都営地下鉄新宿線
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新宿線(しんじゅくせん)は、東京都新宿区の新宿駅~千葉県市川市の本八幡駅間を結ぶ、東京都交通局の運営する鉄道路線(地下鉄)。正式名称は10号線新宿線である。
路線名の由来は、高層ビル街や歌舞伎町など繁華街や飲食店が立ち並ぶ新宿から。車体及び路線図や乗り換え案内で使用されるラインカラーは「イエローグリーン」(黄緑):○S。
目次 |
[編集] 路線データ
- 路線距離(営業キロ):23.5km
- 軌間:1372mm
- 駅数:21駅(起終点駅含む)
- 複線区間:全線
- 電化区間:全線(直流1500V・架空電車線方式)
- 地上区間:東大島駅~船堀駅間
- 閉塞方式:車内信号閉塞式
- 保安装置:デジタルATC
- 最高速度:75km/h(駅進入時は55km/h)
- 車両基地:大島車両検修場
[編集] 概要
ATCシステムの関係で、東京の地下鉄では唯一VVVFインバータ制御車の走らない路線だったが、2005年5月14日に新ATCシステム(デジタルATC)への更新が行われ、21日から新宿線初のインバータ制御車10-300形が運用を開始した。なお、先頭車を新造して中間車は在来車のままとする10-300R形については1月20日から運用が開始されている。また、京王9000系も翌2006年3月15日より乗り入れを開始した。
東京地下鉄東西線同様、中央・総武緩行線のバイパス的役割を担っているが、ラッシュ時の混雑率は東西線よりも低い。
[編集] 東京の他の地下鉄との接続状況
新宿線は、東京地下鉄銀座線と日比谷線以外の9路線と接続駅がある。また、連絡運輸は無いが岩本町駅では徒歩連絡で秋葉原駅、神田駅への乗り換えが可能。岩本町駅のA3出口への階段近くに秋葉原駅への徒歩での所要時間が掲出されている。
[編集] 経営状況
収支状況は2004年度決算で純損益約85億9,710万4,000円の黒字([1]の5ページ目)、2005年度決算で約85億8092万0000円の黒字([2]の7ページ目)である。都営地下鉄の路線としては黒字額が最も大きい。
[編集] 沿革
- 1978年(昭和53年)7月1日 計画時は「10号線」という名称で呼ばれていたが、開業前の1号線と6号線の浅草線と三田線への改称と同時に、新宿線に改称した。
- 1978年(昭和53年)12月21日 岩本町~東大島間(6.8km)開業。
- 1980年(昭和55年)3月16日 新宿~岩本町間(7.3km)開業。京王帝都電鉄(現・京王電鉄)と相互直通運転開始。但し京王の車両は岩本町止まり。
- 1983年(昭和58年)12月23日 東大島~船堀間(1.7km)開業。
- 1986年(昭和61年)9月14日 船堀~篠崎間(4.9km)開業。
- 1986年(昭和61年)12月31日 大晦日~元日の終夜運転を開始。
- 1987年(昭和62年)12月20日 京王の車両の乗り入れ区間が岩本町から大島まで延長される。
- 1989年(平成元年)3月19日 篠崎~本八幡間(2.8km)開業(全線開通)。但し、本八幡駅は仮設駅で開業。
- 1991年(平成3年)9月1日 本八幡駅(本駅)開業。同時に京王の車両の乗り入れ区間を本八幡まで延長。
- 1993年(平成5年)5月9日 乗り越し精算と乗り継ぎ乗車券の発券を同時にできる日本初の自動乗り継ぎ精算機を市ヶ谷駅連絡改札口に設置。
- 1997年(平成9年)12月24日 全線で急行列車の運転開始(平日日中のみ)。高尾山口までの直通運転を開始(平日朝1本のみ。土曜・休日は2001年3月から)。
- 2001年(平成13年)3月27日 京王(笹塚以遠)との直通列車を昼間時には急行に変更。運転時間を拡大。
- 2003年(平成15年)12月1日 ダイヤ改正。土曜・休日の急行運転時間帯を拡大。平日朝の高尾山口行通勤快速が消滅。
- 2005年(平成17年)1月20日 10-300R形(10-000形のうち先頭車を差し替えた編成)運行開始。
- 2005年(平成17年)5月14日 新ATC(デジタルATC)システムに更新。
- 2005年(平成17年)5月21日 全車完全新造車の10-300形運転開始。
- 2006年(平成18年)3月15日 京王9000系30番台による直通運転開始。
- 2006年(平成18年)9月1日 ダイヤ改正。京王線橋本・京王多摩センター直通列車の大部分が10両編成で運行されるようになる。
本来は、本八幡から千葉ニュータウン方面(印旛松虫、北総鉄道北総線印旛日本医大の当時の仮称)を結ぶ千葉県営鉄道が接続し、直通運転を実施する計画であったが、現在に至るまで実現していない(運輸政策審議会答申第18号では削除された)。ただ、千葉県は名称を「東京10号線延伸新線」と改め、本八幡~新鎌ヶ谷間について、第三セクターにより将来的に事業化する方向で、調査検討を進めていく方針を千葉県議会で表明した。だが、競合路線となる北総鉄道の現在の経営状態からして、その採算性に疑問を抱く意見も少なくはない。一方、新鎌ヶ谷~柏方面への接続も視野に入れて検討している。
[編集] 運行形態
多くの電車が新宿駅(新線新宿駅)から先京王新線に直通し(日中は新宿止まりが20分間隔)、そのうち約7割が笹塚駅止まりで、約3割がその先京王線と相模原線の橋本駅まで相互直通運転を実施している。新宿~本八幡の全区間に亘って急行運転を行っている(列車種別参照)。
日中は20分サイクルに橋本直通の急行が1本、笹塚折り返しの各停が2本(瑞江または岩本町で急行通過待ち)、新宿折り返しの各停が1本(急行の通過待ちはなし)が走るパターンダイヤとなっている。
また、土日祝日のみ直通電車のうち、2本が調布から相模原線に入らず高尾線高尾山口駅まで、1本が動物園線多摩動物公園駅まで直通している。1997年(平成9年)12月から2003年(平成15年)12月までは高尾線方面に平日にも通勤快速が直通していた。
かつては京王八王子駅から岩本町駅までの運行(車両運用は京王八王子駅から京王7000系で運行し、桜上水駅で都営車と車両交換してそのまま岩本町駅へ運行していた。桜上水駅で車両交換するのは7000系に都営線の乗り入れ設備がないためと都営線内は運用上都営車で運用しなければならないため)もあったが、現在、岩本町駅行は橋本駅からの運用に改め、車両も全区間都営車の運用となった。(岩本町行きは深夜の時間帯に都営線直通最終列車として運行される。)
2006年9月1日のダイヤ改正から、京王相模原線に直通する列車と相模原線から新宿線内に直通する列車は基本的に10両編成であるが、東京都交通局の車両はすべて8両編成のため、10両編成の運行は京王電鉄の車両(新宿線走行に対応している6000系・9000系)に限られる。なお、都営車も10両化に備えて全ての編成において3番目と4番目の車番が欠番となっている。
また、笹塚駅の引き上げ線のうち1本が10両に対応できないため、笹塚止まりの各駅停車は都営車での運用で8両編成である。また、京王線の桜上水駅やつつじヶ丘駅止まりの列車や、相模原線直通電車でも朝や深夜の列車(各駅停車や快速が中心)では8両編成で都営車が使用される。
2006年8月31日までは京王線直通列車は朝ラッシュ時以外は8両編成だったため、ラッシュが終わると相模原線の若葉台駅で2両を切り離し(または車両交換)をしていた(切り離しは6000系車両のみ)。
[編集] 列車種別
[編集] 急行
1997年(平成9年)から運転を開始し、当初は新宿線内のみを平日日中のみ運転していた。2000年(平成12年)12月12日の大江戸線全線開通に伴い、森下駅にも停車するようになった。さらに翌2001年(平成13年)3月27日のダイヤ改正からは土曜・休日にも日中の運転を開始した。
現在は平日は日中のみ、土曜・休日は朝の高尾山口行2本を除き、日中から夕方の運転である。平日は京王多摩センター行が1本ある他は京王相模原線橋本まで直通し、本八幡との間での運転となっている。土曜・休日は橋本まで直通する事は平日と変わりないが、朝は大島始発が4本、夕方には大島止まりが4本運転される。
列車の追い抜きは岩本町駅と瑞江駅で行われている。但し土曜・休日朝7時台に運行されている高尾山口行急行は大島駅で追い抜きを行っている(本八幡7時発の列車については大島駅のみで、7時20分発の列車については岩本町駅でも行われている)。また土曜・休日に運行されている大島始発・終着の列車の場合、本来瑞江で抜かれる列車(新宿発の場合、急行の2本前、本八幡発は大島基準で急行の直後)が大島で急行と接続する(本八幡行は急行の客を引き継ぎ、笹塚行は急行に客を乗り換えさせる)。
1997年(平成9年)急行運転開始時は、ダイヤ編成上の都合により、岩本町駅では本線で各停列車が待避し、折り返し用の中線を急行が制限速度35km/h以下で通過していた。しかし2000年(平成12年)の改正時、森下駅の停車時間を捻出するため、中線で各停列車が待避し、急行は1・4番線を他駅と同様原則として55km/h以下で通過するように変更された。この結果、所要時間を増やさずに停車駅を1駅増やすことに成功した。
瑞江駅では、1面2線の島式ホームの外側の壁を隔てた通過線を75km/h以下で通過する(東急田園都市線桜新町駅と似た構造である。ただし、桜新町駅は2層構造になっている)。
2006年(平成18年)7月29日には、隅田川花火大会の臨時列車として、初めて京王八王子駅より大島駅まで片道1本の「隅田川納涼花火号」が運転された。過去にも2004年(平成16年)10月9日に多摩動物公園から大島駅まで片道1本の「鉄道フェスティバルトレイン号」が運転される予定だったが、台風の影響で結局運転中止となった。
[編集] 通勤快速・快速
共に京王電鉄に直通し、新宿線内は各駅に停車する。本八幡方面行の快速・通勤快速は2001年3月以降新宿から「普通」または「各停」と表記されるため、新宿線内では橋本方面行きのみとなる。
通勤快速については、平日朝のみの運転となる。
快速については、平日、土曜・休日とも朝夕のみの運転。平日の夕方以降は本八幡~調布まで快速運転で快速 調布行となっており、調布~橋本間は急行運転する。
[編集] 各駅停車
各駅に停車する。駅の案内表示には「普通」とあるが、都営浅草線同様、アナウンスでは「各駅停車」となっている。なお、10-300形(10-300R系を含む)と京王車の側面・前面の行先表示機では「各停」と表記されている(10-000形の場合は行先のみの表示)。
基本的には京王線笹塚駅(一部新宿駅)~本八幡駅間の運転となる。但し、早朝・夕方・深夜時間帯は京王線の桜上水駅・つつじヶ丘駅まで直通する。以前は同線の八幡山駅止まりも存在したが、運転区間をつつじヶ丘まで延長したため現在はない。なお、京王線の上北沢駅~つつじヶ丘駅の各駅の最終列車は上り・下り共に都営車で運転されている。(下りは新宿線から直通するつつじヶ丘行き最終車で、上りはその電車の折り返しで桜上水まで運行されるため。)
2003年12月までは、基本的に橋本直通の列車が京王車、笹塚(または新宿)折り返しの電車が都営車と分けられており、京王車の各駅停車は朝と深夜のみであったが、この時の改正でこの区別がなくなり、日中の本八幡~新宿・京王線笹塚間の線内運用の列車にも京王車が使用され、列車によっては岩本町での急行待ちが普通・急行共に京王車である場面も見られた。
なお2006年9月の改正で京王直通車が10両化されたため、再び橋本直通の列車が京王車、笹塚・新宿折り返し電車が都営車と分けられるようになった。基本的に京王車は10両編成の列車のみが運用されるが、以下の運用は8両である。
- 平日81K…東行の一本目の急行列車
- 休日85K…多摩動物公園行き列車
なお、その他の8両の京王直通車は都営車である(休日の高尾山口行きを含む)。
本八幡でのリンクは次のように変更された。
- 2001年3月改正前
到着列車 | 発車列車 |
---|---|
快速(橋本直通) | 快速(橋本直通) |
急行(新宿発着) | 各停(岩本町待避) |
各停(瑞江待避) | 各停(瑞江待避) |
各停(岩本町待避) | 急行(新宿発着) |
- 2001年3月改正
到着列車 | 発車列車 |
---|---|
急行(橋本直通) | 急行(橋本直通) |
各停(瑞江待避) | 各停(瑞江待避) |
各停(岩本町待避) | 各停(新宿発着) |
各停(新宿発着) | 各停(岩本町待避) |
- 2003年12月改正
到着列車 | 発車列車 |
---|---|
急行(橋本直通) | 各停(瑞江待避) |
各停(瑞江待避) | 急行(橋本直通) |
各停(岩本町待避) | 各停(新宿発着) |
各停(新宿発着) | 各停(岩本町待避) |
- 到着列車発車列車
到着列車 | 発車列車 |
---|---|
急行(橋本直通) | 急行(橋本直通) |
各停(瑞江待避) | 各停(瑞江待避) |
各停(岩本町待避) | 各停(新宿発着) |
各停(新宿発着) | 各停(岩本町待避) |
2003年12月改正から2006年9月改正前までは本八幡駅で基本的に先に到着した列車が先に発車するようになっていたが、現在は急行の折り返し列車は後に到着する各停より後に発車するようになっている。そのため、この各停の折り返し時間は3分程度と短い。
平日の朝と夕方は本八幡~新宿を普通で、(新線)新宿~京王多摩センター・橋本間を急行運転する列車もあり、「化け急」などと呼ばれる事がある。また、京王線内のみ急行である事から「京王急行」と呼ばれる事もある。なお、新宿線から京王線に直通する車両は新宿線内では「(各停) 橋本」と表記をしていて、新宿で種別幕を「急行」に変更する。逆に京王線から新宿線に直通する場合は、京王線内では10-300形と京王車が「急行 新線新宿」、10-300R形と10-000形が「急行 新宿」の幕または表示を使用して京王線内の駅の案内も新線新宿行として案内されている(そのため、新線の表示がない都営車の場合、京王線新宿行との誤乗が多い)。そして、新宿で種別・行先幕・表示を「(各停) 本八幡」に変更する。
2006年9月のダイヤ改正で新宿線内を各駅停車で、京王線内の新線新宿~多摩動物公園間を急行運転する列車が土曜・休日の朝に新設された。ただし、高尾山口行きと同様多摩動物公園行きのみの設定で、多摩動物公園から本八幡行きは設定されてない。
[編集] 車両
[編集] 自局車両
[編集] 乗り入れ車両
[編集] 女性専用車
- 平日朝7:30~9:30に新宿駅を発車する10両編成の東行列車(本八幡方面行き)の進行方向先頭車両(実施区間は全区間で該当車両は京王線内も女性専用車である)
- (2006年12月11日より実施)平日朝7:15~9:00に本八幡駅を発車する8両編成も含めたすべての西行列車(新宿方面行き)の進行方向先頭車両(実施区間は全区間で該当車両は京王線内では実施しない)
[編集] 駅一覧
駅番号 | 駅名 | 急行 | 接続路線 | 所在地 | |
---|---|---|---|---|---|
京王電鉄京王新線・京王線経由相模原線橋本駅・高尾線高尾山口駅・動物園線多摩動物公園駅まで直通運転 | |||||
S-01 | (新線)新宿駅 | ● | 都営地下鉄:○大江戸線(E-27) 東日本旅客鉄道:中央線(快速)、中央・総武線(各駅停車)、山手線、埼京線、湘南新宿ライン 小田急電鉄:小田原線 京王電鉄:京王新線(直通運転)、京王線 (丸ノ内線とは連絡業務を行なっていない) |
東京都 | 新宿区 |
S-02 | 新宿三丁目駅 | | | 東京地下鉄:○丸ノ内線(M-09)、○副都心線(2008年6月開業予定) | ||
S-03 | 曙橋駅 | | | |||
S-04 | 市ケ谷駅 | ● | 東京地下鉄:○有楽町線(Y-14)、○南北線(N-09) 東日本旅客鉄道:中央・総武線(各駅停車) |
千代田区 | |
S-05 | 九段下駅 | | | 東京地下鉄:○東西線(T-07)、○半蔵門線(Z-06) | ||
S-06 | 神保町駅 | ● | 都営地下鉄:○三田線(I-10) 東京地下鉄:○半蔵門線(Z-07) |
||
S-07 | 小川町駅 | | | 東京地下鉄:○丸ノ内線(淡路町駅:M-19)、○千代田線(新御茶ノ水駅:C-12) | ||
S-08 | 岩本町駅 | | | ※近在に秋葉原駅や神田駅があるものの、連絡駅とされていないため、別途運賃が必要となる(当駅と日比谷線秋葉原駅にはその旨の注意がある) | ||
S-09 | 馬喰横山駅 | ● | 都営地下鉄:○浅草線(東日本橋駅:A-15) 東日本旅客鉄道:総武線(快速)(馬喰町駅) |
中央区 | |
S-10 | 浜町駅 | | | |||
S-11 | 森下駅 | ● | 都営地下鉄:○大江戸線(E-13) | 江東区 | |
S-12 | 菊川駅 | | | 墨田区 | ||
S-13 | 住吉駅 | | | 東京地下鉄:○半蔵門線(Z-12) | 江東区 | |
S-14 | 西大島駅 | | | |||
S-15 | 大島駅 | ● | |||
S-16 | 東大島駅 | | | |||
S-17 | 船堀駅 | ● | 江戸川区 | ||
S-18 | 一之江駅 | | | |||
S-19 | 瑞江駅 | | | |||
S-20 | 篠崎駅 | | | |||
S-21 | 本八幡駅 | ● | 東日本旅客鉄道:中央・総武線(各駅停車) 京成電鉄:本線(京成八幡駅) |
千葉県市川市 |
[編集] その他
- 江戸川区内の各駅(船堀駅~篠崎駅)、および東端の本八幡駅には各駅ごとに駅シンボルが制定されており、駅の出入口にモザイク画・レリーフ・からくり時計などが施されている他、高架駅である船堀駅を除く各駅には、プラットホームの壁面に各シンボルをシンボルマーク化したタイルが張られている。