ローカルタレント
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ローカルタレントとは、主に一部の地方地域内において活動し、その地域内において有名となったタレント・芸能人のこと。「地元タレント」「地タレ」ともいう。
ローカルタレントには、全国的に有名になった後、出身地(Uターン)または縁のある地域(Jターン、Iターン)においてのみ活動を行う人と、全国的な知名度なしに、最初から出身地もしくは別の地域において活動を始め、その地域でのみ有名になった人(ノーターン型)などが挙げられる。
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[編集] 概要
バブル経済期に、当時の郵政省(現在の総務省)が、大都市圏を抱える都道府県とその他の県との情報格差の是正のために、全国で少なくとも民放テレビ4系列が視聴できることを目標とした「全国4局化」の推進を行った(地域によっては3局化または5局化)。また、同様の方針の下、全国に県域放送民放FM放送局の開設を推進した。他方、大都市圏内の情報寡占の是正や、地方の地域圏ごとの情報流通の活性化のため、コミュニティFMも多数開局され、重層的な情報流通が促進された(東京でも独立UHF局のMXテレビが開局)。
このような情報流通の拡大は、放送の寡占が崩れて選択の自由度が上がった一方、同じ時間帯に多数の番組が存在することになり、局毎の平均視聴率の低下も見られた。特に、在京キー局の土日の昼から夕方の時間帯の番組や実験的な深夜番組は、地方では充分な視聴者実数を得られず、より高い視聴率が得られる2時間ドラマ、映画、在阪局の人気番組、ブロックネット番組、ローカル番組などに差し替えられた。
1990年代前半のバブルの余韻が残る時期は、バラドルに見られるような「アイドルの大衆化」の時代であったため、ローカル番組に出演する者は身近なタレントとして人気を博する場合もあり、「ローカルタレント」化した。この時期は、バブルの余韻で金余りな地元企業もあったため、中央のタレントを起用して、UJIターン型ローカルタレントが生まれた。また、番組制作予算が少ない深夜帯ローカル番組では、地元のタレント(ノーターン型)を起用した。
1990年代末から2000年代初頭にかけてのデフレ経済期には、地方経済も不景気に陥って、ローカル番組は減少傾向が顕著になり、制作費も低下した。そのため、UJIターン型タレント(中央のタレント)は一気に減少し、出演料の低下に耐えたUJIターン型タレントと、ノーターン型地元タレントやローカルアイドル・インディーズバンドなどによる「地域密着型ローカルタレント」が出現することになった。2004年6月に結成したROLLING GIRLSは、そういった全国のローカルアイドルが集結したユニットであり、マキシシングルもリリースしている。
現在は、インターネットの発達によって情報発信が簡便になったため、三大都市圏(関東広域圏・近畿広域圏・中京広域圏)では大量の地下アイドルや地下タレントが生まれているが、「地域密着型ローカルタレント」は地域で実績を持つタレントとしてその上位に位置し、場合によっては全国放送で紹介、または活動する機会が増加している。
また、プロ野球選手と結婚した女性タレントやアナウンサーが、夫の球団のフランチャイズでローカルタレントとして活動するケースも出てきている(例:家森幸子、福元英恵、緒方かな子、林恵子)。
[編集] 広域放送・ブロックネット・県域放送
ローカルタレントの活躍の場は主に民放であるため、各民放局の放送圏域の広さ・人口・経済力とその知名度に相関関係がある。
それぞれの地方全体に放送をしている広域放送地域として上記の関東広域圏・近畿広域圏・中京広域圏があるが、関東広域圏はキー局として機能しているため、ローカルタレントの活躍の場は皆無に近い。その為、ローカルタレントは関西広域圏以下にいることになる。北海道は1つの地方で1つの県相当の法律が適用されている為、広域放送に準じた状態になっており、ローカルタレントが多い。福岡(この場合、九州北東部を指しての福岡)の場合は、それぞれ県域免許ではあるが福岡県と佐賀県で一体的な放送圏域を形成しており、放送圏域の人口が多い為、ローカルタレントの活躍の場も多い。
ブロックネットが発達している地域として、九州地方(場合によっては山口県や沖縄県が含まれる)があるが、福岡はこの点でも経済的地盤があるため、ローカルタレントの宝庫となっている。東北地方もブロックネットの番組が多いが、大衆芸能の地盤がないため、ローカルタレントが起用されることは少なく、中央のタレントを起用するか、局アナで間に合わせることが多い。
五大都市圏以外では、基本的に県域放送がローカルタレントの活躍の場となるため、ローカルタレントの活動地域はそのまま県単位となる。しかし、県の枠を越えて経済圏(商圏)が広がっている仙台経済圏や、相互補完となっている岡山県・香川県(東瀬戸経済圏)では、隣接する県域放送局いくつかを股にかけて活動するローカルタレントも現れている。
[編集] 全国のローカルタレント一覧
[編集] 北海道
北海道は1つの地方で1つの県相当の法律が適用されているため、札幌が地方全体を独占する形になっており、マスコミも札幌市に集中し、ローカルタレントも札幌都市圏に集住している。広い北海道地方に対して効率の良い広告戦略が打てるため、ある程度制作費があるローカル番組やローカルCMも多く、札幌での芸能活動後に全国に進出する者を生んだ(例:大泉洋、タカアンドトシ)。また、質の高いローカル番組は、番販されて他の地方でも放送されており、北海道以外でも知名度がある者も現れている。結果、道外での仕事をする者も増え、東京の全国ネット番組出演の他、FMの東北6県ブロックネット番組のメインパーソナリティを勤める者、さらにはUHFアニメの主題歌を歌う者や自身の所属する劇団のDVDが全国発売されたことで広く名を知られるようになったものまでいる。
なお、地元で人気のローカルタレントが増加したことに加え、近年の北海道経済の長引く不況により番組制作費が低下していることもあり、全国区のタレントが北海道ローカルのレギュラー番組を受け持つことは極めて稀である(近年の例では蛍原徹(雨上がり決死隊)、やまだひさしなど。9代目林家正蔵、宇梶剛士など、北海道のローカルCMに全国区のタレントが出演する機会が多いのとは対照的)。
[編集] CREATIVE OFFICE CUE所属
[編集] 吉本興業札幌事務所所属
[編集] ランタイム所属
[編集] その他
[編集] 東北
東北地方では、新潟県も含めた「東北7県」のブロックネット番組がいくつかあるが、局アナと東京のタレントを起用する例が多いため、ローカルタレントの活動範囲は基本的に県単位になっている。また、テレビ東京系の放送局がない地方であるため、ローカル番組を制作するよりはテレビ東京制作や大阪・札幌のローカル局制作の番組を放送しており、ローカルタレントの活動の場は少ない。大衆芸能の文化が根付いていない地方であるため、芸能人と呼べるようなローカルタレントも少なく、東北地方以外の出身者もほとんどいない(局アナの地元率は低下傾向)。
仙台のローカルタレントには、県外出身者が少なからずいる(局アナは更に地元率が低い。2006年では、宮城県内民放4局の局アナ53人の内、宮城県出身者は6人。地元率11%)。また、仙台のローカルタレントが、東北新幹線沿いの隣県でもレギュラー番組をもつ例が見られる。仙台にプロスポーツチームが相次いで出来、スポーツ・文化イベントが仙台に集約してきているため、宮城県隣県に住んでいたローカルタレントが、イベントMC・レポーター・雑誌モデルなど副業の出来る仙台に移住する傾向がある。ただし、絶対的にパイが少ないので、仙台から仙台経済圏各県に雑誌モデルやイベントMCなどの副業の派遣なども常時行われており、さらに、東京での副業に活路を見出す者もいる。仙台SOSまたはMOCプランニングに所属するタレントが多い(括弧内は地盤とする県など)。
[編集] ブロックネット番組出演タレント
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[編集] 仙台経済圏で活動するタレント
仙台の事務所に所属する者には、仙台在住者と東京在住者(主に夫の仕事の関係上)がいる。また、東京の事務所に所属し、仙台に居を構える者もいる。
[編集] 活動地域が県単位のタレント
[編集] 関東
関東広域圏内の独立UHF放送局では、ローカルタレントのような活動をする者もいるが、実際は全国放送に活躍の場がないタレント予備軍・アイドル予備軍である事が多く、他の地方の地域密着型ローカルタレントとは異なる面がある。
[編集] 主なタレント
[編集] 甲信越
テレビでは関東広域圏の影響が強い。モータリゼーションが発達しているため、ラジオの訴求力が強い。新潟県・長野県では、ある程度の人口を擁する地域圏が県内にいくつもあるため、地域情報は寡占情報媒体のテレビよりも、小回りの利くFMやcFMの方が適しており、テレビで活躍するローカルタレントの需要が少ない。
[編集] 主なタレント
[編集] 東海
名古屋は、東京と大阪の間に位置して両都市圏ともに近く、かつ、中京地区の好景気によって番組制作費も上昇しているため、全国区のタレントを呼びやすい状況にある。そのため、在名放送局(主に中部日本放送、中京テレビ)は、準キー局として多くの全国番販枠があることから三大都市圏の1つとして全国に情報発信しているが、これらの番組においては全国区のタレント起用が多く、他地域の視聴者は、(たとえロケ地が中京広域圏内であっても)名古屋の番組だと気付かずに視聴している。また、全国ネット番組は一部を除いて東京制作である。このためローカルタレントの活躍の場はラジオ又は中京圏ローカルの番組に限られているが、この場合も東京や大阪のタレントを起用することが多い。MCは全国区のタレントでローカルタレントの出番はリポーターや端役のみということも少なくない。中京圏が閉鎖的な経済圏を有することもあってか、近隣の地域に積極的に出向いて活動するタレントも少ない。故に他地域で知名度の高い者は少ない。
一方、名古屋のローカルタレントの質は高く、最近ではローカル番組で実績を積んだ後、全国区でブレイクする事が多い(例:青木さやか、スピードワゴン、間宮優希)。
中京広域圏外にあたる静岡県は例外的存在であり、同県西部においては同圏のテレビ・ラジオが視聴可能であるが、中部・東部地方は独自に静岡市を中心とする放送圏に入る(逆に伊豆半島東部及び富士山麓東部一帯では関東広域圏のテレビ・ラジオの視聴が可能)。静岡県において中京広域圏の番組が放送される事は少なく、関東広域圏にも属さない独自の放送圏を持つものの、県域でのローカル番組の制作も多いとはいえない(東北同様、テレビ東京の購入番組やキー局ローカルの購入番組が中心となっている)。こうした背景から、中京広域圏のタレントの活動はほとんど無く、県域で活動するタレントも少なく、ローカル番組は関東圏のタレントや吉本興業の全国区もしくは準全国区のお笑い芸人が活動する事が多い。
[編集] 中京広域圏で活動するタレント
[編集] 活動範囲が県単位のタレント
[編集] 北陸
中京圏や関西圏のブロックネットや番販が多く、ローカルタレントの活躍の場は少ない。甲信越と状況が似ている。
[編集] 主なタレント
- 高原兄(富山)
[編集] 関西
大阪のローカルタレントには、関西経済圏の経済力や吉本興業・松竹芸能などが長年育んできた芸能文化を背景に、東京のタレントよりも成功を収めている者も多く、ローカルタレントの範疇に入れないことも多い。中京広域圏の番組に出演する者も多く、ブロックネットが中国地方・四国地方や、北陸地方の一部に及び、また、番販形式でほぼ全国的に番組供給がされているため、ローカルタレントであっても知名度が全国区である者もいる。なお、関西弁を「標準語」として使用している関西ローカル番組が多いため、他地域で放送される場合、視聴者が大阪の番組であることを認識しているのが特徴的。
[編集] お笑いタレント
[編集] 吉本興業所属
[編集] 松竹芸能所属
[編集] 米朝事務所所属
[編集] アナウンサー・ラジオパーソナリティ・ディスクジョッキー
[編集] 歌手・俳優
[編集] その他
ほか多数。
[編集] 中国・四国
岡山県と香川県、鳥取県と島根県が、それぞれ1つの県域放送単位となっていたり、広島県の放送が山口県東部で視聴されていたり、山口県西部が福岡県の放送を視聴していたりと、放送エリアが県単位ではない。また、ブロックネットにおいては関西地域に含まれることが多く、ローカル番組ごとにネットエリアが異なり、地方全体に求心力が及ぶ都市(プライメイトシティ)が存在しないために情報が分散して、地方の枠組みがそのまま文化圏・経済圏になっていない。このような地方特性のため、ローカルタレントは県単位ではなく、放送単位ごとに知名度がある。
ただし、京阪神圏と福岡経済圏に挟まれて影響を受け易い状況になっているため、ローカルタレント化するよりも東京・大阪・福岡などに進出する傾向が見られる(例:小田靜枝、友近)。
七大都市圏の1つである広島においては、地方内他県からの流入が少なく、ローカルタレントのほとんどが広島県出身者で占められており、仙台のローカルタレントの状況と対照的である。
[編集] 東瀬戸経済圏で活動するタレント
- Bachicco!(ばちっ娘)(岡山・香川・愛媛)
- 本多春奈(香川・岡山)
- 田尾和俊(香川・岡山)
- ダイナマイト・イシムラ(岡山・香川)
[編集] 広島経済圏で活動するタレント
[編集] 活動範囲が県単位のタレント
[編集] 九州・沖縄
この地域においては、福岡市の放送局を中心としたブロックネット(特に九州朝日放送を中心とするANN九州ブロック)が盛んであるため、それらの番組に出演するタレントは九州全域で知名度がある場合が大半である。情報集散地となっている福岡都市圏には、地元出身やJターン型のローカルタレントの他に、東京から移り住んで活動するタレントも数多く、吉本興業福岡事務所も存在し、アーティストも含めて集住傾向がみられる[1]。従来、この地域での活動後に全国区になるのはミュージシャンが多かったが、ローカルタレントの分野でも全国への進出をする者が出始めている(例:博多華丸・大吉)。
[編集] ブロックネット番組出演タレント(出演経験者含む)
[編集] 県境を越えて活動するタレント
[編集] 吉本興業福岡事務所所属
[編集] 東京・大阪で活動後UJIターンしたタレント
- 福岡へ
- 宮崎へ
[編集] 活動範囲が県単位のタレント
[編集] 関連項目
- ローカルアイドル
- 広域放送
- ブロックネット
- ローカル番組
- ローカルCM
- CREATIVE OFFICE CUE - 北海道の芸能事務所。
- 名古屋タレントビューロー - 名古屋の芸能事務所。
- MBCタレント - 南日本放送の契約パーソナリティ達の呼称。
- アクターズスクール
- 吉本興業札幌事務所
- 吉本興業名古屋事務所
- 吉本興業広島事務所
- 吉本興業福岡事務所
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