広島シティネットワーク
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広島シティネットワーク(ひろしまシティネットワーク)とは、西日本旅客鉄道(JR西日本)広島支社が管轄する広島都市圏内の在来路線に対する愛称である。
目次 |
[編集] 概要
JR西日本が「100万都市広島にふさわしい都市型鉄道」の構築を目指し、2002年10月5日のダイヤ改正から京阪神地区の「アーバンネットワーク」の「広島版」として名付けられた。ただアーバンネットワークとは異なり、放射状の路線設定のため大都市近郊区間として設定されていない。広島駅を中心としてダイヤを組み、同駅から所要時間30~40分の区間がエリア設定されている。広島~海田市間は複々線区間となっており、外側2線を旅客列車専用、内側2線を貨物列車専用とする事で、増加する輸送需要に対応している。しかし、京阪神地区のアーバンネットワークのように土曜・休日ダイヤを設定されず、土曜・休日もほぼ同じダイヤで運転される(但し朝を中心に一部時刻変更や編成の両数変更あり)。
国鉄時代の1982年に広島都市圏の郊外開発が進み、乗客が急激に増加していた事から、全国に先駆けて「ひろしまシティ電車」として高頻度・等間隔の都市型ダイヤ(フリークエンシーサービス)に移行し、現在までその特徴を受け継いでいる(1982年11月15日国鉄ダイヤ改正も参照)。当初は普通列車のみの運転とされたが、近年では都市圏域のさらなる広域化に伴って快速列車も多く設定される様になった。車両は国鉄時代に登場した形式によって運行されているが、1998年から内外装のリニューアルが行われ、転換クロスシートの内装は乗客に好評であるものの、徐々に車両の老朽化が進行しているのが実態である。
因みに、広島シティネットワークの設定時期と前後して山陽本線の広島駅~東福山駅間に臨時の快速列車「スーパーラビット」が2往復試験的に運行されていたが、広島~福山間では広島交通や中国JRバスなどバス事業者5社が共同運行している高速バス路線「ローズライナー」が20分~35分間隔で高頻度運行し、既に定着していた事と、試験運行の便数が少なかった事から利用者に浸透しきれず定期化されないまま運行を終了した。
シティライナーの半数ほどは岡山駅(時間帯によっては岡山駅以東発着の列車もある)からの通し運転で(岡山方では各駅停車になるため、「サンライナー」に追い抜かれるものもある)、広島シティネットワークを越えて徳山駅や新山口駅までの運転が多い。中にはJR西日本の西端である下関駅まで運転される300km超・約6時間半の長さを持つ長距離列車も多数存在している(但し列車番号は途中で変わる)。これは、山陽本線の駅間距離が長い事や、沿線に相互流動の多い中小都市が連続して立地しているために、長距離・長時間運転の普通列車を多数運行せざるを得ないという事情がある。国鉄時代では他にも長距離普通列車を運転する路線は多く存在したが、現在ではJR北海道(北海道は隣駅までの駅間距離が本州以南より格段に長いのでそれら各駅を結ぶ普通列車は当然所要時間・距離が長くなる)を除けばこれだけの本数・規模の長距離普通列車(快速を含む)運転本数を持つ路線は珍しい。その為、事故や車両の故障などダイヤの遅退が発生すると大規模に狂うことがある。
芸備線・呉線・山陽線(広島~西条)では都市高速バス、可部線ではアストラムラインや広島交通の路線バスに、山陽線の広島~宮島口間では広電宮島線(電車)にそれぞれ競合が激しい。定時性や所要時間などでは有利になっているが、運賃面、そして都心への利便性やハード面(JR以外ではバス・電車の共通カードを発売している)などでは劣勢になっている。国鉄時代から汽車から電車へのイメージアップを図ってはいるが、設備などで依然旧態の状態が続いている面もあり、古いイメージが完全に脱却できていないのも事実である。
[編集] 輸送改善の歴史
[編集] 広島シティネットワーク構築前
- 1982年(昭和57年)11月15日 - 山陽本線広島~岩国間にシティ電車設定。
- 1984年(昭和59年)2月1日 - シティ電車を山陽本線広島~西条間、呉線海田市~広間、芸備線広島~下深川間にも拡大設定。
- 1985年(昭和60年)3月14日 - 新井口駅開業。山陽本線と呉線の快速電車を全廃。12両編成を全廃し、最大8両編成に。
- 1986年(昭和61年)3月3日 - シティ電車を可部線横川~可部間にも拡大設定。
- 1986年(昭和61年)11月1日 - シティ電車の運行範囲を山陽本線は白市まで、芸備線は狩留家まで延長・川原石に全列車停車化。
- 1988年(昭和63年)3月13日 - 呉線と可部線の水曜日運休列車を廃止。
- 1988年(昭和63年)4月3日 - 宮内串戸駅開業。
- 1989年(平成元年)8月11日 - 中野東駅・阿品駅開業。
- 1991年(平成3年)3月16日 - 山陽本線広島~西条間に快速電車復活。可部線の可部以南の全列車が広島に乗り入れ。
- 1992年(平成4年)3月19日 - 呉ポートピア駅開業。
- 1994年(平成6年)7月21日 - 「スーパーラビット」号2往復新設。毎日運転。広島~福山間ノンストップ。
- 1994年(平成6年)8月20日 - 大町駅開業。緑井駅に交換設備新設。
- 1994年(平成6年)10月1日 - 安芸長浜駅開業。
- 1995年(平成7年)4月20日 - 「スーパーラビット」号を土曜・休日運転に変更。三原と尾道に新規停車し、東福山まで延長。
- 1996年(平成8年)3月16日 - 昼間時、呉線広島~呉間に快速電車復活。
- 1998年(平成10年)3月14日 - 朝ラッシュ時、柳井・岩国~広島間に快速電車新設(休日運休)。
- 1998年(平成10年)10月3日 - 夕方ラッシュ時、広島~岩国・柳井間に快速電車新設(休日運休)。
- 1999年(平成11年)2月7日 - 水尻駅・かるが浜駅開業。川原石駅は広島方面に500m移設し交換設備新設。呉線の快速をラッシュ時にも新設。一般公募により愛称が「安芸路ライナー」となる。
- 2000年(平成12年)3月11日 - 前空駅開業。
- 2001年(平成13年)3月3日 - 昼間時、山陽本線広島~岩国間に快速電車新設。一般公募により愛称が「山陽シティライナー」となる。
- 2002年(平成14年)3月23日 - 新広駅開業。「スーパーラビット」号廃止。夕方ラッシュ時の広島~岩国・柳井間の快速電車が毎日運転に変更。昼間時の呉線快速「安芸路ライナー」がワンマン列車化。芸備線の急行「ちどり」「たいしゃく」の急行区間を三次までに短縮し、列車名を「みよし」に統一。
[編集] 広島シティネットワーク構築後
- 2002年(平成14年)10月5日 - 広島シティネットワーク構築。山陽本線快速「山陽シティライナー」が八本松・瀬野(昼間時のみ)に新規停車。ラッシュ時、芸備線広島~狩留家間に快速列車新設。
- 2003年(平成15年)3月15日 - 山陽本線昼間時運行の快速電車を「シティライナー」、ラッシュ時運行の快速電車を「通勤ライナー」と変更。
- 2003年(平成15年)10月1日 - 昼間時、芸備線広島~三次間に快速「みよしライナー」を新設。ラッシュ時の快速列車は「通勤ライナー」となる。一部の急行「みよし」が矢賀・安芸矢口・下深川に新規停車。柳井発着の快速「通勤ライナー」が徳山まで延長。広島~岩国間、広島~白市・糸崎間の水曜日運休列車の廃止。夕方ラッシュ時広島~坂間区間列車の毎日運転化。
- 2003年(平成15年)12月1日 - 可部線可部~三段峡間廃止。
- 2004年(平成16年)3月13日 - 天神川駅開業。山陽本線の快速「通勤ライナー」が新井口に新規停車。
- 2004年(平成16年)10月16日 - 夕方ラッシュ時、可部線に快速「通勤ライナー」新設(広島→可部のみ)。呉線昼間時運行の快速電車を「安芸路ライナー」、ラッシュ時運行の快速電車を「通勤ライナー」と変更。また「安芸路ライナー」は天神川・矢野・坂に新規停車。
- 2005年(平成17年)10月1日 - 呉線広島・呉~三原間に臨時快速「瀬戸内マリンビュー」を新設、ほぼ毎日運転。呉線の快速「通勤ライナー」が矢野に新規停車。
- 2006年(平成18年)3月18日 - 「瀬戸内マリンビュー」の広~三原間が各駅停車化。
- 2007年(平成19年)3月18日 - 山陽本線の快速「通勤ライナー」の朝夕2往復が海田市駅に新規停車。同時に岩国~徳山間の快速運転を廃止。
[編集] 路線
[編集] 山陽本線 岩国駅~白市駅間
- 快速列車は昼間に「シティライナー」、ラッシュ時には「通勤ライナー」が運転される。快速列車の運転区間は、東は岡山駅・糸崎駅発着(岡山以東発着の列車も存在する)からで、西は岩国以遠の列車がほとんどである。普通列車は白市駅・瀬野駅・広駅(呉線)~岩国駅・南岩国駅間の列車が主体である。昼間は快速列車は1時間あたり1~2本、普通列車が概ね15分ヘッドで運転される。なお、下り列車は広島駅ではほとんどの列車が1番線から発車する。
- 103系と115系が運用の中心であり、快速列車は全列車が115系で運用される。広島以東では103系は呉線への直通に使われ、山陽本線へは昼間の瀬野駅までの折り返し列車に使われる。かつては103系で下関までロングランする列車もあったが、ロングシート車でトイレなしという事が災いして、短期間で115系に置き換えられた。
[編集] 可部線 横川駅~可部駅間
- 快速列車は夕方下り(可部駅行)のみで、それ以外の時間帯は普通列車のみの運転である。ラッシュ時には緑井駅折り返し列車も存在する。全列車広島駅発着で、横川駅折り返しの列車は存在しない。原則として105系の2連で運転される。但し広島以東からの直通列車はこの限りではない。2003年の可部駅以北が廃止されるまでは気動車の運用も存在していた。
[編集] 呉線 海田市駅~広駅間
- 快速列車(「安芸路ライナー」、但しラッシュ時は「通勤ライナー」)は昼間時に広島駅~広駅間に毎時2本運転される。そのうち1本が広駅で三原方面行の列車に接続をとる。時間帯によっては「瀬戸内マリンビュー」も運転される。普通列車は広駅での折り返しがほとんどで、西方は岩国駅まで直通する列車が大半を占める。 一部の快速列車(103系3連の充当列車のみ)はワンマン運転を実施する。
- 山陽本線と同様の運用を持つが、どちらかというと103系の運用が多い。
- 安芸路ライナーが天神川・矢野・坂に停車するようになり普通列車が一時間2本に減らされたが、海田市から呉方面への客が結構おり、30分に1本のダイヤはとても不便と評する客が多い。
[編集] 芸備線 広島駅~狩留家駅間
- 急行「みよし」も運転されるために、快速列車の設定はあまり多くない。広島駅~狩留家駅間では20分ヘッドで運転される。両数は2連が主体だが、単行運転も少数だが存在する。ワンマン運転が半数を占める。また普段三次駅以東で活躍しているキハ120系も運用に就く事がある。この場合、駅の案内では「トイレなし車両」と案内されるが、ほとんどの車両がトイレの設置工事を受けている。
[編集] 構想
JR西日本は広島シティネットワークの今後の方向性として、出発地(自宅など)から到着地(職場、学校など)までのシームレスな輸送体系の構築を柱としており、以下の様な施策を打ち出している。
- 輸送改善
- 列車のさらなる増発、パターンダイヤの充実、各駅の発着番線の統一、夜間時間帯ダイヤの充実、列車の定時性の確保、列車のスピードアップ、車内空間の快適性向上、軌道の強化
- 駅機能向上
- 拠点駅の構内配線の改良や増強、新駅の設置(これまでに11駅を設置)、駅の橋上化やリニューアル化(これまでに8駅を竣工)、駅のバリアフリー化、商業施設やコミュニティ施設などの付帯設備の充実
- アクセス改善
- パークアンドライド用の駐車場や駐輪場の整備、駅前広場の整備、駅前広場へのバスや路面電車の直接乗り入れ、タクシー・レンタカー・レンタサイクルの充実
[編集] 新駅設置
2007年現在、広島シティネットワーク内では山陽本線に6つの新駅設置構想がある。いずれも駅名は仮称。
[編集] 設置決定
[編集] 設置未定
- 寺家(じけ)駅:西条駅~八本松駅間(広島県東広島市)
- 畝(うね)駅:安芸中野駅~海田市駅間(広島県安芸郡海田町)
- 白島(はくしま)駅:広島駅~横川駅間(広島県広島市中区)
- JR古江(じぇいあーるふるえ)駅:西広島駅~新井口駅間(広島県広島市西区)
※先頭に「JR」が付く理由は、広島電鉄の宮島線に古江駅が存在するため。 - 御筋(みすじ)駅:五日市駅~廿日市駅間(広島県広島市佐伯区)
※付近の地名は「三筋」と書くが、仮称の駅名は「御筋」である。
- ※また、広島シティネットワーク外ではあるが、呉線の須波駅~安芸幸崎駅間(広島県三原市)、安芸川尻駅〜仁方駅間(同呉市)にも新駅設置の構想がある。
- ※寺家駅については、予定地の北側に東広島医療センター(旧・国立広島病院)や県営平岩住宅団地が建設され、また南側にも『寺家 賀茂ハイツ』という小規模団地の造成が1975年頃から実施された事によって、1987年から設置の声が出ており、「寺家地区に新駅を」と書かれた看板なども15年前から設置されている。しかし、近くに大企業がない他、予定地を所有する地主がJRと市側に対し大きな課題を突きつけているためなかなか話が進展せず、JRも後退気味になっていた。しかし、2006年頃に事態は一変し、東広島市とJR西日本は地主との話の折り合いが付き、翌2007年に駅設置予定地の整備を進めていく事を東広島市長が市政番組でコメントした。JR西日本サイドも再び寺家駅設置に意欲的な姿勢を示して来た。しかし、JR西日本には広島シティネットワーク内の全駅自動改札化と山口県玖珂郡和木町に和木駅設置の予定があり、この駅の設置は早くても2008年頃だと思われる。
- ※JR古江駅と御筋駅については、広島電鉄宮島線の電停との乗り換えの利便性を図って2000年頃から計画されているが、新駅予定地と既存駅との区間が短く、所要時間が長くなり、所要時間の面でサービスアップをとっていたJR側にとっては駅ができる事により広電と余り変わらない位まで所要時間が長くなり、広島~宮島口間の乗客がJR西日本よりも運賃の安い広電に獲られる可能性が出るため不利益になる恐れがある。これらの事からJR西日本サイドの進展が出ていない。住民側も後退気味となっている。但し、広島電鉄側はこの2ヶ所の新駅設置に意欲的な姿勢を示している。
- ※白島駅については、市北部の団地沿いに延びる広島新交通1号線(通称:アストラムライン)と唯一の接続駅として広島市側が都市計画の一環として1996年頃から計画されているが、駅設置予定地が国道54号線祇園新道の高架上で、しかも周辺は『市営基町高層アパート』があるため土地確保の面で難航している。2006年にはJRと協力していた広島市側が財政問題を抱え始めたため、当分は実現できない恐れがある。
- ※畝駅については、近くに明治乳業広島工場があり新駅設置には有利と言えるが、予定地から1kmも満たない場所に既存の安芸中野駅があるため、所要時間の面でJR西日本サイドは新駅設置計画の中で一番実現が薄い姿勢を示している。
[編集] その他
- 山陽本線の天神川駅~海田市駅間の高架化事業
- 可部線上八木駅の行き違い設備新設
- 呉線の複線化
- 芸備線の電化及び高速化
- ※山陽本線の天神川駅~海田市駅間の高架化事業は、広島県と広島市が協力して2027年(平成39年)の完成を目標としていたが、広島市側がもう一つの都市化事業として掲げている広島高速道路の建設工事、広島市民新球場建設に多額の費用が掛かり、JR高架化までに手が回らないとして、7年先伸ばして2034年(平成46年)の完成目標となった。この路線を管理するJR西日本は、アーバンネットワークの高架化とは違い、こちらの事業には全く協力していない。
[編集] 構内放送
山陽本線の主要駅(後述)で詳細放送が流れる他は、基本的にメロディのみ流れる。また、可部線の横川駅・大町駅以外の駅及び芸備線の駅では構内放送は流れない。
[編集] 詳細放送
- 広島駅[1](hurricaneHPへリンク)
新放送[2]
2004年3月導入
- 西条駅・五日市駅・宮島口駅・岩国駅
2004年10月導入
- 天神川駅
- ※2004年導入の新放送は、予告放送・接近放送・到着放送・(駅によっては)乗り換え放送がある。
[編集] 簡易放送
パターン1
メロディーの前に放送が流れるタイプである。
- ※かつては天神川駅[5]〈旧放送〉でも同様の放送が流れていたが、詳細放送の導入により消滅した。
パターン2
コーラスの間に放送を挟むタイプである。
- ※カーブ上にある新井口駅では、似た様な形で啓発放送[8]〈旧放送〉が流れる。
(昔はメロディーに重ねて流れていたが、現在はホームにセンサーを設置し、黄色い線を出ると啓発放送が流れる様になっている。[9])
パターン3
上記2つ以外のもので、駅オリジナルの自動放送である。
- ※かつては瀬野駅・西条駅に到着放送があったが、瀬野機関区廃止・駅舎新築(瀬野駅)、詳細放送の導入(西条駅)により消滅した。
[編集] メロディー
広島シティネットワーク内では、基本的に下記の様に統一されている(但し安芸中野駅はメロディーが逆)。
- [12]呉線下り、広島駅1・5番線、横川駅可部線ホーム(4・5番線)、大町駅下り
- [13]山陽本線下り、広島駅2・7番線
- [14]呉線上り、広島駅3・8番線、大町駅上り
- [15]山陽本線上り、広島駅4・9番線
この他、呉線の忠海駅・竹原駅・安芸津駅・安浦駅・安芸川尻駅ではJR東日本の発車メロディを使用した接近放送が使用されている。
[編集] 課題
この様に、広島シティネットワークのサービスは比較的充実したものとなっているが、課題も残されている。
[編集] 範囲の狭さ
「広島都市圏の路線群の名称」と名乗っているものの、広島駅から30~40分で移動できる範囲に限られている。しかし、実際の広島都市圏は東端は広島県三原市、西端は山口県柳井市、北端は広島県安芸高田市までである。これは広島都市圏の周縁部から広島市への移動が高速バス主体となっている事によるものである。最短ルートをトンネルで貫く山陽自動車道と異なり、山陽本線は旧山陽鉄道時代の曲線や勾配の多いルートを現在まで受け継いでいるため、高速バスとの競合において不利な面がある。
- 旧賀茂郡河内町河内町(現・東広島市河内町)は、旧豊田郡本郷町(現・三原市本郷町)など周辺自治体とJR西日本広島支社にひろしまシティ電車区間(現・広島シティネットワーク)の延長を要請したが、JRは入野駅、河内駅、本郷駅の利用客が少ないとして運行拡大は行われなかった。
- 柳井市などは快速運転区間や普通列車の柳井駅までの延長をJR西日本広島支社や徳山地域鉄道部に要請した。これにより通勤時間帯の一部の列車が岩国以西も快速として一時的に運転が実現したものの、その後の山口県内利用者の減少の影響と快速通過駅の乗車機会の拡大を列車本数の増発なしで行う目的で、2007年3月18日のダイヤ改正から岩国以西の快速は再び各駅停車に変更となる。昼間時間帯も快速運転をするまでには至っていない。
[編集] IC乗車券の導入
2007年4月14日より、広島シティネットワーク内を含む山陽地区の135の駅で自動改札機が順次供用開始となり、IC乗車券 (ICOCA)も同年夏より供用開始となる見込みである。JR西日本のWebサイトで、広島にある交通事業者でも「ICOCAが使えるようになります」と表記されている。また、スルッとKANSAIの「PiTaPa」も同年夏より供用開始の見込みである。2007年4月4日現在、広島駅南口・北口・西条駅で自動改札機設置工事が開始された。自動その他の駅でも設置に伴う電気系統の工事や自動券売機の交換など着々と進んでいる。
[編集] 車両の古さ

前述の様に、定期運用にすべての電車が国鉄時代に登場した車両(103系・105系・115系)であり、内・外装を大幅に改装・改造しているが、老朽化は進行している。JR京都線・JR神戸線や瀬戸大橋線などで主に新快速・快速列車として運用されている新型車両(223系や221系)は配置されず、山陽本線の岡山地区で設定されている快速専用(117系)の運用も設定されていない。また気動車もキハ120形が少し運用に入っているが、大半は国鉄時代に登場した車両である。(キハ40形、キハ47形、キハ58系)
これは、広島シティネットワークで使用される車両が、ダイヤの関係で快速と各駅停車の運用を分けられない事や、運用範囲が広島県内のみならず、岡山県や山口県まで含めた広範囲に及んでいる事、また、可能な限り同一路線での車両形式を少なくする方針を進めている事から、車両を置き換える場合は広島運転所、下関車両管理室、山口鉄道部、岡山電車区の車両のうち広島地区へ乗り入れる合計708両が対象となり、多額の費用を要する事から困難と見られている。
また、広島県や広島市などからなる沿線自治体に対して、老朽化の著しい一部車両の新製費用だけでも税金で負担するべきであるという意見も浮上しているが、中国地方の在来線では唯一となる黒字区間が海田市~岩国・広島~呉・広島~緑井の3区間に跨って存在している事から、利益を上げている民間企業に車両新製を目的とした公金の投入を行うのは難しいとの見解が示された。ただしJR西日本に関しては必要車両数の規模こそ違うが、各地の路線で電化や高速化工事、電化方式の切替工事などの路線改良時に地上施設の改良費と同時に車両の新造費用まで地元自治体が負担しているケースが多いのでJR西日本へ地元自治体が車両製造費を負担することは珍しくない。その他にも山陽本線八本松~瀬野間は急勾配(通称・「瀬野八」)となっており、現在関西圏で運用している223系や221系ではこの急勾配を超える事は難しいため、新車導入となると、115系の後継車としてこの急勾配に対応した新車種を製造する必要があるという説がある。しかし、以前に223系が臨時列車として瀬野八を超えた事があるため、走行には問題ないとされる。
[編集] 路線及び列車停車駅一覧
[編集] 山陽本線(糸崎駅~徳山駅間)
駅名\列車名 | 快速 シティ ライナー |
快速 通勤ライナー |
接続路線 | 所在地 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
広島駅以東 | 広島駅以西 | |||||||
糸崎駅 | ● | ● | 西日本旅客鉄道:山陽本線(福山駅・岡山駅方面) | 広島県 | 三原市 | |||
三原駅 | ● | ● | 西日本旅客鉄道:山陽新幹線・呉線 | |||||
本郷駅 | ● | ● | ||||||
河内駅 | ● | ● | 東広島市 | |||||
入野駅 | ● | ● | ||||||
広島シティネットワ丨ク内 | 白市駅 | ● | ● | |||||
西高屋駅 | ● | ● | ||||||
西条駅 | ● | ● | ||||||
八本松駅 | ● | ● | ||||||
瀬野駅 | ● | | | スカイレールサービス:スカイレールみどり坂線(みどり口駅) | 広島市 | 安芸区 | |||
中野東駅 | | | | | ||||||
安芸中野駅 | | | | | ||||||
海田市駅 | | | * | 西日本旅客鉄道:呉線 | 安芸郡海田町 | ||||
向洋駅 | | | | | 安芸郡府中町 | |||||
天神川駅 | | | | | 広島市 | 南区 | ||||
(貨)広島貨物ターミナル駅 | | | | | ||||||
広島駅 | ● | ● | ● | 西日本旅客鉄道:山陽新幹線・芸備線 広島電鉄:本線 |
||||
横川駅 | ● | ● | 西日本旅客鉄道:可部線 広島電鉄:横川線 |
西区 | ||||
西広島駅 | ● | ● | 広島電鉄:本線・宮島線(広電西広島駅) | |||||
新井口駅 | ● | ● | 広島電鉄:宮島線(商工センター入口駅) | |||||
五日市駅 | ● | ● | 広島電鉄:宮島線(広電五日市駅) | 佐伯区 | ||||
廿日市駅 | | | | | 広島電鉄:宮島線(広電廿日市駅) | 廿日市市 | ||||
宮内串戸駅 | | | ● | 広島電鉄:宮島線(宮内駅) | |||||
阿品駅 | | | | | 広島電鉄:宮島線(広電阿品駅) | |||||
宮島口駅 | ● | ● | 西日本旅客鉄道:JR宮島航路 広島電鉄:宮島線(広電宮島口駅) |
|||||
前空駅 | | | | | ||||||
大野浦駅 | | | | | ||||||
玖波駅 | | | | | 大竹市 | |||||
大竹駅 | | | ● | ||||||
岩国駅 | ● | ● | 西日本旅客鉄道:岩徳線 | 山口県 | 岩国市 | |||
南岩国駅 | ● | ● | ||||||
藤生駅 | ● | ● | ||||||
通津駅 | ● | ● | ||||||
由宇駅 | ● | ● | ||||||
神代駅 | ● | ● | ||||||
大畠駅 | ● | ● | 柳井市 | |||||
柳井港駅 | ● | ● | ||||||
柳井駅 | ● | ● | ||||||
田布施駅 | ● | ● | 熊毛郡田布施町 | |||||
岩田駅 | ● | ● | 光市 | |||||
島田駅 | ● | ● | ||||||
光駅 | ● | ● | ||||||
下松駅 | ● | ● | 下松市 | |||||
櫛ヶ浜駅 | ● | ● | 西日本旅客鉄道:岩徳線 | 周南市 | ||||
徳山駅 | ● | ● | 西日本旅客鉄道:山陽新幹線・山陽本線(新山口駅・下関駅方面) |
- ●:通常停車駅
- *:朝下り及び夕方上りに2本ずつ停車
- (注)快速「通勤ライナー」の運行時間帯は広島方面が朝、岩国・白市方面が夕方
- また、広島駅でシティライナーから通勤ライナーや普通から通勤ライナー・シティライナー(逆も)へなる列車も存在する(通勤ライナーからシティライナーへなる列車はない)。
[編集] 呉線(山陽本線糸崎駅~三原駅及び海田市駅~広島駅間を含む)
駅名 | 快速 安芸路 ライナー |
快速 通勤 ライナー |
接続路線 | 所在地 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
山陽本線 | 糸崎駅 | ● | ● | 西日本旅客鉄道:山陽本線(福山駅・岡山駅方面) | 広島県 | 三原市 | ||
三原駅 | ● | ● | 西日本旅客鉄道:山陽新幹線・山陽本線(白市駅・西条駅方面) | |||||
呉線 | ||||||||
須波駅 | ● | ● | ||||||
安芸幸崎駅 | ● | ● | ||||||
忠海駅 | ● | ● | 竹原市 | |||||
安芸長浜駅 | ● | ● | ||||||
大乗駅 | ● | ● | ||||||
竹原駅 | ● | ● | ||||||
吉名駅 | ● | ● | ||||||
安芸津駅 | ● | ● | 東広島市 | |||||
風早駅 | ● | ● | ||||||
安浦駅 | ● | ● | 呉市 | |||||
安登駅 | ● | ● | ||||||
安芸川尻駅 | ● | ● | ||||||
仁方駅 | ● | ● | ||||||
広島シティネットワ丨ク内 | 広駅 | ● | ● | |||||
新広駅 | ● | ● | ||||||
安芸阿賀駅 | ● | ● | ||||||
呉駅 | ● | ● | ||||||
川原石駅 | | | | | ||||||
吉浦駅 | | | | | ||||||
かるが浜駅 | | | | | ||||||
天応駅 | | | | | ||||||
呉ポートピア駅 | | | | | ||||||
小屋浦駅 | | | | | 安芸郡坂町 | |||||
水尻駅 | | | | | ||||||
坂駅 | ● | | | ||||||
矢野駅 | ● | ● | 広島市 | 安芸区 | ||||
海田市駅 | | | | | 西日本旅客鉄道:山陽本線(瀬野駅・八本松駅方面) | 安芸郡海田町 | ||||
山陽本線 | ||||||||
向洋駅 | | | | | 安芸郡府中町 | |||||
天神川駅 | ● | | | 広島市 | 南区 | ||||
(貨)広島貨物ターミナル駅 | | | | | ||||||
広島駅 | ● | ● | 西日本旅客鉄道:山陽新幹線・山陽本線(宮島口駅・岩国駅方面)・芸備線 広島電鉄:本線 |
[編集] 可部線(山陽本線広島駅~横川駅間を含む)
駅名 | 快速 通勤ライナー |
接続路線 | 所在地 | ||
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山陽本線 | 広島駅 | ● | 西日本旅客鉄道:山陽新幹線・山陽本線(海田市駅・瀬野駅方面)・芸備線 広島電鉄:本線 |
広島県広島市 | 南区 |
横川駅 | ● | 西日本旅客鉄道:山陽本線(宮島口駅・岩国駅方面) 広島電鉄:横川線 |
西区 | ||
可部線 | |||||
三滝駅 | | | ||||
安芸長束駅 | ● | 安佐南区 | |||
下祇園駅 | ● | ||||
古市橋駅 | | | ||||
大町駅 | ● | 広島高速交通:アストラムライン | |||
緑井駅 | ● | ||||
七軒茶屋駅 | | | ||||
梅林駅 | | | ||||
上八木駅 | | | ||||
中島駅 | | | 安佐北区 | |||
可部駅 | ● |
[編集] 芸備線(三次駅~広島駅間)
駅名 | 快速 みよし ライナー |
快速 通勤 ライナー |
参考 急行 みよし |
接続路線 | 所在地 | |||
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三次駅 | ● | ● | ● | 西日本旅客鉄道:芸備線(塩町駅・備後落合駅方面)・三江線 | 広島県 | 三次市 | ||
西三次駅 | | | ● | | | |||||
志和地駅 | | | ● | | | |||||
上川立駅 | | | ● | | | |||||
甲立駅 | ● | ● | ● | 安芸高田市 | ||||
吉田口駅 | | | ● | | | |||||
向原駅 | ● | ● | ● | |||||
井原市駅 | | | ● | | | 広島市 | 安佐北区 | |||
志和口駅 | | | ● | ● | |||||
上三田駅 | | | ● | | | |||||
中三田駅 | | | ● | | | |||||
白木山駅 | | | ● | | | |||||
広島シティネットワ丨ク内 | 狩留家駅 | ● | ● | | | ||||
上深川駅 | ● | | | | | |||||
中深川駅 | ● | | | | | |||||
下深川駅 | ● | ● | * | |||||
玖村駅 | ● | | | | | |||||
安芸矢口駅 | ● | | | * | |||||
戸坂駅 | ● | | | | | 東区 | ||||
矢賀駅 | ● | | | * | |||||
広島駅 | ● | ● | ● | 西日本旅客鉄道:山陽新幹線・山陽本線 広島電鉄:本線 |
南区 |
急行みよしの*印はみよし3・4号のみ停車 |