浅草駅
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浅草駅(あさくさえき)は東京都台東区花川戸一丁目(東武)、浅草一丁目(東京地下鉄)、駒形一丁目(都営地下鉄)にある東武鉄道・東京地下鉄(東京メトロ)・東京都交通局(都営地下鉄)の駅である。
地下鉄の駅番号は、銀座線がG-19、都営浅草線がA-18である。
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[編集] 利用可能な鉄道路線
[編集] 駅の位置
当駅は、東武、東京地下鉄、都営地下鉄はそれぞれ別構内ではあるが、いずれも浅草地区東部の隅田川に近接する江戸通り(前、地下)に位置する。
つくばエクスプレスの「浅草駅」は、浅草寺を挟んで反対側の国際通り地下にあり、こちらとは離れていて、接続駅とはなっていない(また、一部の間では「浅草六区駅」と呼ばれている。)詳しくは浅草駅 (首都圏新都市鉄道)を参照。
[編集] 駅構造
- 東京地下鉄銀座線と東武伊勢崎線の間、東京地下鉄銀座線と都営地下鉄浅草線の間にそれぞれ地下連絡通路がある。東武伊勢崎線と都営地下鉄浅草線の乗り換えは、一度地上に出て、道路上を歩く必要がある。
[編集] 東武鉄道
- 頭端式の3面4線構造で、西側の1線は両側にホーム(4・5番線)がある。乗り場は、概ね以下の通りに使い分けられている(一部例外あり)。
- 松屋浅草店の2階にある駅ビル構造である。1931年(昭和6年)に浅草雷門駅(あさくさかみなりもんえき)として開業した。設計は久野節設計事務所である。当駅は久野の計らいにより、観光地の駅という事で複雑な構造を避け、入口からホームまでは一直線になっており、初めて利用する人でも駅構内では迷う事もなくとても分かり易い設計で、また柱や改装前の外観のデザインにも関わっている。
- 当駅入口などのビルの表記では「東武鉄道」ではなく「東武電車」となっている。○○電車という表記は、関西の鉄道で多く用いられる表記・表現である(例として「阪神電車」「近鉄電車」「京阪電車」など。関東では他に「新京成電車」がある。)。東武鉄道がかつて本線のPRや車内放送で「東武電車」の呼称を使用していた名残りで、現在では東武鉄道内でも珍しいものとなっている。
- 伊勢崎線の起点駅であるが、0キロポストは同線開業時の起点である北千住駅に設置されている。
- 建物自体は改装こそしているものの、開業当時に建設されたものそのままである。隅田川とほぼ平行して建っている駅から、急カーブを切って隅田川鉄橋を渡る。線路のポイントは隅田川の鉄橋上に設置されている。
- プラットホーム先端が隅田川鉄橋へのカーブに達してしまい、ホームをこれ以上延伸できないため、列車編成長大化の妨げになっている他、ホームと列車との隙間が大きいという問題がある。一方、急カーブのため15km/hというゆったりとした速度で隅田川を渡る風景は、当駅の一つの情緒ともなっている(但し、車輪とレールの摩擦音が大きく、苦情も出ている。)。
- 編成長に制限がある事、伊勢崎線の都心への通勤・通学客のメインルートが北千住駅からの東京メトロ日比谷線に移行した事、さらに2006年3月18日ダイヤ改正より急行・準急による東京メトロ半蔵門線への直通運転が本格化した事により、当駅を起点とする列車は特急・快速など比較的長距離輸送を担う列車と北千住以南各駅停車のローカル列車が主体となった。なお、久喜・南栗橋以遠へ直通する列車は特急・快速・区間快速と朝夕の区間急行・土曜・休日の区間準急(久喜以遠のみ)に限られている。
- 2006年3月18日のダイヤ改正からは、前述の様に通勤・近距離における都心の玄関駅・接続駅としての存在をほぼ北千住駅などへ譲り、当駅は中距離列車が主に発着する、頭端式のターミナル駅(終着駅)を保っているなどの点で、通勤輸送・直通運転が主体の現在の東京では貴重な存在となっている(古くは、旧総武鉄道(現・JR総武本線)の両国橋駅(現・両国駅)などが当駅と性格が類似する。当駅ができる前は現在の亀戸線経由で現在の伊勢崎線列車も両国橋駅に乗り入れていた歴史がある。)。
- 駅も手狭であるが、松屋も手狭であり、例えば1階では婦人服や化粧品に加え和菓子を扱うなど売り場の構成に苦労している。これは建築当初は隣接する仲見世商店街などからの反発などから、当初はオフィスビルとして設計されていたが、建築中に松屋の入店が決まったという経緯の名残りである。そのため、店内エスカレーターなども完全な後付けであり、かなり無理のある配置になっている。
- 手狭な事に加え、建築後75年を超えるなど、老朽化も進んでいる事から当駅ビルの建て替えや移転の必要が唱えられ、実際に何度か議論の俎上に上っているとされるが、現在に至るまで具体化な進展が見られていない。これは伊勢崎線の運行だけではなく松屋の営業も考慮しなければならない事が一因と言われている。また、現在は建築当初の外観を望む事ができないが、駅ビルそのものが昭和初期を代表するアール・デコ様式による大規模建築物の一つである事から、建築学会などでは近代建築の文化財としての価値を指摘する意見も存在している。このため、実際の建て替えに至るまでにはかなりの紆余曲折が発生する可能性がある(これと全く同様の問題や懸念は、同じ久野節設計の建築物である南海電気鉄道の難波駅にも存在している。)。
- かつては発車標がモニター式だったが、現在はLED式に置き換えられている。また、正面改札口の先、2番線ホームの車止め裏側にもLED式のものが設置されていたが、後に液晶式のものに交換されている。
[編集] のりば
1・2 | ■普通 | 北千住・竹ノ塚・北越谷方面 |
■区間急行・区間準急 | ■伊勢崎線 北千住・新越谷・春日部 東武動物公園・久喜・館林・太田方面 |
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(■日光線直通) 南栗橋・新栃木方面 | ||
3・4 | ■伊勢崎線特急 | 「りょうもう」 新桐生・赤城・伊勢崎・葛生方面 |
■日光線特急 | 「スペーシアけごん」・「きりふり」 栃木・東武日光方面 |
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「スペーシアきぬ」・「ゆのさと」 栃木・新高徳・鬼怒川温泉方面 |
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■特急「しもつけ」 | 栃木・壬生・東武宇都宮方面 | |
5 | ■快速・区間快速 | 新栃木・東武日光・鬼怒川温泉 会津高原尾瀬口・会津田島方面 |
※日光線特急「ゆのさと」は季節運行。
- かつては1~5番線を種別に関わらず使用していた。
- 列車の乗り入れられる長さは原則として6両までに制限されている。1番線のみ8両まで収容可能だが、ホーム有効長の関係で8両編成の業平橋寄り2両はドア扱いをせず締め切りとなる(この部分のホーム側は細いホームに柵や柱が設置されているため、乗降にかなり危険な箇所である。ドアカットも参照。)。平日朝の上り区間急行は、10両編成のうち北千住駅で後部4両を切り離し、6両で当駅へ向かう。
- ダイヤによっては1・2番線に快速(6050系)や特急車(300系・350系)が入線する。
- 3・4番線の入口にインフォメーションセンターを兼ねた中間改札が設置されており、特急券もしくは入場券を所持しない乗客はホームに入る事ができない。また5番線発の快速・区間快速に乗車する際は、業平橋駅寄りにある北改札口からでは5番線に通じる階段が設置されていないため、1~2番線を経由して回り道をして5番線ホームに入る様に案内される。
- 3~5番線の業平橋方はカーブの関係でホームと車両との間に大きな隙間が生じているため、乗客の安全を図ってドアとホームに跨る移動式のステップが掛けられる(2番線の前2両もかなり大きな隙間が生じているが、このホームでのステップの設置は行われない。またここでいう「大きな隙間」は、車両中程で人間1人分は入る程の隙間ができる。但し現実にはほとんどの乗客は後4両の扉から乗車するので、その部分を跨いで乗降する乗客はほとんど居ない。)。
- また、すべての列車が発車する時に発車メロディーが鳴る。曲名は「PASSENGER」。曳舟駅や東武宇都宮駅、アレンジが異なるが池袋駅でも使用されているものと同様である。これは折り返しで回送になる列車でも同様である(但し数秒しか鳴らされない)。発車メロディーが鳴った後に発車標の案内が変わる。かつては発車ベルを使用していた。
[編集] 東京地下鉄銀座線
- 相対式ホーム2面2線の地下駅。
- 当駅から北に3本の留置線があり、夜間留置が可能である。これは昭和30年代に設置された。
- 松屋浅草店の目の前の地下、吾妻橋の近くにある。
- 1番線側のみが都営浅草線の連絡通路と結ばれている。上野駅の浅草方面行ホームや上野広小路駅~田原町駅間の浅草方面行の時刻表と浅草行列車内で当駅の到着番線が案内されているのはこのためである。
- のりば
1・2 | ○銀座線 | 上野・銀座・赤坂見附・渋谷方面 |
[編集] 都営地下鉄浅草線
- 相対式ホーム2面2線の地下駅。
- 銀座線の駅より2~3分程度歩く。当初計画では当線は浅草を経由しなかったが、ルート変更により設置された。押上方面に向かうため、東武伊勢崎線、東京メトロ銀座線とはやや離れたところに駅が置かれている。
- ホーム全体がカーブ上に位置している。そのため、ドアとホームの間の隙間が空く場所がある。
- ホームに掲示されているタレント養成所の広告には、浜崎あゆみと加藤晴彦の昔の写真が使われている。
- A4・A5出口の階段の途中にあるエレベーターは、そのままビルにつながっているため、一般の乗客は利用できない。
- のりば
1 | ○ | 日本橋・泉岳寺・西馬込・羽田空港・三崎口方面 |
2 | ○ | 押上・成田空港・印旛日本医大・芝山千代田方面 |
[編集] 駅周辺
浅草寺を始めとする観光地、浅草公園六区といわれる興行街がある。また、隅田川沿いにある隅田公園の最寄り駅でもあり、墨田区役所・アサヒビール本社が吾妻橋の対岸にある。詳細は浅草を参照のこと。
浅草神社は、浅草駅の北西方にある。 |
浅草寺は、浅草駅の北西方にある。 |
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駒形橋は、都営地下鉄浅草線の当駅前、隅田川に架かる。対岸の墨田区側から撮影(2005年8月)。 |
隅田公園(2005年11月) |
[編集] 路線バス
この駅の場合、古くからの歓楽街という事もあり、いわゆるバスターミナルが設けられていないが、後述の路線バスが最寄りの「東武浅草駅」バス停に乗り入れる。また、最寄りではないが浅草雷門と浅草雷門南バス停がバスターミナルの機能も果たしており、東武の駅からは離れるが、東京メトロと都営地下鉄からは最寄りとなる。実質、これらを合わせて浅草駅のバスターミナルと考える事ができる。
都内のターミナル駅の内でも、池袋駅へ向かう場合には地下鉄ではなく都バスが最安であり、また浅草地区から乗り換えなしに直接行ける唯一の選択肢となる。このため、電車の乗り換えの際の階段昇降の手間を嫌う高齢者などを中心に池袋、あるいは経由地である巣鴨(とげ抜き地蔵が所在)から浅草まで、あるいはその逆を乗り通す客が珍しくない。但し、地下鉄と比べて所要時間は長くなる。
浅草駅最寄のバス停は「浅草松屋前」という名称だったが、2007年4月1日から「東武浅草駅前」に改称された。
[編集] 東武浅草駅前
- [都08]日暮里駅~東武浅草駅前~錦糸町駅
- [東42甲]南千住~産業労働会館~東武浅草駅前~浅草橋駅(~東神田)~日本橋~東京駅八重洲口
- [東42乙]南千住~今戸~東武浅草駅前~浅草雷門~三井記念病院~秋葉原駅
- [草64]池袋駅東口(とげぬき地蔵前(都営バス巣鴨営業所))~西巣鴨~王子駅~梶原~尾久駅~田端新町一丁目~新三河島駅~荒川区役所~大関横丁~日本堤~東武浅草駅前~浅草雷門←浅草雷門南
[編集] 浅草雷門
- 都営バス
- [上23]上野松坂屋~上野駅~浅草寿町~浅草雷門~押上~中居堀~東墨田三丁目~平井駅
- [草24]東大島駅~亀戸駅~亀戸天神~本所四丁目~浅草雷門~浅草寿町
- [草39]上野松坂屋~上野駅~浅草寿町~浅草雷門~東向島広小路~青戸車庫(都営バス南千住営業所青戸支所)~中川大橋~金町駅
- [東42乙]南千住~今戸~浅草松屋前~浅草雷門~三井記念病院~秋葉原駅
- [草43]浅草雷門~浅草公園六区~三ノ輪駅~千住車庫(都営バス千住営業所)~足立区役所
- [草63]池袋駅東口~西巣鴨~とげぬき地蔵前(都営バス巣鴨営業所)~巣鴨駅~白山上~西日暮里駅~荒川区役所~大関横丁~日本堤~浅草松屋前~浅草雷門←浅草雷門南
- [草64]池袋駅東口(とげぬき地蔵前(都営バス巣鴨営業所))~西巣鴨~王子駅~梶原~尾久駅~田端新町一丁目~新三河島駅~荒川区役所~大関横丁~日本堤~浅草松屋前~{浅草雷門→浅草雷門南}
[編集] 浅草雷門南
- 都営バス
- [草63]池袋駅東口~西巣鴨~とげぬき地蔵前(都営バス巣鴨営業所)~巣鴨駅~白山上~西日暮里駅~荒川区役所~大関横丁~日本堤~浅草松屋前~浅草雷門←浅草雷門南
- [草64]池袋駅東口(とげぬき地蔵前(都営バス巣鴨営業所))~西巣鴨~王子駅~梶原~尾久駅~田端新町一丁目~新三河島駅~荒川区役所~大関横丁~日本堤~浅草松屋前~{浅草雷門→浅草雷門南}
[編集] その他
- 浅草駅前
- 浅草駅
- 雷門前・都営浅草駅
- 台東区循環バス「めぐりん」
- <東西めぐりん> 新御徒町駅・上野駅入谷口・千駄木駅方面
- 台東区循環バス「めぐりん」
- 都営浅草駅
[編集] 水上バス
駅のすぐ東側の隅田川河岸から東京都観光汽船による水上バスが発着している。
- 隅田川ライン
- 浅草~日の出桟橋
- 日の出桟橋方面行のみ、浜離宮にも寄港する便もある。
[編集] 歴史
- 1927年(昭和2年)12月30日 東京地下鉄道の浅草駅が「東洋で最初の地下鉄」駅として開業。
- 1931年(昭和6年)5月25日 東武鉄道の駅が浅草雷門駅として開業、乗り換え駅となる。
- 1941年(昭和16年)9月1日 東京地下鉄道、営団地下鉄に路線を譲渡。
- 1945年(昭和20年)10月1日 東武鉄道の駅が浅草駅に改称。
- 1960年(昭和35年)12月4日 都営地下鉄1号線開業。
- 1978年(昭和53年)7月1日 都営地下鉄1号線を浅草線に改称。
- 2004年(平成16年)4月1日 営団地下鉄民営化に伴い、東京地下鉄銀座線となる。
[編集] 利用状況(1日平均)
[編集] 隣の駅
- 東武鉄道
- ■伊勢崎線
- 東京地下鉄
- ○銀座線
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- 田原町駅(G-18) - 浅草駅(G-19)
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- 東京都交通局
- ○浅草線