上野国
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上野国(こうずけのくに)は、かつて日本の地方行政区分だった国の一つで、東山道に属する。領域は現在の群馬県とほぼ同じ。上州(じょうしゅう)と呼ぶこともある。延喜式での格は大国、遠国。
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[編集] 沿革
古代の毛野国(けぬのくに)の分割によって、上毛野国(かみつけぬのくに)として成立した。その後、713年(和銅6年)に「畿内七道諸国郡郷名は、好字を着けよ」と詔されたため、上野国との表記になった。当初、碓井以下13郡であったが、711年(和銅4年)に14郡となった。もと上国であったが、811年(弘仁2年)に大国に変更になり、間もなく、上総国、常陸国とともに親王が国司を務める親王任国となった。そこで、吉良義央が名乗ったように、国司の実質的長官は上野介であった。良馬の産地として勅旨牧がおかれた。 全国に10余りしか現存しない奈良時代以前の石碑のうち、3つが多胡郡にある。
藤原宮木簡には、上毛野国と表記。
国府は群馬郡にあった。現在の前橋市元総社町付近と推定されている。
江戸時代には、沼田藩、 前橋藩、 安中藩、 高崎藩、 伊勢崎藩、 七日市藩、 吉井藩、 小幡藩、および館林藩が置かれた。この他、明治維新まで実質的に命運を保つことができなかった藩として総社藩、 那波藩、 板鼻藩、 矢田藩、 上野豊岡藩、 大胡藩、 白井藩、 青柳藩、 上里見藩および 篠塚藩がある。
[編集] 守護
[編集] 鎌倉幕府
[編集] 室町幕府
- 1335年~1336年 - 上杉憲房
- 1336年~1352年 - 上杉憲顕
- 1352年~1363年 - 宇都宮氏綱
- 1363年~1368年 - 上杉憲顕
- 1368年~? - 上杉能憲
- 1371年~1379年 - 上杉憲春
- 1379年~1394年 - 上杉憲方
- 1395年~1412年 - 上杉憲定
- 1416年~1418年 - 上杉憲基
- 1419年~1439年 - 上杉憲実
[編集] 国司
[編集] 上野介
[編集] 上野掾
- 源満頼 - 源経基の子。
[編集] 郡
[編集] 国分寺・国分尼寺・安国寺・利生塔・一宮以下・総社
国分寺と国分尼寺の法燈を伝承する寺院は現存しない。高崎市東国分町あたりと思われる。安国寺は高崎市通町の浄土宗慈光山常昭院安国寺(本尊:阿弥陀如来)が伝承し、利生塔は未詳である。
延喜式神名帳には大社3座3社、小社9座9社の計12座12社が記載されている。大社3社は以下の通りで、全て名神大社である。
一宮は、富岡市一ノ宮の貫前神社である。以下、十二宮まで定められている。
社名 | 鎮座地 (複数記載のものは論社) |
|
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二宮 | 赤城神社 | 前橋市三夜沢町 富士見村赤城山 前橋市二之宮町 |
三宮 | 伊香保神社 | 渋川市伊香保町伊香保 |
四宮 | 甲波宿禰神社 | 渋川市川島 |
五宮 | 大国神社 | 伊勢崎市境下渕名 |
若伊香保神社 | 渋川市有馬宮前 | |
六宮 | 榛名神社 | 高崎市榛名山町 |
七宮 | 小祝神社 | 高崎市石原町 |
八宮 | 火雷神社 | 玉村町下之宮 |
九宮 | 倭文神社 | 伊勢崎市東上之町 |
十宮 | 美和神社 | 桐生市宮本町 |
十一宮 | 賀茂神社 | 桐生市広沢町 |
十二宮 | 宇芸神社 | 富岡市神成 |
総社は、前橋市元総社町の総社神社である。
[編集] 人口
- 1721年(享保6年) - 56万9550人
- 1750年(寛延3年) - 57万6075人
- 1756年(宝暦6年) - 57万9987人
- 1786年(天明6年) - 52万2869人
- 1792年(寛政4年) - 51万3915人
- 1798年(寛政10年)- 51万4172人
- 1804年(文化元年)- 49万7034人
- 1822年(文政5年) - 45万6950人
- 1828年(文政11年)- 46万4226人
- 1834年(天保5年) - 45万1830人
- 1840年(天保11年)- 42万6073人
- 1846年(弘化3年) - 42万8092人
- 1872年(明治5年) - 50万7235人
出典: 内閣統計局・編、速水融・復刻版監修解題、『国勢調査以前日本人口統計集成』巻1(1992年)及び別巻1(1993年)、東洋書林。
[編集] 関連項目
- 令制国一覧
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