若者言葉
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若者言葉(わかものことば)とは、主として10代前半 - 20代前半の若い世代が日常的に用いる日本語の事である。
一般的な日本語(母語)ではない特有の表現で、いわば共通語の語彙に入らない俗語として扱われる。言うなればスラングの一種であるが、中には30代以上の間でも使われるものもある。 ※以降特に明記されない限り日本の事情(2000年代)を説明する。
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[編集] 概要
若者言葉は、現代に始まったことではなく、古くは清少納言の『枕草子』にも、当時の若者の言葉の乱れについて述べられている。そもそも通時的には言語は変化していくものであり、その変化の過程を共時的に捉えたとき、より古い言語変種の話者の視点からより新しい言語変種(もしくはその一部)を批判的に名づけたのが「若者言葉」であると言える。
ここで取り上げる言葉の多くは、おおむね平成期以降に現れた言葉で、とりわけ中高年者からおかしいと批判される言葉である。
若者言葉には、テレビCMやドラマの台詞などから流行語となって日常化した物が多くみられる。特徴としては言葉を逆に言ったり、言葉をローマ字化してその頭文字のアルファベットを並べたり(チョーMM、MK5など)、誇張した表現(「超」の濫用など)といったことがあげられる。 また、若者言葉の単語には元々方言からきている物もある(やばい、ばり~、めっちゃなど)。
なお、元は若者言葉であったものが、世間一般に認知され使われるようになった言葉も少なくない俗語を参照されたい。
[編集] 問題点
[編集] 話し言葉の中性化・異性化
1980年代以降、「~よ」「~わ」「~ね」「~かしら」といった女性語特有の語尾に代わって、男女を問わず、「~だよ」「だね」「~かな」、これに加えて「~じゃん」「~(で)さぁ」「~なんだよね」のようなユニセックスな語尾が主流になった。また場合によっては「~かよ」「じゃねぇか」「うるせえ」「お前」「食う」「やべえ」といった従来は男言葉とされた表現(しかも男性が使うにしてもかなり荒っぽい)を使う女性も少なくない。
元々は男女問わずヤンキーなどが使用していたものであり、最初は
- 勝俣州和
- 岡村隆史(ナインティナイン)
- 矢部浩之(ナインティナイン)
- 田村淳(ロンドンブーツ1号2号)
- 田村亮(ロンドンブーツ1号2号)
- 木村拓哉(SMAP)
- 中居正広(SMAP)
- 香取慎吾(SMAP)
などからテレビにより一般の男性に広まった言葉だった。
その後、かつてはテレビドラマで若手女優が演じる不良少女くらいしか用いていなかったものが、女子プロレスラーのマイクパフォーマンスやや逆ギレキャラの女性お笑いタレントの芸風が認知されたと考えられ、
などが使い出したことで一般の男性だけでなく一般の女性にも乱暴だった言葉遣いが広まったといわれる。 1980年代中盤からドラマ『毎度おさわがせします』、映画『つぐみ』で女の主人公が男言葉を用いていたし、バラエティ番組『とんねるずのみなさんのおかげです』からこうした乱暴な言葉が流行し、「ざけんなよ!」にいたっては単発ドラマ『妻たちのざけんなよ!』が放映されたように主婦層も使うようになった。その後2000年代に入ると『ごくせん』などが挙げられる。
中高年に関しても若者言葉を使う人もいる(明石家さんま、ヒロミ、東ちづる、久本雅美、麻木久仁子、中村メイコなど。特に中村メイコは年長だが、言い方は「(ってる)~わよ」ではなく「(ってる)~よ」。これ以外では、さんまはビッグスリー(後はタモリ・ビートたけし)の中では若者言葉には理解を示しているようだが、それ以外は若手時代の名残か、若作りをしようとして積極的に用いているようである)。
このような背景から、フィクションであるドラマ・映画・CMの若者女子の台詞も「~よ」よりも「~だよ」の方が主流になりつつある(ただし、数十年前などの昔を舞台にしたドラマは除く)。
これに対し、逆に男性語に特有の「~だぜ」「~だぞ」や「~したまえ」の代わりに、「~のよ」や「~なの?」、「~しようね」といったソフトな表現を好んで使う男子も少なくない(それに従った「~のよ」言葉を使うCMも出てしまっている。これは男性の女性化を助長すると批判もある)。
その他にも最近の若者女性は
など、テレビに男性同性愛者(またはそれに準じた、いわゆるオネエキャラクター)タレントの出る機会が増えたので、従来の女性語を「これはオネエ言葉だ」と考える女子が増えたようでもある。
アニメについても、若者女性キャラが出ているテレビアニメ(女児向けアニメ、少女向けアニメを含む)の台詞で現在でも女言葉が出ているのは「ドラえもん」「クレヨンしんちゃん」「名探偵コナン」「サザエさん」「ちびまる子ちゃん」ぐらいである(ただし、クレヨンしんちゃん原作版においては、女言葉は廃れつつある。ちびまる子ちゃんも主人公は女子だが、「~だよじゃん」言葉になっている)。近年の新しいアニメはほとんどが若い女キャラから女言葉は捨てられ、「~だよ」「~じゃん」などになってしまっている。それは女児向けアニメや少女向けアニメといえども例外ではない。前記のアニメはいずれもゴールデンタイムの放送だが、「ドラえもん」「クレヨンしんちゃん」「名探偵コナン」の3番組は女児向けアニメや少女向けアニメではなく、いずれも2007年現在の視聴率は低い。よって、若い女子はゴールデンではアニメよりも上記のタレントがよく出演するバラエティ番組のほうをよく見ているという事になり、母や祖母の世代も「だよじゃん」言葉を使っていた場合には女性が使う女言葉には一切触れることのないまま大人に成長していくことになる。
なお、普遍的な女性語がほぼ失われた現在でも、一人称においては今なお男女差がはっきりしており、女性が「僕」「俺」などという言葉を使うことには根強い抵抗感がある。
[編集] 統計
- ある意識調査によると、若者言葉は30代を境に使われなくなる傾向にあるとのデータがある。これは新しく出てきた言葉ほど顕著で、「ウザい」「キモい・キショい」「(危ない、という本来の意味からかけ離れた)ヤバい」「ハズい」などは使わなくなる人の方が多いというものである[1]。
- また、若者言葉をすべての若者が使っているかというとそうではなく、大学生などの間では、とりわけ「ウザい」「キショい」「キモい」は侮蔑語でもあり、安易に使っているが相手を傷つけたり不快にさせたりするという理由で、「ヤバい」は「単位ヤバい(=落第しそうだ)」という意味では使うものの、肯定的な意味では使われないし、「ハズい」などを使うのは品格を問われる可能性があるというような理由で「(知らないということはないだろうが、敢えて)知らない」「使わない、使いたくない」という意見もある。[2]なお、「学生言葉」というのは、現代では大学生ではなく、中高校生の間で使われている若者言葉の一種と捉えるべきであろう。
[編集] 最近の傾向
現在、若い世代に使われているとされる言葉を掲げる。
[編集] 強調として用いるもの
- 超
- 「超特急」などと同じ意味の「超」であり、「かなり」「本当に」などの強意を表わすのに使用される接頭語である。通常は漢字で表記する。「チョー何々」と文字にあえて記す場合は、「若者言葉で『超(チョー)』が流行している」というなどという事を採り上げる、あるいは話題に挙げる場合に強調する意味で皮肉的な意味を込めて使用する場合くらいのものである。一般的には「超気持ちいい」「超面白え」「超感動した」という具合に使用される。またこの用法では従来の「○○を超える」というニュアンスはほとんどない。例えば、「超最悪」の様に悪い意味の強調にも使われる。
- めっちゃ
- めちゃくちゃ(滅茶苦茶・滅茶滅茶)の転である。「めっちゃかわいいじゃん」のように、感慨を込めて強意を表わすのに使用される接頭語である。転じて「めっさ」という事もある。「むっちゃ」(無茶苦茶)・「むちゃ」とも言う。 なお、「めっちゃ」は、元来は大阪弁である。(めちゃ2イケてるッ!参照)。
- 普通に
- 以下に出てくる普通とは別に強調の意味合いで用いる。「普通に大きいじゃん」や「普通に凄いじゃん」などが一般的な使い方である。「割と~」「比較的~」「冗談でなく~」と同義である。
- パネェ
- 「半端じゃない」→「半端じゃねぇ」→「半端ねぇ」→「パネェ」と変化した、強意を表わすのに使用される語である。「パネェくらい好き」といえば「ものすごく好き」という意味である。
[編集] 情緒的な表現
- キモい
- 北海道弁で「気持ち悪い」の意味である。「きもい」や「キモイ」と表記される事もある。類義語に「きしょい」があるが、これは「気色悪い」を転じたものである。意味は「キモい」や「キモイ」とさほど変わらない。一般的には「キモい」や「キモイ」が使われる場合が多い。同じようなことばにかいーがある。主に対象は男性であることが多く、女性が対象である場合には軽い冗談であることが多い。そのためか、主に使用者は女性に多い。 ただ、小中高生がよく使う言葉ではあるが、直接的に対象を「気持ち悪い」と言うよりも、今では若干軽いニュアンスや人間離れした技能を見たときの褒め言葉としても使われる。「ちょっと変わった物、人、あるいは様子」を目にすると、「何あれ? キモいね」と、とりあえず「キモい」と言う感覚に近いと思われる。冗談として「キモい」と使う事もできる。キモかわいいという言葉にみられるように、必ずしも明確にその対象を「気持ち悪い」と考えているという意味で使っているとは限らない。(ただし、言われた側にとって侮辱的な言葉にならないとは限らない)。 1990年代後半以降から使用される頻度が増えてきている。なまって「きめえ」とも。 派生語の「キモキモ」はチェキ語#隠語を参照されたい。
- ~げ
- 「~そう」の意。「あの人ヤバげじゃない?」なら「あの人ヤバそうじゃない?」で、「あの人変じゃないかな」という意味。
- なお、形容詞に「~げ」をつける用法は、新しいものではなく、古くは平安時代の古典文学にも多用された(「清げ」など)ものである。
- たりぃ
- 「かったるい」の転「かったりぃ」から来た、「面倒くさい」という意味
- はずい
- 「恥ずかしい」の転である。「恥ずい」「ハズい」「ハズイ」と表記される事もある
- ハブる
- 1人を仲間はずれにする事。(俗語の常で明確な語源は不明、村八分とも「省く」の転訛ともいわれている)
- ぶっちゃけ
- 単刀直入に、包み隠さず言い切る意を表す(「ぶっちゃける」「ぶっちゃけた話…」がある)
- マジ
- 「真面目」の転であるが、一般的に「本当に~」や「本気で~」と、強調または真実性の表現として用いられる。古くは、江戸時代の洒落本『にやんの事だ』にみられる。真実性・厳密性を表現する名詞であり、助詞をともなって使用される事が多い。漢字として「本気」の字をを当てる事もある。 若者言葉の代名詞とも言える。 例としては「マジビビった」「マジムカついた」「それマジで?」など。最後は「それは本当(事実)?」の意。
- H/K
- 話変る(けど)の略で、主にメールなどで使用されている。同じ意味で S/C (Speak-Change ないし Story Changeの略) も使われる。
[編集] 誇張した表現
実際にはそれほど感動した訳でもない事を針小棒大に表現するのも若者言葉には多い。テレビやラジオ、雑誌の受け売りであると思われるが、乱発することで真実味が薄れる場合がある。
- 目から鱗
[編集] 接頭辞・接頭語
- 超
[編集] 接尾辞・接尾語
- 系
- 「~の部類に属する人」の意(「癒し系」「和み系」「励まし系」など)、「~発祥の文化(or流行)」の意(「渋谷系」(音楽・ファッション)、「アキバ系(オタク)」)など。また、「~っぽい」の意。
- 族
- 上記「-系」のうち、「~の部類に属する人」の意。「(六本木)ヒルズ族」など。また、単に暴走族の意。
- モノ・モン
[編集] 形容詞・感動詞
- ここでは、一般動詞であるものの、形容詞的・副詞的に使われる言葉も含む。
- ウザい・うぜえ・うぜぇ
- 「鬱陶しい」の意味を表わす。この言葉を言い放つ対象は非常に広く、どんな事柄であれ、自分が不快に思ったもの、人、出来事は全て『ウゼえ』の一言で不快感を表明する事が出来る便利な言葉である。
- 用例としては「社長の話うぜえ」「会社・学校に行くのがうぜえ」「部屋の掃除しなきゃならない、うぜえ」「鍵が見つからない、うぜえ」などと用いるが、ほとんどの場合は「うぜえ」とだけ発声する。先例の「部屋の掃除しなきゃならない、うぜえ」の場合、文としては正しいが実用では単に「うぜえ」と言う場合が多い。これは前の言葉「部屋の掃除しなきゃならない」を発声することが煩わしいからである。また、「すごく」を意味する『超』(チョー)を語頭に付け「チョーうぜぇ」としてその不快感を強調する場合も多い。さらに、ごく最近では、「うざくない?」という疑問文を、若者言葉の疑問詞「ね?」に変えた形「うざくね?」を更に短縮した形「ざくね?」が誕生し、広がりを見せている。
- 当初は「うざったい」と表現されていたものが短縮された形だった。2000年頃から浸透している。
- ~入ってる
- あるものや人に似ている、それに近いという意。また他の語とともに用いて様々な状態を表す。「ブルー入ってる」というと「憂鬱な気分だ」の意。
- ヤバい・ヤベえ
- 「良くない」「非常にまずい状態に陥っている」の意。ではあるが、近年では意味が拡大しており、「予想に反して驚き、衝撃を受けてしまった」という際にも使用されるようになってきている。マスコミなどでよく採り上げられる例としては、「ラーメン店などで頼んだものを口にした途端、『やばい、これほど美味しいとは思っていなかった』」。要は予想外の事を体験してしまい、その衝撃でどうにかなってしまいそうなほど凄い、といった意味である。
- ざけんな(よ)
- 「ふざけるな」が縮まって出来た語。
- やりぃ、よっしゃ、っしゃ、ヤッピー
歓喜の「やった」の意。「っしゃ」は「よっしゃ」の転である。「やっぴー」はのりピー語から。
[編集] 意味の誤用
意味がまったく誤って捉えられている語に、下記のような事例がある。
- すべからく
- 「全て」の意味で使われる事があるが誤用である。正しくは「すべからく~べし」であり、「当然~するべきだ」という意味である。このように意味の中心は呼応関係にある「べし」にあるが、これは漢文の再読文字「須」から生じたためである。
[編集] 曖昧な表現
[編集] 遠まわし・どっちつかずな表現
- 微妙(ビミョー)
- 「かなり否定的」、「お世辞にも評価できる類の物ではない」の意を遠回しにあらわす。「肯定するには足りない」、「否定しきれない」の意味にも使う。メールでの場合は『ビミョー』でよく使われる。 本来の意味は、「言葉で表現できないほど素晴らしいもの(仏教用語)」。
- 普通
- 「好きでも嫌いでもない」、「良いとも悪いとも思わない」。特に中高生が用いる。
[編集] ぼかし表現
物事をはっきりさせなかったり、自分の所在を明確にせず、第三者に見立てたりした表現。
一応(いちおう) 例:「一応、学生やってます」 - 働きたくないから、何をすればいいか分からないからアルバイトしがてら学校にも行っているという意味に捉えられる。
かも(知れない) 例:いいかも(知れない)、食べたいかも(知れない)
苦手…「嫌い」の意 例:「あの先輩苦手」、「生もの苦手」
無理…「嫌」の意 例:「手伝って」「無理!!」
[編集] 複合語・造語
※それぞれの項も参照されたい。
- 否定的な言葉と肯定的な言葉の組み合わせ
- 「キモかわいい」「ダサかっこいい」「ブスかわいい」など、いっけん侮辱または軽蔑に聞こえるけれど、「かわいい」「かっこいい」を組み合わす事で、親しみの意を持たせる。しかし、言われた側が「キモい」「ダサい」「ブス」という言葉に引っ掛かりを感じて不快にならないという保証はない。
- 意味の異なる言葉との組み合わせ
- 「キレカワ(綺麗で、なおかつかわいいの意)」「エロかわいい・エロかっこいい(ここでの「エロ」はスケベではなくセクシーな、の意)」「カッコかわいい」「ゴツかわいい(CMより)」など、上記とはまた違ってアンビバレント(異質の意)な言葉を組み合わせることで、「~だけれど、~でもある」といった二面性を表わす。ただし、得てしてどっちつかずとか中途半端と捉えられがちな部分もある。
- 控えめの美学
- 「ちょいわるおやじ」「ちょいモテオヤジ」
「ちょい」をつける思い切りの悪さ、いい歳をして悪ぶる大人げのなさに対して、嘲笑とともに語られることもある。
[編集] 若者流の敬語表現
バイト敬語・体育会系(敬)語など、敬語にあって敬語にあらざる表現が指摘される、敬語を使い慣れない若者に多い表現は次のとおり。
- ×主任も行かれるのですか。→いらっしゃるのですか。
- ×私ってコーヒーとか好きじゃないですか。→私はコーヒーが好き(なの)です。
また、「ですか」や「です」などを短縮し「っすか?」「すよ」と表現する場合もある。「先輩も召し上がりますか。」→×「先輩も食べるんっすか?」。これは敬意はあっても、言葉の意味に敬意が全く含まれていない例。中高大学生に多く見られる。
[編集] アクセントの変形
日本語の乱れも参照されたい。
[編集] 名詞アクセントの平板化
主に関東の若者に多い発音の仕方が、名詞の平板化である。1990年代ごろから広められ、倦怠感を表わしたり、下記の「クラブ」のように発音によって区別する意図を含む場合に用いられる。広く知られているのが、ロックグループ・B'z(ビーズ)の発音で、アクセサリーの『ビーズ』と同じ発音でよいのか、平板な発音とすべきなのか、アナウンサーの間でも議論されたことがあったらしい。
- 彼氏 - かれし→かれし
- クラブ - クラブ→クラブ
左は標準語に基づいた表現で特に用法は限定されていないが、右は旧称「ディスコ」にのみ用いられる。
[編集] 語尾上げ
[編集] 若者言葉の事例集
若者言葉一覧を参照されたい。
[編集] 著名人・各メディアが流行らせた言葉
流行語も参照されたい。
- 。(句点)
- 句点「。」は、文章の中で一説の区切りとして用いるべきであり、固有名詞などには用いないが、モーニング娘。や漫画・テレビドラマ「いいひと。」など、1990年代に入ってからこうした表現が見られるようになった。一時期はこれがいわゆる日本語の乱れとして論われたが、いつの間にか定着したこともあってか、フェードアウトしていったようである。余談だが、読点「、」は、俳優の藤岡弘、がモー娘。がデビューする以前から用いていたので、決して後乗りではないと語っている。また、楽曲のタイトルや歌詞(ライナーノーツ)に句読点が表記されている例は、「、」は井上陽水(『青空、ひとりきり』、歌詞中など)らが古くから好んで用いていたのに対して、「。」は1980年代になってからである(YMOの『君に、胸キュン。』、B'zの『ギリギリchop』の歌詞など)
- H/K
- お笑いコンビ・くりぃむしちゅーの有田哲平が広めたという。「話(は)かわる(Hanasi Kawaru)けど」の意味。テレビ朝日系のバラエティ番組『銭形金太郎』の中で、深夜枠のころに使っていた為どのように広まったかは不明で、主として下記の「キュン死に」同様、女子中高生の間のみで、しかもこちらはメールに用いているため知らない人が多い。芸能人が作った言葉は数あれど、かほど限定されたシチュエーションのみで使われる言葉は珍しい。
- 意味ない
- フジテレビ系で放映されたバラエティ番組『明石家マンション物語』で、世の中のありとあらゆる無意味なものを探していく「大日本意味なし教」のコーナーから。しかし、これはさんま自身が作ったわけではない。TBSで放映された『さんまのSUPERからくりTV』のコーナー「ビデオレター」に出演したある中年男性が「意味ないじゃん」と言ったのをさんまが気に入ったため、明石家マンション物語の基となった単発番組で使ったのだった。
- がっつり
- DJのやまだひさしがパーソナリティーを務めていた『ラジアンリミテッド』で使って、リスナーの間で広まった言葉。「がっちり」の変形で、「きっちり」「しっかり」と同義語。また、「たくさん」という意味を指す場合もある(「がっつり食べる」、「がっつり買い込む」など)。
- キュン死に
- 「胸キュンで死にそうなほどに、恋焦がれる」こと。映画化された漫画『ラブ★コン』から。これも上記の「H/K」同様、女子中高生の間で使われることが殆どのため、それ以外の人間からは「えっ? そんな言葉流行ってたっけ?」と不思議に思われることも。
- キモい・キショい
- 「気持ち悪い」「気色悪い」が縮まって形容詞化した言葉。意味合いとしてはそれほど差異はないのであるが、ダウンタウンの松本人志がバラエティ番組の『ガキの使いやあらへんで!!』のフリートークで「キショいは動作、キモいはその人自体や」と定義している。こうした解釈が徐々に広まってきている。
- キレる・逆ギレ
- お笑い用語では、相手の挑発に対して(そうでなくとも言動に対して)逆上したり声を荒げることをキレると表現する。「逆ギレ」は、上記「キモいとキショいの違いの定義」と同様、松本人志が考案したらしい。「逆ギレ」は本来「キレられる」立場である者が「逆にキレる」ということである。「責められて逆ギレする」など。
- さぶ(寒)い
- 身の毛がよだつほどつまらないこと。非常に感銘を受ける意を表す「鳥肌(が立つ)」と対義語。ダウンタウンの松本人志が作ったと言われている。
- (よっ)しゃ
- バラエティタレントの勝俣州和の決めゼリフに、「よっしゃ」→「っしゃ」の変形である「しゃー」がある。そのため一部で「シャー」と呼ばれているが、『機動戦士ガンダム』のマニアには、「(地球連邦軍派・ジオン派を問わず人気が最も高い)シャア・アズナブルとは似ても似つかない」と苦言を呈する者もいる。
- 正直
- 「正直に言って」の略。誰が最初に言い出したのかは不明であるが、ナインティナインは、(NSCの後輩である)ココリコの遠藤章造が最初だと言っており、「遠藤が口癖で使うてたら、みんなまねして使い始めよった」とラジオ番組『オールナイトニッポン』の中で異口同音に言っている。ちなみに遠藤は他に「ある意味」「若干」などの口癖を芸人の間で流行語のように使われることが多い。また、KinKi Kidsの堂本剛が司会を務めるバラエティ番組『正直しんどい』からとも。
- ダメダメ
- ドン引き
- 元々はテレビ業界の専門用語であったが、土田晃之がテレビ番組で使い始め広まったとされる。意味はその通り、かなり引かれる(場が盛り下がる)こと。一般化して広く用いられている。
- なし(無し・ナシ)
- 主として関西で使われる特有の用法が、「~やなしに(~じゃなく)」である。明石家さんまらが芸人やゲストに対して「アハハやなしに(笑うてごまかすな、の意)」とツッコミを入れるのが代表的だが、これが関東にも広まっていき、NEWSの山下智久らが使っているのがファンの間では知られている。特に否定的な言葉であり、許容できない、または却下といった意味合いが含まれる(「その発言はナシでしょ」等と使用)。
- なのだ
- 説明の意図、または強い強調を示す終助詞。文章的でもあるが、話し言葉ではおどけて使う場合が多い。もっとも知られているのは天才バカボンのパパの口癖である。また1993年に牧瀬里穂がホンダ・トゥデイのCMの中で「~なのだ」と言っていたので、牧瀬自身はそうした表現は普段使わないが、流行らせたかのように見られているようである。
- ぶっちゃけ
- 「ぶっちゃけた(“ぶちまけた”から。単刀直入に、本音を言うと)話…」の略。最もよく知られているのは、ドラマ『GOOD LUCK!!』で主人公の新開元(木村拓哉)が口癖として使っていたことだろう。しかしお笑い芸人の出川哲郎が先に使っていたほか、後にそれよりも前に、漫才コンビ横山たかし・ひろしのたかしが使っていたとたかし本人が公言。
- マジ
- 萩本欽一が使うことで広まった言葉。氏が使い始めたころは若者だけが用いていたが、その後島田紳助や和田アキ子、明石家さんまら中年層の芸能人の間でも使われ、新語(現代用語の中で、俗語にカテゴライズすべき言葉)として定着した感がある。
- めっちゃ
- 2000年に開催されたシドニーオリンピックで、水泳選手の田島寧子が、僅差で惜しくも銀メダルに終わったことを「めっちゃ悔しい~!」と感想を述べたのが新語・流行語大賞に選ばれたのはあまりにも有名だが、実は関西では流行語でも若者言葉でもない強調の言葉で、お笑い芸人は全国区に進出しても普通に使っている。
- やばい
- 元は隠語で「危ない(特に、手が回りそうであるさま)」の意であるが、上記のような使い方がいつごろから出現したのかは諸説諸々あり、野球選手のイチロー(オリックスブルーウェーブ→シアトルマリナーズ)が使い始めたとされる説が有力である。肯定的に「ヤバいくらいに素晴らしい」の意味合いは、比較的目新しい。
[編集] 若者言葉を題材にした楽曲
- Mi-Ke - 3rdシングル『ブルーライト ヨコスカ』(1991年6月13日発売)で、当時の若者が使っていた言葉を歌詞中に盛り込んだ。
- フライングキッズ - ミツビシFTOのオリジナルCMソング(1994年10月からオンエアされた。CD発売なし)で上記同様に当時の流行語を取り入れた。
- ことばおじさん(NHKアナウンサーの梅津正樹)とアナウンサーズ - 『みんなのうた』で放映し、シングル化された『これってホメことば?』で、自らの経験も踏まえて若者言葉を理解しようとする中年男性の思いの丈を歌った。上記2曲は多少シニカルな趣きがあるが、この曲は多少ポジティブに異文化を受け入れようとしている点で趣きが異なる。
[編集] 方言由来の若者言葉
近年若者の間で広まっている言葉の中には、方言から取り入れられたものが少なくない。異なる地域同士の言語接触の例とみることができる。こうした方言由来の言葉の内訳は、各地域で伝統的に使われていた方言が広まったものと、各地域の若い世代が使い出した「新方言」が広まったものとがあるが、厳密には区別しがたい。
以下、方言由来の若者言葉の例を掲げる。なお、「(元の)使用地域」および「意味」は、主として『辞典〈新しい日本語〉』[3]および『日本方言大辞典』[4]を参照し、代表的なものを示した。それ以外の典拠も注に記した。
語 | (元の)使用地域 | 意味 |
うざい | 東京多摩地区の「うざったい」の短縮形[5] | 不快だ、いやな(人)、面倒だ、わずらわしい。原義「(濡れた畑に入ったような)不快な感じ」。 |
うち | 関西・中国・四国など[4] | 女性の自称。わたし。 |
おちょくる | 関西・中国・四国など[4] | からかう。愚弄する。 |
したっけ(ね) | 東北で「したけ・したっけ」等[4]。北海道や北関東で若い世代に増える[3] | それじゃあ。さようなら。 |
~じゃん | 山梨県で明治30年代に使用、長野県松本で大正時代に使用[6]。静岡県浜松で昭和初期に使用例、1970年代前後には東京でも使用、東海地方で「じゃんか」[5]。 | ~ではないか。~じゃないか。 |
~(だ)べ | 東北・関東[4] | ~(だろ)う。 |
だもんで | 名古屋の若者言葉[3] | だから。それで。 |
ちがくない/ ちがかった/ ちがくて |
福島・栃木[5] | 違わない・違った・違って |
~っしょ | 北海道[3] | でしょう。 |
~(で)ないかい | 北海道[7] | ~(では)ないか。 |
なまら | 北海道の若者言葉[3] | 大変。とても。 |
ばり | 西日本[3] | 大変。とても。 |
めっちゃ | 関西[3] | 大変。とても。 |
よめ(さん) | 西日本[4] | 妻。 |