大島康徳

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大島康徳（おおしまやすのり、1950年 10月16日 - ）は福岡県築上郡築城町（現・築上町）生まれ、大分県中津市出身のプロ野球選手・プロ野球監督、野球解説者。先輩や同級生からは「ヤス」（名前が“やすのり”だから）という愛称で親しまれている。

[編集] 来歴・人物

中津工業高校から1968年に中日ドラゴンズの入団テストを受け合格し、同年ドラフト3位で入団。投手として入団したがすぐに打者転向。3年目の1971年に1軍初出場。翌年外野手のレギュラーとなるが、まだ荒削りで完全なレギュラー定着には至らず。そんな状況が続いていた8年目の1976年、代打での起用に無類の勝負強さを発揮しシーズン代打本塁打7本の日本記録を樹立。翌年も調子を持続させ、三塁手のレギュラーとして打率.333、27本塁打。1979年には30本の大台を越える36本塁打。1983年に再び36本塁打を放ち本塁打王に輝く。

輝かしい打撃成績を残したにもかかわらず代打起用が多かったのは、バッティングの調子の波が激しすぎた他、守備にあまりにも難がありすぎたためである。殊勲打を打ってもエラーでふいにしてしまうということが多々あった。中日ファンであったイチローは少年時代に、大島がサードからレフトにコンバートされたのを知った時、もうすぐ引退かと思ったという（WBCでの発言）。当時チームメイトだった星野仙一も「宇野は捕れば安心できたけど、大島は捕球しても審判がアウトを宣告するまでまったく安心できなかった」と述べている（2006年 7月19日の阪神VS巨人戦の解説）。このように、ファンの視点、チームメイトの視点のどちらから見ても大島の守備がいかにひどく、不安定なものだったかがうかがえる。

1985年に西武からトレード要請があったが、マスコミに漏れてしまい破談となる（ちなみにこれは当時の西武が、田淵幸一、山崎裕之の引退により右の主軸を務められるバッターを欠いていたためであり、実際に後日田尾安志と大石友好、杉本正とのトレードがまとまっている）。しかし、37歳となった1987年オフ、星野監督のチーム改革により日本ハムファイターズへトレード移籍。日本ハムでは一塁手としての起用が多く、長打も多ければチャンスにサードゴロのダブルプレーも多いというバッティングだったが、チームの得点力不足もあって主軸として活躍し、1990年 8月21日の対オリックス・ブレーブス戦で2000本安打を達成。39歳10ヶ月での達成は当時最年長記録だった（後に新井宏昌、落合博満が更新）。1994年まで現役を続けた。44歳、現役26年は野村克也（現・東北楽天ゴールデンイーグルス監督）に次ぐ記録。通算代打本塁打20本は歴代2位。

1995年からNHK野球解説者、東京中日スポーツ評論家。2000年～2002年に日本ハムの監督を務めた。監督としては熱血漢で知られたが、やや選手との意思疎通を欠く場面も見られた。監督時代には巨人の長嶋茂雄監督を意識した所作及び指導方法が珍プレーとしてテレビで紹介され、その影響なのかある年のドラフト指名を受けた選手が「（大島監督の印象は）珍プレーを見て面白い人だなと思いました」と答えている。

現在は再びNHK野球解説者・東京中日スポーツ評論家として活躍している。しかし監督としてはともかく解説者としてはやや辛口である。

2006年、ワールド・ベースボール・クラシック日本代表の打撃コーチに選ばれ、準決勝ではイチローを3番にするなどの打順変更を申し入れた。

星野仙一と谷沢健一が犬猿の仲にあった中日ではバリバリの星野派であるが、谷沢とは常に友好関係にあった。星野によって引退させられた谷沢や同じく星野と気まずい関係にあった平野謙とともにトレードという形で中日から放出されたうちの一人であるが、大島をNHK解説者へ斡旋したことからも分かるように、星野は大島のことを「ヤスは俺の弟子」と言い、大島自身も星野を兄貴分として慕っている。前者の後輩2人とは明らかに違う大島と星野の距離感はドラフト同期生ということも大きく関連しているようである。

マスターズリーグと名球会では背番号が異なる。前者は名古屋80D'sersに在籍していることから中日時代の5番を付け、後者は日本ハム時代に2000本安打達成して名球会入りしたことから、名球会野球教室では11番を付けている。

[編集] エピソード

元々はバレーボールの選手。ちなみに中学・高校時代、大分県選抜チームのレギュラーだった。
中日と日本ハムのOBであるが、少年時代は阪神ファンであった。
1974年。中日が巨人のV10を阻んで優勝したが、その直後の巨人の長嶋選手の引退試合（10月14日）は巨人対中日のダブルヘッダー（後楽園球場）であった。既に優勝を決定した中日の主力選手は名古屋での優勝パレード出席で、中日のその日の（消化試合）に臨む選手は大島を除き補欠ともいえる選手であったが、第2試合終了後の長嶋の引退セレモニー時に中日を代表して花束を進呈したのは若かりし頃の大島であった。相手チームの長嶋と同じ4番・三塁をつとめ、引退セレモニー時のスコアボードにも彼の名前が載っている。一説によると、大島にも優勝パレードの参加が告げられたが、「長嶋さんが引退するというときに相手の主力選手が誰も行かないとは失礼だ」と自ら志願して巨人戦に出場したという。
前述のように守備には難があったのだが、実際、1982年9月の巨人との首位攻防戦では、1回裏無死一、二塁の場面で篠塚和典の送りバントをピッチャーの郭源治が三塁へ悪送球し、レフトの大島がその処理をした際、ボールに勢いがそれほどなかったにもかかわらず、トンネルするという大失態を起こす。その後、ボールがホームに帰ってきた際、キャッチャーの中尾孝義が取り損なったこともあって、記録上は失策ながら篠塚にランニングホームランを許してしまう。しかし、大島は現在まで自分の責任について頑として認めず、あくまで三塁に悪送球した郭が悪いと言っている（郭も大島が悪いと言っている）。ちなみにこの事はフジテレビ系列のバラエティ番組「トリビアの泉」でも紹介された。結局、この年中日はリーグ優勝を果たしたのだが、もし優勝を逃していればこのプレーに関して内外から批判がさらに増えていたであろう。
1987年には、レフトフライをグローブでアシストし本塁打に変えてしまったことがある（その際、勢い余ってそのグローブもスタンドに入ってしまった）。
1988年 4月8日の開幕戦では1点リードの終盤に、一塁を守っていた大島がファウルフライを落球してしまい、それをきっかけにロッテに逆転を許してしまった。ちなみに、同日の昼に行われた巨人VSヤクルトの一戦でも鴻野淳基の悪送球がきっかけで巨人が逆転負けを喫しており、両ホームチームは東京ドーム第1戦を白星で飾れなかった。
元来熱血漢であり、2000年の日本ハム監督時代にあるプレーに対する審判のミスジャッジであると主審に猛抗議する一幕があったが、この年の6月20日のロッテ戦では大塚明の打球を巡っての抗議が20分を経過したという理由で主審から退場を宣せられた。するとその時から急に踏ん切りが付いた様に、四の五の言わずに観客にお辞儀をしながら往生際良くベンチを後にした。しかし血圧が急上昇し、頭痛と吐き気を訴えて医務室で点滴を受けた後も血圧は落ち着いたが頭痛と吐き気は残ったため救急車で病院に運ばれ、大事を取って入院した。翌日、「人間、興奮するとよくないってことですな」とコメントしている。
2001年は前年3位だったため、オールスター戦には、パ・リーグのコーチとして出場したが試合中の名場面やパ・リーグが得点をあげたり、試合に勝っても笑顔をほとんど見せなかった。この年、日本ハムはリーグ最下位を独走しており、そちらの方を気にしていたようで大島は後半戦をどうするのか考えていたのであろう。
世界初の開催となったWBC（ワールド・ベースボール・クラシック）が2006年 3月に開催され、大島は日本代表の打撃コーチになったが、開催中の打順の交代などを王貞治監督に打診するなど王監督の采配をサポートする好アシスト役が板に付き、見事に世界一に導いた。大島本人は「昔からオリンピックに出場するのが夢だったんだ」と金メダルを首に掛けられた瞬間から人目を憚らず大泣きだったらしい。
私生活では30代半ばまで独身を通していたが、10歳年下の客室乗務員をしていた女性と結婚。息子が2人いる。結婚が遅かったのは大島の実家が早くに父・兄を失い大島が母の扶養をしていたことも一因であった。
田尾安志の奥さんで歌手の田尾ヒロコ（マダムレイ）は先に大島に紹介された。

[編集] 現役時代の年度別成績

表中の太字はリーグ最多数字

年度	チーム	試合	打数	得点	安打	二塁打	三塁打	本塁打	打点	盗塁	犠打	犠飛	四死球	三振	打率（順位）
1971年	中日	74	241	25	49	4	1	7	22	11	3	0	22	80	.203
1972年	中日	124	387	51	89	14	2	14	38	9	5	2	43	79	.230（29）
1973年	中日	117	316	42	76	11	0	13	42	10	7	1	44	72	.241
1974年	中日	112	256	37	66	17	1	11	46	1	2	3	33	42	.258
1975年	中日	91	162	22	45	8	1	4	23	1	2	2	17	45	.278
1976年	中日	123	251	33	63	12	1	11	33	2	0	2	27	68	.251
1977年	中日	126	433	64	144	15	1	27	71	6	2	1	55	74	.333（4）
1978年	中日	98	352	50	99	11	0	15	47	1	0	5	53	64	.281（28）
1979年	中日	130	501	95	159	33	1	36	103	1	0	7	51	87	.317（3）
1980年	中日	108	358	47	90	6	1	18	46	6	0	4	36	65	.251
1981年	中日	130	468	69	141	22	2	23	81	7	0	4	76	71	.301（11）
1982年	中日	124	416	43	112	14	0	18	60	5	0	3	47	60	.269（23）
1983年	中日	130	473	69	137	13	1	36	94	7	2	3	65	69	.290（20）
1984年	中日	130	471	75	132	15	1	30	87	7	1	4	75	73	.280（24）
1985年	中日	101	339	48	90	15	0	23	56	2	1	5	51	66	.265
1986年	中日	110	339	37	88	9	1	20	45	1	0	2	39	68	.260
1987年	中日	111	283	31	76	12	1	15	49	0	2	2	26	46	.269
1988年	日本ハム	130	492	48	136	26	1	15	63	2	0	3	40	67	.276（18）
1989年	日本ハム	130	461	52	122	26	0	18	59	5	1	7	71	66	.265（24）
1990年	日本ハム	110	360	43	96	17	1	11	50	2	1	4	52	68	.267（21）
1991年	日本ハム	120	403	35	101	18	1	10	61	1	0	8	52	62	.251（30）
1992年	日本ハム	98	236	24	61	7	0	5	28	1	1	2	30	44	.258
1993年	日本ハム	47	42	0	11	4	0	0	8	0	0	0	5	8	.262
1994年	日本ハム	64	65	2	21	1	0	2	22	0	0	0	8	18	.323
通算成績	---	2638	8105	1042	2204	330	18	382	1234	88	30	74	1018	1462	.272

[編集] タイトル・表彰・記録

本塁打王（1983年）
最多安打（1979年）
1イニング2本塁打　2回（1972年8月2日1977年8月9日）
5試合連続本塁打（1979年10月8日～10月17日）
シーズン最多代打本塁打 7（1976年）
オールスターゲーム出場　4回（1977年、1979年、1983年、1984年）

[編集] 監督としてのチーム成績

年度	年度	順位	試合数	勝利	敗戦	引分	勝率	ゲーム差	チーム本塁打	チーム打率	チーム防御率	年齢	球団
2000年	平成12年	3位	135	69	65	1	.515	4.5	177	.278	4.70	50歳	日本ハム
2001年	平成13年	6位	140	53	84	3	.387	24.5	147	.256	4.79	51歳
2002年	平成14年	5位	140	61	76	3	.445	28	146	.247	3.86	52歳