補習授業校
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補習授業校(ほしゅうじゅぎょうこう)は、普段の学校教育ではカバーしきれない内容を、特定の日に補習授業として行う学校である。この項目では日本以外の国にある日本語補習授業校について述べる。
目次 |
[編集] 海外補習授業校
日本人人口が少ない地域、また人口が多くても現地校に通う子どもの比率が高い英語圏や永住予定者が多いアメリカ合衆国、インターナショナル・スクールに通う子どもの多いアジア・ヨーロッパの一部地域などでは、全日制の日本人学校に代わって、平日の放課後または週末に日本語を中心とした補修的内容の授業を行う「補習校」が多く存在する。補習校を併設する日本人学校もある。時折、日本人学校と称されるまぎらわしい補習校があるが、日本人学校は平日の通常時間帯にフルタイムで通う学校である。
日本の正式名称は「補習授業校」でも、現地での登録名や呼称は多少異なる学校も多い。また学校名に冠する都市の名前は最寄りの大都市であることが多く、実際の所在地と一致するわけではない。
主に日本の学校で使っている教材を使用し、通常 無償で教科書が配布される。「日本の文化に触れること」を大前提としており、百人一首大会や運動会などが開催されたり、保護者のボランティアによって、正月には書き初めやこままわし、七夕には短冊作りといった季節のイベントが催されることもある。
最も歴史が古い補習校は1958年ワシントンD.C.で創立されたワシントン日本語学校。2006年現在、世界54か国に187校が文科省に登録されている。[1] 学校規模は10人未満から1000人以上まで様々だが、日本企業の進出や撤退に大きく左右される。在籍する児童生徒数が一定数に達すれば、各都道府県の推薦を受けた公立学校の教員が文部科学省を通して日本から派遣される。派遣教員の給与・生活に関わる諸費は文科省、つまり日本国民の支払う税金によって賄われている。
世界最大の補習校と日本人学校 2002年4月の在籍者(小・中学生)[2]
ほとんどが幼稚園や高等部を併設しており、全校生徒数は更に多い。
補習授業校 (平日放課後や週末) |
日本人学校 (全日制) |
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1 | あさひ学園 ロサンゼルス補習授業校 1576名 | シンガポール日本人学校 1966名 |
2 | サンフランシスコ補習授業校 1270名 | 泰日協会学校 (在バンコク) 1855名 |
3 | ロンドン補習授業校 1146名 | 香港日本人学校 1593名 |
4 | デトロイトりんご会補習授業校 847名 | クアラルンプール日本人会日本人学校 913名 |
5 | ニューヨーク補習授業校 738名 | 上海日本人学校 903名 |
6 | シカゴ補習授業校 476名 | 台北市日僑学校 891名 |
7 | コロンバス日本語補習校 469名 | ジャカルタ日本人学校 815名 |
8 | みなと学園 サンディエゴ補習授業校 447名 | デュッセルドルフ日本人学校 673名 |
9 | シアトル日本語補習学校 409名 | ロンドン日本人学校 |
10 | ワシントン日本語学校 399名 | マニラ日本人学校 509名 |
[編集] 補習授業校に関わる問題
[編集] 学校側
平日の放課後に毎日数時間授業を行うものは準全日制と言われる。日本語に接する機会が増え、現地校のストレスを発散でき、自由に週末を過ごせるという利点があるが、現地校で疲れていて集中できない、放課後が拘束されてしまう、送り迎えが大変、遠距離に住む人間は放課後の授業に間に合わないなどの欠点もある。
週1日(土曜日)授業制を取る学校が圧倒的に多い。規模の大きい補習校は、現地校の校舎を借り(「借用校」という)、小規模の学校はビル、ホテル、教会などの部屋を借りることになる。大使館や日本人学校が利用できる運の良い学校もあるが、ほとんどの学校は、治安が良く交通の便の良い所に適切なサイズの場所をみつけるのに苦労する。借用場所や駐車場の確保に頭を悩ませる学校関係者は多い。また借用校と良い関係を保つために、どの補習校も騒音公害や器物破損などないよう非常に神経を使って借用校舎を利用している。
講師は現地採用である。合法で労働でき、週末の労働を厭わない、家族の協力を得られる等々といった講師の確保は、補習校にとって切実な問題である。瑣末な事務、保護者からの非難、中傷にさらされることも少なくなく、児童への教育のみに集中できないというのが現実である。日本人の多い地域では日本の教員免許を持つことを条件に募集できるが、大半は教員経験がなくとも研修を経て採用され、年間を通して継続的に種々の学習会、協議会を重ね、指導力の向上に努めている。平日の仕事を持つ社会人は言うまでもなく、外国人を伴侶にもつ講師やマルチリンガル、高学歴者も多く、その多様な経験から、教科指導のみならず社会性、国際性に富んだ心の教育も実施されている。条件に合えば、留学中の学生も教壇に立つことができ、任期の長短に関わらず、実際多くの学生が講師を経験している。日本からは、主に校長、教頭(赴任地でのみ、中高等部は兼任が多い)が派遣されている。
生徒には保護者の転勤等で一時的に滞在するもの、保護者と共に永住するもの、そのうち家庭内の会話が日本語であるもの、現地語であるものなど、さまざまな環境の生徒が登校している。近年の傾向として、国際結婚が増えたため、世界各国の補習校において現地で生まれた永住予定の生徒の占める割合が年々高くなっている。生徒の日本語レベルに大きなばらつきがあるため、学校によっては日本語能力や日本帰国の有無を基準にクラスを分けたり、国際部や日本語科などを設けている。
[編集] 生徒側
授業内容は、国語と算数・数学か国語のみであることが多いが、理科や社会を教える学校もある。土曜日の朝9時前後から正午または午後3時頃まで、あるいは平日の午後3時間ほどの授業時間を持つ学校が多い。日本で1週間かけて行われる量の勉強を短時間で行うため生徒の負担は大きい。授業の遅れを補うために毎日コツコツと宿題を行うよう指導されているが、多数の生徒は授業日の前日にまとめて宿題を済ませている。とくに小学校の低中学年は、親がそばで宿題を見たり、現地校の宿題と上手く両立できるようサポートしなければならない。非常に限られた時間と人材で日本並みの学校行事を行うためには保護者の協力・参加が不可欠であるため、保護者の負担も大きい。
学年があがるほど海外滞在歴が長くなる傾向があり、特に英語圏の国の場合、教室でも現地の言葉が使われることも珍しくない。大概は小学部、中等部しかないが、生徒数の多い場所には幼稚園部や高等部もある。高等部は義務教育ではないため、生徒達は意欲的に勉強に励むことを求められるが、実際高等部まで進む人たちのほとんどが友達との交流を求めて通い続けていると思われる。
狭義における補習校は、経営母体が現地の日本企業商工会や日本人会で、子どもが帰国した際に日本の学校に順応しやすいよう主に学力面の準備・サポートをする学校である。しかし実際は永住予定の日本人保護者が集まって設立したり、学習塾のようなビジネスとして運営するものなども含めて補習校と呼ばれる。日本政府の援助対象とならない学校、文科省から認定されていない学校もある。逆に、日本政府の認定に加えて現地の私立学校や非営利団体として認可されている学校もある。
補習校に子どもを通わせるか否かは保護者の価値観や達成目標、経済力が関係してくる。また日本人学校と比べると保護者の負担が大きいため、時間的な余裕も必要である。入学希望者が募集数を大幅に超える学校、学力レベル維持を優先する学校では、入学を希望しても日本語の面接や筆記試験に合格しないと通えない。
[編集] 世界の補習授業校一覧
データは2006年10月現在 ただし〇印は2002年のデータ
( )内は授業日。準全日制:平日の毎日、週3制:週3日、週1制:週1日
〇印は小・中学の生徒数が100名以上の学校(2002年外務省調査)
◎印は、日本政府(文科省)から教員が派遣されている学校(2006年文科省報告)
[編集] アジア
- インド
- インドネシア共和国
- カンボジア王国
- シンガポール共和国
- 〇シンガポール日本語補習授業校 (週1制・土)< 公式サイト >
- タイ王国
- 中華人民共和国
- ネパール王国
- カトマンズ補習授業校 (週1制・土)
- フィリピン共和国
- ベトナム
- マレーシア
- ペラ補習授業校 (週1制・土)
- ラオス人民民主共和国
- ビエンチャン補習授業校 (週3制・水金土)
- 閉校・休校中の学校
[編集] 北米
- アメリカ合衆国
- アーカンソー州
- リトルロック日本語補習校 (週1制・土)
- アラスカ州
- アンカレッジ補習授業校 (週1制・土)
- アラバマ州
- アリゾナ州
- アリゾナ学園スクール (週1制・土) < 公式サイト >
- イリノイ州
- インディアナ州
- ウェスト・バージニア州
- ウエストバージニア国際学校 (週1制・土) < 公式サイト >
- オハイオ州
- オレゴン州
- カリフォルニア州
- 三育学院サンタクララ校 (週2制・月水または火木) < 公式サイト >
- 三育東西学園 アーバイン・コスタメサ校(週2制:月水)、トーランス・ローリングヒルズ校 (週2制:火木)< 公式サイト >
- ◎〇みなと学園 サンディエゴ補習授業校 (週1制・土) < 公式サイト >
- ◎〇サンフランシスコ補習授業校 サンフランシスコ校・サンノゼ校 (ともに週1制・土) < 公式サイト >
- セントラルバレー補習授業校 (週1制・土)
- ◎〇ロサンゼルスあさひ学園 サンタモニカ校、サンゲーブル校、トーランス校、オレンジ校 (すべて週1制・土 ) < 公式サイト >
- 西大和学園付属補習校 (週1制・土) < 公式サイト >
- ベーカーズフィールド補習授業校 (週1制・曜日不明)
- ポート・オブ・サクラメント補習授業校 (週1制・土)
- カンザス州
- ケンタッキー州
- コネティカット州
- コロラド州
- サウス・カロライナ州
- ジョージア州
- テキサス州
- テネシー州
- ニュージャージー州
- ニューヨーク州
- ネバダ州
- ネブラスカ州
- ノース・カロライナ州
- バージニア州
- ニューポートニューズ補習授業校 (週1制・土) < 公式サイト >
- リッチモンド (バージニア州)補習授業校 (週1制・土)
- ハワイ州
- フロリダ州
- ペンシルバニア州
- マサチューセッツ州
- ミシガン州
- ミシシッピー州
- ミシシッピー日本語補習校 (週1制・土 在ジャクソン)
- ミズーリ州
- ミネソタ州
- ミネアポリス日本語補習授業校 (週1制・土) < 公式サイト >
- ミネソタ日本語補習授業校 (週1制・土) < 公式サイト >
- ルイジアナ州
- ワシントン州
- ワシントンDC
- アメリカ合衆国の準州
- アーカンソー州
- カナダ
- メキシコ合衆国
- 閉校・休校中の学校
[編集] 中南米
- エクアドル共和国
- エルサルバドル共和国
- サンサルバドル補習授業校 (不明)
- ドミニカ共和国
- サント・ドミンゴ補習授業校 (週2制・火金)
- ブラジル連邦共和国
- クリチバ補習授業校 (週1制・土)
- ボリビア共和国
- ホンジュラス共和国
- テグシガルパ補習授業校 (週1制・土)
- 閉校・休校中の学校
[編集] ヨーロッパ
- アイルランド共和国
- ダブリン補習授業校 (週1制・土)
- イギリス
- イタリア共和国
- オランダ王国
- スイス連邦
- スウェーデン王国
- スペイン
- デンマーク王国
- ドイツ連邦共和国
- ケルン補習授業校 (週1制・木)
- シュツットガルト補習授業校 (週1制・土) < 公式サイト >
- デュッセルドルフ補習授業校 (週1制・土) < 公式サイト >
- ニーダーザクセンハノーバー補習授業校 (週1制・水?)
- ニュルンベルグ補習授業校 (週1制・土)
- ハイデルベルク日本語補習授業校 (週1制・金) < 公式サイト >
- ハンブルグ補習授業校 (週1制・土?)
- 〇フランクフルト補習授業校 (週1制・土)
- ブレーメン補習授業校 (週1制・金) < 公式サイト >
- ベルリン日本語補習授業校 (週1制・小学低学年 木、中高学年 水、中高部 金) < 公式サイト >
- ベルリン中央学園 (週1制・金) < 公式サイト >
- ボン日本語補習授業校 (週1制・土) < 公式サイト >
- ミュンヘン補習授業校 (週1制・土)
- ノルウェー王国
- オスロ補習授業校 (週1制・土)
- ハンガリー共和国
- みどりの丘日本語補習校 (週1制・土 在ブダペスト)
- フィンランド共和国
- フランス共和国
- ブルガリア共和国
- ソフィア補習授業校 (週2制・水金)
- ベルギー王国
- ポルトガル共和国
- ルクセンブルク大公国
- ルクセンブルグ補習授業校 (週2制・曜日不明)
- 閉校・休校中の学校
- フランス・アルモール補習授業校 (休校中)
[編集] アフリカ・中近東
- エチオピア連邦民主共和国
- アジスアベバ日本人補習校 (週1制・土)
- オマーン国
- ◎オマーン補習授業校 (準全日制・現地校が休みの木曜は全日) < 公式サイト >
- ガーナ共和国
- アクラ補習授業校 (週1制・土)
- クウェート国
- クウェート補習授業校 (週1制・木)
- コートジボワール共和国
- サウジアラビア王国
- ダハラン補習授業校 (週1制・木)
- シリア・アラブ共和国
- ダマスカス補習授業校 (週1制・土)
- ジンバブエ共和国
- ハラレ日本人補習校 (週1制・曜日不明)
- タンザニア連合共和国
- チュニジア共和国
- テュニス補習授業校 (週1制・金または土)
- トルコ共和国
- イスタンブール補習授業校 (週1制・土)
- モロッコ
- ラバト補習授業校 (週1制・日)
- ヨルダン・ハシミテ王国
- アンマン補習授業校 (週1制・金)
- 閉校・休校中の学校
[編集] 大洋州
- オーストラリア連邦
- ニュージーランド
- パプアニューギニア独立国
- ポートモレスビー補習授業校 (週1制・土)
- パラオ共和国
- パラオ補習授業校 (週1制・土)
- 仏領ニューカレドニア
- ニューカレドニア補習授業校 (不明)