日立市
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日立市(ひたちし)は、関東地方の北部、茨城県の北部に位置する市。人口約20万人。旧多賀郡。
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[編集] 概要
日立鉱山から発展した鉱工業都市であり、久原房之助が日立鉱山を拠点として以来、日立製作所(日立グループ)の企業城下町となる。他に似たような企業城下町には、豊田市(トヨタ自動車)や新居浜市(別子銅山、住友グループ)などがある。
尚、都市名と企業名の混同を避ける為に、日立市民は日立製作所を日製(にっせい)と呼び、都市名を日立(ひたち)と呼んで区別する。
[編集] 地理
関東平野が久慈川(日立市と東海村の境界)で北端となるため、東側の太平洋と西側の多賀山地に挟まれ、南北に細長く可住地が伸びている。可住地の多くは、日立製作所及びその関連企業の施設が占めているため、山間地を切り開いて造成した住宅地が多い。
可住地は大半が海岸段丘と扇状地であるため、水の便が悪い所が多い。河川も河口付近まで谷になっているものが多い。昔は、沢の上流からかけどいと呼ばれる水道橋を作って用水を確保していた地域もある。又、扇状地の末端部分では泉が森のように地下水が湧き出し泉となっているところもある。
南北に大きく伸びた海岸線を持つことから、市内には6箇所の海水浴場を持つ。名勝として、玉簾の滝(たまだれのたき)や諏訪梅林(すわばいりん)などがある。市内各地に桜の木が多く見られ、「日本さくら名所100選」にも選ばれている(かみね公園・平和通り)。
市北西部の日立鉱山には1914年に煙害対策として高さ155.7mの大煙突(だいえんとつ)が建てられ、工業都市日立のシンボルとして長く親しまれた。これをモデルにした小説として、新田次郎の「ある街の高い煙突」がある。この大煙突は、1993年2月19日、この日に吹いた強風と老朽化の影響で突如倒壊し、現在は高さ54mとなっている。
総じて、常磐線の駅を目安に各地区が形成されており、大甕(おおみか)・多賀(たが)・助川(すけがわ)・小木津(おぎつ)・十王(じゅうおう)の国道6号沿線と、中里(なかざと)の国道349号沿線に分けられる。中里地区は、同じ国道349号沿線の常陸太田市との関係が深い。
戦後の一時期、県庁所在地の水戸市を人口で上回っていたことがある。しかし近年は日立製作所グループの再編成などによって人口が減少し、十王町との合併にも関わらず20万人を割った。つくば市に抜かれ、現在は県内3位となっている。
- 川:久慈川
[編集] 歴史
- 鹿野場遺跡、六ツヶ塚遺跡などから約3万年前の石器が出土しており、この地域には当時から人が定住していたと考えられている。
- 日立が初めて文献に登場するのは、「常陸国風土記」である。
- 中世には佐竹氏らの支配を受けるが、江戸以降は水戸藩領となる。
- 1695年旧9月 徳川光圀が神峰神社に参拝した時、海上から朝日の昇る様子を「朝日の立ち上る様は領内随一」として、一帯を日立と命名した。
- 1897年2月25日 日本鉄道大甕駅と下孫駅(現常陸多賀駅)、助川駅(現日立駅)、川尻駅(現十王駅)が開業。
- 1905年 久原房之助による日立鉱山の開発に伴い鉱山町として発展を始め、その従業員であった小平浪平が設立した日立製作所の規模拡大によって工業都市へと発展した。
- 1914年12月 日立鉱山から排出される煙害対策として、大煙突が完成。
- 1928年12月27日 常北電気鉄道(後の日立電鉄)が大甕~久慈(現久慈浜駅)間を開業。
- 1929年7月3日 常北電気鉄道が久慈(現久慈浜)~常北太田駅間を開業。
- 1939年9月1日 多賀郡の日立町と助川町が合併し、日立市となった。(県内2番目)
- 1945年:艦砲射撃(7月17日)と日立空襲(6月10日と7月19日の2度)で被災。その被災規模は北関東でも上位であった。
- 1947年9月1日 日立電鉄が大甕~鮎川駅間を開業。
- 1993年2月19日 市のシンボルであった大煙突が倒壊。
- 2004年11月1日 十王町を編入合併。
- 2005年4月1日 日立電鉄が廃止となる。
[編集] 行政
- 市長:樫村千秋
[編集] 政治
[編集] 衆議院
[編集] 茨城県議会
[編集] 市議会
[編集] 産業
日立市は日立製作所の企業城下町として有名である。市の人口のおよそ30%は日立製作所及びグループ会社の社員かその家族である。外の企業城下町では、西の豊田市(トヨタ自動車)と対比される事が多い。市内には、日立製作所およびその系列企業の工場や社宅、社員寮が多数点在する。
日立鉱山は、現在のジャパンエナジー・日鉱金属の元になっている日本鉱業発祥の地でもある。日立鉱山は1981年に閉山となっているが、鉱石の精錬事業は日鉱金属の工場で現在も続いている。
又、十王地区の伊師浜海岸には、日本で唯一、海鵜(ウミウ)の捕獲が許可されている鵜捕り場が設けられている。
[編集] 漁業
- 日高漁港
- 会瀬漁港
- 水木漁港
- 久慈漁港
[編集] 教育施設
[編集] 大学
[編集] 高等学校
- 茨城県立日立第一高等学校
- 茨城県立日立第二高等学校
- 茨城県立日立工業高等学校
- 茨城県立日立商業高等学校
- 茨城県立多賀高等学校
- 茨城県立日立北高等学校
- 科学技術学園高等学校日立(技能連携校 日立工業専修学校)
- 茨城キリスト教学園高等学校(私立)
- 明秀学園日立高等学校(私立)
- 翔洋学園高等学校(通信制)
[編集] 中学校
- 日立市立
- 私立
[編集] 小学校
- 日立市立
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- 私立
- 久慈川三育小学校
[編集] 交通
[編集] 鉄道
- 中央駅:日立駅
[編集] 廃線
[編集] 主な道路
- 茨城県道36号日立山方線
- 河原子街道
- 平和通り(日立駅前通り)
- よかっぺ通り(常陸多賀駅前通り)
- けやき通り(市道・一部区間県道)
- 中央線(市道)
地理的に東西を山と海に挟まれた一帯にまんべんなく市街地が発展したこの街は自動車文化の到来に伴い、日立市内の国道6号と国道245号は交通渋滞が非常に激しい。特に昼間に一般道で日立市を通過する際にはかなりの時間を要するため、常磐自動車道を用いる方が便利である。
市でも渋滞の緩和は課題のひとつであり、種々の施策を行っている。 2006年現在、日立市北部の田尻町~河原子町の海岸沿いを通る国道6号バイパスが建設中である。 国道6号とは別に小木津~石名坂間山越えの県道ルートが計画にあるが、先述のバイパス同様巨額の建設費用が必要とされる。
又、市内を貫く国道245号線は、日立製作所の日立工場(日立事業所)や国分工場で製造された大型の発電機などの輸送に耐えるよう、日立事業所のある幸町から南部の日立港までの区間が特殊な構造になっている。以前はドイツのアウトバーンのようにコンクリートで鋪装された白い道路であったが、現在は、雨天時の安全性と重量物の輸送の何れにも対応する観点から、表面がアスファルト鋪装され、その下にコンクリートが敷かれている。又、幸町-日立港の区間には2カ所の歩道橋があるが、大型構造物の輸送の際に障害にならないよう、橋梁部が可動式(道路上空の部分が水平に持ち上がる構造)になっている。同様に、同区間にある信号や道路標識は、支柱を中心に水平方向に回転するようになっている。概ね月1回程度のペースで大型構造物の輸送があり、その場合は深夜245号線を通行止めないし一方通行とする。これについては、以前「トリビアの泉」で取り上げられたことがあった。
[編集] 港湾
[編集] 姉妹都市・提携都市
[編集] 観光地・祭事・施設
[編集] 観光地・施設
- 吉田正音楽記念館
- かみね公園/かみね動物園/日立市郷土博物館
- 奥日立きららの里
- 日立シビックセンター/科学館/日立市立記念図書館
- 高鈴山、神峰山、風神山
- 会瀬海水浴場、川尻海水浴場、河原子海水浴場、久慈浜海水浴場、水木海水浴場、伊師浜海水浴場
- 小貝浜
- 花園・花貫県立自然公園
- 伊師浜海岸
- 鵜の岬温泉国民宿舎鵜の岬/鵜来来の湯十王/十王物産センター鵜喜鵜喜(うきうき)
- 鵜の岬(海鵜捕獲地)
- 南高野貝塚
- 玉簾の滝
[編集] 祭、郷土芸能
- 日立さくらまつり
- 日立風流物(国指定重要有形・無形民俗文化財)
- 日立ささら(県指定無形民俗文化財)
[編集] 日立市出身の有名人
[編集] 関連項目
- 常陸国風土記
- 小説「ある町の高い煙突」(新田次郎)
- パンポン(日立市/日立製作所が発祥の球技)
- 茨城県の合併新市・新町一覧
[編集] 外部リンク
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