュラーに近い形で出演していたが、テレビ局の方へ異動となったため出演できなくなった。ただし一部イベントには出演し続けており、本放送ではレイティング期間中に出演することが多い。現在は朝日放送編成本部プロデューサー。1990年前後の著書では「D万」と呼ばれていた。
- 1997年から板井の次によく出演していたが、板井が出演できなくなってからは、昇格する形で彼のポジションを受け継いでいる。本業は映画評論家であり、後述の関連番組「アシッド映画館」の館主。ナイトスクープ等の構成を担当する放送作家でもある。番組内では「ヒデアキ」と北野から呼ばれる。
- ジャンプ藤井
- ミキサー担当であるが、モーニング娘。を始めとしたアイドルおたくであり全国を飛び回る追っかけであったため、それらの話題の時に数回出演した。コンサートでアイドルを応援する際、誰よりも高くジャンプできると誇っていたことから、番組内では「ジャンプ」と呼ばれる。本名は藤井紀雄。大阪大学出身。朝日放送技術局制作技術センター所属。キャバクラに竹内と一緒に行くなど出演者と親しいが、その物言いについて、番組中で俎上に乗せられることが多い。
- 平井浩一
- 放送作家。出演はしないが、番組内で裏ビデオや怪しいグッズを取り寄せる際に彼の住所などを使うため、業者側から見れば上客になることから、「キング・オブ・カモ」の称号を与えられた。サイキックの他、ABCテレビの「ムーブ!」の構成なども手がける。
- ディレクター(フリーランス)。番組内で「やまもっちゃん」と呼ばれることがあるが、出演はしていない。
[編集] ゲスト
年に数回という非常に低い頻度でゲストが出演する。とくに浅草キッド、大川、大槻の3組は番組の話題にのぼることが多いため、番組の印象を形作る要素のひとつとなっている。また、彼らのような番組のカラーに合ったゲスト以外にも、関西でのイベント告知を兼ねた出演や、その時々の話題に合わせたゲストを招くことがある。
- 漫才師。公私とも顔を合わせることがあるが、共通の話題が濃いため、普通の会話ができないとされる。
- 大川豊とはオウム真理教の話題が接点となった。年1回程度で出演(大体は大阪での大川興業ライブがある時期)。江頭2:50は本番中脱糞しかけて危うく朝日放送に出入り禁止となりかけたことも。
- ロック歌手。出演回数が比較的多い。「番組史上初、本番中に『ピー』を入れさせた」強者。また、大阪で開催したソロライブに北野と竹内を招き、3人でギターの弾き語りというコラボレーションを実現させた。
- 「積み立てクイズ」に時々ネタを提供することもあるロック歌手。後述の『読本Ⅲ』に寄稿。
- 松竹芸能所属。ジャニーズタレントの追っ掛けが生き甲斐で、ジャニーズやトレンディドラマについての話題を提供。元々「-4℃」という漫才コンビを組んでいたが、相方が岡田圭右と出来ちゃった結婚して解散。現在は「オトコ大好き、松本美香」というフレーズで女ピン芸人として活動中。因みに父親は大学教授らしい。
- 詩人。竹内の縁で出演。
- 「『大阪でプロモーションするならサイキックだ』と言われて来ました」と自らオファーして番組に出演を果たした。
- 「ぼんちゃん」こと西田和昭
- 1989年末に、番組で話題にしたオウム真理教から抗議され、話し合いのため出演することになったが、坂本堤弁護士一家殺害事件のために出演が中止されるという出来事があった。
- 関西初ライブの告知を兼ねて出演し、ライブなどとは違った朴訥な口調で、西宮市出身であることや大阪市で生活していた頃のことを語った。当時関西では全くの無名であった彼を紹介し名を広めたのは、この番組である。
- 漫画家。「集英社のコーナー」で自著が紹介された際に、自身がサイキッカーであることから担当者に直訴して出演した。
[編集] 番組構成
主に誠と竹内の二人で、番組時間のほとんどがトークに費やされる。話題は幅広く、芸能ネタから、サンテレビやNHK教育テレビなどのマイナーなテレビ番組、裏ビデオ、怪しい開運グッズ・通販グッズ、悪徳商法、新興宗教、政治、経済等にまで及ぶが、詳細な打ち合わせや台本はないため、ゲストに驚かれることがある。
[編集] コーナー
- 答えの言えない積み立てクイズ
- 有名人の私的な事柄などを名前を伏せて紹介し、人名当てクイズとしてリスナーに出題するコーナー。タイトルどおり原則として正解を発表しないため、賞金の1万円が当選したリスナーしか正解がわからない。正解者が出ない場合、賞金は次週分に加算される。
- 今週の一曲
- 「他(の番組)ではかからない、かけたくない」新譜一曲をかける。現在は板井に代わり、同じABCラジオの番組「Indies@GO-GO」の担当である青山敏晴が選曲を担当する。
- 集英社のコーナー
[編集] 投稿
トーク中にリスナーからの投稿を紹介することはあるが、いわゆるネタハガキを募集するコーナーはない。元アイドルが出版した写真集についての意見や、番組中に取り上げられた事件の体験談や当事者側からの裏事情、また鉄道ファンに代表される各方面の事情通からの訂正・追加情報などが送られてくる。とくに常連投稿者からの文面は、出演者への簡単な挨拶に始まり、冒頭は「……のことではなく、……のことでもありません。」と、主旨とは直接関係のない話をマクラに振るのがお約束となっていた。
[編集] トーク
[編集] 定番ネタ
特定の有名人に対し「カツラ着用者ではないか?」あるいは「同性愛者ではないか?」とイニシャルでほのめかしながら話をする、ということをよくする。番組内で「御大」と呼ばれる、関西では有名なある作曲家のカツラ疑惑については、北野の仲人であるにも関わらず、疑惑ではなく事実として毎週のように話題にのぼる。他にも、公私とも明るく柔和なある芸人が深夜の飲み屋では一変して恐い面を見せる、ある後輩芸人は女性に対してあまりにも非常識な言動を吐くなどといった様々な芸能裏情報ネタが頻繁に語られる。これら定番ネタになる人物は北野や竹内の親しい人間であることが多い。
また、選挙直後では泡沫候補を取り上げることも多く、京都から出馬して「自分はマッカーサーから日本の領土を全て貰った。だから日本で政治に関わる権利があるのは自分だけ」と主張した斎藤はる義(通称「京都の斎藤さん」)をはじめ、東郷健、又吉イエス、羽柴誠三秀吉等が話題となった。
[編集] 怪談
「怖い話スペシャル」として毎年お盆の時期に、心霊体験や怪談のみで構成された回が放送される。オカルトは信じないが原因不明の不気味な出来事は確かにあるという立場で、自分の体験や他人に聞いた怖い話を紹介する。
[編集] 聖地
「サイキックの聖地は京橋( - 蒲生四丁目)にある」、と北野・竹内は声を揃える。 北野が生まれ育った場所であり、サイキッカーには有名な喫茶店「喫茶 泉」(最近改装されて別の店になり「泉」の看板を降ろした。鉄板の上で音を立てて焼けるウナギなどが有名だった)、竹内がよく顔を出すというレンタルビデオ店、サイキックのスポンサーの本店、元ヤクルトの捕手八重樫似のおばちゃんが居ると言う古本屋等が京橋界隈にある。
[編集] 舌禍事件
日曜深夜の大阪ローカル番組であるためか、かつては業界的な裏ネタばらしや過激な発言が多く、そのために熱狂的なリスナーを生み、同じ時間帯で放送されていた長寿番組「鶴瓶・新野のぬかるみの世界」が終了する一因を作った。その反面、番組開始当初よりジャニーズ事務所など芸能関係者と幾度となく軋轢が生じた。特に、1993年に山本リンダの写真集をけなしたことから始まった揉め事は、番組側の謝罪会見という形で各メディアで全国的に大きく報じられた。
[編集] 有名人のリスナー
深夜放送だからなのか漫画家や作家にサイキッカーが多いらしい。北野や竹内はこのことに関し「磁場」、すなわち文化人を輩出する土壌がこの番組にはあると主張している。
- 歌手。在阪時、相当熱心なサイキッカーであったことは有名。
- 漫画家。番組開始当初からのリスナーであるが、レギュラーメンバーのみで語られる番組の雰囲気を大事にしたいため、ゲスト出演はしないと伝えられている。また、サイキッカーであることがきっかけで、映画「パーフェクトブルー」の制作に関わったといわれる。
- 「第131回芥川賞」受賞作家。番組開始当初のリスナーであり、当時レギュラーの2人とも面識があった。
[編集] 番組外の活動
[編集] トークイベント
毎年夏から秋にかけて関西を中心に「サイキック・ミーティング」と呼ばれるトークライブが行われる。第1回目は、心斎橋パルコで現クラブクアトロになっているスペース。ゲストは、Mr.マリックだった。東日本のリスナー向けに東京でも開催、過去には徳島市や岡山市などでも開催されたことがある。イベントの観客数は数百人から千人あまり。「答えの言えない積み立てクイズ」の答えなど、放送では言えないネタの披露が主眼である。
関西におけるトークライブでは、毎年10月に京都市円山野外音楽堂で行われる「おでかけサイキックミーティング」がとくに有名である。このイベントは、立命館大学の学生リスナーが設立したサークル「サイキック研究会」が同大学の学園祭の一環として主催していたイベントが起源となっている。はじめは学内で開催されていたが、人員整理などの面でトラブルが相次ぎ、会場を円山野音に移した。2005年に同研究会が解散した後も、同ミーティングは別の有志が主催者となり続けられている。ちなみに野外イベントではあるが雨天でも決行される。とくに2005年は雷雨の中でも決行されるという前例になったため、雨天時は雨合羽持参がのぞましい。
神戸大学にも「サイキック研究会」と称するサークルが存在し、例年11月の同大学学園祭期間中にトークライブを主催している。こちらは学内講堂にて開催、講堂が満員の場合は別室にて中継映像を放映する、というもの。サークルの活動自体が縮小気味であり、2005年には午前中しか会場が確保できなかった影響で中止にまで追い込まれ、代わりに同年12月25日に別のトークイベントを実施したが、翌2006年には復活した。
[編集] 出版物
『明解サイキック読本』等番組の名前を冠した本が10冊程出ている。出演者同士の対談、出演者のエッセイ、竹内の短編小説、番組の年表・用語解説などといった内容。
- 明解サイキック読本 SECRET FILE (北野・竹内・板井の共著、青心社 1989年7月、ISBN 4915333639)
- 真実主義 明解サイキック読本Ⅱ (同上、1990年8月、ISBN 4915333760)
- 大濃告 DAIKOIKOKU 明解サイキック読本Ⅲ (3人の共著、青心社、1991年10月、ISBN 4878920041)
- 誠のサイキック青年団 (3人の共著、ワニマガジン社、1993年10月、ISBN 4898292240)
- サイキッカー 明解サイキック読本Ⅳ (3人の共著、青心社、1996年8月)
- コン哲 サイキッカー外伝 コンプレックス哲学 (北野・竹内・板井・平井の共著、青心社、1997年8月、ISBN 4878921285)
- サイキック10年ファイル 1988 - 1998 (3人の共著、青心社、1998年8月、ISBN 4878921528)
- コン哲 サイキッカー外伝 コンプレックス哲学2 (北野・竹内・平野・平井の共著、青心社、2000年8月、ISBN 487892196X)
- 聖戦・サイキック15thアニバーサリー (同上、文藝春秋、2003年8月8日、ISBN 4163652604)
- 16年目のサイキック読本 (同上、青心社、ISBN 4878923121)
[編集] 関連書籍
- 大映テレビの研究 不滅のテレビジャンキー (竹内著、大阪書籍、1986年10月、ISBN 4-7548-9023-X)
- 当時竹内の連載を読んだ北野が内容に共感し、同番組を企画するきっかけとなったコラムをまとめた本。その後、『大映テレビの研究 2』が1987年10月に、『同 3』が1988年10月にたる出版から出版され全3巻となる。その3冊をまとめたものが1997年7月にはぶんか社から再刊、2005年1月には澪標から再々刊されている。
- ザ・サバト 不条理マニュアルBOOK (北野と竹内の共著<以下同>、青心社、1988年2月)
- 1988年刊の『ザ・サバト』は、その後慣例化された「サイキック読本」刊行に先んじる貴重な書籍である。通称「青サバト」。
- ザ・サバト 不条理マニュアルBOOK (青心社、1991年4月、ISBN 4915333922)
- 1988年に出版した同書の新装版。通称「黄サバト」。
- ザ・サバト 不条理マニュアルBOOK (青心社、1997年8月、ISBN 4878921277)
- 1991年版に加筆・訂正したもの。通称「赤サバト」。
- おまえが言うな。 私的ニッポン改造論 (主婦と生活社、2001年8月、ISBN 4391125455)
- おまえが言え。 ニッポン待ったなし! (主婦と生活社、2002年4月、ISBN 4391126249)
- おまえが言うな。2002 暴論の自由 (主婦と生活社、2002年8月、ISBN 4391126702)
[編集] その他
- 番組開始初期は毎年大晦日から元旦にかけ、深夜に「謹賀新年スペシャル」として生放送を行っており、梅田ビッグマン前で公開生放送が行われたこともある。
- ABCラジオ送信設備の工事のため、「ココ(サイキック青年団の放送時間帯)しか工事する時間がないんや」とたびたび放送時間短縮(大概は深夜2時までの60分、たまに15分だけ放送ということも)、あるいは休止をさせられるなどの目に遭っている。
[編集] 関連番組
プロデューサーの板井が創立に関わり、命名したラジオ番組を指す。聴者層がサイキック青年団のファン層と重なり合っており、番組の雰囲気もどこか似たところがある。
- 平野と鳥居睦子が送る映画情報番組。板井も年始には「ぼんちゃん」の名で出演していたが、テレビ局への異動となったためサイキック青年団同様出演できなくなった。
[編集] 関連項目
(50音順)
- 青木雄二
- 吾妻ひな子
- アントンハイセル(アントニオ猪木)
- 伊藤英明
- 大きいお友達
- 佐藤蛾次郎
- 柴田勲
- ジョン・デンヴァー
- シンデレラエキスプレス
- 創価学会
- 大映テレビ
- 東京ディズニーランドの都市伝説
- ニャントロ人
- 鵺(ぬえ)
- ぴんからトリオ
- バーニングプロダクション
- 浜村淳
- プロレス
- 堀美矢子
- 松嶋尚美
- 薬害エイズ事件
- レツゴー三匹
[編集] 外部リンク
- 誠のサイキック青年団 - ABCラジオ公式サイト内の番組公式サイト
- 誠のサイキック青年団 ズズ黒リスナーのページ - 第1回放送時からのリスナーによるファンサイト
- 喫茶・泉 - 上記ファンサイト内、1999年8月14日の潜入レポート
- 構成作家 ポッター平井のコラム - 番組スタッフのブログ
- 関西系WebマガジンGO2K - 竹内義和氏の連載コラムがある