出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
第88回全国高等学校野球選手権大会
出場校 |
49 |
参加校数 |
4112校 |
優勝 |
早稲田実(初) |
準優勝 |
駒大苫小牧 |
試合数 |
49 |
開会式司会 |
畑あゆみ(小野高校3年)
小枝真也(須磨東高校2年) |
閉会式司会 |
高杉由香理(加古川北高校3年)
山口達也(小野高校3年) |
選手宣誓 |
中村浩樹 (三重) |
総入場者数 |
約852,000人 |
第88回全国高等学校野球選手権大会は、2006年8月6日~8月21日までの16日間にわたって甲子園球場で行われた全国高校野球選手権大会である。
概要
日程
今大会は1回戦から好カード・好ゲームの連続で、その結果入場者数が6年ぶりに80万人を突破した。
決勝戦の引き分け再試合
決勝戦は第51回大会以来、大会史上2度目の引き分け再試合となった。ただし延長15回打ち切りに規定が変更されてからは初めての再試合である。
決勝戦はNHKとテレビ朝日(朝日放送からの逆ネット)が同時に中継したが、8月20日の視聴率はNHKが前半20.7%、後半29.1%で、テレビ朝日が4.6%(いずれも関東地区、ビデオリサーチ調べ)と視聴率の面ではNHKの圧勝に終わった。北海道でもNHKが前半34.8%、後半43.2%、北海道テレビ(テレビ朝日系列)が16%(ビデオリサーチ調べ)とこちらもNHKの圧勝に終わっている。関西地区では朝日放送が期間中毎日中継されていることもあり他地区に比べ、NHKが16.0%、朝日放送が15.8%(ビデオリサーチ調べ)と、ほぼ互角であった。
決勝戦の再試合をテレビ朝日では初めて生中継した(第51回大会の延長再試合は、民放野球中継の制作局である朝日放送が当時TBS系列であったためTBS系列で生中継されている)朝日放送の中継では解説者としてテレビに星稜総監督の山下智茂、ラジオは箕島の元監督である尾藤公が解説としてゲスト出演した。この2人は第61回大会で両校監督として箕島対星稜延長18回という名勝負を演じている。
打高投低の大会
今大会は打高投低の傾向がはっきりと出た大会であった。新記録となった大会通算本塁打数を始め、打撃に関わる大会新記録が多数生まれた。これほどまでに典型的な傾向が出た原因として、公式見解として以下の点が挙げられている。
- 打者の筋力が向上した
- 2001年に規定が改定され従来よりも重くなった金属バットに対し、選手が効果的なトレーニングを行い筋力が上がったことで対応出来るようになり、スイングスピードが速くなり長打が生まれやすくなったという意見がある。ただし、元々バットの規定が改定されたのはスイングスピードを落とすためなので(投手に打球が直撃した場合、負傷するのを防ぐ目的がある)投手を守るために何かしらの意見が出てくる可能性がある。
- 予想以上の飛距離と高反発球在庫処分疑惑
- 打者の筋力が向上した事だけを理由とするにしても、突然に歴代記録を大幅に更新する本塁打数が生まれたことには重大な疑念がある。これについては以前プロ野球で使用された「飛ぶボール(高反発球)」が(在庫処分のため?)使用されたのではないか、という見方も一部で存在する。
- 実際に本大会では、打者本人が「まさか入るとは…」と一番驚いたり、外野手が落下地点から急にバックし出すなど不自然な動きをするようなケースが多々見られた。
- ただし、大会後に行われた選抜チームによるアメリカ遠征でも豪快なホームランが連発している。ボールは現地の物を使用していると思われるのでボールがホームランを生んだとは言えないとの見方もある。
- 投手のコンディション維持が非常に難しかった
- 今大会、各地での予選は悪天候による順延が続出し、代表校が決定するのが予定よりも遅れた会場が多発したため、例年より短期間で調整しなければならない投手が多かった。しかしいざ開幕してからは一転して晴天が続き(今大会は悪天候による順延が一日も無かった)、投手の負担が大きくなったことなどが挙げられている。
「ハンカチ王子」騒動
詳細はハンカチ王子
早稲田実業の投手、斎藤佑樹選手がマウンドの上でしばしばタオルハンカチで汗を拭う姿が、「さわやかだ」「奥ゆかしい」とネットや女性週刊誌などで話題となり、彼を「ハンカチ王子」と呼ばれるようになった。これまで、高校野球の選手が、実力ではなく「見た目」で話題になった例は、端正なマスクと力投で大ちゃんフィーバーを起こした荒木大輔や端正なマスクを悲劇性を湛えたことで女性に人気を博した定岡正二などの先例があるため特に珍しいことではなかったが、ネットなどのマスコミの取り上げようが大きく、本大会終了後も「ハンカチ王子」こと斎藤投手への注目が集まることになった。
出場校
- 北海道
- 東北
- 関東
- 北信越
- 東海
|
- 近畿
- 中国
- 四国
- 九州・沖縄
|
※1 西東京代表としては初出場 ※2 離島勢で夏の甲子園初出場
試合結果
1回戦
- 高知商 10 - 7 白樺学園
- 早稲田実 13 - 1 鶴崎工
- 大阪桐蔭 11 - 6 横浜
- 清峰 22 - 3 光南
- 福井商 8 - 1 福岡
- 仙台育英 5 - 1 徳島商
- 日大山形 6 - 2 開星
- 文星芸大附 11x - 10 関西
- 今治西 11 - 8 常総学院
|
- 松代 7x - 6 倉吉北 ※延長11回
- 八重山商工 9 - 6 千葉経大附 ※延長10回
- 智弁和歌山 4 - 1 県岐阜商
- 金沢 9 - 3 浦和学院
- 静岡商 8 - 2 八幡商
- 福知山成美 6 - 4 愛工大名電
- 熊本工 6 - 4 三重
- 天理 7 - 5 本荘
|
2回戦
- 駒大苫小牧 5 - 3 南陽工
- 青森山田 7 - 0 延岡学園
- 桐生第一 6 - 5 佐賀商
- 東洋大姫路 4 - 2 甲府工
- 福岡工大城東 4 - 0 専大北上
- 帝京 10 - 2 如水館
- 香川西 2 - 1 日本文理
- 鹿児島工 3 - 2 高知商
|
- 早稲田実 11 - 2 大阪桐蔭
- 福井商 7 - 6 清峰
- 日大山形 6 - 3 仙台育英
- 今治西 12 - 3 文星芸大附
- 八重山商工 5 - 3 松代
- 智弁和歌山 5 - 2 金沢
- 福知山成美 4 - 0 静岡商
- 熊本工 5 - 3 天理
|
3回戦
- 駒大苫小牧 10x - 9 青森山田
- 東洋大姫路 5 - 2 桐生一
- 帝京 5 - 4 福岡工大城東 ※延長10回
- 鹿児島工 9 - 3 香川西
|
- 早稲田実 7 - 1 福井商
- 日大山形 11x - 10 今治西 ※延長13回
- 智弁和歌山 8 - 3 八重山商工
- 福知山成美 6 - 3 熊本工
|
日大山形が山形県勢初のベスト8入り。これにより夏の大会では47都道府県全ての代表がベスト8入りを果たした。
準々決勝
|
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
計 |
東洋大姫路 |
2 |
0 |
0 |
2 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
4 |
駒大苫小牧 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
4 |
1 |
0 |
X |
5 |
[審判](球)小山(塁)野口・西貝・宮本
|
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
計 |
帝京 |
0 |
0 |
0 |
2 |
0 |
0 |
0 |
2 |
8 |
12 |
智弁和歌山 |
0 |
3 |
0 |
3 |
0 |
0 |
2 |
0 |
5x |
13 |
[審判](球)長谷川(塁)若林・藤野・三宅
|
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
計 |
日大山形 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
2 |
0 |
0 |
0 |
2 |
早稲田実 |
1 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
4 |
X |
5 |
[審判](球)岡本(塁)日野・橘・岸
|
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
計 |
鹿児島工 |
1 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
1 |
0 |
0 |
1 |
3 |
福知山成美 |
1 |
0 |
1 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
2 |
[審判](球)林(塁)堅田・池・新卓
準決勝
|
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
計 |
智弁和歌山 |
1 |
2 |
0 |
1 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
4 |
駒大苫小牧 |
4 |
0 |
1 |
0 |
2 |
0 |
0 |
0 |
X |
7 |
[審判](球)窪田(塁)古川・小山・小谷
|
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
計 |
鹿児島工 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
早稲田実 |
3 |
1 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
1 |
X |
5 |
[審判](球)浜田(塁)桂・若林・鹿多
決勝
試合内容の詳細はこちらを参照のこと
- 駒大苫小牧 1 - 1 早稲田実 ※延長15回引き分け(決勝での引き分けは37年ぶり2度目)
|
|
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
10 |
11 |
12 |
13 |
14 |
15 |
計 |
駒大苫小牧 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
1 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
1 |
早稲田実 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
1 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
1 |
[審判](球)赤井(塁)長谷川・日野・小山
|
1 |
2 |
3 |
4 |
5 |
6 |
7 |
8 |
9 |
計 |
駒大苫小牧 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
1 |
0 |
0 |
2 |
3 |
早稲田実 |
1 |
1 |
0 |
0 |
0 |
1 |
1 |
0 |
X |
4 |
[審判](球)赤井(塁)長谷川・日野・小山
大会本塁打
- 大会最多の60本の本塁打が出た
- 第1号 筒井和哉 - 高知商
- 第2号 前田竜太 - 高知商
- 第3号 謝敷正吾 - 大阪桐蔭
- 第4号 中田翔 - 大阪桐蔭
- 第5号 越前一樹 - 横浜
- 第6号 大津智 - 清峰
- 第7号 吉村圭司 - 福井商
- 第8号 吉村圭司 - 福井商
- 第9号 菅田侑弥 - 仙台育英
- 第10号 山本直弥 - 関西
- 第11号 熊代剛 - 関西
- 第12号 宇高幸治 - 今治西
- 第13号 崎原悠介 - 今治西
- 第14号 宮本大輔 - 常総学院
- 第15号 本川翔太 - 倉吉北
- 第16号 廣井亮介 - 智弁和歌山
- 第17号 赤坂和幸 - 浦和学院
- 第18号 中西良 - 三重
- 第19号 高橋佑介 - 天理
- 第20号 東海林潤 - 本荘
- 第21号 大東憲司 - 青森山田
- 第22号 野田雄大 - 青森山田
- 第23号 本田誠矢 - 青森山田
- 第24号 不破卓哉 - 帝京
- 第25号 中村晃 - 帝京
- 第26号 塩沢佑太 - 帝京
- 第27号 雨森達也 - 帝京
- 第28号 船橋悠 - 早稲田実
- 第29号 小杉太郎 - 大阪桐蔭
- 第30号 川西啓介 - 早稲田実
|
- 第31号 佐々木優介 - 清峰
- 第32号 金城長靖 - 八重山商工
- 第33号 駒谷謙 - 福知山成美
- 第34号 藤原宏文 - 天理
- 第35号 野田雄大 - 青森山田
- 第36号 鷲谷修也 - 駒大苫小牧
- 第37号 中沢竜也 - 駒大苫小牧
- 第38号 林崎遼 - 東洋大姫路
- 第39号 榎下陽大 - 鹿児島工
- 第40号 船橋悠 - 早稲田実
- 第41号 斎藤佑樹 - 早稲田実
- 第42号 舟生源太 - 日大山形
- 第43号 宇高幸治 - 今治西
- 第44号 桑原大貴 - 今治西
- 第45号 青野翔太 - 今治西
- 第46号 廣井亮介 - 智弁和歌山
- 第47号 廣井亮介 - 智弁和歌山
- 第48号 林崎遼 - 東洋大姫路
- 第49号 馬場一平 - 智弁和歌山
- 第50号 馬場一平 - 智弁和歌山
- 第51号 上羽清継 - 智弁和歌山
- 第52号 廣井亮介 - 智弁和歌山
- 第53号 塩沢佑太 - 帝京
- 第54号 沼田隼 - 帝京
- 第55号 橋本良平 - 智弁和歌山
- 第56号 鮫島哲新 - 鹿児島工
- 第57号 後藤貴司 - 早稲田実
- 第58号 三木悠也 - 駒大苫小牧
- 第59号 三谷忠央 - 駒大苫小牧
- 第60号 中沢竜也 - 駒大苫小牧
|
大会記録
- 2者連続本塁打
- 大阪桐蔭 - 謝敷正吾(3年)、中田翔(2年)が横浜戦の8回に記録
- 早稲田実 - 船橋悠(3年)、斎藤佑樹(3年)が福井商戦の6回に記録
- 1イニング全員得点 清峰(光南戦の8回に記録)
- 9番打者の2試合連続本塁打 青森山田-野田雄大 =史上2回目
- 9回の1イニング8得点 帝京 =大会新記録
- 4点差からの逆転サヨナラ勝利 智弁和歌山 =大会新記録
- 個人1試合2本塁打
- 福井商 - 吉村圭司(3年)、福岡戦の1回裏と8回裏に記録
- 智弁和歌山 - 廣井亮介(3年)、八重山商工戦の5回表と9回表に記録
- 智弁和歌山 - 馬場一平(3年)、帝京戦の2回裏と4回裏に記録
- チーム1試合5本塁打 智弁和歌山(馬場2、上羽、廣井、橋本)=大会新記録
- 1試合7本塁打 智弁和歌山 - 帝京(準々決勝)智弁和歌山5(馬場2、上羽、廣井、橋本)、帝京2(塩沢、沼田)=大会新記録
- 勝利投手、敗戦投手とも投球数1 智弁和歌山 - 帝京(準々決勝)智弁和歌山(松本)、帝京(杉谷)=史上初
- 1大会通算60本塁打=大会新記録
- 個人最多投球回数 早稲田実 - 斎藤佑樹(3年)69回=大会新記録
関連項目
|
|