岩国駅
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岩国駅(いわくにえき)は、山口県岩国市麻里布町1丁目1番1号にある西日本旅客鉄道(JR西日本)・日本貨物鉄道(JR貨物)山陽本線の駅である。
広島都市圏の鉄道網、いわゆる「広島シティネットワーク」の実質的な西端に当たり、当駅終着・始発列車が多数設定されている。また、岩徳線の分岐駅である。当駅は、駅業務の一部分が簡易委託されている直営駅という、特異な営業形態を採っている。
目次 |
[編集] 利用可能な鉄道路線
- 西日本旅客鉄道
- 山陽本線
- 岩徳線(始発駅)
[編集] 駅構造
[編集] ホーム
3面6線のホームを持つ地上駅。1番線は西口に面した単式ホームで、0番線は1番線の下関側切り欠きにある頭端式ホームである。3・4番線、6・7番線がそれぞれ島式となっている。
0 | ■錦川鉄道錦川清流線 | 錦町方面 |
---|---|---|
1 | ■岩徳線 | 玖珂・徳山方面 |
3・4 | ■山陽本線(上り) | 宮島口・広島・西条方面(3番線は主に始発列車用) |
6 | ■山陽本線(上り) | 宮島口・広島・西条方面(一部の折返列車) |
■山陽本線(下り) | 柳井・徳山・新山口方面(待避・始発列車) | |
7 | ■山陽本線(下り) | 柳井・徳山・新山口方面 |
- 1・3番線間、4・6番線間にそれぞれホームのない中線(2番線、5番線)がある。
- 7番線の外側に、下り貨物列車が退避・通過する為の8番線(ホームなし)、および、数本の側線がある。
- 側線には、番号が明示された、本線もしくは引き上げ線に通り抜けられるもの(9~12)、明示されているが行き止まり線となっているもの(13)、電留線(電車の車両基地)専用などの行き止まり線(7本)がある。
- 広島方面と柳井方面の方向に、一部が電化された列車入れ換え用の引き上げ線が1本づつある。また、岩徳線の本線の一部も、電車入れ換え用に300m強ほど電化されている。
- 非電化区間を走行可能な列車に限られるが、岩徳線と山陽本線広島方面との直通運転が可能である。(上り:3番線、下り:6番線、7番線、8番線(通過列車のみ使用可)を経由)現在は、柳井駅回りの山陽本線が事故等で運行できなくなった場合のブルートレインの迂回運転路や、岩徳線直通の団体専用列車等用として、この岩徳線直通経路は使用されている。(通常ダイヤでの直通運転列車の設定は無い)
[編集] 貨物取扱
JR貨物の駅でもあるため、貨物の取扱がある。
- 専用線発着のコンテナ貨物、臨時車扱貨物を取り扱う[1]。なお、かつて使用されていた有蓋車用貨物ホームは2006年5月頃に取り壊された。
- 駅東側、日本製紙岩国工場へ専用線が続き、コンテナによる製品・原料の出入荷が行われている。
- かつては帝人岩国工場へも専用線が続いていた。また、当駅~南岩国駅間に存在した川下信号場から在日米軍岩国基地へ専用線が分岐していた。
[編集] 旧岩国機関区
当駅には、かつては岩国機関区が置かれ、1971年2月28日の岩徳線を最後に蒸気機関車による営業運転が終了[2][3]した後も、岩徳線や岩日線(当時)にて使用される気動車の整備基地として使用が続いていた。
国鉄分割民営化以降に、岩国機関区であった施設(車両整備建屋や転車台など)は、順次撤去され、現在は、電留線や駐車場、分譲マンションの敷地などとなっている。現在は広島方面の電車の運転を主に担当する、岩国運転区の建物のみ残っている。
[編集] 出入口等
出入口は正面に当たる西口と東口の2ヶ所。西口(営業時間:4:40~1:00)はJR直営だが、東口(営業時間:6:00~21:00)は岩国市を経て錦川鉄道に再委託された簡易委託方式の出入口である。東口の営業時間外は出入口に装備されたシャッターが閉じられる。また、跨線橋上の、6、7番線ホームからさらに以東へ向う場所でも扉が施錠される。
西口にはみどりの窓口を兼ねた有人の乗車券類販売窓口と、近距離区間用の自動券売機が3台ある。いずれも錦川清流線へ直通乗車する為の連絡乗車券も購入可能。一番左側に設置された自動券売機のみ、5千円札や1万円が使用できる。また、自動券売機の横には、「HOW TO USE IT?」という表題紙の添えられた英文の利用説明が掲示されている。岩国飛行場(岩国基地)駐留の米軍海兵隊の関係者へ対応する為と考えられる。
東口には簡易委託された有人の乗車券類販売窓口がある。自動券売機は無い。現在は、普通乗車券以外に回数乗車券(回数券)、定期乗車券(定期券)、自由席特急券も扱っている。東口の改札口には、改札実施場所を示す柵等が無く、見かけは改札設備が無いかのように見える。入場印字機が1台設置されているので、その設置場所が改札口であると考えられる。 エレベーター・エスカレーターは設置されていない。
なお、駅の東西を結ぶ地下道(地下自由通路)がある。通行できるのは、歩行者と自転車(ただし、出入口部分に乗車通行のできない階段がある)。
[編集] 付属施設(店舗等)
- 西口改札口の左右両脇に、清涼飲料水の自動販売機が各1台。また、各ホームに自動販売機あり。
- 6・7番ホームには自動販売機を三方へ埋め込んだキオスクの店舗が見える。タバコの扱いあり(有人、自動販売機)。キオスクの裏側には立ち食いそば店舗がある(営業時間:7:00~14:30)
- 西口駅舎に飲食店『あじあん いわくに(味庵 岩国)』があり、和食定食や岩国寿司などのお持ち帰り品販売もある。改札の内外どちらからも利用可能だが、改札口の内側用の客座席(5席)と外側(コンコース側)用の客座席(計32席)は、分離されており、通り抜けできない。営業時間:11:00~20:00(ラストオーダー:19:45)
- 西口改札外にはキオスクのほか、ミスタードーナツ岩国ショップ、ハートイン(コンビニエンスストア)、フラワーショップ(花屋)などがある。
- 改札内には1番ホーム、3・4番ホーム、6・7番ホームにそれぞれ1台ずつ公衆電話がある。
- トイレは改札内は駅正面から0番線へと向う途中、跨線橋と駅舎に挟まれた場所で右側を向くと、男女別の入口になったトイレがある。車椅子等にも対応した区画あり。改札外は西口・東口にそれぞれある。
- キャッシュコーナー(銀行ATM)が駅正面の出入口外にある(山口銀行、もみじ銀行、岩国信用金庫)。
- 東口駅舎の改札口の外側に、岩国市からの情報を掲示する区画(市政情報コーナー)がある。区画を利用する為の作業用と思われる、数人が並んで座れる横幅の机と椅子も配備されている。
[編集] バス・タクシー等
岩国駅正面の駅前ロータリーには、岩国市交通局(岩国市営バス)、防長交通が乗り入れている。かつては、JR(国鉄)バスや石見交通バスおよび広島電鉄バスも乗り入れていた[4]が、既に廃止されている。夜行高速バスにおいては、京阪京都交通(京都行き)や京浜急行バス(東京行き)のバス車両も乗り入れてくる。
- 岩国市西部方面(西岩国駅、錦帯橋、新岩国駅など。ただし、北河内駅より西(旧美川町等)には乗り入れていない)
- 岩国市南部方面(南岩国駅、藤生駅、通津駅など。一部は、由宇駅方面への延伸運行を行なう)
- 循環系統(南岩国駅や錦帯橋を経て、岩国駅へと戻ってくる循環運転の路線バス)
- 和木町・岩国市北部方面(岩国港(新港)から和木町を経て市北部(小瀬地区)へと向かう路線バス。旧美和町等には乗り入れていない。広島県大竹市(大竹駅等)に乗り入れていた区間は既に廃止されている)
- 岩国駅東口以東方面(岩国市交通局の本局等がある方面へと向かう路線バス)
- 徳山駅行き(国道2号経由・快速のみ)
- 広島バスセンター・周防大島行き(広島~岩国~周防大島線)
- 京都(洛西バスターミナル、京都駅八条口など)行き(まいこ号)
- 東京(浜松町バスターミナル、品川バスターミナル)行き(萩エクスプレス)
駅正面(西口)前には、常設のタクシー乗り場もある。小型車と中型車の乗り場が隣接しているので、乗り間違えに注意(乗車料金が異なる。→基本的な運賃料金システム)
[編集] 駅周辺
岩国駅前商店街、中通り商店街とその周辺に多数の商店が存在しており、商業の中心地になっている。近年では、駅周辺でのマンション建設が著しい。岩国市役所など公共の施設は1km程度離れた地域に集まっている。南へ徒歩20分ほど行くとアメリカ海兵隊/海上自衛隊岩国基地がある。
2006年11月現在、貨物設備の跡地の一部が再開発中である。既に広島方面寄りにJR貨物の手で貸しビルが完成しており、テナントとしてヤマダ電機の店舗が営業している。1番ホーム寄りには、山口銀行岩国支店の新店舗を建設中。
- 駐車場
- 西口には国道188号との間に挟まれた場所に、時間貸しの有料駐車場がある。10分以内であれば無料で使用できるが、利用者が多く、満車となっている事もある。自転車・二輪車用は駅正面の出入口から駅との境界を通る道へと左折、約100m前後移動した場所に無料の駐輪場(2階建て)がある。
- 東口を左折した方向に、旧岩国機関区の跡地等を用いて設けられた、以下のものがある。
- 駅送迎者専用の無料駐車場(5台分)。利用可能時間は20分まで。
- 時間貸しの有料駐車場。営業時間:4:00~翌日1:00。
- 月極(つきぎめ)の有料駐車場。
- 自転車・二輪車用:東口の出入口から見て斜め左の方向に、無料の駐輪場が隣接している。
- 商店
- 西口側が岩国の市街地にあたり、国道188号(岩国駅前商店街(本通り商店街))から西側、概ね、山口県道50号岩国停車場線、国道2号、山口県道113号南岩国停車場磯崎線、山口県道15号岩国玖珂線(岩国市役所の裏を通る、通称「電車通り」)に囲まれる地域(中通り商店街も含まれる)にある。もちろん、この外側に商店が無いというわけではない(山口県道15号岩国玖珂線と岩徳線に囲まれた地域および近傍、国道2号沿い西方など)。大雑把な表現をすると、山口県道113号南岩国停車場磯崎線や国道2号から国道188号に近づくにつれ、店舗数も増える。国道188号側から中通り商店街を通り抜けると、料飲店の集まる区画に出る。
- 東口側は三笠橋方面に南下後、東方に左折した所(徒歩約700m)にスーパーマーケット(ザ・ビッグ)がある他は、コンビニエンスストアや個人商店等がいくつかある程度。
- 通信手段(電話):
- 駅正面のロータリーに、テレホンカード対応のISDNタイプの公衆電話が2台づつ計6台ある。(モデム等を使用したダイヤルアップ接続でインターネットが使用できる)
- 携帯電話は、NTTドコモ、au (KDDI)、ソフトバンクモバイル(旧ボ-ダフォン)共、問題なく使用できるものと思われる(地下自由通路等は除く)。当駅周辺に基地局と考えられるアンテナが数ヶ所設置されている。
- 金融機関(ATMを含む)
[編集] 観光スポット
- 錦帯橋:当駅より西方、5km弱~5.5km前後。(直線距離だと4km強)
- 吉香公園:錦帯橋の近郊。桜や菖蒲の花見、紅葉谷公園の紅葉、岩国徴古館、吉香神社、吉川家墓所など。
- 錦帯橋を渡ってさらに直進した場合、公園区画との境まで、岩国市営バス「錦帯橋」バス停留所(錦帯橋バスセンター)から約450m強。
- 錦帯橋を迂回する場合は、上流の錦城橋を経由して約600m(菖蒲を植えてある場所付近に通じる、勾配のある細道の上端の交差点に出る)。
- 公園自体は24時間無料で入場できる。
- 岩国徴古館:旧岩国藩地域に関係ある文化財、文書を中心に収集している資料館。
- 錦帯橋を渡った場所で右折、吉香公園内の菖蒲を植えてある場所付近に通じる勾配のある細道を経由した場合、420m~430m程度。
- 開館時間:9:00~17:00。祝日を除く毎週月曜日(月曜日が祝日だった場合のその翌日)、年末年始等は休館。
- 入場料:無料。
- 岩国城:当駅より西方6km~7km程度。(直線距離だと5km弱)
- 吉香公園内にある、岩国城ロープウェイ(乗車時間:約3分、有料)を利用して「山麓」駅から「山頂」駅に移動した後、山の峰を徒歩で約300m移動。
- 吉香公園に隣接する紅葉谷公園から、徒歩のみで移動する事も可能ではある(岩国ユースホステルから約1.6km、「山麓」駅から全て歩くと約2.2km程度)。
- 城の建物内に立ち入るには入場料が必要。(錦帯橋の渡橋券や岩国城ロープウェイの利用料金を含んだセット券が、岩国駅のバス乗り場にある案内所で購入可能)
- シロヘビ観覧所(白蛇資料館):当駅より西南西、1.8km程度。(直線距離だと1.4km程度)
- 岩国市営バス「今津」経由の「西岩国」、「錦帯橋」(錦帯橋バスセンター)方面行きのバス(系統番号:12、13、22、23、32、42、いちすけ号)にて、「天神町」バス停留所下車。乗車時間約5分。下車後、案内看板に従い、北方向へ徒歩約200m。細道な上に階段もあるので注意。
- 入場料自体は無料だが、シロヘビ飼育資金への拠出協力を求める看板と募金箱がある。
- 日米フレンドシップデー航空ページェント:毎年5月5日にアメリカ海兵隊/海上自衛隊岩国基地(岩国飛行場)にて実施される航空祭。アメリカ海兵隊所属の航空機やヘリコプターの展示(一部は着座可)や公開飛行などが行なわれる。
- 錦川の鵜飼:6~8月に錦帯橋周辺にて実施される。
- 岩国航空基地祭:9月の第2もしくは第3土曜日に行なわれる海上自衛隊としての岩国基地(岩国飛行場)の祭典。
- 基地内のアメリカ海兵隊専用区域は、当駅を始発とする臨時運行の専用バスで通過する(徒歩や自動車等での基地への入場はできない)
[編集] 利用状況
- 1日平均の乗車人員は6,475人である(2005年度)
[編集] 歴史
山陽鉄道によってこの地域に鉄道が敷設された際、線形の都合で駅は岩国町の市街地から離れ、麻里布町に置かれた。そのため、1929年(昭和4年)に部分開業した岩徳東線(後に山陽本線を経て岩徳線となる)が岩国町の市街地近くを通るようになると、そちらに岩国駅が設けられ、元の岩国駅は麻里布駅と改称した。
しかし新しい岩国駅には特急・急行が停車せず、町の代表駅として相応しくないという声も上がった。また麻里布駅周辺の発展が著しかったことや、1940年(昭和15年)に麻里布町と岩国町などが合併して岩国市が発足したことから、市の代表駅としての実情に合わせるため、1942年(昭和17年)に麻里布駅を再び岩国駅に改称し、1929年(昭和4年)に開設された岩国駅は西岩国駅と改称した。
- 1897年(明治30年)9月25日 - 山陽鉄道 広島駅~徳山駅間の開通と同時に、岩国駅として開業。旅客・貨物の取扱を開始。
- 1929年(昭和4年)2月3日 - 麻里布駅に改称。
- 1942年(昭和17年)4月1日 - 再び岩国駅に改称。
- 1945年(昭和20年)8月14日 - アメリカ軍による空襲を受ける。死者500人以上。
- 1976年(昭和51年)11月6日 - 地下自由通路が完成し、渡り初め式が行なわれる[4]。
- 1977年(昭和52年)2月28日 - 地下自由通路の完成に関連し、東口の営業時間が短縮される[4]。(6:00~9:00および16:00~21:00)
- 1987年(昭和62年)4月1日 - 国鉄分割民営化により、JR西日本・JR貨物の駅となる。
- 2006年(平成18年)10月1日 - 東口の駅業務が簡易委託となり、営業時間も変更になる。(6:00~21:00に延長)
- 2007年(平成19年) - 自動改札機を導入予定。
[編集] 隣の駅
- 西日本旅客鉄道
- ■山陽本線
- ■岩徳線(錦川鉄道線直通含む)
- 岩国駅 - 西岩国駅
[編集] 関連項目
[編集] 参考文献
- ^ [鉄道貨物協会] (3 2007).JR貨物時刻表. 社団法人 鉄道貨物協会.
- ^ 西岩国駅長 竹中 (6 1980).西岩国駅開業50周年記念誌. (国鉄)西岩国駅.岩国市中央図書館・蔵
- ^ (6 1976) 朝日新聞社 角川和男世界の鉄道別冊 蒸気機関車100年. 朝日新聞社.岩国市中央図書館・蔵
- ^ a b c 岩国駅 藤重勇 編 (1977).岩国駅開業80周年記念 岩国駅いまむかし. 岩国駅. “略年表より”
[編集] 外部リンク
- JR西日本(岩国駅)
- 岩国市交通局(岩国市営バス)
- 防長交通(防長バス)
- いわくに観光ガイド(岩国市観光課)
- 岩国市観光協会
- ドコイク? リクルートのお店・地図検索サイト(岩国駅周辺)
- 岩国市 市長記者会見(9月定例記者会見 ) (2006年(平成18年)9月28日14時~)