第25回全国中等学校優勝野球大会
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出場校 | 22校 |
参加校数 | 608校 |
優勝 | 和歌山県立海草中学校(初) |
試合数 | 21試合 |
選手宣誓 | --- |
総入場者数 | --- |
本塁打数 | 1本 |
第25回全国中等学校優勝野球大会は1939年(昭和14年)8月13日から20日に兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で実施された全国中等学校優勝野球大会である。
目次 |
[編集] 出場校
- 北海道
- 札幌一中(北海道、12年ぶり2度目)
- 奥羽
- 青森中(青森、初出場)
- 東北
- 山形中(山形、4年連続4度目)
- 北関東
- 桐生中(群馬、3年連続7度目)
- 南関東
- 千葉商(千葉、初出場)
- 東京
- 早稲田実(東京、3年ぶり14度目)
- 信越
- 長野商(長野、2年ぶり7度目)
- 北陸
- 高岡商(富山、2年ぶり2度目)
- 山静
- 島田商(静岡、2年ぶり2度目)
- 東海
- 東邦商(愛知、初出場)
- 京津
- 京都商(京都、5年ぶり2度目)
- 大阪
- 京阪商(大阪、2年連続3度目)
- 兵庫
- 関西学院中(兵庫、10年ぶり6度目)
- 紀和
- 海草中(和歌山、3年連続5度目)
- 山陰
- 米子中(鳥取、4年ぶり5度目)
- 山陽
- 下関商(山口、2年連続2度目)
- 四国
- 高松商(香川、10年ぶり6度目)
- 北九州
- 福岡工(福岡、3年連続3度目)
- 南九州
- 熊本工(熊本、2年ぶり4度目)
- 朝鮮
- 仁川商(2年連続3度目)
- 満州
- 天津商(2年連続2度目)
- 台湾
- 嘉義中(2年ぶり3度目)
[編集] 試合結果
[編集] 1回戦
- 長野商 2 - 1 東邦商(延長12回)
- 京都商 3 - 1 仁川商(延長12回)
- 熊本工 8 - 0 札幌一中
- 関西学院中 22 - 8 天津商
- 海草中 5 - 0 嘉義中
- 福岡工 3 - 2 桐生中
[編集] 2回戦
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[編集] 準々決勝
- 島田商 2 - 1 高松商
- 長野商 3 - 2 早稲田実
- 下関商 7 - 1 福岡工
- 海草中 3 - 0 米子中
[編集] 準決勝
- 海草中 8 - 0 島田商(海草中・嶋がノーヒットノーラン達成)
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | |
島田商 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
海草中 | 4 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 3 | 0 | X | 8 |
- 下関商 3 - 2 長野商
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | |
長野商 | 0 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | 0 | 0 | 2 |
下関商 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 1 | 0 | X | 3 |
[編集] 決勝
- 海草中 5 - 0 下関商(海草中・嶋がノーヒットノーラン達成)
(海草中)嶋-志水 (下関商)友浦-大橋
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 計 | |
海草中 | 0 | 0 | 2 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 1 | 5 |
下関商 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
下関商にとって、準決勝でノーヒットノーランを記録し、ここまで4試合連続無失点の嶋をどう攻略するかが焦点であったが、手も足も出なかった。出塁したのは3回と7回の四球のみ。外野へ飛んだのも2回のみ。二塁も踏めずに完璧に押さえ込まれた。嶋は2試合連続ノーヒットノーランという前人未到の記録を達成した。
[編集] 海草の嶋か、嶋の海草か
嶋は1937年(昭和12年)第23回大会から、春夏合わせて5回連続して甲子園に出場のすえ、最終学年でついに優勝投手となった。それまでの嶋は速球、変化球(ドロップ)とも一級品で好投手とは呼ばれつつも、大事な場面で制球を乱したりするなど安定感に欠けるところがあった。しかし、心機一転猛練習を重ねて臨んだ今大会ではすばらしい投球を見せた。
- 1回戦の嘉義中戦は、3安打15奪三振完封。スタンドからは「これが本当にとりつくシマがない、ということだ。」とため息が漏れた。
- 2回戦の京都商戦は、2安打完封。
- 準々決勝の米子中戦は、全員奪三振まであとひとり、という快投で3安打完封。
- 準決勝の島田商戦は、4四球17奪三振でノーヒットノーラン。
- 決勝の下関商戦は、2四球8奪三振でノーヒットノーラン。
嶋がつくった大会記録は、
- 45回連続無失点
- 5試合連続完封
- 2試合連続ノーヒットノーラン
- 決勝戦ノーヒットノーラン
という輝かしいものであった。このうち、45回連続無失点と5試合連続完封は第30回大会の福島一雄(小倉)が、決勝戦ノーヒットノーランは第80回大会の松坂大輔(横浜)が達成したが、2試合連続ノーヒットノーランに並ぶものはいまだに現れていない。
この偉業をたたえる意味を込め、「海草の嶋か、嶋の海草か」と言われた。
[編集] 出場した主な選手
- 常見茂(桐生中-法政大-全桐生-東急)
- 深沢督(桐生中-法政大-全桐生-東京鉄道管理局-国鉄)
- 小暮力三(桐生中-巨人-パシフィック(太陽)-西鉄)
- 三輪裕章(桐生中-阪神)
- 中村栄(桐生中-阪急-国鉄)
- 小川善次(千葉商-明治大-大映)
- 宮崎皓(長野商-黒鷲軍)
- 一言多十(島田商-専修大-新田建設-セネタース(東急、急映)-阪急-石川島重工監督)
- 猪子利男(東邦商-南海)
- 森下博(東邦商-阪神)
- 中尾硯志(京都商-巨人)
- 深尾文彦(京阪商-南海)
- 加地健三郎(京阪商-ライオン軍-巨人)
- 富樫淳(関西学院中-法政大-阪神-平安高監督-神戸製鋼所監督)
- 嶋清一(海草中-明治大)
- 真田重蔵(海草中-朝日(パシフィック、太陽、松竹)-阪神-明星監督)
- 土井垣武(米子中-阪神-毎日-東映-阪急)
- 長谷川善三(米子中-南海-阪神-西鉄-毎日-高橋)
- 諏訪裕良(下関商-明治大-巨人-金星-大洋)
- 大橋智千(下関商-巨人)
- 上野義秋(福岡工-名古屋金鯱軍-西鉄-広島)
- 田中金太郎(熊本工-大連満州倶楽部-名古屋軍)
- 後藤次男(熊本工-法政大-阪神)
- 武宮敏明(熊本工-熊本鉄道管理局-九州産交-巨人)
- 松井信勝(嘉義中-早稲田大-パシフィック-大洋)
[編集] 関連項目
- 高校野球
- 第16回選抜中等学校野球大会
高校野球 | ||
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1924 |
1915 | 1916 | 1917 | (1918)中止 | 1919 |
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