小田急ロマンスカー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
小田急ロマンスカー(おだきゅう - )とは、小田急電鉄が運転している全車座席指定制の有料特急あるいはそれに使用される特急用車両の総称である。また、ロマンスカーは小田急電鉄の登録商標である(ロマンスカーの記事も参照のこと)。
なお、英語での呼称は"ODAKYU ROMANCECAR"が用いられる。
目次 |
[編集] 特色
特急列車を運行する会社ではその車両・列車ダイヤがその会社の顔という面がある。この列車・車両の場合、運行会社である小田急電鉄が箱根・丹沢・江ノ島・鎌倉といった著名な観光地を抱えており、観光列車の側面が強く打ち出されたことから、「乗ったらすぐ目的地」というコンセプトから特色あるサービス・車両特性がある。
かつて、この列車の乗客の多数は新宿から箱根・小田原へ直行する観光客が占めており、運行系統もノンストップ便が主流で、展望席や供食サービスに代表される、非日常の楽しさの演出が目指された。なお、名前の由来は、見知らぬ二人が隣り合った席に座り、観光地に向かう途中で「ロマンス」が生まれるように、と付けられた。
同時に、特急の通勤利用という面でもこの列車は先進的だった。国鉄が特急車両を利用した「ホームライナー」の運行を開始したのは1984年からだが、小田急は早くも1967年に新宿~新原町田駅(現在の町田駅)間で通勤時間帯に特急「あしがら」の運転を開始し、これらに特急券を買えば定期券でも乗車できるようにして通勤客の利便性を図った。
近年ではマイカー観光の隆盛などで箱根への直通需要が減退する一方、沿線人口の増加により日常の通勤や買い物の需要が特急客の大半を占めるようになってきている。そのため途中停車駅は増加し、車両面でも座席定員の増加を目指した実用本位の設計である30000形「EXE」が主流を占めるようになった。
その中で、この列車の楽しさを復活させた50000形「VSE」の新造は伸び悩む箱根観光のてこ入れも目指していると考えられ、初期のコンセプトへの回帰と見られ注目された。
本節では、歴代ロマンスカー車両の中で特筆すべき特色を記載する。
[編集] 連接台車
3000形「SE」「SSE」で初めて採用され、10000形「HiSE」に至るまで約30年間も受け継がれていたのが、この2車体の間に車輪を設ける連接台車である。構造上、車体を短くせねばならないが曲線の高速通過が容易になるメリットがあり、特急の停車駅の増加などによってそれらのメリットの意義が薄れてきても、半ば「伝統」という形で受け継がれてきていた。
だが、1990年に製造された20000形「RSE」ではこれを使用せず、自社の通勤形車両で使用しているボギー台車構造とした。これは、翌1991年からこの車両での運行を開始した「あさぎり」が、相互乗り入れ相手のJR東海との乗り入れ協定に基づいてJR東海371系との共通運転としたために、車両の仕様を揃える必要が生じたためである。
続く30000形「EXE」でも、目的が観光用ではなく通勤輸送や中間駅までの輸送であったため、需要に応じた分割・併結を可能とするために連接構造は採用しなかった。
しかし、50000形「VSE」に関しては再び連接構造車両を採用・復活させた。観光客向け車両であり、10000形「HiSE」までの「ロマンスカー」のイメージを再び高めることや、新機軸の強制車体傾斜式台車を採用し、速達列車に充当することで高速での乗り心地の向上を図る目的からとされる。
[編集] 展望席
3100形「NSE」で採用した運転席を2階に設けてその下に展望席を設けた構造(運転士は客室天井から梯子で運転室に出入りする)が、7000形「LSE」・10000形「HiSE」まで約25年間踏襲したことにより、「小田急のロマンスカー」=「先頭に展望席がついている特急電車」というイメージが広く受け入れられている。また、10000形「HiSE」の置き換えとされる50000形「VSE」にもこのスタイルは踏襲されている。
しかし、1990年代になって「あさぎり」号に使用されていた3000形「SSE」の代替として製造された20000形「RSE」では、連接台車と同様の理由で展望席を設けなかった。さらに3100形「NSE」を置き換える目的で大量製造されていた30000形「EXE」については、利用客の需要が必ずしも全区間乗車ではなく区間利用が中心であったことから、施策上展望席を設けなかった。なお、運転席越しからの展望は確保されている。
結果、10000形「HiSE」以降展望車を設けた車両が登場しなくなったことから、鉄道ファンの一部や家族連れの、特に子供などからは「小田急はロマンスカーから脱却した」と言われたりもしたという。だが、全区間乗車をする利用客から「やはり展望車があったほうがいい」と言う声があったことで、それが17年ぶりの展望車を設けた車両である50000形「VSE」の製造につながったともいわれている。
なお、7000形LSEと10000形HiSEには、展望席が14席設置されているが、小田急電鉄は、最前列から3列目までの12席のみを「展望席」として発売しており、4列目に設置されている2席は「一般席」扱いとなっている。(50000形VSEに関しては、展望席部分16席全てが、「展望席」として発売されている。)
2006年2月16日、小田原線小田急相模原駅を通過中の「はこね43号」に男性が飛び込み、前展望席のフロントガラスが大破し、9名の乗客が軽傷を負う事故が発生した。小田急電鉄では、乗客が怪我をしたことを重視して、翌17日から前展望席の使用を全面的に中止した。前展望席使用中止期間中に小田急は安全対策として全展望席のフロントガラス内部に「飛散防止フィルム」を貼り付ける対策を行い、1週間後の24日より前展望席の使用が再開された。
[編集] ミュージックホーン
3000形「SE」「SSE」及び3100形「NSE」ではミュージックホーンを採用し、軽やかな音色のオルゴールを演奏しながら疾走する姿は当時の一世を風靡したものである。しかし、ミュージックホーンは騒音問題から徐々に市街地での使用を避けるようになり、一旦は廃止された。50000形「VSE」ではこれを復活させ、駅に到着、発車する時に2フレーズほど演奏している。
なお、小田急ロマンスカーのミュージックホーンの音は、音響心理学者の協力を求め、日本放送協会の番組、『NHKのど自慢』の合格の鐘の音をヒントにしたという(1972年8月24日付朝日新聞より)。
[編集] 供食サービス
また、供食サービスとして、50000形「VSE」ではカフェ及びシートサービスを実施している。これは戦後の1910形就役から1995年まで実施していた、「走る喫茶室」と呼ばれるシートサービスを復活させる形ともなった。
「走る喫茶室」とは、日東紅茶と森永エンゼルの2社が列車ごとに担当し、注文を受けて車内で紅茶を主とした飲み物や軽食を座席まで運んでくれるサービスであった。しかし、1990年代以降乗客ニーズが短距離輸送に重点が置かれたことにより、供食サービスとしては車内販売のワゴンサービスに移行した格好となっていた。また、30000形「EXE」では飲み物の自動販売機を設置しており、ワゴンサービスの補助ないしは代行する形をとっている。
なお、このために充当される車両には厨房設備を備えている。但し、内容としては冷蔵庫やコーヒーメーカー、ビールサーバーなどが備えられているが、コンロなど加熱調理できる機材はないため、調理を行えるほどの規模はない。
下記の列車では車内販売は行われていない
-
- 「さがみ」、「ホームウェイ」の全列車
- 「えのしま」(平日の9号、10号を除く)
- 平日の「はこね」5、6、7、8、43、44、46、48、50号
- 土休日の「はこね」46、48、50号
[編集] エンブレム・車体塗装
「ロマンスカー」専用車両を表すシンボルとして、ヤマユリの花をあしらったエンブレムが1700形及び2300形で採用され、車体の側面に付けられていたが、高速運転を主眼とした3000形「SE」「SSE」及び展望席を採用した3100形「NSE」以降はこうしたエンブレムが採用されなくなった。代わって3000形「SE」「SSE」以降7000形「LSE」までは、赤(バーミリオンオレンジ)と灰色(シルバーグレー)を基調に白い帯を纏った塗装が用いられ、10000形「HiSE」の登場まで連綿と受け継がれた。
1980年代に入り、3000形「SSE」を除いて、車内の貫通路及び供食スペース付近に仕切り扉が付けられるようになり、その位置を示すため、仕切り扉にエンブレムが付けられた。1997年以降、「特急専用車両」のシンボルとしてエンブレムを7000形「LSE」・10000形「HiSE」・20000形「RSE」で再び車体の側面にも付けられるようになり、編成中に2箇所は設けられている。
なお、30000形「EXE」と50000形「VSE」ではエンブレムを使用せず、それぞれの車両愛称のロゴを代わりとしている。
[編集] 広告媒体
冒頭にある通り、小田急電鉄では営業戦略の一つとして観光地輸送を挙げているが、そのうち箱根への輸送が特に中心とされている側面がある。宣伝活動のうち、1961年10月に三木鶏郎作曲、ザ・ピーナッツ、ボニー・ジャックスの歌唱の『小田急ピポーの電車』のテレビコマーシャルは特に有名であった。
しかし、1990年代以降のバブル経済後の長期的な不振や海外旅行ブーム等で、とりわけその箱根への観光客が減少したことに伴い、2002年夏から「きょう、ロマンスカーで。」の標語で、箱根の観光地や旅館などを映すTVコマーシャルやラジオコマーシャル、駅貼りポスターなどで箱根観光をアピールしている。
なお、このコマーシャルにBGMで使用されている歌『ロマンスをもう一度』について非常に評判がよく、CDなどについて問い合わせがあるが、商品化されておらず懸賞で配布されるのみである。しかし携帯電話向けの着メロサイトのdwango.jpで配信されている。ちなみにこの曲は、小田急が開催する鉄道イベントのBGMにもなっている。また、小田急電鉄本社の電話保留音(但し、部署によっては異なる。)やVSEの車内チャイムにもCM曲が使われている。
[編集] 運行概要
基本的には「特急ロマンスカー」で一つの列車種別となっているが、座席指定制を採用しているため、個々の列車及び運行区間・停車駅・運行時間により以下の列車名が与えられている。なお、停車駅・系統別の詳細な歴史などについては、下に記した各列車名毎の記事を参照されたい。
[編集] 列車名及び運行区間など
- 「スーパーはこね」・「はこね」:新宿駅~箱根湯本駅
- 一部列車は小田原線内発となる場合があるが、全列車箱根湯本駅発着である。
- 「さがみ」:新宿駅~小田原駅
- 一部列車は小田原線内発着となる場合もあるが、箱根登山線には乗り入れない。
- 「えのしま」:新宿駅~藤沢駅・片瀬江ノ島駅
- 新宿駅~相模大野駅を「はこね」・「さがみ」と併合されて走る列車の他、全区間を単独で走る列車もある。
- 「あさぎり」:新宿駅~JR沼津駅
- 小田原線とJR御殿場線を直通運転する。
- 「ホームウェイ」:新宿駅18時以降出発の下り列車に共通で与えられている列車名。JRでのホームライナー的性格が強いことから与えられている。
[編集] 運行日が限定される列車名及び運行区間等
- ニューイヤーエクスプレス:新宿駅~片瀬江ノ島駅など
[編集] 過去の列車名
小田急の特急では2004年12月より上記6種類の列車愛称が使われているが、かつてはもっと多くの列車愛称が存在した。その背景には、現在のように「愛称を系統識別に使い同一系統のものは番号で区別する」方式ではなく、「すべての列車に個別の愛称をつける」方針があったからだとされる。愛称には目的地周辺の名所・名物の名前が広く使われていた。現在では使われていない列車名を下に記す(五十音順・経緯については各系統項目を参照)。
- 小田原線系統(現・「はこね」「さがみ」):「あしがら」「あしのこ」「姥子」「おとめ」「乙女」「神山」「きく」「桔梗」「きんとき」「金時」「高原」「サポート」「すくも」「須雲」「仙石」「早雲」「大観」「はつはな」「明星」「明神」「夕月」「湯坂」
- 江ノ島線系統(現・「えのしま」):「江ノ島」「かたせ」「かもめ」「しおじ」「すず風」「ちどり」
- 御殿場線直通列車(現・「あさぎり」):「朝霧」「銀嶺」「長尾」「芙蓉」
- 新年臨時列車(現・「ニューイヤーエクスプレス」):「初詣号」
- 多摩線~江ノ島線発着臨時列車:「江の島・鎌倉Express」「湘南マリンエクスプレス」「サマービーチ」
- その他臨時列車・団体列車
[編集] 車両
「」付きの愛称があるものは特急専用車両を意図して設計・製造されたものである。なお、3000形「SE」以降の括弧付きの車両を「ロマンスカー」と称する場合もある。
[編集] 現用車両
- 7000形「LSE」(1980年~)
- 10000形「HiSE」(1987年~)
- 20000形「RSE」(1991年~)
- 30000形「EXE」(1996年~)
- 50000形「VSE」(2005年~)
[編集] 登場予定車両
- 60000形「MSE」(【予定】2008年春~)
[編集] 過去の車両
- 1600形(1948年~1951年)
- 初代特急車であるが、ロングシートの通勤形電車であり、「ロマンスカー」ではない。)
- 1910形(1949年~1951年)
- 1700形(1951年~1959年)
- 2300形(1955年~1959年)
- キハ5000形・5100形(1955年~1968年)
- 「ロマンスカー」とは言い難いが、御殿場線直通特別準急専用で使われた気動車
- 3000形「SE」・「SSE」(1957年~1968年~1991年)
- 3100形「NSE」(1963年~1999年)
[編集] 他社の小田急線乗り入れ車両
[編集] 特別急行券
小田急ロマンスカーは全席指定制で、乗車には特別急行券の購入が必要である。
[編集] 予約・購入
定期列車の特別急行券は、乗車日の2ヶ月前の10時から予約が開始され、乗車日の1ヶ月前の10時から発券される。特別急行券は小田急線全駅の有人窓口、自動券売機、特別急行券発行専用自動券売機、小田急トラベル、JTB、近畿日本ツーリスト、日本旅行などの各店・営業所などで購入ができる。予約については、これ以外にも「ロマンスカー@クラブ」というインターネット経由での予約や、「小田急お客さまセンター」・プッシュホンにて電話予約ができる。但し、「ロマンスカー@クラブ」での予約の場合は携帯電話を用いた購入をできる場合があるが、それ以外は小田急トラベル、小田急線の有人窓口などで発券手続きを受ける必要がある。
[編集] 車内検札
1999年より、小田急ロマンスカーでは車内改札は行わず、乗務員が持っている機械により車内検札が実施される。そのため、確認は行っているので、指定された座席に座っていない場合や、特急券を持っていない場合、乗務員による確認作業が行われる。
このシステム構築に際しては、シャープの"ザウルス"を乗務員の携帯端末としたが、座席指定システム構築に際して市販のPDAが使用されたことにより構築時・保守における簡便化・コストダウンが図られた。
この車内検札システムが導入される前は各停車駅で乗車時に指定座席の車両毎に指定がなされ、乗車前の検札が行われたが、発車直前まで特急券の発券が行えず、発車直前には補充券によるJRの立席特急券に相当する形で発券がなされた。
また、このシステムの導入により「ロマンスカー@クラブ」会員は携帯電話による特急券のチケットレス化がなされている。
また、2006年5月15日より、特急券を持たずにロマンスカーに乗った上で車内で特急料金の精算をした場合、通常の特急料金に加え300円の手数料がかかることとなった。これは、車内清算の増加により車掌の業務に支障が出る恐れがあるため、とされている。
[編集] 特別席
- グリーン席・スーパーシート
- コンパートメント席
- 20000形「RSE」及び50000形「VSE」には個室が設定されているが、車両により性格を異にしている。
- 20000形「RSE」:「セミコンパートメント席」として設定されており、ダブルデッカーである4号車の1階席がこれにあたる。なお、4名定員のコンパートメント席ではあるが、通常の座席と同様に人数分の特急券で指定されるのみであることから、多客時には3名など定員に満たない座席に1名別グループの方が相席となる場合もあり得る。
- 50000形「VSE」:3号車に「サルーン席」と称される個室が設定されている。この座席は小田急ロマンスカーとしては初めて設定された4名定員の個室であり、この座席については「サルーン特急券」と称され、4名分の特急料金に相当する料金を徴するが、1室での販売であるため定員以内でも発行される。
- 20000形「RSE」及び50000形「VSE」には個室が設定されているが、車両により性格を異にしている。
- 展望席
- 既に廃車された3100形「NSE」以来、7000形「LSE」・10000形「HiSE」・50000形「VSE」の先頭車両に設けられている座席。発券に際しても指定が可能であるが通常の特急券と同額に設定されている。なお、座席指定に際して前方・後方の指定も行われている。
[編集] 地下鉄乗り入れについて
小田急電鉄と東京地下鉄は、2005年5月17日付けで東京メトロ千代田線湯島駅を発着点とした特急列車の運行を発表した。なお2007年4月13日現在、列車名など詳細な事項は発表されていないため、ここでは「公表されたこと」を記す。
この計画によると、2008年春に新規に現行車両より小型の乗り入れ車両(60000形「MSE」)を導入し、千代田線湯島駅より小田急小田原線町田駅・相模大野駅方面へ「平日夕方・夜間」に運行することとなっているが、東京地下鉄線内も座席指定席を採用することも明記されている。
この背景として、2000年より観光シーズンに綾瀬駅~箱根湯本駅・片瀬江ノ島駅間で運行を行っている臨時急行列車の利用状況が良好であったことや、計画発表時点では小田急線と千代田線との接続駅である代々木上原駅に全ての特急列車が停車せず、千代田線沿線から小田急線方面へ向かう客への着席サービスが図られていないので、それを改めて新しい需要を開拓しようということがあるとされる。また2004年12月11日に改正され2006年3月18日に修正された現行ダイヤでは、小田急線直通列車はほとんどが多摩線直通の多摩急行となっていることも、このような列車の新設につながったのではないかといわれている。なお、運行計画では「下りの平日夕方・夜間」のみとなっている。このことは「ホームウェイ」と同様に、JRでの「ホームライナー」的な性格が強いと判断できる。
なお、この列車の運行に際して日本の地下鉄路線(狭義の「地下鉄」。東京地下鉄の前身の帝都高速度交通営団は公営企業の性格を持っていたため、「郊外鉄道の延長」として国鉄・私鉄の建設した「地下線」とは意味合いが異なる。日本の地下鉄を参照のこと)では初めて有料の特急券を要する列車を運行することになる。東京地下鉄としても、「特急料金」という運賃収入とは別の収入を得ることができることとなる。
[編集] 歴史
- 各車両編成の就役日等は、各車両形式の歴史の項を参照のこと。
[編集] SE車導入まで(1957年以前)
- 1935年6月1日 土曜・休日に限り、新宿駅~小田原駅間無停車である「週末温泉特急」の運行開始。
- 1942年1月 大東亜戦争の激化に伴い、「週末温泉特急」の運行休止。
- 1948年8月13日・27日 特急の試運転実施。13日は1805・1853号車の2両編成が、27日は1601・1607号車の2両編成が、新宿駅~小田原駅間を95分20秒で走破。
- 1948年10月16日 「戦災復興車」と称された1607・1651号車、1601・1602号車、1610・1315号車の3編成により、新宿駅~小田原駅間無停車の特急を土曜・休日に限り運行開始。同日より特別急行料金制度(新宿駅~小田原駅間50円)を制定。
- 当初は9日からの運転開始であったが、7日に「リビー台風」が箱根地方を直撃したため延期された。
- 1949年8月6日 1910形就役。同時に「走る喫茶室」のサービスの開始。
- 1949年10月1日 新宿駅~小田原駅間の特急が毎日運行となる。
- 1950年8月1日 箱根登山鉄道箱根湯本駅乗り入れ開始。但し、乗り入れに際しての協定により箱根登山鉄道線内は料金を徴しないが乗車を禁じた。
- 1951年2月1日 ロマンスシート装備の専用車である1700形就役。
- 1951年7月 新宿駅~片瀬江ノ島駅間で納涼ビール列車「すず風号」・「いそ風号」の運転開始。
- 1951年8月20日 座席指定制度を導入。
- 1953年7月 小田急ロマンスカーのシンボルマークとして「白百合」のマークが1700形に取り付けられる。
- 1954年7月13日 江ノ島線に特別急行料金を制定。
- 1955年4月1日 2300形就役。
- 1955年10月1日 日本国有鉄道御殿場線御殿場駅乗り入れ開始。これに充当するためキハ5000形気動車就役。同時に連絡準急行料金(新宿駅~御殿場駅間70円)制定。
[編集] SE・NSE時代(1957-1980年)
- 1957年6月27日 3000形SE展示会を実施。
- 1957年7月6日 3000形SE就役。
- 1957年9月20日~28日 3000形SEが日本国有鉄道(国鉄)へ貸し出されて高速走行実験を実施。
- 1957年9月27日 国鉄で高速走行実験中の3000形SEが、東海道本線函南駅~沼津駅間で当時の狭軌世界最高速度、時速145キロを樹立。
- 1958年1月29日 3000形SEが1958年第1回鉄道友の会ブルーリボン賞受賞。
- 1963年3月3日 3000形SE、臨時スケート特急「白銀号」を運行。
- 1963年3月16日 3100形NSE就役。
- 1963年春 小田急百貨店の夏の商戦の一環として3100形NSE車内にて水着ショーを実施。
- 1964年1月17日・26日 皇太子明仁親王・同妃美智子(今上天皇、皇后)が新宿駅~箱根湯本駅間を往復で乗車。
- 1964年2月17日~21日・24日~28日・3月2日~6日 3100形NSEが6両編成にて運行される(通常は11両編成)。
- 1964年3月20日 新宿駅~片瀬江ノ島駅間で「えのしま」が休日に限り定期運行を開始(途中停車駅は藤沢駅)。
- 1964年7月10日 3100形NSEが1964年鉄道友の会ブルーリボン賞受賞。
- 1965年3月1日 「えのしま」の毎日運行開始。
- 1966年4月1日 すべての特別急行列車の列車無線使用開始。
- 1966年6月1日 新宿駅~箱根湯本駅間で「さがみ」運行開始(途中停車駅は向ヶ丘遊園駅・新松田駅・小田原駅)。同時に新宿駅・小田原駅間無停車の特急に対し「はこね」と名づけられる。
- 1967年6月23日 特別急行列車に定期乗車券による乗車を認める。
- 1967年7月2日~1968年3月29日 3000形SEの御殿場線乗入用の5両編成化工事実施。
- 1967年10月1日 新宿駅~箱根湯本駅間で「あしがら」運行開始(途中停車駅は新原町田駅(現・町田駅)・小田原駅)。
- 1968年6月3日 特別急行料金に小児制度が制定される。
- 1968年6月30日 御殿場線の電化に伴いキハ5000形・5100形による連絡準急行廃止。不要となった両形式は関東鉄道へ売却。
- 1968年7月1日 3000形SSEによる御殿場線直通の運転開始。同時に列車種別が「連絡準急行」から「連絡急行」となり、連絡急行料金制度制定し、連絡準急行料金廃止。
- 1969年1月1日 新宿駅~新原町田間で臨時特急「初詣号」が1往復運行される(途中停車駅は参宮橋駅・向ヶ丘遊園駅)。以後、毎年初詣客向けの特急が運行されるようになる。
- 1972年8月24日 沿線に住んでいた英国人教師より「ミュージックホーンは、騒音公害源である」とする抗議を受け、相模大野駅以東での使用が禁止となる。
- 1979年2月27日 特別急行券の座席予約・販売にオンラインシステムを導入。
[編集] LSE・HiSE時代(1980-1991年)
- 1980年12月25日 7000形LSE完成記念列車が運行される。
- 1980年12月27日 7000形LSE第1編成(7001F)就役。
- 1981年 TBSで、「思い出づくり」というロマンスカー・スチュワーデスを主人公としたドラマが放映される。
- 1981年3月29日 「鉄道友の会主催新型ロマンスカー試乗会」が、7000形LSEを使い海老名駅→小田原駅→新宿駅間で運行される。
- 1981年6月15日 FM東京主催、資生堂提供の団体列車「ORANGE EXPRESS」が7000形LSE第1編成(7001F)にて運行される。
- 1981年9月13日 7000形LSEが1981年鉄道友の会ブルーリボン賞受賞。
- 1982年7月25日 向ヶ丘遊園でのイベントの関連企画として、新宿駅~向ヶ丘遊園駅間で伊藤つかさが車掌となって乗車する団体列車「你好(ニーハオ)つかさ号」が3000形SSEにて運行される。
- 1982年12月8日~15日 日本国有鉄道の「新型特急車両開発計画」の一環として、7000形LSE第2編成(7002F)が小田急から国鉄に貸し出され、東海道本線大船駅~熱海駅間で試験走行を実施。
- 1983年3月30日 3000形SSE、第1編成(3001F)大井川鉄道へ譲渡。
- 1983年7月 新宿駅~片瀬江ノ島駅間で、団体列車「め組EXPRESS」が3000形SSEにて運行される。
- 1984年3月25日 臨時団体列車「小田急箱根クイズラリー号」が運転される。
- 1984年8月9日~1985年3月27日 3000形SSE車体修繕工事実施。
- 1984年12月25日~1988年10月20日 3100形NSE車体修繕工事実施。
- 1986年10月4日 7000形LSE車内に車内電話が設置される。
- 1987年2月頃 ロマンスカー車両が事故にあった影響で車両数が不足し、急遽通勤形車両がロマンスカーとして運行される(なお、列車の種別表示板には『臨時』と表示されていた。)。
- 1987年7月1日 すべてのロマンスカーの1~3号車に禁煙車が設置される(小田急ロマンスカー史上初の禁煙席の登場)。
- 1987年12月23日 10000形HiSE就役。
- 1988年1月1日 10000形HiSEで運行された「初詣号」で「走る喫茶室」のサービスが行われる(「初詣号」での「走る喫茶室」のサービスはこの回限り)。
- 1988年9月11日 10000形HiSEが1988年鉄道友の会ブルーリボン賞受賞。同時に新宿駅→小田急多摩センター駅間にて受賞記念列車運行。
- 1989年5月 大井川鉄道に譲渡された3000形SSE第1編成(3001F)が廃車される。
- 1990年4月~5月 多摩線開業15周年を記念し、臨時列車「江ノ島・鎌倉エクスプレス」が唐木田駅~新百合ヶ丘駅~片瀬江ノ島駅間で運行される。
- 1990年7月~8月 唐木田駅~新百合ヶ丘駅~片瀬江ノ島駅間で臨時列車「湘南マリンエクスプレス」が運行される。
- 1991年3月15日 3000形SSEの定期運用からの完全離脱にあたり、新宿駅にて記念式典挙行。連絡急行料金廃止。
[編集] RSE・EXE時代(1991-2005年)
- 1991年3月16日 20000形RSEとJR東海371系就役。特別席"スーパーシート・グリーン車"が設置される。同時に特別席(スーパーシート・グリーン車)料金制定。同日、ORS(小田急レストランシステム)とジェイダイナー東海が車内販売のサービスを開始する。
- 1991年7月 臨時列車「ビア・エクスプレス納涼号」が運行される。
- 1992年3月8日 新宿駅→唐木田駅間で「さようなら3000形走行会」実施。
- 1992年3月31日 3000形SSE全廃。
- 1992年3月25日 臨時列車「サンリオピューロランド号」が運行される。
- 1992年6月 臨時列車「あじさい号」が運行される。
- 1992年8月29日 20000形RSEが1992年鉄道友の会ブルーリボン賞受賞。同時に新宿駅→唐木田駅間にて受賞記念列車運行。
- 1992年10月3日 第9回全国緑化かながわフェアの開催を記念し、臨時列車「グリーンウェーブ相模原号」が7000形LSEで運行される。
- 1992年10月25日 団体列車「カントリーインアサギリ号」が20000形RSEにて新宿駅~(御殿場線経由)~身延線富士宮駅間で運行される。
- 1992年11月10日 大野工場に3000形SSEの記念モニュメントを設置。
- 1993年3月9日 3000形SSE第3編成(3021F)を大野工場にて静態保存用工事を実施。うち2両を竣工当時のSE仕様に復元。
- 1993年3月16日 静態保存用工事を実施した3000形SSE第3編成(3021F)を海老名車両基地に回送。
- 1993年3月20日 3000形SSE第3編成(3021F)を海老名車両基地内の保管庫へ搬送。永久保存へ。
- 1993年3月28日 日東紅茶が小田急ロマンスカーの「走る喫茶室」のサービスから撤退。同日、鉄道友の会30周年記念行事として、3100形NSEが小田急多摩センター駅4番ホームに展示される。同時に京王多摩センター駅1番ホームに京王帝都電鉄の5000系が展示され、両社の名車が並んで展示された(参考:小田急多摩センター駅の4番ホームと京王多摩センター駅の1番ホームは、並んでいる。)。
- 1995年 町田駅停車の「あしがら」を「はこね」とし、従来の新宿駅・小田原駅間無停車の「はこね」が「スーパーはこね」となり、「あしがら」の停車駅に本厚木駅が加えられる。
- 1995年~1997年 7000形LSEにリニューアル工事が施される。
- 1995年3月26日 森永が小田急ロマンスカーの「走る喫茶室」のサービスから撤退する。これにより、小田急ロマンスカーの伝統であった「走る喫茶室」のサービスが廃止となる。
- 1996年3月23日 30000形EXE就役。
- 1997年 小田原線70周年を記念し、3100形NSE第4編成(3161F)を改造した「ゆめ70」が運行開始。
- 1999年7月11日 相模大野駅~唐木田駅間にて「3100形NSEさよなら走行会」を実施。
- 1999年7月16日 3100形NSEが定期列車から退くにあたり、新宿駅と箱根湯本駅にて記念式典挙行。
- 1999年7月17日 「さがみ」「あしがら」の名称を廃止し、「サポート」「ホームウェイ」の列車愛称が登場。同日より、特別急行列車の乗車口による検札を廃止。
- 2000年4月23日 「ゆめ70さよなら運転」実施。
- 2000年4月26日 3100形NSE第4編成(3161F)「ゆめ70」廃車。これにより、3100形NSE、形式消滅。
- 2000年12月2日 多摩線初の定期列車のロマンスカーとして「ホームウェイ」登場。
- 2001年 3100形NSE3181号車が、開成駅前にて静態保存される。
- 2001年4月24日~2002年3月 10000形HiSEの10041Fが「イタリアンエクスプレス」として運行され、イタリアの国旗をイメージした「赤・白・緑」のストライプを施した記念塗装となる。
- 2001年7月8日 「ロマンスカー@クラブ」の予約開始。
- 2001年7月15日 特別急行券のチケットレスサービスが開始される。
- 2001年9月3日 3100形NSEの第7編成(3221F)が喜多見電車基地内にて静態保存される。
- 2001年12月31日 従来「初詣号」として運行されていた初詣客向け臨時特急の列車名を「ニューイヤーエクスプレス」に改称。
- 2002年2月1日~3月31日 30000形EXEの1号車にて「@TRAIN」と題して小田急ロマンスカー車内でIPv6を用いた無線LANインターネット接続実験が行われる。
- 2002年3月23日 特別急行料金の値下げが実施される。
- 2002年 小田急ロマンスカーの新テレビCM「きょう、ロマンスカーで。」が始まる。
- 2003年4月6日 座席番号の表記方法を変更。
- 2004年12月11日 「サポート」を廃止し、「さがみ」の列車愛称が復活。
[編集] VSE登場(2005年以降)
- 2005年2月19日 50000形VSE、海老名電車基地内にて車両見学会を実施。
- 2005年3月5日 50000形VSE、試乗会を新宿駅→小田急多摩センター駅間と唐木田駅→新宿駅間で実施。
- 2005年3月19日 50000形VSE第1・2編成(50001F・50002F)就役。同日、車内で配布する無料観光情報誌『るるぶFREE ロマンスカー 箱根 小田原』創刊。
- 2005年4月1日 特別急行券を購入した際、小田急ポイントカードにポイントが加算されるサービスが開始される。
- 2005年7月1日 小田急ポイントカードに貯まったポイントで、特別急行券を購入できるサービスが開始される。
- 2005年8月12日 10000形HiSEの第2・4編成(10021F・10061F)が長野電鉄に譲渡される。
- 2005年10月1日 従来禁止されていた小田原駅~箱根湯本駅間の乗車に際し、列車に座席があった場合に限り、座席指定を行わない「座席券」が発売され乗車可能となる。なお、「座席券」は当日ロマンスカーの発車直前にホームにて発売。
- 2005年10月6日~11日 「ロマンスカー@クラブ」にて、他の利用者の個人情報が閲覧できるという事態がおこる。
- 2006年1月12日 50000形VSEが2005年度グッドデザイン賞受賞。
- 2006年1月14日~ 50000形VSEのグッドデザイン賞受賞を記念し、受賞記念の「G」マークが車体に貼られる。
- 2006年2月16日 「はこね43号」として運行していた7000形LSE第1編成(7001F)が、小田急相模原駅を通過していた18時16分、ホームから男性が飛び込み自殺した。その際に展望席のフロントガラスが大破し、展望席の乗客9名が怪我を負う。
- 2006年2月17日 前日の事故を受け、全列車の前展望席の使用を中止となる。
- 2006年2月24日 展望席のフロントガラスに「飛散防止フィルム」を貼るという安全対策を施したことから、前展望席の使用を再開。
- 2006年3月19日 50000形VSE就役1周年を記念して、新宿・町田・小田原・箱根湯本の各駅に到着時及び発車時に、補助警笛(ミュージックフォーン)を鳴らすサービスを開始。
- 2006年3月19日 50000形VSEの就役1周年を記念し、「1st ANNIVERSARY」という記念のロゴが車体に貼られる。
- 2006年3月31日 新宿駅の西口地上改札前に、「ロマンスカーカフェ」が開設され、営業を開始する。
- 2006年5月15日 特別急行券を持たずに特急に乗車をした者に限り、通常の特別急行券料金に300円を加算して販売する制度ができる。なお、この制度で購入をした特別急行券には、座席の指定がなされない。
- 2006年9月10日 50000形VSEが2006年鉄道友の会ブルーリボン賞受賞。定期列車である「スーパーはこね13号」の一部を鉄道友の会が貸切にし受賞記念列車を運行。また、これを記念して「Blue Ribbon ROMANCECAR VSE 2006」という記念のロゴが車体に貼られる。
- 2007年3月18日 全席終日全面禁煙化。
- 2007年3月18日 「湘南国際マラソン号(臨時31号)」、新宿駅→片瀬江ノ島駅間にて運行。
- 2008年春(予定) 60000形MSE就役。東京地下鉄千代田線直通列車の運行開始。
[編集] その他
[編集] 漫画・アニメ・特撮ドラマでの引用
- 漫画『おぼっちゃまくん』には、主人公御坊茶魔の家が保有する車両として、「チャマンスカー」がある。これは、御坊家が箱根へ旅行する際に利用する列車である。これは、おぼっちゃまくんの作者小林よしのりがかつて成城学園前駅付近に住んでいたことがあり、小田急ロマンスカーのパロディとして漫画に登場させたものである。
- アニメ『新世紀エヴァンゲリオン』に登場する第三新東京市は、箱根地域のことであり、作中にリニアモーターカー型の小田急ロマンスカーが登場する。なお、この車両の形式番号は7700系となっているが、外観的には10000形「HiSE」に酷似している。
- 同じくアニメ『名探偵コナン』の14話「謎のメッセージ狙撃事件」には「平成エクスプレス」として10000形と思しき車両が登場する。カラーこそホワイト/ライトブルーと大幅に変更されているが、展望席、連接台車などかなり実車を再現していた。
- ウルトラシリーズで、小田急ロマンスカーは度々登場しており、3100形「NSE」は『ウルトラQ』28話の『あけてくれ!』や『ウルトラセブン』2話の『緑の恐怖』でこの車両を使ってロケが行われた。
[編集] 芸能
[編集] 関連項目
[編集] 関連リンク
- 小田急ロマンスカー(小田急電鉄HP内)
- きょう、ロマンスカーで。(小田急電鉄HP内)
- 小田急ロマンスカーだより
- 小田急ロマンスカーの東京メトロ千代田線への乗り入れについて
- 列車供食事情 小田急ロマンスカー
小田急ロマンスカー |
---|
現行列車 |
「スーパーはこね」・「はこね」・「さがみ」・ 「えのしま」・ 「あさぎり」・ 「ホームウェイ」・ 「ニューイヤーエクスプレス」 |
現用車両 |
7000形「LSE」・ 10000形「HiSE」・ 20000形「RSE」・ 30000形「EXE」・ 50000形「VSE」 |
導入予定車両 |
過去の車両 |
1600形・ 1700形・ 1910形・ 2300形・2320形・ 3000形「SE」・「SSE」・ 3100形「NSE」・ キハ5000形・キハ5100形(御殿場線直通用) |