第56回NHK紅白歌合戦
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第56回NHK紅白歌合戦は、2005年12月31日(JST、以下同じ)にNHKホールで行われた、通算56回目のNHK紅白歌合戦。19時20分~23時45分に生放送された(21時25分~21時30分はニュースのため中断。BShiは別番組)。双方向対応番組。
この回は、戦後60年にあたって、「スキウタ~紅白みんなでアンケート~」が実施された。アンケートの意義などについては賛否の声があった。
目次 |
[編集] 放送メディア
- 国内向けには、総合テレビ・BShi・BS2・ラジオ第1放送。
- 海外向けには、NHKワールド・プレミアム(NHKワールドTVでは放送されない)、および、NHKワールド・ラジオ日本(アジア大陸・東南アジア地域のみ。それ以外の地域は時差放送)。
- NHKワールド・プレミアムでは翌2006年1月1日の7時20分~11時50分に再放送が行われた(5分間の中断ニュースを挟む)。
[編集] 放送まで
- 11月21日にアンケート「スキウタ」上位100位の曲が発表された。
- 12月1日に紅白出場者が発表された。紅白各30組の計60組のうち初出場は16組。
- ゴリ(ガレッジセール)は、民放の番組で演じているゴリエとして紅組から出場した(もっとも、プロジェクトとしての「ゴリエ」のリード・ヴォーカルはジャスミンであり、従前からの「男女混合ユニットに於いてリード・ヴォーカルが女性であれば紅組に編入される」という慣例からははずれていない)。
- これまで紅白には縁がなかった松任谷由実と山崎まさよしが初出場を果たし、スキウタのアンケート結果から渡辺美里も初出場となった。また、SMAPは2年ぶりの出場で、前回同様白組のトリを務めた(返り咲き出場でのトリは、第43回の由紀さおり以来、白組としては第7回の灰田勝彦以来)。他方で、ケツメイシやEXILE、Janne Da Arc、平井堅、ゆず、GLAY、L'Arc~en~Ciel、Gackt、globe、SHOW-YAなどが出場を辞退した。
- モーニング娘。は、卒業メンバーを加えた総勢19名の特別編成での出場となり、注目を集めた(卒業メンバーのうち3名は松浦亜弥&DEF.DIVAとしても出場。また、Wとして活動していた2名は、前年の紅白で初出場を果たした)。
- 和田アキ子がm-flo loves Akiko Wadaとして(リード・ヴォーカルとしてでなくフィーチュアリング・ヴォーカルという形で)白組に出場する事も話題となった。
- 安藤美姫が特別審査員に内定したとの報道もあったが、実現しなかった。
- 12月21日には出場曲が発表されて、その9日後の30日には曲順が発表された。
- 曲目決定に関し、「スキウタ」のデータがどのように反映されたのか分かりにくい結果となった。実施方法の不備、組織票による出場歌手への反映などの問題点が指摘され、アンケートの意義を含めて賛否の声が上がった(当該記事参照)。
[編集] 当日のステージ
- SMAPは、「Triangle」で大トリを務めた。また、スキウタ白組1位「世界に一つだけの花」を歌い、「タイムスリップ60年 昭和・平成always」でも大トリを務め、メンバーがそれぞれ曲紹介を行い、持ち歌2曲を披露した。この年の主役であった。
- 倖田來未は、日本レコード大賞の受賞を司会のみのもんたに祝福された。注目されていたゴリエとの衣装対決では、2人で仲良く着物姿で共演する場面があった。
- これまでは前半はポップス、後半は演歌というのがパターンだったが、この回は演歌、ポップスが満遍なく配置された。
- 終戦60年を記念し、吉永小百合が山梨から原爆詩を朗読した。その後、さだまさしの『広島の空』、森山良子・直太朗親子の『さとうきび畑』という平和を考える歌が続く演出がとられた。この2曲は、歌詞表示テロップの書体も特に楷書体になった。
- 氣志團の「One Night Carnival」では民放の格闘技を意識した演出があり、曙がボブサップにKO負けしたシーンも再現された。紹介時のテロップ出しもPRIDEと同じ形式だった。
- これまで審査員席に座っているだけだった特別審査員が壇上でトークや曲紹介を行った(後述)。
- アンガールズ、アンジャッシュ、南海キャンディーズ、ヒロシ、まちゃまちゃ、安田大サーカス(上記6組が裏番組にも出演)など数多くのお笑いタレントが応援ゲストとして登場したが、1999年から2002年まで毎年のように応援ゲストとして出演していた爆笑問題は出演しなかった(元日の生放送番組のリハーサルのためという)。
- 山崎まさよしは曲中に登場する桜木町から中継した。また、演奏指揮の服部隆之は2年連続の出演となった。
- みのもんたは期待通り名調子を聞かせた。しかし、みの本人は年明けに「満足度は10%。大不満」「もう少し演出の方法があるね。曲紹介に主眼を置くNHKと自分には相いれないものがあった」「尊敬する宮田輝アナウンサーがやっていた『ふるさとの歌まつり』みたいなのをやりたいね」とのコメントを表した。
- 宮川泰がエンディングの「蛍の光」で指揮をするのはこの回が最後となった(翌年死去したため)。
[編集] ハプニング
- 山本耕史が前川清を「山川」と間違え、慌てて訂正する一幕も。この時前川は歌い終わりの挨拶で「どうも、山川でした」と言って笑いを取った。
- WaTの小池徹平が演奏開始直後にギターの弦を切ってしまった。また、ちょうどサビに入ったところでカメラマンが誤ってマイクスタンドを2本とも倒してしまう。スタンドが立て直されるまでの間、2人は声を張り上げて歌い続け、マイクが直った後は観客から大きな拍手が送られた。
- 中島美嘉の時は時間が押していたらしく、彼女が「雪の華」の全歌詞を歌い終わった直後、同曲の(歌詞の後の)最後の演奏を切る形で、いきなり次の北島三郎の「風雪ながれ旅」のイントロが流れ、不自然な終わり方となった。また、曲紹介では仲間由紀恵に「なかじまみか」と言い間違えられた。
- ポルノグラフィティは、曲紹介を省略された。
- みのがラジオ放送席から聴取者に向けたラジオ放送のみのメッセージを送った。これは、NHKの番組制作者がみのに与えた、2分間のフリートークの一環として行われたものである。
- 松任谷由実は上海から中継で出演したが、放送直前に中継場所が変更された。
[編集] 結果
審査の集計方法が大きく見直され、会場審査・デジタルテレビ・携帯電話を含めた全審査員の投票数すべてをそのまま反映するようになった。なお、会場での審査には専用の紅白の団扇のうち勝ったと思われる方をステージ上のレーダーに向ける『ポップジャム』でのブレイクレーダーの方式が用いられた。
投票の結果、28,884対23,414で白組が優勝し、通算「紅組28勝・白組28勝」のタイとなった。
前年までNHKの放送総局長が司会者に優勝旗を渡すのが恒例だったが、この回では、みのもんたが山本耕史に優勝旗を渡した。
[編集] 司会者
今回の紅白歌合戦は、司会者に関して、初めて紅白の区別を設けないことになったが、事実上は、紅組司会を仲間由紀恵が、白組司会を山本耕史が務めた。また、5年ぶりのNHK以外のアナウンサーとしてみのもんたが司会に加わった。
みのはNHKで、山本は地上波で初の司会となった。みのの過去のNHKへの出演番組は衛星放送の特集で、山本はBS2の「新・真夜中の王国」で司会をした程度だった。また、一部では紅組司会を仲間、白組司会を中居正広がそれぞれ務めるとも報じられた他、中居が辞退したために山本に変更されたという報道もある。
- みのもんた
- 山根基世アナウンサー(放送センターアナウンス室長)
- 仲間由紀恵(2006年大河ドラマ『功名が辻』主演)
- 山本耕史(2006年正月時代劇『新選組!! 土方歳三 最期の一日』主演)
- ラジオ中継:藤崎弘士アナウンサー、黒崎めぐみアナウンサー
[編集] メイン演奏
- 三原綱木とザ・ニューブリード・東京放送管弦楽団(指揮 三原綱木)
[編集] 審査員
- ゲスト審査員(別記)
- デジタルTV審査員(地上・BSデジタルハイビジョン放送の視聴者)
- ケータイ審査員(携帯電話で審査、10,000名)
- ふるさと審査員(デジタルTV審査員・ケータイ審査員の応募者から抽選で会場に招待された20名)
- 会場審査員(ふるさと審査員・特別審査員を含めたNHKホールの観客全員)
[編集] 出場歌手
紅組 | 白組 | ||
---|---|---|---|
歌手 | 曲 | 歌手 | 曲 |
第一部 | |||
川中美幸 (18) | 二輪草 | 細川たかし (31) | 北酒場 |
鈴木亜美 (3) | Delightful | 北山たけし (初) | 男の出船 |
水森かおり (3) | 五能線 | w-inds. (4) | 十六夜の月 |
坂本冬美 (17) | ふたりの大漁節 | 布施明 (21) | 少年よ |
松浦亜弥 (5) & DEF.DIVA (初) モーニング娘。 (8) |
気がつけば好きすぎて♪盛り上がって♪LOVEマシーン! | 氣志團 (2) | One Night Carnival |
BoA (4) | 抱きしめる | コブクロ (初) | 桜 |
長山洋子 (12) 三線:夏川りみ | 芭蕉布 | ゴスペラーズ (5) | ひとり |
藤あや子 (14) | むらさき雨情 | 森山直太朗 (2) | 風花 |
倉木麻衣 (3) | Love, Day After Tomorrow | 美川憲一 (22) | 愛の讃歌(越路吹雪) |
島谷ひとみ (4) | 亜麻色の髪の乙女 | 前川清 (15) | 夜霧よ今夜も有難う(石原裕次郎) |
平原綾香 (2) | 明日 | 鳥羽一郎 (18) & 山川豊 (11) | 海の匂いのお母さん |
香西かおり (13) | 無言坂 | スキマスイッチ (初) | 全力少年 |
伊藤由奈 (初) | ENDLESS STORY | TOKIO (12) | 明日を目指して! |
大塚愛 (2) | プラネタリウム | CHEMISTRY (5) | almost in love |
吉永小百合による原爆詩の朗読 | |||
森山良子 (10) & 森山直太朗 (2) | さとうきび畑 | さだまさし (17) | 広島の空 |
第二部 | |||
全員ソング スキウタ1位曲 「世界に一つだけの花」 | |||
倖田來未 (初) | 倖田來未 スペシャルバージョン | D-51 (初) | NO MORE CRY |
浜崎あゆみ (7) | fairyland | 氷川きよし (6) | 面影の都 |
ゴリエ (初) | Pecori ♥ Night | WaT (初) | 僕のキモチ |
タイムスリップ60年 昭和・平成ALWAYS | |||
小林幸子 (27) | 越後絶唱 | T.M.Revolution (3) | WHITE BREATH |
一青窈 (3) | ハナミズキ | グループ魂 (初) | 君にジュースを買ってあげる♥ |
aiko (4) | スター | 山崎まさよし (初) | One more time, One more chance |
石川さゆり (28) | 天城越え | ポルノグラフィティ(4) | ジョバイロ |
AI (初) | Story | 森進一 (38) | おふくろさん |
夏川りみ (4) | 涙そうそう | アリス (2) | アリス プレミアム 2005 |
松任谷由実 with Friends Of Love The Earth(初) | Smile again | Def Tech (初) | My Way |
DREAMS COME TRUE (10) | 何度でも~紅白スペシャルバージョン~ | 五木ひろし (35) | ふりむけば日本海 |
渡辺美里 (初) | My Revolution | m-flo (初) ♥ Akiko Wada (29) | HEY! |
中島美嘉 (4) | 雪の華 | 北島三郎 (42) | 風雪ながれ旅 |
天童よしみ (10) | 川の流れのように(美空ひばり) | SMAP (13) | Triangle |
[編集] ゲスト出演者
[編集] ゲスト審査員
- 琴欧州勝紀(大相撲・大関):浜崎あゆみの曲紹介に登場
- 薬師丸ひろ子(女優):伊藤由奈の曲紹介で映画「スター・ウォーズ」のC-3PO、R2-D2と共に登場
- 野口聡一(宇宙飛行士):スキマスイッチの曲紹介に登場
- 長澤まさみ(女優・大河ドラマ『功名が辻』出演):自身が出演したドラマ『優しい時間』の主題歌である平原綾香の曲紹介に登場
- 山田洋次(映画監督):新作『武士の一分』の主役である木村拓哉と共に前川清の曲紹介に登場
- 森光子(女優):「タイムスリップ60年 昭和・平成always」コーナーに出演
- 上川隆也(俳優・大河ドラマ『功名が辻』出演):壇上で仲間由紀恵と”夫婦”競演
- 眞鍋かをり(タレント):TOKIOの曲紹介に登場
- 林家正蔵(落語家):森進一『おふくろさん』の曲紹介に登場
- 栗原はるみ(料理研究家):一青窈の曲紹介に登場
[編集] その他
- 細川茂樹:布施明の『少年よ』(『仮面ライダー響鬼』の主題歌)の曲中にサプライズゲストとして登場。また響鬼・威吹鬼・轟鬼が殺陣を披露した。
- まちゃまちゃ
- コロッケ
- 安田大サーカス
- 『風のハルカ』の水野一家(村川絵梨、渡辺いっけい、真矢みき、黒川芽以)
- グッチ裕三
- 綾小路きみまろ
- 南海キャンディーズ
- DEPAPEPE:「タイムスリップ60年 昭和・平成always」コーナーに出演し、『上を向いて歩こう』を演奏した。
- ヒロシ
- アンジャッシュ
- アンガールズ
[編集] スタッフ
- 制作:大鹿文明(番組編成局芸能番組センター長)
- チーフプロデューサー:石原真(バンド架空楽団のベーシスト。ポップジャム担当)
- エグゼクティブプロデューサー:遠藤正雄
- 演出:中村雅郎(ポップジャム演出)
[編集] 視聴率
放送日の12月31日の夜、TBSとフジテレビでは高い視聴率が見込める格闘技の特別番組を用意し(「K-1Dynamite!」・「PRIDE男祭り」)、日本テレビやテレビ朝日も各自特別番組を編成して紅白に対抗した。また例年「年忘れにっぽんの歌」を放送しているテレビ東京は紅白の開始時間である19時20分前後に松平健のマツケンサンバI~IIIのメドレーを放送した。
視聴率競争のさらなる激化が予想された中で、司会のみのもんたは「視聴率65%、最低でも50%」と意欲を見せていたが、結果は1部が35.4%(前年30.8%)、2部が42.9%(前年39.3%)で、前年を4.6%、3.6%上回った(以下、データは関東地区、総合テレビのみでBS2・BSハイビジョンは含まない。ビデオリサーチ調べ)。例年史上最低を更新する状況にこそ歯止めがかかったものの、目標とした65%にははるかに及ばず、みのは「自分の非力を嘆いています」とのコメントを発表した。
なお、注目された各局の視聴率は、フジテレビの「PRIDE男祭り2005」が17.0%(20時~23時、番組全体では16.2%(前年14.0%))、TBSの「K-1プレミアム2005Dynamite!!」(21時~23時40分)が14.8%(前年20.1%)などとなった。
例年翌年2月に総合テレビで行われていた再放送は、トリノオリンピック中心で編成が組まれていたため行われなかった。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
- NHK紅白歌合戦公式サイト
- 紅白歌合戦完全マニュアル - 視聴率など。
- Red and White Song Festival
- 紅白歌合戦出場歌手・曲目一覧
- 紅白歌合戦情報 - リンク集など
- NHK総合「紅白歌合戦」 - ビデオリサーチ。1962年(第13回)以降のテレビ視聴率を掲載。
NHK紅白歌合戦 1951 | 1952 | 1953 1月 | 1953 12月 | 1954 | 1955 | 1956 | 1957 | 1958 | 1959 |