矢野輝弘

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矢野輝弘（やのあきひろ、1968年 12月6日 - ）は、平成期（1990年代-）のプロ野球選手。ポジションは捕手。愛称はテル。あるいはアキ、矢野プー。大阪府大阪市平野区瓜破生まれ。

[編集] 来歴・人物

[編集] 大学・中日時代

身長181cm、体重84kg、右投右打。大阪市立瓜破中学校出身大阪市立桜宮高校から東北福祉大を経て、1990年ドラフト2位で中日ドラゴンズに入団。この時にドラフト会議の司会者だった伊東一雄（パンチョ伊東）から名前を「やのてるひろ」と読み間違えられたことが、当時の星野仙一監督から「テル」と呼ばれるきっかけとなった。長らく中村武志の控え捕手の立場で、外野手と兼任だった。

[編集] 阪神へ移籍・移籍後に勝ち取った正捕手の座

1997年オフ大豊泰昭とともに、関川浩一・久慈照嘉とのトレードで阪神タイガースに移籍（トレードは本人にとってショックだったようで、聞かされた日の夜、裕子夫人と涙のドライブをした）。当時阪神の正捕手だった山田勝彦が、攻守両面で野村克也監督（当時）を満足させることはできなかったこともあり、移籍後すぐに正捕手の座を勝ち取る（『虎の恋女房』と呼ばれることも多々ある）。野村監督のID野球と捕手極意を吸収しようとする本人の努力の賜物であろう。

[編集] 星野監督との再会・怪我との戦い

運命のいたずらか、2001年野村沙知代夫人の逮捕に伴い、野村監督が辞任すると、なんと奇しくも自らを阪神へのトレードに踏み切った星野が阪神監督に就任する。この時矢野は「また星野監督に捨てられてしまう」と失望してしまったと後に語っている。この年は怪我が多く、2度の骨折に泣かされた。そこまで順調な成績を残していたチームも矢野の離脱と共に失速。

[編集] 金本との再会・そして優勝

翌2003年には、広島から移籍してきた金本知憲の影響を受け、強い体作りに着手。同年はシーズンを通してほぼマスクを被り、8番の藤本敦士とともに『恐怖の下位打線』と呼ばれた。4点差で井川にMVPを譲ったが攻守両面で活躍（チーム防御率はセ・リーグトップの3.53、自身の打率は.328）し、13年目にして自身初のベストナインとゴールデングラブ賞を獲得。特にゴールデングラブ賞は捕手として史上最年長での初受賞（35歳）として話題になった。

[編集] 優勝翌年

2004年には36歳にして自身初となる全試合（138試合）出場を達成。しかしさすがにシーズン終盤には疲労が目に見えてプレーに現われるようになり、パスボールなどキャッチングミスも目立った。また、阪神では辻恭彦以来2人目となる全試合マスクを目指したが、惜しくも137試合の出場に留まった。矢野が守備に付かなかった、その1試合は井川慶がノーヒットノーランを達成した試合（捕手野口寿浩、矢野は代打での出場）であった。

[編集] 現在

2005年には三振を減らすべく宮本慎也のバッティングフォームを参考にしたフォームに改造、自己最多の19本塁打を放ち、盗塁阻止率も自己最高記録を残すなど、チーム最年長選手となった今なお成長を続ける遅咲きの選手である。2006年には17本塁打を放ち、通算100本塁打を達成。また、チーム2位の78打点も評価され、3度目のベストナインにも選出された。

[編集] 略歴

1990年ドラフト2位で中日ドラゴンズに入団。
1997年トレードで阪神タイガースに入団。
1999年初の打率3割を達成。
2003年 2度目の打率3割を達成、ベストナイン・ゴールデングラブ賞を獲得。
2005年日本シリーズ敢闘賞、2度目のベストナイン・ゴールデングラブ賞を獲得。
2006年審判の判定を不服とし、有隅昭二球審に暴力行為を働き、自身2度目の退場処分を受ける。また1試合の出場停止処分も同時に受けている。

[編集] 概要

身長・体重：181cm 82kg
投打：右投右打
出身地：大阪府大阪市
球歴・入団経緯：桜宮高 - 東北福祉大 - 中日（1991年 - 1997年） - 阪神（1998年 - ）
FA取得：2005年（2回目・行使残留）
プロ入り年度・ドラフト順位：1990年（2位）
英語表記：YANO
推定年俸：2億2000万（2006年）
守備位置：捕手、（外野）

[編集] 年度別成績

年度	所属	背番号	試合	打席	打数	得点	安打	二塁打	三塁打	本塁打	塁打	打点	盗塁	盗刺	犠打	犠飛	四球	死球	三振	併殺	打率	失策
1991	中日	2	22	30	27	2	3	0	0	1	6	4	0	0	1	0	2	0	15	0	.111	0
1992			72	118	108	10	28	6	0	0	34	8	0	1	0	1	8	1	20	3	.259	2
1993			24	39	31	5	10	0	0	1	13	3	0	0	1	0	6	1	4	1	.323	0
1994			35	53	46	5	10	2	0	1	15	2	0	1	3	0	3	1	9	2	.217	0
1995			57	123	115	14	28	2	2	1	37	5	1	0	0	0	7	1	31	5	.243	1
1996		38	56	124	104	26	36	3	0	7	60	19	1	0	2	2	13	3	16	2	.346	2
1997		38	83	244	214	24	54	8	0	3	71	19	1	0	5	0	22	3	32	3	.252	2
1998	阪神	39	110	340	285	27	60	18	0	3	87	20	1	2	24	0	27	4	63	9	.211	2
1999			113	418	369	39	112	13	2	3	138	27	5	2	6	2	36	5	74	14	.304	5
2000			114	428	376	41	101	12	1	5	130	26	1	2	9	4	35	4	87	9	.269	6
2001			119	364	327	26	79	10	1	8	115	30	1	1	5	3	28	1	72	10	.242	3
2002			66	253	221	31	71	18	2	6	111	27	1	1	5	0	24	3	51	6	.321	1
2003			126	484	433	65	142	25	5	14	219	79	1	0	4	1	38	8	84	8	.328	2
2004			138	551	502	38	143	23	3	11	205	65	1	3	4	3	35	7	110	19	.285	3
2005			138	550	499	53	135	26	0	19	218	71	1	1	9	2	32	8	113	12	.271	3
2006			133	501	453	42	124	20	3	17	201	78	0	0	8	5	32	3	94	12	.274	6
通算			1406	4620	4110	448	1136	186	19	100	1660	483	15	14	86	23	348	53	875	115	.276	38

年度	試合数	企図数	許盗塁	盗塁刺	阻止率
1991	14	3	0	3	1.000
1992	65	22	18	4	.182⑨
1993	21	8	5	3	.375
1994	26	8	5	3	.375
1995	41	16	10	6	.375
1996	38	13	9	4	.308
1997	60	41	34	7	.171
1998	109	80	54	26	.325⑤
1999	111	79	53	26	.329④
2000	113	69	45	24	.348②
2001	108	81	49	32	.395③
2002	66	31	19	12	.387
2003	123	100	65	35	.350③
2004	137	87	57	30	.345②
2005	138	76	43	33	.434③
2006	132	67	39	28	.418②
通算	1302	781	505	276	.353

[編集] エピソード

1999年、2003年には打率3割も記録しているように、打撃のお手本のようなバッティングフォームには定評があり、右打ちが出来て勝負強く、ホームランも打てる7番バッター。
ノーヒットノーランに縁があり、通算2度マスクを被っている。中日時代には1996年 8月11日の読売ジャイアンツ19回戦（東京ドーム）で野口茂樹、阪神移籍後にも1998年 5月26日の中日ドラゴンズ9回戦（倉敷マスカットスタジアム）で川尻哲郎をリードして記録達成を演出している。ノーヒットノーランを複数回達成した捕手は史上通算21人いるが、2006年現在現役の捕手では矢野の他、古田敦也（東京ヤクルト）、谷繁元信（中日）の計3人。前述の2004年、井川がノーヒットノーランを達成した試合は野口が先発フル出場したため、矢野は通算3度目の「ノーヒッター捕手」の称号ばかりか、史上19回しか達成されていないシーズン全試合出場捕手の記録までも逃し（但し代打では出場）、また2006年9月16日の中日戦（ナゴヤドーム）では山本昌の前に逆にノーヒットノーランを食らう羽目に遭うなど、矢野とノーヒットノーランには妙な縁が付きまとっている。
また2001年、当時中日の野口が阪神戦（石川県立野球場）でセ・リーグ記録の16奪三振を達成し1安打完封を記録しているが、その試合で唯一のヒットを打ったのが矢野であり、このヒットがなければ完全試合になっていた（余談だが、この時阪神は外野に1球も打球を飛ばせなかった）。
2003年6月17日の横浜戦では珍しいサヨナラ三塁打を記録している。
阪神釣り同好会の会長であり、関本健太郎・福原忍・カツノリ（現楽天二軍育成コーチ）などを連れてオフにはバス釣りに行く。釣り道具、またはロッカーなどは「ぐちゃぐちゃ」らしい（本人談）。
その顔立ちから女性ファン（尼崎市市長・白井文など）が多いが男性ファンからも人気である。また、「優しい」と形容する解説者が多い。
一方で「阪神で一番短気」と言われることもある。事実、1年に1度のペースで乱闘寸前になることがあり、投手に叱咤することもたまに見られる。また、審判の判定に相当不服を示す素振りもたまに見られ（9.7の決戦でもその光景が見られた）、それが原因で現在までに二度の退場処分を受けている。
吉本興業の漫才師、ケツカッチンの高山トモヒロ（ベイブルース高山）とは桜宮高校時代の同級生で、野球部でともにクリーンアップを打っていた。2005年のシーズンオフには、優勝旅行特番で高山と2人で漫才をした。高山からは「アキちゃん」と呼ばれる。同い年で大学の1学年後輩でもある金本からは「矢野プー」と呼ばれており、彼も「かねもっちゃん」と呼ぶ仲である。
「プロ野球界の日本人選手の中では3本の指に入るほどの巨根」であることを、オフのテレビ出演の際に、実際に宿舎などで風呂が一緒になった選手に暴露された。
CMには阪神のスポンサー企業である上新電機（赤星憲広と今岡誠とともに出演）に加え、2006年からはハウス食品の「六甲のおいしい水」に2004年からの今岡に加わって出演している。
声優界で大の阪神ファンとして知られる水樹奈々の2006年1月に行われた武道館ライブで、自らのビデオメッセージとサインボールをプレゼントして、水樹本人と観客を驚かせた。
2006年シーズンからは、本人プロデュースのオリジナルスウィーツ『Yano Chou（矢野シュー）』をリリース、甲子園球場内野席売店で販売され（※夏季はシューの中身がアイスに変更）、8月末には公式サイト限定販売のオリジナルTシャツもリリースされた。
現在は広い甲子園球場でも年間二桁本塁打を打つほどの長打力を持っているが、高校通算本塁打はわずか3本だった。
高校時代は全てのポジションを守ったことがある。但しプロ入り後は捕手以外に守ったポジションは外野だけである。
最近のマイブームはニンテンドーDSの漢字検定であると自身のホームページで明かしている。（このことは、キャンプ中に彼がサンテレビの熱血!タイガース党に出演した時にも明かしていて、同じくサンテレビで放送されている「サン虎検定」という阪神タイガースに関するクイズの番組でもネタになった｡）