前橋駅
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
前橋駅(まえばしえき)は、群馬県前橋市表町にある東日本旅客鉄道(JR東日本)両毛線の駅である。
群馬県の県庁所在地・前橋市の代表駅である。
目次 |
[編集] 両毛線の列車運行状況
所属する路線は両毛線のみだが、県庁所在地・前橋への交通の便を図るため前橋までは下記の多様な列車が運転されている。
- 両毛線の群馬・栃木県内のローカル輸送。高崎・伊勢崎・桐生・栃木・小山などを結ぶ普通列車であり、両毛線の基本的な列車である。列車の編成は115系が3両・4両・6両、211系が5両、107系が2両・4両・6両である。
- 高崎線からの直通列車が、朝・夜間を中心に前橋駅まで直通運転されている。夕方~夜間では、通勤快速や快速アーバンも一部前橋発着の運転となっている。編成は211系/E231系が共に10両、全列車にグリーン車が連結されている。
- 高崎線経由の湘南新宿ラインの列車が早朝に前橋始発の小田原行・平塚行が各1本、夜は小田原始発・国府津始発の前橋行が各1本の合計1.5往復が乗り入れている(下り小田原始発列車は平日のみ)。編成はE231系の10両で、全列車にグリーン車が連結されている。
- 特急「あかぎ」が上野・新宿方面から前橋まで運行されている。編成は185系の7両。全列車にグリーン車が連結されている。
[編集] 駅構造
東西に延びる両毛線に沿った、島式ホーム2面3線を持つ高架駅である。機能優先でデザイン面の特徴は少ない。名駅舎として知られた先代木造駅舎のモチーフを一部の意匠に取り入れている南口に対して北口は簡素なデザインであるが、これは建設当初に駅ビル計画があったためである。
関東地方の県庁所在地の駅で唯一駅ビルがない。
[編集] 駅舎内設備
みどりの窓口、びゅうプラザ、指定席券売機を設置。Suica利用可。キオスクの代わりにNEWDAYSが店を構える。また、ベーカリーショップ(ハースブラウン)、立ち食いそば屋、観光案内所も駅構内にある。高架化によりバリアフリー施設を備えた駅として整備されており、高架化当初から車椅子用リフトや視覚障害者用誘導チャイムなどが運用されている。現在、エレベーターを設置中(2007年3月完成予定)。
[編集] のりば
- 島式ホーム2面3線。
1 | ■両毛線 | 伊勢崎・桐生・足利・栃木・小山方面 |
■高崎線(一部) | 高崎・熊谷・大宮・赤羽・上野方面 | |
2 | ■高崎線 | 高崎・熊谷・大宮・赤羽・上野方面 |
■湘南新宿ライン(東海道線直通) | 池袋・新宿・横浜・平塚・小田原方面 | |
■両毛線(一部) | 伊勢崎・桐生・足利・栃木・小山方面 | |
3 | ■両毛線 | 高崎方面 |
- 「島式2面3線」であるが、高架路盤は4線分あり、このうちもっとも南側の1線はレールが敷設されていない(輸送力増強に備えるもそこまでに至っていない)。このホームは、安全対策として近年フェンスが張られ、実質片面ホームとなっている。
- 隣の新前橋駅との間は単線であるが、当駅の西側600mは既に複線分の高架が出来上がっている。利根川にもう1本架橋すれば新前橋~前橋間の複線化が完成するが、新前橋とは駅間が短いので、現在のままでも上下それぞれ8分間隔での運転は可能である。駅東側(前橋大島駅方面)は駒形駅まで複線である。
[編集] 利用状況
2005年度の1日平均乗車人員は9,571人である。
これは、群馬県の歴史として高崎駅に鉄道のターミナルが建設されたのと、前橋市内に駅が5カ所有り旅客が分散しているからである。また、市の中心部まで徒歩10~15分程度、群馬県庁まで徒歩15分程度と市の中心部とやや離れていることも、その原因としてあげられる。
[編集] 駅周辺
駅の南北にそれぞれロータリーが所在。
[編集] 北口ロータリー西側
- イトーヨーカドー前橋店
- バスターミナル(市内路線バス)
- 1番乗り場…B1
- 2番乗り場…B2
- 3番乗り場…D2・D3・D4・F1
- 4番乗り場…A1・A2・A5・C5・D6・D7・F2
- 5番乗り場…B3・B4・B5・B6・C1・C2
- 6番乗り場…A3・C4・D1
- 7番乗り場…C3
- マイバス乗り場…F3(マイバス)
前橋駅発着のバス路線は24系統ある。1日に約200本が発着するB1系統を除いて、モータリゼーションの影響をまともに受けているため、路線数は多いものの運行本数は多いとは言えない。
- バス系統番号、行先
- 赤城山方面
- A1富士見温泉・田島十字路
- A2嶺公園
- A3富士見温泉・国立赤城青年の家・群大病院
- A5小坂子・荻窪公園・前橋公園
- 渋川・吉岡・榛東・箕郷方面
- B1渋川駅・小児医療センター・南橘団地・群大病院
- B2緑が丘町・総合スポーツセンター・渋川駅
- B3湯の道利休
- B4上野田四つ角
- B5上野田四つ角・桃泉・しんとう温泉
- B6箕郷営業所
- 高崎・新前橋方面
- C1金古王塚台団地・群馬温泉
- C2土屋文明文学館
- C3高崎駅・群大病院
- C4新前橋駅
- C5高崎駅
- 伊勢崎方面
- D1伊勢崎駅前
- D2下川団地・玉村町役場
- D3東善・前橋公園
- D4東大室・前橋公園
- D6石関町南・県庁前
- D7大室公園・運動公園・県庁前
- 前橋駅周辺
- F1前橋公園(グリーンドーム)
- F2中央前橋駅
- F3マイバス北循環・南循環
- 赤城山方面
- バス運行会社
バスの時刻、路線図等はこちらを参照のこと。
[編集] 北口ロータリー東側
[編集] 駅舎と北口ロータリーの間の通路
[編集] 旧駅跡地東側
- 駅レンタカー
- 結婚式場ラ・フォンテーヌ
[編集] 旧駅跡地西側
- 前橋駅北口駐車場(財団法人前橋市都市整備振興公社管理)
[編集] 南口
- 高速バス乗り場
群馬県庁、前橋市役所、および繁華街までは約1~1.5km程度離れており、徒歩移動には少々距離がある。北方約1kmの上毛電気鉄道中央前橋駅との間には上毛電鉄線の運行ダイヤに合わせた連絡バスがある。
なお、北口から北方の赤城山方面へ延びる群馬県道17号前橋停車場線の両側には、国道50号との交差点近くまで500メートルにわたってケヤキの大木が連なる。この「ケヤキ並木」は、1950年に戦災復興事業によって植樹されたものであり、前橋市のシンボルの一つとなっている。
[編集] 歴史
東京から伸びてきた日本鉄道の路線は、1884年(明治17年)8月20日に利根川西岸の前橋駅まで到達した。これは現在の前橋駅とは異なり、現・前橋市石倉町付近の位置である(駅は現存せず)。前橋市街とは利根川によって隔てられていたため、利根川への架橋が計画された。
一方、日本鉄道小山駅から延伸された両毛鉄道は1889年(明治22年)11月20日に利根川東岸の現・前橋駅まで開業、翌12月には利根川に橋梁が開通して、日本鉄道も両毛鉄道前橋駅まで乗り入れた(西岸の旧・前橋駅は廃止。両毛鉄道はのち日本鉄道に合併、さらに国有化された)。東京方面からの直通列車も運転され、県都である前橋市の玄関口としての役割を果たしてきた。駅舎は長らく北口のみであった。
1927年(昭和2年)に建設された洋風木造建築の先代駅舎は、この当時に両毛線主要駅で建設された同傾向の駅舎の中でも代表的なものであり、美しい名駅舎として親しまれたが両毛線高架化事業によって取り壊され、1986年(昭和61年)10月16日、現在の高架駅舎を使用開始した。新たに駅南口が設けられ、区画整理事業と合わせて駅南側の整備は進んだが、開発はあまり進んでいないのが現状である。近年、郊外の旺盛な発展と反比例して市内中心部に関しては全国でも有数の衰退ぶりで、駅周辺もかつての賑わいはない。
駅北側の旧駅跡地はバブル期には駅ビルの建設計画もあったが、バブル崩壊と共に計画も頓挫する。しばらく更地のままだったが、暫定的に駐車場や駅レンタカー店舗として利用されていた。2004年(平成16年)、敷地東側に結婚式場(ラ・フォンテーヌ)が完成。また、駅舎と北口ロータリーを繋ぐ通路の両側にはドラッグストアや飲食店、理容店が開店した。
イトーヨーカドーと現駅の間に挟まれた旧駅跡地は国鉄清算事業団から前橋市に40億円で売却され、市公社が運営する駐車場なっている。JR東日本の子会社であるJR東日本都市開発が、この駐車場敷地に飲食店やスポーツジム、立体駐車場などが入居する5階建て複合ビルの建設と、それに合わせて駅コンコース西側の高架下に商業施設の建設を計画中である。また、前橋市が2008年3月開催の「全国都市緑化ぐんまフェア」までに北口・南口共に駅前広場をバリアフリーに対応した再整備が行われる。