内房線
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内房線(うちぼうせん)は、千葉県千葉市中央区の蘇我駅から房総半島の東京湾側を経由し千葉県鴨川市の安房鴨川駅へ至る東日本旅客鉄道(JR東日本)の鉄道路線(幹線)である。
蘇我駅で外房線から分岐し、安房鴨川駅で再び外房線に接続する。
目次 |
[編集] 路線データ
- 管轄(事業種別):東日本旅客鉄道(第一種鉄道事業者)
- 路線距離(営業キロ):蘇我~木更津~安房鴨川間 119.4km
- 軌間:1067mm
- 駅数:30駅(起終点駅含む。但し千葉駅、本千葉駅は含まない)
- 複線区間:蘇我~君津間
- 電化区間:全線(直流1500V)
- 閉塞方式:(複線及び単線)自動閉塞式
- 最高速度:120km/h(蘇我~君津)、95km/h(君津~安房鴨川)
[編集] 歴史
房総半島を一周する鉄道のうち、東京湾側の鉄道として1912年に蘇我~姉ケ崎間が木更津線(きさらづせん)として開業したのが始まりである。以後小刻みに延伸を繰り返し、1919年に安房北条(現在の館山)まで達したところで北条線(ほうじょうせん)と改称し、その後1925年に安房鴨川に達して現在の内房線の区間が全通した。
1929年には、房総半島の東側で建設されていた房総線が安房鴨川まで延伸され、北条線を編入の上千葉~大網~安房北条~木更津~蘇我間が房総線(ぼうそうせん)とされた。しかし、1933年には再び蘇我~木更津~安房鴨川間が房総西線(ぼうそうさいせん)として分離され、1972年に現在の内房線に改称された。
- 1912年3月28日 木更津線蘇我~姉ケ崎間開業
- 1912年8月21日 姉ケ崎~木更津間延伸開業
- 1915年1月15日 木更津~上総湊間延伸開業
- 1916年10月11日 上総湊~浜金谷間延伸開業
- 1917年8月1日 浜金谷~安房勝山間延伸開業
- 1918年8月10日 安房勝山~那古船形間延伸開業
- 1919年5月24日 那古船形~安房北条(現在の館山)間延伸開業。同時に北条線に改称
- 1921年6月1日 安房北条~南三原間延伸開業
- 1922年12月20日 南三原~江見間延伸開業
- 1924年7月25日 江見~太海間延伸開業
- 1925年7月11日 太海~安房鴨川間延伸開業
- 1926年6月16日 竹岡駅開業
- 1927年5月20日 千歳仮停車場開業
- 1930年8月1日 千歳仮停車場が駅に昇格し千歳駅開業
- 1929年4月15日 房総線が安房鴨川まで延伸され全通。北条線を房総線に編入
- 1933年4月1日 房総線の蘇我~安房鴨川間を房総西線に分離
- 1941年11月20日 巌根駅開業
- 1946年3月1日 安房北条駅を館山駅に改称
- 1947年1月10日 長浦駅開業
- 1956年4月10日 周西駅を君津駅に改称
- 1964年7月1日 蘇我~浜野間複線化
- 1964年9月20日 浜野~八幡宿間複線化
- 1965年7月4日 八幡宿~五井間複線化
- 1968年5月26日 五井~長浦間複線化
- 1968年7月13日 (千葉~)蘇我~木更津間電化
- 1969年3月20日 長浦~楢葉(現在の袖ケ浦)間複線化
- 1969年7月10日 館山行き135列車さよなら運転(C57-105号機牽引)、蒸気機関車牽引の旅客列車の定期運用がなくなる
- 1969年7月11日 木更津~千倉間電化
- 1970年3月18日 楢葉~木更津間複線化
- 1970年3月24日 木更津~君津間複線化
- 1971年7月1日 千倉~安房鴨川間電化
- 1972年7月15日 内房線に改称
- 1974年3月31日 楢葉駅を袖ケ浦駅に改称
- 1982年11月15日 木更津~安房鴨川間貨物営業廃止
- 1987年4月1日 国鉄分割民営化により東日本旅客鉄道に承継。蘇我~木更津間で日本貨物鉄道が第二種鉄道事業者となる
- 1996年11月1日 日本貨物鉄道の第二種鉄道事業(蘇我~木更津間)廃止
- 2001年2月4日 千葉~巌根間でATS-P使用開始
[編集] 運転形態
普通列車を中心としたダイヤ編成で、主に千葉駅を始発・終着とする。東京駅方面から直通する列車は東京駅と千葉駅の間は総武本線の線路を、千葉駅と蘇我駅の間は外房線の線路を、また特急列車と一部通勤電車は京葉線を経由し蘇我駅から当線に合流する。
[編集] 普通
普通列車は主に千葉~木更津・君津(一部上総湊)間の区間便(日中毎時3往復)、千葉~安房鴨川・館山(一部千倉)間の区間便(日中毎時1往復)、及び館山~安房鴨川の区間便(館山で千葉方面の普通列車と接続)が設定されている。
かつては外房線と相互直通を行う列車も存在し、保田発安房鴨川経由上総一ノ宮行や上総一ノ宮発館山・木更津経由千葉行などが運転されていたことがあったが、現在は安房鴨川でそれぞれ分断されている。
京葉線直通快速の京葉車両センターへの回送を兼ね、君津~東京を京葉線経由で運転する普通列車が夜に2本設定されている。
使用車両は113系・211系(いずれも幕張車両センター所属)が使用されている。なお、京葉線直通列車は205系が使用される。
[編集] 快速
- 京葉線直通(快速・通勤快速)
- 京葉線直通の快速・通勤快速のうち朝夕の一部列車が君津駅まで乗り入れている(朝:上り2~3本、夕方:下り5本・上り2本。朝の上りのうち1本は上総湊駅始発)。
- 使用車両
[編集] 優等列車
京葉線の東京駅から君津駅、館山駅(多客期のみ千倉駅)まで特急「さざなみ」が運転されている。かつては特急「ビューさざなみ」が運転されていたが、2005年12月10日のダイヤ改正で「さざなみ」に統一された。また、臨時列車であるが、週末に運転される特急「新宿さざなみ」(新宿~千倉)が運転されている。
- 使用車両
- 255系(グリーン車連結)
- E257系500番台(普通車のみ)
[編集] 駅一覧
- 普通列車は各駅に停車。
路線名 | 駅名 | 営業キロ | 快速 ・ 通勤快速 |
接続路線 | 所在地 | |
---|---|---|---|---|---|---|
外房線 | 千葉駅 | 3.8 | ● | 東日本旅客鉄道:総武本線(総武快速線と君津駅の間で快速直通) 千葉都市モノレール:1号線・2号線 京成電鉄:千葉線(京成千葉駅) |
千葉県 | 千葉市中央区 |
本千葉駅 | 2.4 | | | ||||
蘇我駅 | 0.0 | ● | 東日本旅客鉄道:外房線(内房線は千葉駅方面へ直通)・京葉線(朝夕は上総湊駅まで快速・通勤快速の直通あり) | |||
内房線 | ||||||
浜野駅 | 3.4 | | | ||||
八幡宿駅 | 5.6 | ● | 市原市 | |||
五井駅 | 9.3 | ● | 小湊鉄道:小湊鉄道線 | |||
姉ケ崎駅 | 15.1 | ● | ||||
長浦駅 | 20.5 | ● | 袖ケ浦市 | |||
袖ケ浦駅 | 24.4 | ● | ||||
巖根駅 | 27.5 | | | 木更津市 | |||
木更津駅 | 31.3 | ● | 東日本旅客鉄道:久留里線 | |||
君津駅 | 38.3 | ● | 君津市 | |||
青堀駅 | 42.0 | ● | 富津市 | |||
大貫駅 | 46.6 | ● | ||||
佐貫町駅 | 50.7 | ● | ||||
上総湊駅 | 55.1 | ● | ||||
竹岡駅 | 60.2 | |||||
浜金谷駅 | 64.0 | |||||
保田駅 | 67.5 | 安房郡鋸南町 | ||||
安房勝山駅 | 70.8 | |||||
岩井駅 | 73.7 | 南房総市 | ||||
富浦駅 | 79.8 | |||||
那古船形駅 | 82.1 | 館山市 | ||||
館山駅 | 85.9 | |||||
九重駅 | 91.7 | |||||
千倉駅 | 96.6 | 南房総市 | ||||
千歳駅 | 98.6 | |||||
南三原駅 | 102.2 | |||||
和田浦駅 | 106.8 | |||||
江見駅 | 111.4 | 鴨川市 | ||||
太海駅 | 116.0 | |||||
安房鴨川駅 | 119.4 | 東日本旅客鉄道:外房線 |
- 凡例
- ●:停車 |:通過
[編集] 今後の予定
- 2007年から千葉ディスティネーションキャンペーンで多くの臨時列車が走ることが決まっている。
- 君津から先の各駅の本数削減を次のダイヤ改正時に行う予定がある。
- 2007年12月のダイヤ改正時より浜野駅の京葉・総武直通快速の停車が決まっている。それに伴い2007年11月末までにホーム延伸を竣工予定である。これにより、内房線内の快速通過駅は巖根駅のみとなる予定。
- 朝の通勤時間帯の千葉県内JR線においては「浜野」→「蘇我」間が乗車率200%を超え県内ではトップ3に入る数字であり、これを緩和する効果が期待できる。
- 五井駅~姉ヶ崎駅間に島野駅(仮称)を設置する計画がある。そのため同区間の中間に「(仮称)島野駅早期実現」という看板が設置されているが、実現は厳しいものとなっている。
[編集] 車両問題
- 2006年の秋から211系の運用が開始されたが、6両編成を5両編成にしたため混雑するようになった(特に千葉駅~姉ヶ崎駅)。
- 座席をオールロングシートにしたためボックスシートに慣れている房総半島の人は「座りづらい」などの苦情もでている。
- 211系運用開始日に、車掌がドアを半自動にしたため乗客が降りることができず余計な混雑を招いたこともあった。