三田市
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三田市(さんだし)は、兵庫県の市。豊かな自然で有名な田園都市である。一時期は、人口増加率日本一になるほど人口が急増していたが、現在は落ち着いている。
目次 |
[編集] 地理
兵庫県南東部、六甲山地の北側に位置する。かつては田園風景の広がる典型的な農村の様相を呈していたが、1980年代からの大規模住宅団地の開発と、JR福知山線の利便性向上により大阪・神戸の衛星都市として急激な発展を遂げた。今日では農村と都市の二つの顔を併せ持つ田園都市となっている。瀬戸内気候に属すると言われるが、内陸部に位置するため気温の寒暖差は比較的大きい。
- 山: 有馬富士、羽束山、大船山
- 河川: 武庫川、青野川
- 湖沼: 千丈寺湖、福島大池
[編集] 隣接している自治体
[編集] 歴史
[編集] 古代
三田盆地は旧石器時代から、人々が暮らした痕跡がある。2万5千年前の遺跡である広野地区の溝口遺跡からはナイフ形石器、石鏃などが発掘されている。ニュータウン開発で発見されたけやき台の有鼻遺跡や平方遺跡は弥生時代中期の遺跡で、ここからは畿内最古の鉄剣や鉄斧などの鉄器類や竪穴式住居跡などが発掘されている。古墳時代には武庫川と青野川が合流する流域は須恵器の産地となっていたようで、本庄地区の東仲古墳 、沢山1号墳など石室を持った古墳とともに須恵器の窯跡が発掘されており、「末(すえ)」という地名は今も残っている。これは三田市の北西に隣接する篠山市今田地区で生産されている立杭焼(丹波焼)の起源の一つと考えられている。また、青野川とともに青野ダムを形成する黒川沿いの小野地区にある伊勢貝遺跡は、縄文時代から平安時代にかけての集落の遺構が発掘される複合遺跡である。このように市域には時代ごとに遺跡や古墳が多くあり、古代から連綿と人々の暮らしが続いていることがわかる。
[編集] 中世
現在の市街地エリアに町が形成されたのは7~8世紀頃からと考えられる。三田地区・三輪地区一帯は7世紀以前から日本最古の神社と言われる大和国一ノ宮である大神神社の荘園となっており、大和国城上郡の松山氏が荘官として管理し通称「松山の庄」と呼ばれていた。668年(天智天皇7年)に金心寺が建立されると武庫川より南西部に門前町が形成され、金心寺周辺を三田と呼ぶようになる。北東部の三輪地区はその後も大神神社の荘園であったが、14世紀の松山彈正が荘官の時、荘園制度が崩れ武装の必要性が生じ、有馬郡の三輪明神信仰の聖地となっていた丸山に城を築くと同時に三輪神社の社殿を奉納する。これにより三輪地区でも門前町を形成していき、武庫川を挟んで金心寺と三輪神社の門前町が融合する形で有馬郡の中心地へと発展していく。
[編集] 三田藩
平安時代から鎌倉時代にかけて市域の各地には多くの荘園ができ、地頭である豪族が桑原城、貴志城、大原城などの小さな山城を築いて統治していたが、室町時代に播磨国守護だった赤松則村(円心)の四男・赤松氏範が有馬郡を領有し三田城(車瀬城)を築城する。その後も赤松氏を出自とする摂津有馬氏が領有していたが、戦国時代に織田信長の家臣だった荒木村重が摂津国を平定すると丹波国攻略のために三田を城下町として整備する。荒木村重が謀反を起こし織田信長に討たれると、信長の家臣・山崎堅家が近江国から2万3千石で入封したことで三田藩が成立する。江戸時代には志摩国鳥羽藩から九鬼久隆が3万6千石で入封し、廃藩置県までの約240年間、九鬼氏が三田藩を統治することになる。
尚、北部の高平地区は多田源氏の所領として多田荘に属し、江戸時代は現在の大阪府豊中市に本拠を置いていた麻田藩の青木氏1万2千石の所領で、1896年(明治29年)に有馬郡に移管されるまで川辺郡に属していた。
[編集] 近代~現代
- 1871年(明治4年) 廃藩置県により三田県となり後に兵庫県に編入。
- 1879年(明治12年) 三田町に有馬郡2町12ヶ村の郡役所設置。
- 1896年(明治29年) 高平村が川辺郡から有馬郡に編入。
- 1899年(明治32年) 阪鶴鉄道(後の国鉄、現・JR西日本福知山線)開通。三田駅、広野駅、相野駅、藍本駅が開業。
- 1915年(大正4年) 有馬鉄道(後の国鉄有馬線)開通。
- 1927年(昭和2年) 三輪村が町制を実施し三輪町となる。
- 1928年(昭和3年) 神戸有馬電気鉄道(現・神戸電鉄)三田線開通。三田駅、横山駅が開業。
- 1929年(昭和4年) 神戸有馬電気鉄道三田線 三田本町駅が開業。
- 1943年(昭和18年) 国鉄有馬線廃止。
- 1947年(昭和22年) 旧有馬郡の3町13ヶ村のうち、有馬町と有野村が神戸市に編入。
- 1951年(昭和26年) 山口村と塩瀬村が西宮市に、八多村・大沢村・道場村が神戸市に編入。
- 1955年(昭和30年) 長尾村が神戸市に編入。
- 1956年(昭和31年) 残った有馬郡の北半分のうち、三田町・三輪町・広野村・小野村・高平村の五ヶ町村が合併し三田町となり、藍村と本庄村が合併し相野町となる。
- 1957年(昭和32年) 三田町が相野町を編入。
- 1958年(昭和33年)7月1日 市制を実施、三田市が誕生する。
- 1982年(昭和57年) 北摂ニュータウン(翌年、北摂三田ニュータウンに改称)街開き。
- 1986年(昭和61年)国鉄(現・JR西日本)福知山線全線電化。宝塚~新三田間複線化。新三田駅が開業。
- 1988年(昭和63年)近畿自動車道舞鶴線(現・舞鶴若狭自動車道)三田西IC、中国自動車道 神戸三田ICが開通。
- 1990年(平成2年) 六甲北有料道路が開通。
- 1991年(平成3年) 神戸電鉄公園都市線 横山~フラワータウン間開通。フラワータウン駅が開業。
- 1992年(平成4年) 兵庫県立人と自然の博物館が開館。
- 1995年(平成7年) 関西学院大学神戸三田キャンパス開設。
- 1996年(平成8年) 神戸電鉄公園都市線 フラワータウン~ウッディタウン中央間開通。南ウッディタウン駅、ウッディタウン中央駅が開業。
- 1997年(平成9年) JR西日本福知山線 新三田~篠山口間複線化。
[編集] 行政
- 市長 岡田義弘(平成11年8月から)
[編集] 経済
[編集] 産業
- 主な産業:農業(三田米、母子茶)・酪農・畜産(三田牛)
- 三田テクノパーク
[編集] 姉妹都市・提携都市
[編集] 国内
[編集] 海外
[編集] 北摂三田ニュータウン
三田市は1980年代からの北摂三田ニュータウン(フラワータウン・ウッディタウン・カルチャータウン・テクノパークの4団地で構成)開発を軸に発展してきた。これらの都市開発は多摩や千里の問題点を改善して計画され、事業に長期間かけたのが特長である。開発面積の合計は1,200haにも及ぶ。さらに、これらの開発が呼び水となり市内では民間主導の開発が活発化した。ゴルフ場跡地やニュータウン近隣の山林造成などで宅地を開発するとともに、ニュータウンにならい○○タウンと称して分譲され、三田市が10年連続で人口増加率日本一となる一因ともなった。2006年11月現在、ニュータウンの人口は三田市人口のほぼ半数にあたる56,521人である。
なお、北摂三田ニュータウンの既設4団地と、神戸市域の藤原地区および北神戸第1~3地区(神戸リサーチパーク)の4団地を足した計8団地は、総面積2,000haにおよぶ神戸三田国際公園都市と称される。
[編集] 主な住宅地
市内には1980年代後半から1990年代にかけて、大小様々なニュータウンの開発が進められてきた。一部は、現在も造成中である。
- フラワータウン(南地区/新住宅市街地開発事業)
- 三田市内で最も早く開発が進められたニュータウン。「富士が丘」「狭間(はさま)が丘」「弥生が丘」「武庫が丘」の4つからなる。地域には、各区分に1小学校、全体に2中学校(富士・狭間)、また狭間が丘には兵庫県立北摂三田高等学校がある。また、兵庫県立人と自然の博物館もある。商業施設としては、ダイエーやスーパー「NISHIYAMA」が出店している。交通としては神戸電鉄公園都市線のフラワータウン駅がある。以前は、この駅が終点だった。フラワータウンはこのフラワータウン駅を中心に店舗、行政施設、郵便局、スポーツ施設、医療施設がある。市街地に近いこともあってか、昼間でも人の数は多い。三田駅からは神鉄やバスを使えば10分前後で来ることが出来るし、近くには中国自動車道の神戸三田ICもあるので、交通の便は悪くない。また、フラワータウン駅の駅ビルには医療機関も数多くあるので、医療にも便利な場所である。なお、このフラワータウンはほぼ造成は完了している。
- ウッディタウン(中央地区/新住宅市街地開発事業)
- フラワータウンに次いで開発が進められた。「ゆりのき台」「あかしあ台」「すずかけ台」「けやき台」の4つからなる。現在も、4つの街区とも開発が継続中である。ウッディタウンの造成が完成することによって、若干の人口は増えると思われる。地域には、各区分に1小学校、全体に2中学校(ゆりのき・けやき)、ゆりのき台に兵庫県立三田西陵高等学校がある。また、商業施設としてサティ・三田ウッディタウン店がある。ここには、複合映画館も併設されており市内外から多くの客で連日にぎわっている。また、「えるむプラザ」(すずかけ台)や「ウッディタウン・クロスモール」(けやき台)といった商業施設もあり、市内で最も買い物客などで賑わいを見せる。前述のサティ周辺は「センチュリープラザ」ともいい、新三田駅や三田駅からのバスも数多く停車する。フラワータウンと同じく、市内の経済の中心的な場所でもある。
- カルチャータウン(西地区/新住宅市街地開発事業)
- カルチャータウンは行政区分上「学園」のみを指す。現在、学園8丁目まで存在するが一部は現在造成中である。ここには、「兵庫村」「ワシントン村」なる街があり、高級住宅が軒を連ねている。地域には、学園小学校がある。中学生は隣のゆりのき台中学校まで通うことになる。また、兵庫県立三田祥雲館高校や関西学院大学神戸三田キャンパスも学園の中にある。つまり名のごとく「学習の街」と言うわけである。ただ、商業施設は小売店が1つ存在するのみで、大きな買い物をするにはバスか自家用車でウッディタウンやフラワータウンまで出る必要がある。しかし、交通はそれほど不便ではなく、1時間に少なからず2本以上は新三田駅行のバスが出ているし、関西学院大学や三田祥雲館高校の生徒・学生のために、三田駅やつつじが丘、フラワータウン内までの直通バスも一日数本運行されている。また、三ノ宮・神戸空港行きの特急バスも1時間に1往復を原則に運行されている。
- テクノパーク(工業団地造成事業)
- テクノパークは1980年代後半から舞鶴若狭自動車道(旧:舞鶴自動車道)三田西インターの周辺に造成されていった工業団地。多くの大手企業の工場や営業所がある。工業団地のため、もちろん人口は0人である。テクノパークの中心地は、インターチェンジ付近で、ガソリンスタンド・コンビニ・銀行ATMが店舗を構えている。朝にはこれら工場の従業員が、中心地に集まる。交通は、前述の三田西インターの他に、バスを利用して新三田駅までの路線がある。また、テクノパークを経由する意味で三ノ宮方面のバスも運転されている。
- 第2テクノパーク(土地区画整理事業/開発中止)
- ガーデンタウン
- この団地は、民間事業者による開発であり、規模は大きいものの北摂三田ニュータウンには含まれない。ガーデンタウンは行政区分上「つつじが丘」のみを指す。フラワー・ウッディ・カルチャーの3つが隣接しあっているのに対し、ガーデンタウンは一山越えたところにある。人口はカルチャータウンに勝るものの、商業や交通の便は圧倒的に他の3タウンよりも欠ける。ただ、交通の便、とくにバスに関しては最近大幅な路線新設があり、市内の各高校(三田西陵、三田祥雲館、北摂三田)への通学バスや三ノ宮・神戸空港行きの特急バス、それにセンチュリープラザや三田市民病院方面へのバスも運行されている。最寄り駅はJR相野駅で、大阪市街地へ快速を使えば50分前後で行くことが出来る。商業施設は小規模な小売店で構成された商店街が1つ存在するのみであるため、多くの住民はウッディ・フラワータウンへ買い出しに出かける。地域には、つつじが丘小学校と藍中学校がある。なお、この「つつじが丘」はほぼ入居完了状態である。
[編集] 地域
[編集] 健康
- 平均年齢
[編集] 教育
[編集] 大学
- 関西学院大学神戸三田キャンパス
[編集] 短期大学
[編集] 高等学校
- 公立
- 私立
[編集] 中学校
- 公立
- 三田市立けやき台中学校
- 三田市立ゆりのき台中学校
- 三田市立狭間中学校
- 三田市立上野台中学校
- 三田市立長坂中学校
- 三田市立八景中学校
- 三田市立富士中学校
- 三田市立藍中学校
- 私立
[編集] 小学校
- 三田市立あかしあ台小学校
- 三田市立けやき台小学校
- 三田市立すずかけ台小学校
- 三田市立つつじが丘小学校
- 三田市立ゆりのき台小学校
- 三田市立学園小学校
- 三田市立狭間小学校
- 三田市立広野小学校
- 三田市立高平小学校
- 三田市立三田小学校
- 三田市立三輪小学校
- 三田市立志手原小学校
- 三田市立小野小学校
- 三田市立松が丘小学校
- 三田市立富士小学校
- 三田市立武庫小学校
- 三田市立母子小学校
- 三田市立本庄小学校
- 三田市立弥生小学校
- 三田市立藍小学校
[編集] 文化施設
- 兵庫県立人と自然の博物館
- 兵庫県立有馬富士公園
- ふれあいと創造の里 - 陶芸館や釣り堀、プールなど
- 高平ふるさと交流センター
- 広野市民センター
- フラワータウン市民センター
- ウッディタウン市民センター
- 藍市民センター
- 野外活動センター
- 三田市立図書館
- 城山公園
- 総合福祉保健センター
- 多世代交流館 ふらっと
[編集] 医療施設
- 三田市民病院
- 兵庫中央病院
- 平島医院
- あさはら歯科
[編集] 経済団体
[編集] 交通
[編集] 鉄道
市の代表駅として中心的な役割を担っているのは、三田駅(西日本旅客鉄道・神戸電鉄)である。
- 西日本旅客鉄道(JR西日本)
- 神戸電鉄
[編集] 道路
[編集] 名所・旧跡・観光スポット・祭事・催事
- 花山院 菩提寺
- 貴志城跡
- 三田城跡(三田陣屋跡)
- 三好達治が幼少の頃過ごした妙三寺
- 福島大池
- 虚空蔵山:初日の出で有名
- 旧九鬼家住宅
- 高売布神社(本殿は国の重要文化財)
- 御霊神社(本殿は国の重要文化財)
- 住吉神社(本殿は国の重要文化財)
- 永沢寺と花菖蒲園
- 三田天満神社
- 金心寺(三田城御下屋敷黒門が移築されている)
- 心月院(三田藩主の菩提寺)
[編集] 出身有名人
[編集] 備考
- 郵便番号は以下の通りである。
- 三田郵便局:669-13xx、669-15xx、669-14xx
- 余談だが、東京都港区には同じ漢字で三田(みた)と言う地名があり、その読み方で関東出身か関西出身かが区別が出来てしまうと言われる。特に東京の放送局のアナウンサーやDJなどがひょうごけんみたしと呼んでしまうことも少なくない。三田市には東京三菱銀行三田支店、東京の三田にはUFJ銀行三田支店が存在したが、2006年1月の三菱東京UFJ銀行発足時、三田市の支店はひらがなの「さんだ支店」となった。
[編集] 外部リンク
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- 兵庫県の自治体等
-
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